きまぐれな日々

 自民党が惨敗した都議選を受けての安倍内閣支持率の世論調査結果が、昨夜(7/9)、朝日新聞、読売新聞、NNN(日本テレビ系)から一斉に発表された。特に朝日はこのところ毎週のように内閣支持率調査をやっている。都議選の前日と当日(7/1,2)にもやっていて、4日付朝刊(ネットでの公開は都議選翌日の3日朝)に報じたばかりなのにまたこの週末(7/8.9)に調査を行った。その結果は前回が支持率38%(6月調査より3ポイント減)、不支持率41%(6月より5ポイント増)、今回が支持率33%(前回より5ポイント減)、不支持率が46%(前回より5ポイント増)だった。今回の支持率33%は、2012年12月の第2次安倍内閣発足後最低の数字である。

 朝日が毎週のように世論調査を打つのは、安倍政権から明確に「敵」と名指しされている(たとえばトランプと安倍が「ニューヨークタイムズに勝った」「朝日新聞に勝った」と言い合った件など)ことや、2014年に慰安婦問題で安倍にすり寄ったところそれを「飛んで日にいる夏の虫」とばかりに政権に利用された失敗に懲りて、政権との対決姿勢を明確に打ち出したことと関係があるのだろう。

 それよりも安倍晋三にとって打撃になったのは、政権と一体になっているはずの読売新聞の世論調査で、内閣支持率が2か月で25ポイントも暴落してしまったことかもしれない。最新の読売の調査による安倍内閣の支持率は36%で、前回(6月17〜18日)から13ポイント、前々回(5月)と比較すると実に25ポイントの下落となった。不支持率は52%で、朝日の調査と同様に、支持率と不支持率は第2次安倍内閣発足後最低と最高をそれぞれ記録した。

 支持率の数字の低さでいえば、NNNの調査結果(下記URL)がもっとも低い。以下、NNNのサイトより引用する。
http://www.news24.jp/articles/2017/07/09/04366547.html

内閣支持率急落…政府・与党に危機感広がる
2017年7月9日 20:02

 NNNが週末に行った世論調査によると、安倍内閣の支持率は前月比7.9ポイント下落して31.9%となり、2012年12月の第2次安倍政権発足以来、最低を更新した。首相官邸前から青山和弘記者が伝える。

 安倍政権で入閣経験もある自民党のベテラン議員は、この支持率に「えー」と驚きの声を上げた。政府・与党内には危機感が広がっている。

 政府・与党内には都議選の結果からも、ある程度、厳しい数字を予想する声はあった。しかし、第2次安倍政権発足以来最低だった2015年8月を6ポイント近く下回る支持率には衝撃が広がっている。

 自民党のベテラン議員は「おととしは安全保障関連法をめぐる政策論だったが、今回は政権への不信感だ。早く対応しないとまずい」と語っている。与党・公明党の幹部は「自民党全体で危機感が足りない」と嘆いているが、政権幹部は「内閣改造をすれば、がらっと雰囲気が変わる」と来月上旬にも行われる内閣改造の効果に期待を寄せる。

 しかし、交代は避けられないとみられている稲田防衛相など閣僚の顔の入れ替えが、どこまで政権浮揚につながるかは不透明。政府・与党内には「小手先の内閣改造では乗り切れない」との声も相次いでいる。加計学園の問題などに対する安倍首相の説明責任をどのように果たすのかなど、信頼回復に向けた政権の対応が問われることになる。

 一方、野党・民進党の幹部は「国民が総理の言葉を信じられなくなっている」などと攻勢を強めている。ただ、今回、民進党の支持率も9.2%にとどまっていて、政権批判の受け皿になっていないというジレンマを抱えている。民進党幹部は「正直ショックだった」と語っている。

 民進党・野田幹事長「野党第一党として、一つ一つ信頼を勝ち得ていくように、がんばっていきたいと思う」

 民進党内には蓮舫代表など執行部に対する不満がくすぶっている。

 一方、世論調査では「都民ファーストの会」が次期衆院選で全国に候補者を立てることに「期待する」が26.6%だったのに対し、「期待しない」が55.2%に上った。今の政権批判がこれからどこに流れるのか、今後の政治の行方を左右することになる。

(『日テレNEWS24』より)


 安倍内閣の支持率低下の傾向には、歯止めがかからなかった。今回のNNN調査の31.9%という数字は、安保法案が批判を浴びた2015年7月に毎日新聞の世論調査が出した32%という「底値」に並ぶものだ。ついに「危険水域」といわれる内閣支持率30%をめぐる攻防の局面になった。

 都議選での自民党の惨敗をめぐって、「THIS IS 敗因」などという馬鹿げた言説が流布している。自民党が負けたのはT(豊田真由子)、H(萩生田光一)、I(稲田朋美)、S(下村博文)のせいだというのだ。

 冗談じゃない、「A級戦犯」が抜けてるじゃないかと思うのは私だけじゃないだろう。世論調査でも「首相の人柄が信用できない」ことを不支持の理由として挙げる人たちが増えている。安倍晋三こそ自民党の敗因に挙げられなければならない。

 なお、この件に関して、「『THIS IS 敗因』ではなく『THIS IS A 敗因』かも」と題された記事をネット検索で見つけたので下記にURLを示しておく。「A」はもちろん安倍晋三を指すが、Iは稲田以外に今村雅弘や石原伸晃もいるよ、Sは菅義偉や佐川宣寿もいるよ、などと書いており、責任を分散させるような書き方にはぬるさを感じさせる。
http://note365.net/?p=6741

 ただ、来月(8月)に行われるという内閣改造は、内閣支持率を押し上げる一定の効果を持つだろうとは確実に予測できる。それは、10年前の8月にも起きた現象だ。結局内閣が持たなかったのは体調を崩した安倍晋三が政権を投げ出したためだったが、あの第1次安倍改造内閣で防衛大臣に就任したのが小池百合子だった。当時、小池は "Please call me Madam Sushi." なる妄言を吐いて失笑を買った。

