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きまぐれな日々

新政権をめぐる話題というと、鳩山由紀夫首相が国連気候変動サミットの開会式で、温室効果ガスの25%削減を表明したことやそのあとのオバマ米大統領との初会談、国内問題では八ッ場(やんば)ダムの建設をめぐる前原誠司国交相の言動などが注目されている。

当ブログは、以前から今後の日本は環境・エネルギー政策に力を入れ、この分野で日本が持っている技術力を武器に、経済成長を目指すべきだと考えている。目先の損得しか考えられなくなって腐敗・堕落した経団連や電力総連、電機労連など大手企業の労組連中は、自民党でさえ言わない「1990年比4%増」などという「恥ずかしい」どころではなく「恥を知れ」と言いたくなる目標を掲げたが、それに真っ向から対立する政策の行方を今後注目したいと思う。但し、民主党は原子力発電推進勢力である。早速、中国電力などは「原子力発電は二酸化炭素を発生しません」などというコマーシャルをテレビで流している。中国電力というと、山口県の上関町で瀬戸内海を埋め立てて原子力発電所を建設しようとしているが、この件については、『 春 夏 秋 冬』が、9月11日付同12日付同13日付の3日連続で、毎日新聞山口版の記事を引用しながら感想を述べられているほか、『広島瀬戸内新聞ニュース』に、中国電力への抗議行動の報告が転載されているので、これらのブログ記事を是非ご参照いただきたい。

八ッ場ダムについては、社民党の元衆院議員・保坂展人氏がマスコミ報道に呆れ返っておられる。
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/7eaba4bbf3409d6bf7151d9501304ff2

以下引用する。

八ッ場ダム、とめどなく溢れる思考停止報道

前原国土交通大臣が八ッ場ダムの視察に向かった。
これを前後して洪水のように溢れるテレビ報道は、どれもステレオタイプな表層をなでるばかりのもので、「ここまで造ったのにもったいない」「住民の怒りはおさまらない」などと繰り返している。私たちが10年にわたってこのダムの問題点と向き合ってきたのは、「造ること自体がもったいない」「住民の意志は踏みにじる」旧建設省河川局以来の国の姿勢そのものだった。

政権交代によって危機に陥った国土交通省のダム官僚たちが煽っているデマを何の精査もせずに垂れ流しているテレビ番組を見ていると「思考停止社会」も極まっていると感じる。まず代表的なデマは「工事の7割はすんでいて、あと3割の予算を投入すればダムが出来る」というもの。これは4600億円の予算をすでに7割使用したということに過ぎなくて、工事の進捗率とは何の関係もない。嘘だと思ったら、国土交通省河川局に聞いてみるといい。ダムは当初、半額以下の予算で建設されるはずだった。しかし、総工事費を4600億円にひきあげても、この金額で完成すると断言している人は誰もいない。工事が6年後に終わるという説明にも無理があり、竣工がのびのびになれば、実際の総工事費はどこまでふくらむかわからない。
(後略)

(『保坂展人のどこどこ日記』 2009年9月23日付 「八ッ場ダム、とめどなく溢れる思考停止報道」より)


保坂さんは、「政権交代によって危機に陥った国土交通省のダム官僚たちが煽っているデマを何の精査もせずに垂れ流しているテレビ番組」と書いているが、その露骨さには呆れ返るばかりである。『Living, Loving, Thinking』のエントリ「25%」にも紹介されている天野礼子著『ダムと日本』(岩波新書、2001年)に記述されている10年前頃と比較しても、マスコミの極端な反動化には恐れ入る。以前に鳩山由紀夫が代表を務めていた頃から、民主党は無用なダムの見直しを主張し、これが有権者に支持されて党勢を伸ばしていったが、当時国交省の官僚や自民党政権の言うがままにダム建設推進を積極的に主張していたのは産経新聞くらいのものだった。

もっとも、『ダムと日本』を読み返すと、自社さ政権時代に、社会党が自民党の言いなりになって大きく政策を転換したことが批判されている。当時の野坂浩賢建設大臣(故人)は長良川河口堰建設推進側に回って、「国家が、国民の血税を使ってやる公共事業にまちがいのあろうはずがない」などと発言した。天野さんは、これを「自民党の大臣でさえこれまで使うことのなかった言葉」と表現し、「その後のこの党(社民党)の凋落を見ると、あの時、総理村山と建設大臣野坂の親友コンビが行った数々の政治的判断が、それまでの自民党を上まわる悪質なものであったことが思い出される」と酷評している(以上、同書103頁)。一方、亀井静香に対しては、「少なくとも河川行政については、自民党の中では最も改革的な政治家」(同書171頁)と好意的だ。東京など都市部で民主党が躍進した2000年6月の衆院選で、亀井静香は「バラマキのどこが悪い」と言って選挙戦を戦っていたのに、その亀井氏がその2か月後の2000年8月8日に、自民党内に「公共事業の抜本的見直し委員会」を発足させたことは、天野礼子さんを驚かせた。亀井氏に語った天野さんの言葉は、今読み返すと感慨深い。以下引用する。