 その小池百合子が都議選前と選挙中にだけ党代表を務め、極右の野田数を代表に再起用した「都民ファーストの会」の国政進出について、NNNの世論調査で「期待しない」が過半数55.2%を占めたことも注目される。しかし、それなら民進党が受け皿として期待されているかといえば全くそんなことはなく、前記日テレニュースが伝えるところでも、民進党の政党支持率9.2%という低い数字に、同党幹部が「正直ショックだった」と語っている。

 おそらく、辞意を漏らしたという野田佳彦が幹事長を辞任するだけで、現在の蓮舫体制が続くのだろうが、昨年の民進党代表交代以降の民進党低迷の原因として、野田佳彦幹事長任命のほかに、もっと大きな原因がある。それは昨年晩秋に蓮舫がいち早く小池百合子にすり寄って小池に「協力を申し出た」ことだ。しかも、小池はそれにつけこんで、民進党からの協力要請は断りながら、都議選では都ファが民進党から大量の現職・前職(いずれも当時)を引き抜いた(もちろん自民党からも引き抜いたが)。都ファが民進党から引き抜いた現職・前職たちは、ある者は右翼だったり、別の者はもともとは「みんなの党」に属していた新自由主義者だったりした者が多く、民進党内でも政治思想か経済政策かのいずれかが「右寄り」の者が多かった。

 民進党代表に就任した直後に、自らのその一員である民進党右派にいい顔をしようとした蓮舫は、逆に右派に逃げられた形となった、海江田万里に代わって民主党(当時)の代表に返り咲いた岡田克也が、おそらく自らの思想信条とは齟齬があるかもしれない「野党共闘」路線にしか活路を見出せないと判断してこれに徹し、昨年の参院選で激戦となった1人区で成果を出すところまでこぎつけたのと好対照といえる。しかし岡田克也には、2005年の郵政総選挙で小泉自民党に惨敗したことからもうかがえる「ポピュリズム政治の攻勢に対する弱さ」があって、それが昨年の東京都知事選での鳥越俊太郎の惨敗(これは「タマが悪かった」側面も否定できないが)につながった。そのあとに蓮舫という「党首にしてはいけなかった」人間を党首(党代表)に据えてしまった民進党の体質を具現しているのが蓮舫なのであって、もはや蓮舫の首をすげ替えたところで蓮舫と同じような人間しか出てこないのではないかと私は思っている。

 現在は国政進出を懐疑的な目で見られている「都ファの国政政党版」、これは「新・新進党」とも「国民ファ★ストの会」とも仮称できるが、間違いなく立ち上がるこの政党は、まず民進党からの政治思想右派または経済右派の連中を引き抜き、さらにかつての新進党に倣って公明党を自民党との連立から引き離そうとするだろう。人間は歳をとっても同じことを考えるものだ。小池百合子はかつて新進党を作った小沢一郎のやり方を真似るに違いない。仮に政党名が「国民ファ★ストの会」にでもなれば、それはかつての小沢一郎の「国民の生活が第一」とそっくりの党名になる。これは決して偶然ではない。

 民進党右派を取り込み、公明党との連携に成功すれば(その際には自民党内の安倍晋三に対する批判勢力、たとえば石破茂らも動く可能性がある)、都ファの国政政党版への期待が今よりも高まる可能性がある。これに対する警戒を怠ってはならない。しかし、安倍政権をこれ以上長引かせてはならないとも強く思う。当面はろくでもない政治勢力同士のせめぎ合いが続くことになりそうだ。

 今後のブログ運営に関して、当面は、「安倍晋三批判」と「小池百合子批判」の二正面作戦で行くしかないと強く思う今日この頃だ。
 昨日(2日)投開票された東京都議選は、都民ファーストの会(以下都ファ)が50人の公認候補中49人が当選する圧勝で、開票後追加公認した無所属の6人と合わせて55議席と圧勝した。

 自民党は23議席で、最後に当確が出た候補が落選していたら、公明党の議席(23議席)をも下回る第3党に転落するところだった。同党は前回(2013年)の都議選で59議席を獲得したが、半分以下に激減した。

 公明党は前回と同じ23人の候補者全員を当選させた。

 共産党は苦戦を予想されていたが、予想を上回る自民党への逆風が幸いし、都ファの候補がトップ当選した選挙区で下位当選を自民党候補と競り合って勝つ選挙区が多くあったため、前回の17議席を2議席上回る19議席を獲得した。

 共産党と対照的に惨敗したのが、昨年いち早く党代表の蓮舫が小池百合子にすり寄りながら小池に「振られた」民進党と、都ファと選挙協力した生活者ネットだった。民進は選挙前の7議席からは2議席減だが、前回の15議席の実に3分の1に過ぎない5議席だった。また生活者ネットも同じく前回(3議席)の3分の1の1議席だった。

 こうなるだろうとは思っていた。それを確信したのは、リテラが投票日前日(7月1日)になって「小池知事と都民ファーストでいいのか? 仕切っているのは国民主権否定を公言する極右、安倍政権に全面協力の密約も」という長いタイトルの記事(下記URL)を公開したのを知った時だ。
http://lite-ra.com/2017/07/post-3286.html

 リテラのライターは素人の市井のブロガーと違って、マスコミ各社の記者たちとも接触があるから、期日前投票の出口調査の結果も漏れ伝わっていたに違いない。そして、それは予想を超える都ファへのバンドワゴン現象を示すものだったであろうことは、選挙結果から間違いない。

 自民党にはすさまじい逆風が吹いているのに、それが「野党共闘」4党(うち自由党は都議選で公認候補を出さなかった)の支持につながっていないことを知ったリテラは、慌てて投票日前日に都ファの右翼性をアピールする記事を公開した。しかし、そのタイミングはあまりにも遅く、完全に「焼け石に水」だった。

 伝え聞くところでは、共産党も「赤旗」も都ファや小池百合子への批判は手ぬるかったとのことだが、それでも選挙戦後半には都ファ批判を強めていた。しかし民進党は、選挙戦終盤戦になってようやく蓮舫が都ファ批判をくりだしたものの遅すぎた。

 最初から小池百合子と手を結んだ生活者ネットは論外だ。この政治団体の主義主張は右派議員の多い民進よりむしろ社民に近いが、小池百合子は生活者ネットなら有権者の忌避感はほとんどあるまいと計算して、ともにすり寄ってきた民進と生活者ネットに対して違う対応をした。私が小池の立場であっても同じ対応をしたに違いないと思う。しかし、自己と民進党を過大評価していた蓮舫は無謀にも小池にすり寄り、予想通り拒絶された。

 選挙結果は民進と生活者ネットに有権者が鉄槌を降す結果となったといえる。たとえば定員6の杉並区では、当選者は得票数順に都ファ、都ファ、共産、公明、自民、自民で、落選者の上位3人がネット、民進、民進だった。

 いわゆる「リベラル」のうち、新自由主義志向の強い者は都ファに流れ、新自由主義を嫌う向きは共産党に流れた。当然の結果であり、私の選挙区は杉並区ではないが、前回(2013年)に続いて共産党候補に投票した。杉並区民であってもそうしたに違いない。小池と手を結んだ政治勢力や、党首が小池にすり寄った政党の候補になんか間違っても投票する気にはならない。

 なお、今回の都議選で民進党に投票した人たちには、新自由主義には容認的であるものの都ファ及び小池百合子の右翼性を敬遠した人たちと、新自由主義も右翼性も嫌いだけれど共産党も嫌いという人たちがいたように思う。前者の代表が私が日頃からウォッチしている某ブログであって、リテラに都ファ批判の記事が公開された同じ日に、民進党支持を表明したブログ記事を公開したが、それ以前には都議選をメインにした記事を公開していなかった。そして選挙後には、予想通り自民の大敗を手放しで喜ぶ記事を公開した。

 一方、後者の人たちの行動はどうしても私には解せないところだ。彼らの多くは、本心では小池百合子や都ファを快く思っていないことは明らかなのに、他の反自民野党の支持者や私のような反自民の支持政党なしの人間による蓮舫批判を激しく忌み嫌って、強烈な蓮舫擁護の論陣を張るのである。本当は彼らこそ率先して蓮舫を批判しなければならないはずだし、小沢一郎が代表になって党内の締めつけを強めて(たとえば2008年の民主党代表選には、小沢一郎が対立候補の立候補潰し工作を執拗に行って=同じ行動を安倍晋三も2015年の自民党総裁選でとった)、党内に「執行部独裁」体質を定着させる以前には、党内で活発な意見交換が行われる党風を持った政党だった。当時の民主党の主義主張はよく言われるように新自由主義的だったが、百家争鳴とか多事争論などの言葉で表されるような気風は確かにあったのだ。

 しかし、今では自由党に分かれた小沢一郎の支持者、いわゆる「小沢信者」だけではなく、「反小沢」側に立っていた者も、自分たちへの批判を許さない「民進党信者」と化している。そんな支持者が目立つような政党から民進ならぬ民心が離反していくのは当然のことだ。

 今回の都議選の結果は、直ちに政界再編に結びつくだろう。既に若狭勝、長島昭久、渡辺喜美といった暑苦しい面々が騒ぎ始めている一方、都議選で都ファと結んだ公明党は、国政では安倍政権との緊密な連携を表明している。しかしそうは問屋が卸さない。

 ほんの少し前まで「安倍一強」と言われていたのが、突如として民意のすさまじい鉄槌を受け、内閣支持率はJNNの調査(下記URL)で2か月連続の暴落を記録した。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3094937.html

 都議選のあった週に世論調査をしていたとは意表を突かれたが、この調査によると安倍内閣の支持率は2か月で実に20ポイント落ちた。ついこの間まで、安倍晋三は国会答弁で「民進党の政党支持率は何パーセントなんだ。安倍内閣の支持率は50%ある」と豪語していたが、あっという間の急落だ。「レギュラー8本をなめんなよ」と豪語した長谷川豊があっという間にレギュラー番組を全て失ったことを思い出させる。安倍晋三は昨夜は記者会見もせずに逃亡した。

 こんな情勢下では、小池百合子も当然これまでの戦略を変更するほかない。仮に今回の都議選で都ファと自民が拮抗する結果だったら、小池は安倍からの政権禅譲を狙って駆け引きを行っただろうが、ここまで安倍政権の人気が暴落すると、安倍と手を組むことは小池百合子自身の人気の暴落に直結する。都議選の戦略において民進党を忌避したのと同じ理由が安倍政権に対しても適用される。なぜなら、今回都ファの得票を押し上げたのは、安倍政権に対する批判票だから、安倍と組むことは次期総理を狙う小池には絶対にできない選択肢になってしまったのだ。

 それならどうするか。いうまでもなく「新・新進党」の立ち上げだ。既に若狭だの長島だの渡辺だのの魑魅魍魎が蠢いているのは前述の通りだが、都議選後直ちに読売系のスポーツ報知は

民進党の国会議員5人以上が小池氏支持のため離党する方針を固めたことも判明。今後、都民Fの国政進出も現実味を帯びてきた。

と書いた(下記URL)。
http://www.hochi.co.jp/topics/20170703-OHT1T50083.html

 こうなっては、野党の右翼的再編はもはや避けがたいだろう。簡単に言えば、民進党から出るであろう大量の離党者は、次の選挙では「新・新進党」(おそらく党名は「国民ファーストの会」にでもなるに違いない)から出馬する。維新から少し距離を置いている名古屋の「減税日本」もこれに合流する。仮に小沢一郎が政界引退を決意するのであれば、自由党も加わる可能性がある(但し自由党には、社民党及び民進党リベラル派と合流する選択肢もある。小沢が政界を引退しない場合はこちらになるだろう)。

 何しろ若狭だの長島だの渡辺だの民進党離党者だのには新党結成を求める理由がある。それは、東京都議選の結果から明らかなように、安倍政権は人心を失っているのに、民進党や共産党では政権の受け皿にはなれないため、「死に体」の安倍政権が続くのだ、だから人心を失った安倍政権に代わる政権の受け皿が必要だ、というロジックだ。

 TBS以外の内閣支持率の世論調査がどうなるかにもよるが、「政界の右翼的再編」はもはや不可避だろう。安倍晋三に冷や飯を食わされ続けた石破茂あたりも、かつての盟友・小池百合子一派との合流に走る可能性がある。

 ようやく安倍晋三の邪悪極まりない政権の終わりが見えてきたが、その代わりにもう一人の極右にして新自由主義者、しかも1年前の都知事選前に「身体検査の結果は真っ黒」と週刊誌に書かれたモンスター・小池百合子の脅威がますます強まった。

 一難去ってまた一難。「崩壊の時代」は崩壊の度合いを強めながらまだまだ続く。
 東京都議選が23日に告示され、現在は選挙戦の最中だ。

 当初、今回は都議選については書かないでおこうと思っていたが、告示後の新聞報道に接して、「都民ファーストの会」のあまりにも怪しすぎる実態が報じられ、これに対する怒りが収まらないので、やっぱり取り上げることにした。

 まず、朝日新聞の6月23日付夕刊に掲載された候補者へのアンケートの記事が目を引いた。「安倍政権の政権運営を評価するか」という問いに対する各党候補者の回答数が表で示されているのだが、自民59人のうち58人が「評価する」、1人が「ある程度評価する」と答え、公明は23人全員が「ある程度評価する」との回答。野党では共産の23人全体が「評価しない」、民進22人のうち18人が「評価しない」、4人が「あまり評価しない」と答えている。これに対し都民ファーストの会(以下「都ファ」と略称)の49人は、「ある程度評価する」3人、「あまり評価しない」3人で、「評価しない」は1人だけだった。そして呆れることに「無回答」が実に41人、「わからない」が1人だった。

 この手のアンケートの回答には、通常党の強い党勢が働くものだが、都ファの執行部に問い合わせた候補たちが「答えるな」と指示されたものであろう子とは容易に想像できる(肯定的または否定的な回答をした候補者は党に問い合わせなかったものと思われる)。

 この一件だけでも、都ファの「鵺」的な性格がはっきりわかる。

 この朝日のアンケートには、「安倍晋三首相が示した2020年までの改憲に賛成か」という問いもあるが、これに対しても都ファの41人は「無回答」だった(賛成2人、反対4人、「わからない」2人)。自民は59人中57人が賛成、公明は賛成がゼロで反対が5人、「わからない」18人(これもこれで怪しい回答ではある)、野党では共産の37人全員が反対、民進の22人中21人が反対し、「わからない」が1人だけいたが、野党候補者の回答と比較して、都ファの候補者の回答は異様そのものである。

 特に改憲の是非について都ファの候補者の大半が「無回答」だった事実は、都ファが国政に進出してできる政党が安倍晋三と取引して、安倍の改憲構想に乗っかってしまう可能性が高いことだ。百歩譲っても都ファの国政版政党が安倍の改憲案に賛成する可能性は「無視できない」とはいえる。

 このアンケート記事が載った翌24日の朝日新聞2面には、都議選に絡めた政局観測記事が載っていた。大見出しが「首都決戦 国政を左右」で、以下「自民守勢 危機感・いらだち」、「民進 存亡かける」、「政界再編の芽も」」、「小池氏攻勢 国政進出も示唆」との見出しがつけられている。

 見出しを見ただけでも不快になって血圧が上がるが、記事にまた神経が逆撫でされる。記事には、自民が都ファの国政進出を警戒しているとは書かれているが、自民党にあっては一人安倍晋三だけは都ファの躍進を「改憲勢力が増える」として内心歓迎しているであろうことはいうまでもない。

 中でも私が激怒したのは下記のくだりだ。以下朝日新聞より引用する。

 小池氏周辺は言う。「都議選でうちが勝ったら、首相がどう対応するか。『一緒にやりましょう』と言わないなら、戦うしかない」
(朝日新聞 2017年6月24日付2面掲載記事より)


 安倍晋三が「一緒にやりましょう」と言ったら、都ファの国政政党版は自民党と一緒になって安倍晋三の改憲案に賛成するのだろう。長島昭久、若狭勝、渡辺喜美ら、改憲派のタカ派議員たちが都ファの国政版入りを狙っていることは周知だ。

 なお、「存亡かける」と書かれた民進からは、「都民ファーストが大勝したら、小池氏と組むために党を割ればいい」との中堅議員の声や、「惨敗したら新党に流れかねない」という「執行部の一人」の声が記事に紹介されている。しかし、この事態を招いたのは、小池百合子が都知事に選出された直後に早くも「その背中をまぶしく見ていた時期があった」と小池を持ち上げ、昨年11月か12月頃には小池への協力を申し出たもののすげなくされた蓮舫(小池はニュースキャスターとして蓮舫の先輩だった)が自ら蒔いた種が招いた結果であって、自業自得としか言いようがない。私は昨年秋、保守系の3人によって争われた民進党代表選において、3人の中でも最悪の候補として蓮舫をこき下ろしたが、蓮舫を選んだのは民進党員たちなのだ。

 最後に、都ファの候補者たちがいかに小池百合子のいいなりの情けない人たちであるかをよく表していると思った記事をスポーツ紙から拾っておく。下記URLの記事は、読売系のスポーツ報知に掲載されたものだが、報知に限らずスポーツ紙はどこも小池百合子を熱烈に応援している。スポーツ紙は過去にも石原慎太郎や橋下徹の熱烈な応援団員を務めていた、
http://www.hochi.co.jp/topics/20170623-OHT1T50209.html

甲斐毅彦記者の「多事放論」
小池都知事、朝から自民攻撃で“舌好調”「隠すばかりの古い議会いらない」

 7月2日に投開票される東京都議選が23日に告示され、9日間の熱戦の火ぶたが切られた。都民ファーストの会代表の小池百合子都知事(64)は渋谷区のスクランブル交差点を手始めに、都内6か所を遊説した。

 この日の主要テーマは“宿敵”自民党攻撃。「みなさ~ん、おはようございまーす」で始まった渋谷での第一声では、いきなり「新しい議会に変える機会がやってきた。隠すことばかりの古い議会はいりません」と都議会最大会派の自民党を批判した。その後都庁で行われた知事会見でも「(都民Fの)女性候補者は17名、30%を超えています。まぁ女性議員もいろいろですが…」とニヤリ。秘書への暴行や「このハゲ!」などの暴言で自民党に離党届を提出したばかりの豊田真由子衆院議員(42)をさっそくいじって見せた。

 渋谷に続いて演説に訪れたのは、築地市場を抱える中央区。小池氏のスピーチ後、同会から出馬の西郷歩美氏(32)が報道陣に豊洲問題について尋ねられ、「都知事の意見の通りです」と口ごもる一幕があった。報道陣の一人が「あなたの意見を聞きたい」と問うと、スタッフに「自分の意見言っちゃっていいんですかね?」と相談。豊洲問題は票を左右する重大事なだけに、小池氏ら上層部から余計な発言をしないよう“ご意向”が働いていることをうかがわせた。

(2017年6月24日6時0分 スポーツ報知)


 スポーツ紙の記事にしてはわさびが効いていると思ったら甲斐毅彦という記者の署名コラムだった。

 この記事からもわかるように、都ファの候補者たちは小池百合子や野田数や音喜多駿らから「余計なことを言うな」とクギを刺されているであろうことは想像に難くないが、それにしても「スタッフに『自分の意見言っちゃっていいんですかね?』と相談」とはひど過ぎないか。「都ファ」から大量に当選するであろう「小池チルドレン」たちの質は、豊田真由子に代表される「安倍チルドレン」と大差ないに違いない。

 小池百合子自身も極右だが、側近に野田数という「極右中の極右」を抱えている以上、「安倍晋三首相が示した2020年までの改憲に賛成か」に都ファの候補者たちの大半が「無回答」だった裏に何が隠されているかは明白だろう。

 都ファの候補者たちの現状は以上見てきた通りだが、それでも「リベラル」の中には小池百合子と都ファに期待する連中が後を絶たない。先週の記事だったか『kojitakenの日記』だったか忘れたが、以前にも取り上げた「小池百合子に期待する『リベラル』」の中でも最悪のサンプルともいうべき意見を、某ブログのコメント欄から再度拾っておく。

アベ自民党と真っ向対峙することを選んだ女性都知事。

きのう、都民ファーストの候補者と話した。
自民とは違うところは情報透明化です。
と言っていた。いまはそれを信じて小池さん、反自民を勝たせようと思う。


 いや、小池百合子は「アベ自民党と真っ向対峙することを選ん」でなんかいないし、都民ファーストの会は「反自民」なんかじゃないんだってば。

 リベラルでありたいのであれば、または護憲派を自認するのであれば、間違っても都民ファーストの候補なんかには投票しないことだ。
 安倍内閣の支持率がついに大きく下落した。「共謀罪」法案の強行採決による成立により6月16日に国会が事実上閉会した(実際の閉会は日曜日の昨日・18日)後の週末にマスメディア各社が一斉に行った世論調査で、社によって異なるが下げ幅が大きいところでは10ポイントを超える内閣支持率下落を記録した。

 私の知る限り最も低い数字を叩き出したのが毎日新聞の調査で、支持率は36%、不支持率は44%だった。ただ、安保法案審議で安倍政権が批判を浴びた2015年7月に記録した支持率32%よりはまだ高い。

 他では日本テレビ系のNNNの世論調査で、内閣支持率が40%をわずかに切る39.8%だった(前月より6.3ポイント低下)。但し40%を0.2ポイント下回っただけであり、当然だが誤差範囲でしかない。「約40%」と表現すべきところではある。とはいえ、菅野完がつぶやいた通り「ざまぁ」とは正直言って私も思う。ただ、プロ野球の読売軍が交流戦の最終戦でロッテに勝ち、前日までの最下位から順位を2つ上げて10位で交流戦を終えやがったことには怒り心頭だが(11位はロッテ、最下位球団の名前は書きたくない)。

 その読売(新聞)の調査による安倍内閣支持率は、前回より12ポイント下落の49%だった。下げ幅は毎日より大きいが、元が高すぎた。読売は、

最低を記録した安全保障関連法成立直後(15年9月調査)の41%は上回った。

と書いて火消しに懸命だ。

 火消しといえば、30年前に「ピッチャー、カトリ」、「鹿取られる」など「上司(王監督)に過労を強いられる」という意味の流行語を呼んだ鹿取義隆が読売軍のGMに就任したらしい。しかし、今回の安倍内閣支持率下落の要因の一つは、読売新聞が前川喜平・文科省前事務次官に対する「ネガティブな印象操作」を狙って仕掛けた謀略報道だった。前川氏が「出会い系バー」に通っていたのは事実だったが、どこをどう洗っても前川氏が買春を行った事実をつかめなかったことから、読売の報道の謀略性が大きく注目され、読売の信用は地に堕ちるとともにプロ野球の読売軍は13連敗を喫し、安倍内閣の支持率は大きく下落した。

 ここまでの記事で、プロ野球(の読売軍)のこと(悪口)ばかり書きやがってうざい、と思われる読者も少なくないだろうが、私が指摘したいのは、今回読売が前川喜平に仕掛けた謀略報道は、プロ野球について読売が日常茶飯事として行ってきた謀略報道の延長線上にあるものだという事実だ。古くは1970年頃の「球界黒い霧」事件では、九州の人気球団だった西鉄ライオンズ(西日本鉄道に加え、九州での拡販を狙う読売のライバルだった西日本新聞との資本関係もあった)の追い落としを狙いつつ読売球団への波及を避け、1978年の「江川事件」では読売球団の利益を最大限に追及して、プロ野球協約の抜け穴を突いた「空白の一日」作戦を編み出した。また1979年に大洋ホエールズの遠藤一彦投手が読売軍から4勝を挙げると、同選手のスキャンダル報道を書き立てた一方、1986年に読売軍の吉村禎章選手が酒気帯び運転をしたあげくに人身事故を起こすと、警察にこの事故をもみ消させた(1987年にスポーツライターの玉木正之がこの件を月刊『現代』で暴露した)。

 読売というのは昔から自社の利益源であるプロ野球に関してこんな報道ばかりしていたのだ。その読売はまた、社のトップが社を私物化することでも悪名高い新聞社でもあった。潰れそうになっていた読売を大新聞社に仕立て上げた元警察官僚の正力松太郎が社を私物化した元凶であり、その悪しき伝統は務台光雄(1896-1991)を経てナベツネこと渡邉恒雄(1925-)に引き継がれている。事にナベツネは、1979年に論説委員長に就任して以来、一貫して「政権と一体になった新聞」のあり方を追及してきた。そのナベツネの理念と読売が昔からプロ野球をめぐって行ってきた謀略報道が合体したのが、今回の前川氏に対する謀略報道だったと私は位置づけている。そして、「読売悪」のエッセンスともいえるこの謀略報道が安倍内閣の支持率低下に与えた影響は小さくなかったと思うのだ。

 読売絡みではないが、元TBS記者・山口敬之の準強姦罪もみ消し工作は、「安倍政権の読売化」を思わせる一件だった。読売が政権と一体になると、「政権の読売化」も起きたというわけだ。このもみ消し工作から私が直ちに思い出したのは、前述の吉村禎章の酒気帯び人身事故を読売が警察にもみ消させた一件だ(読売は正力松太郎が警察官僚だった関係から、昔から警察への影響力が強いようだ)。もちろん山口の準強姦罪もみ消し工作自体にまでは読売は関与していないだろうが、手口があまりにも「読売的」であり過ぎるのである。

 前川前事務次官の謀略報道に関しては、官邸は読売だけではなく、1972年の外務省機密漏洩事件(通称「西山事件」)で当時の毎日新聞記者・西山太吉を追い落とした実績のある『週刊新潮』にも働きかけたが、同誌は読売が先に動いていたことを知るや、一転して読売の謀略報道を書き立てて読売を笑いものにする記事を載せた。これは、記者クラブ制度その他によって大新聞の記者よりも下の「階級」に位置づけられている週刊誌の記者が意地を見せたものだと私は解している。同様の件はさらに続き、内閣官房長官・菅義偉に食い下がった東京新聞社会部記者・望月衣塑子記者のスキャンダル暴露を官邸が週刊新潮にそそのかしたが、週刊新潮はなんとこの官邸が望月記者に対して謀略を仕掛けようとしていた事実を自誌に書き立て、安倍政権への悪印象をさらに強めた。この暴露も、「読売化した(安倍)政権」に対する意趣返しの一環であろうと私は解している。

 このように、今回の安倍内閣支持率の下落に読売が大きくかかわった。これを端的に表現したTwitterを紹介する(下記URL)。
https://twitter.com/geso0602/status/876465154518470656

読売さんは今回の支持率急落にとっても貢献したよね(棒


 読売と安倍晋三が同時に大きなダメージを受けるとは、「1粒で2度おいしい」○○○(若い人は知らないかも)みたいだな、と思ったが、冷静に見れば「共謀罪」法案は成立してしまったし、安倍内閣支持率はまだまだ高い。これまで引き合いに出さなかった朝日新聞の世論調査では41%(前月より6ポイント減)もある。

 加えて来月早々には都議選もある。ここでは、せっかくの安倍政権や自民党の支持率低下が、安倍に代わる独裁者候補である都知事・小池百合子の私党たる「都民ファーストの会」の躍進につながってしまう新たな脅威がある。既に昨日のTBSテレビ『サンデーモーニング』でリベラル派のはずの田中優子が小池百合子におべっかを使っていたシーンを見せつけられ愕然とした。「リベラル」文化人がこのていたらくだから、民進党が下記の読売(!)の記事(下記URL)に書かれたような愚劣なことをやらかすのも道理だろう。
http://www.yomiuri.co.jp/election/local/20170617-OYT1T50057.html

民進都連、離党組推薦へ…都民ファ推薦の3人
2017年06月17日 15時13分

 民進党東京都連が、同党を離党して東京都議選(7月2日投開票)に無所属で出馬する元公認候補3人に対し、推薦を出す方針を固めたことがわかった。

 複数の党関係者が明らかにした。3人は、小池百合子知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」から推薦を受けており、党内から反発の声が出る可能性がある。

 都連が推薦を検討しているのは、定数2の選挙区から無所属で出馬を予定している現職3人。いずれも5月15日に同党の公認を取り消され、6月12日に離党が認められた。都連はこの他、元公認候補ら4人も、地元の同党区議や市議レベルで応援することを検討している。

 相次ぐ離党で、同党の現職都議は現在8人。都議選ではさらに議席を減らすことも予想され、都連では、離党した無所属候補が当選した場合を見据え、都議選後の連携を視野にてこ入れを図ることにした。

 ただ、ある民進党公認候補は、「党を見捨てた候補に対して、推薦を出す義理はない。一体何を考えているのか」と憤った。

(YOMIURI ONLINEより)


 これは「ある民進党公認候補」の怒りももっともだろう。この民進党による「都民ファーストの会」の候補推薦の話は、前々から朝日新聞なども書いてきたから知っており、それがついに現実になったということだ。この方針を仕掛けているのはもちろん党代表の蓮舫や幹事長の野田佳彦らであるが、蓮舫や野田は自党の公認候補よりも小池百合子へのお追従ばかりしか頭にないようで、私はこうした蓮舫や野田のあり方には反吐が出そうなほどむかつく。なるほど、安倍内閣の支持率が、ここまでひどい「敵失」があるまで全く下がらなかったわけだ。今回の支持率低下は、野球にたとえれば20点リードされた9回裏に7,8点を返した程度の意味しかない。敗戦にもっとも多くの責任を負うべきは野党第一党の投手、もとい党首(党代表)である蓮舫や、幹事長の野田であることはいうまでもない。

 また、さらにいけないと思うのは、「民進党信者」の域に達したと私が認定している民進党支持者たちが、蓮舫や野田をいっこうに(内部から)批判することなく、民進党を批判する他の野党の支持者や私のような無党派の反自民・反安倍の人間にばかり楯突いてくることだ。

 彼らの多くは護憲派であり、安倍政権の打倒を願っているはずなのに、改憲勢力の最たる存在である小池百合子とその私党にばかり揉み手をする蓮舫や野田をいっこうに批判しない。これは、民進党支持者たちの間でも民主主義が機能していないことを示すものにほかならない。

 せっかくの安倍内閣支持率低下の喜びも、2週間後には都議選で自民と都ファの合計議席がめちゃくちゃ増えるであろう痛恨の都議選の記事を間違いなく書くであろうことを想像すると、めでたさも中くらいにさえ届かない「ほんのちょっとのめでたさ」でしかないと思う今日この頃なのである。
 先週も今週も月曜日の朝に時間が取れなかった。それで先週はこのブログの更新を行わなかったが、今週も更新しないと2週連続になってしまうので、1日遅れで更新することにした。

 とはいっても、加計学園問題(事件)、読売新聞の前川喜平文科省前事務次官に関する謀略報道問題、それに元TBS政治記者・山口敬之の準強姦罪容疑の警察によるもみ消し疑惑など、安倍晋三政権やその取り巻きともいうべき御用新聞社、それに安倍一派に私物化された警察等々、「権力の腐敗」が一気に噴出した観がある。

 しかしそれでも安倍内閣支持率はなお50%近い高率を保っている。はる氏が様々な報道機関による内閣支持率の世論調査結果に荷重移動平均の処理をかけてグラフ化した2016年1月以来の内閣支持率の推移のグラフを見ると、今年1〜2月に内閣支持率が極大を示したあと、ようやく下降トレンドに転じたが、その変化はきわめてゆっくりである。
https://twitter.com/miraisyakai

 これはもう、安倍内閣の支持率が岩盤化しているというべきか、はたまた安倍内閣を支持する、ないし肯定する、ないし否定しないという心理がすっかり惰性化しているというべきか。私もこれまで時々「安倍内閣支持の岩盤化」という表現を使ってきたが、正しくは「惰性化」だろうなと、この記事を書きながら思い当たった。

 その「惰性化」を表す言葉が、よく言われる(小泉政権時代にもよく言われていた)「他に代わりの人がいない」という支持理由だろう。昔、まだブログを始める前の掲示板投稿者だった小泉政権時代に、「他に代わりの人がいない」という支持理由を持ち出した人間に対して、「あんたは他に代わりがないというけれど、安倍晋三以外なら誰が後継になっても小泉よりマシだろう」とコメントしたら激しい怒りを買ったことがあった。

 まあ人間というものは戦時中の東条英機内閣だって支持か肯定か否定しないだけかはわからないが受け入れていたのだから、そりゃあんな腐敗した政権だって受け入れるんだろうな、と思う。

 それから、支持理由としてよく言われる「経済政策が良いから」というのは明らかに間違いだ。本当に経済状況が良い時には人々に考える余裕ができて野党が伸びることは、戦後日本の高度成長期に野党への支持が拡大し、全国に「革新自治体」ができたことからもわかる。安倍政権になってから、賃金が下落しなくなったり有効求人倍率が高まったりしているのは事実だが、なんといってもこの政権は「富の再分配」に対しては非常に消極的であるから、恩恵はもっぱら富裕層に偏っている。もちろんいわゆる「トリクルダウン」もゼロではないかもしれないが、有効な再分配政策をとったと想定した場合と比較すると、庶民一般にこの政権の経済政策の恩恵が行き渡っているとはとうていいえない状態だろう。むしろまだ日本経済が低迷から脱し切っていないことが安倍内閣の支持率高止まりの理由の一つだろうと私は考えている。

 しかしそれにしてもこの政権の背徳ぶりはひど過ぎる。これに怒らない日本国民の半数は何を考えてるんだといつも思うが、一昨日(6/11)のTBSテレビ『サンデーモーニング』で岸井成格が「安倍内閣の高支持率には3つのからくりがある」と言っていた。岸井によれば、からくりの1つは小選挙区制、2つ目が内閣人事局、3つ目がメディアのコントロール(2ちゃんねらーたちはこれを「アンコン」と呼んでいる)とのこと。いちいちお説ごもっともだが、要するに内閣総理大臣が独裁権力を振るえるような構造になってしまっているということだ。

 このうち1つ目の小選挙区制については、「反安倍」の側の批判も弱い。その大きな理由として、小沢一郎が小選挙区制を推進してきたことが挙げられる。特にネット言論では昔から「小沢信者」の声が大きく、最近では「野党共闘」が成立してから共産党支持者も小沢を批判しなくなったから、ますます小選挙区制への批判が弱まっている。この例に限らず、安倍独裁政権下、言い換えれば「崩壊の時代」においては、政権批判側も劣化が著しいというほかない。

 現在懸念されるのは、権力を批判する言説が力を失ったこの「崩壊の時代」において、権力の腐敗を見せつけられた人々の間に、「別の独裁者」を求める傾向があることだ。いうまでもなく小池百合子のことである。前記『サンデーモーニング』でも、小池百合子びいきの田中秀征が、代わりの人がいないというけれど、と言いながら小池百合子だか「都民ファーストの会」だかに言及した。その瞬間、私の脳内のヒューズが飛んだことはいうまでもない。

 事実、加計学園問題は来月2日投開票の都議選において小池百合子の私闘である「都民ファーストの会」にとって絶好の追い風と鳴っている。小池はもちろんそれを熟知しているから、自ら都議選でも加計学園問題は争点の一つだ、などと言い出している。

 あの「リベラル」(都会保守)のブログも、このところしばらく小池については何も書かなかったが、ここに来て小池応援の態勢を整えつつある。あのブログにはコメント欄があって、確かコメント欄が大きくなったからもう投稿しないでほしいとブログ主が書いていたように記憶するが、それにもかかわらず「小池信者」のコメントはなぜか受けつけているらしく、先刻、下記のコメントを目撃してしまった。

やっぱり、頼りになるのは女性だった。
スガをとことん追い詰めていった東京新聞女性記者。
同様の犠牲者を出さないためにもと顔を出して告訴した女性ジャーナリスト。
そして、アベ自民党と真っ向対峙することを選んだ女性都知事。
男連中は最初からあきらめていたのが、彼女たちの気迫に押されて追従しているのだ。やればできるということを教わったというべきだろう。
ただ喜んでばかりはいられない、卑怯この上ないアベ一派。どんな手を打ってくるかわからない。
そんななか文科省大臣はどっちにつくのか?
文科省職員の矜持につくのか?
アベ極悪政権につくのか?
僕は将来の日本のために、人間の良心を信じたい。


 冗談じゃない。

 上記コメントには、『広島瀬戸内新聞ニュース』の昨日(6/12)付記事(下記URL)を対置しておく。
http://hiroseto.exblog.jp/25841364/

【国家戦略特区】封建政治安倍は支持できないが、ポストモダンな新自由主義者小池もごめんこうむる

国家戦略特区は、そもそもは、グローバル大手企業や外国人のお金持ちに都合がいい仕組みを作るというポストモダンな新自由主義の文脈であった。

ところが、加計学園にみられるように、日本の現自民党(安倍)はあまりにも前近代的(プレモダン)すぎて、総理ら一部の人間のお友達に便宜を図るツールとなってしまった。

しかし、小池百合子は違う。小池百合子こそは、真正のポストモダンな新自由主義者である。フランスでいえばマクロンの新自由主義と、マリーヌ・ルペンのタカ派(ただし、一定の社会政策にも理解)をハイブリッドしたような政治家である。実際、小池の支持基盤は、東京のグローバルインテリ+公明党+社会政策に期待する生活者ネットなど一部リベラル+極右(野田数)という感じである。

(あえて、戦前日本でいえば、立憲民政党の永井柳太郎が近い。私物化で自爆しつつある安倍晋三は立憲政友会の田中義一に近いともいえる。)

小池の国家戦略特区はまさに、大雑把に言えば、グローバル大手企業と大金持ちの外国人は都心に呼び込む。
一方で、日本人であろうが、在日外国人であろうが庶民は追い出す。これがデフォルメすれば小池の目指す方向である。

田舎臭い+前近代の江戸っ子臭い自民党が安倍晋三や下村博文や自民党東京の都議連中。
ポストモダンなハイカラなグローバリスト。それが小池百合子である。

そんな人間に秋波を送ってきた民進党。相手にされず、一方的に議員を引き抜かれたのは情けない。

口を酸っぱくして言う。国家戦略特区は、憲法95条違反である。自治体への特別立法は住民投票を経て国会で決まらなといけない。総理と首長の談合で決めるべき話ではない。

1949年の広島平和記念都市建設法を思い出そう。住民投票で約9割の支持を得た。焼け野原の復興を緊急課題とした広島市民と、よしわかった、広島を平和都市として復興しよう、という国民(の代理人たる国会)の意思が合わさって制定された。

野党共闘は立憲主義が最大の綱領である。

安倍は憲法を破って、お友達のために。
小池は憲法を破って、グローバル企業と外国人のお金持ちのために。
どちらもとも違う、立憲主義に基づいた政治を野党共闘は打ち出さないといけない。
たとえ、都議選で多少議席を減らしても、そのほうが後につながる。
今のままでは都議選議席も結局も危ないだろう。特に民進党は政策論争ですでに小池に事実上不戦敗だから。

(『広島瀬戸内新聞ニュース』 2017年6月12日付記事)


 国家戦略特区というと、私などは直ちに竹中平蔵の不快な顔が思い出されるが、竹中平蔵は今も「国家戦略特区諮問会議」の民間議員だ。ネット検索をかけたら、「民間議員・竹中平蔵氏に“退場勧告” 戦略特区に利益誘導批判」と題された『週刊朝日』6月9日号の記事が引っかかった。リンク先のみ示しておく。
https://dot.asahi.com/wa/2017053100019.html

 私が執拗に批判する「リベラル」(都会保守)のブログだが、もともとは2005年の郵政総選挙で小泉自民党が圧勝しそうな情勢だった頃、危機感を持って立ち上げられた尊敬すべきブログ「だった」。しかしいつしかその初心は失われ(たようにしか見えない)、独裁者だろうが新自由主義者だろうが安倍晋三を倒せれば良い、みたいな安易なブログに成り下がった。今では独裁思考の人間だろうが新自由主義者だろうが何でもござれ、といったところか。

 一方では、10年前には第1次安倍政権を批判するブログを運営していながら、今ではネトウヨ同然のつぶやきを発しまくっている「転向者」も私は知っている。そういう人間には、森友・加計学園問題や読売謀略報道問題や山口敬之準強姦罪もみ消し疑惑をどう思うのかと「小1時間問い詰めたい」(死語)気分だ。

 都知事選では東京都民の良識に期待したいと書きたいところだが、そうはならないことは目に見えている。最近権力批判がすっかり影を潜めている『週刊現代』は(立ち読みもしていないが)早くも「都議選議席数予想」の記事を載せ、それによると「都民ファーストの会」46議席(現有5議席)、自民党37議席(現有57議席)だとか。都議会の定数127に対して、両党で83議席を占めるとは(現有62議席)、あまりにもおぞまし過ぎる。

 私は都議選では自民党と「都民ファーストの会」の合計議席数の増加をいかに抑えるかが鍵だと考えている。前述の「リベラル」(都会保守)ブログは、小池百合子と橋下徹が加計学園問題で政権を批判したという記事を(嬉しそうに)アップしていたが、「都民ファーストの会」の躍進とは、「東京の大阪化」そのものだ。そういえば、今のプロ野球・読売軍は15年以上前の阪神タイガースの「暗黒時代」に似てきたといえるかもしれない。

 大阪のあとを追う東京。日本(安倍)のあとを追うアメリカ(トランプ)。信じたくない光景ばかり見せつけられる日々が続く。