 私(管理人注:天野礼子さん)は、「ヨーロッパでも、アメリカと同じように、自然再生、特に川の再自然化が進んでおり、それは世界の潮流です。そしてヨーロッパでは、それが必要な事業として予算のつくことが待たれているのが現実。したがって自民党が政権を持ち続けているつもりならば、発想の転換をしてほしい。しかし私はいくら亀井さんでも、一人で自民党を変えることは無理だろうと考えるし、私は私で、自民党から政権を奪う五一パーセントの勢力の結集に力を貸すつもりです」、とお話しした。

(天野礼子著 『ダムと日本』 (岩波新書、2001年) 172頁)


それから9年、亀井静香が自民党を離れて民社国連立政権樹立に動き出してから4年、ついに政権交代は実現し、政権は民主党のマニフェストに沿って、八ッ場ダムの建設中止に動き出している。長い間止まっていた時間が、ようやく流れ始めた。

ただ、公共事業を削減するだけであれば、日本経済に良い影響は与えないし、それは亀井静香らの本意でもないだろう。前記『Living, Loving, Thinking』にも引用されている、天野礼子さんの『THE JOURNAL』の記事「祝・政権交代!"八ツ場ダム中止"と"ダム撤去"」の下記の指摘は重要である。当ブログ9月16日付エントリ「鳩山由紀夫内閣発足の日に「脱ダム」と環境政策を思う」でも紹介したが、以下に再掲する。

オバマ政権と民主党の今のところの違いは、日本の民主党はまだ従来の公共事業に代わる「グリーン・ニューディール(緑のたて直し策)」を提案できていないことです。
「ダム中止」では予算が減額するだけですが、「ダム撤去」なら、新たな公共事業が発生します。それがグリーン・ニューディールです。そしてその工事代金がどこから捻出できるかが問題でしょう。

社民党の福島党首は「軍事費の削減」に目をつけておられます。これも巨額です。アメリカの傘の下にいるのに今ほどの軍備をしているのは「アメリカに買わされているだけ」とも見えます。「グリーン・ニューディール」で、経済をまわしてゆく策を考えることが、日本民主党の急がれる仕事と思います。

(『天野礼子の「環境と公共事業」』 2009年9月15日付記事 「祝・政権交代!"八ツ場ダム中止"と"ダム撤去"」より)


自然エネルギーの件もそうだが、環境政策と経済成長は両立するのである。経団連や一部の官僚と一体となったマスコミの謀略宣伝に悪影響を受けている国民も多いようだが、救いは最近どこかのテレビ報道で知った世論調査の結果である。新政権が掲げる「温室効果ガス25%削減」の政策は、40代以上と比較して20代及び30代の支持が高いらしいのだ。

若者はまだ自分のことだけではない夢を捨てていないのだなと思った。


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私は、前原国土交通大臣の稚拙な手法に呆れていますね。

私の生まれた村もいくつかの集落がダムの底に沈み今では、たまりたまった岩、石、砂、泥などに埋っています。急峻な河川ばかりの日本で、大型ダム工事がいかに日本の自然を駄目にしたかを知っている私にとって、「脱ダム」は当然のことです。私の村もかつて、ダムによるバラ色の観光村を描いていました。ところが、今はくすんだ灰色の巨大遺跡にすぎません。村は廃れ、今は限界集落を抱える超過疎の村です。

しかしながら、前原大臣のやり方には、腹立たしさが増すばかりです。なぜ、最初の記者会見で、地元住民に向かって民主党としてではなく、政府として、人として深く謝罪をし、なぜ八ッ場ダムの中止が必要であるのを説かなかったのか。まるで地元住民を挑発するかのような、上から目線の記者会見だった。小泉や自民党、官僚と手法は同じではないか。今後、「法的中止」できず、あるいはしないまま、民主党政権が続く限り、「工事」を凍結状態にし、住民を兵糧攻めのようにしていくでしょう。表面的には、話し合いを呼びかけるという形で(実はこれが一番、楽に地元を降伏させる方法でしょうし、民主党はこれをやっていくでしょう)。

もちろん、マスコミ、特に日本テレビとTBSの報道にも呆れるばかりです。県知事や町長、さらに中止反対派の住民のみを報道し、お涙頂戴の報道をし続けています。少なくとも、工事続行反対派の学者や団体の人々に対しても取材をすべきではないか。特にTBSの後藤氏にはがっかりです。筑紫哲也が天国で泣いていますよ。

マスコミを先頭に押し立てての従来型の開発促進派(あの民主党議員であった上田清司など)によって、民主党政権は窮地に立たされる恐れが十分あるでしょう。

2009.09.24 10:07 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]

推定無罪を誤用するなって民主党さん(鈴木宗男外務委員長就任に関して)
http://legal-economic.blog.ocn.ne.jp/umemura/2009/09/post_02fd.html

なぜなら、政治家にとって重要なのは

    

無罪かどうかではなくて

無実かどうかだから

   

  

だから、民主党が野党に反論するのに

「推定無罪」を理由にするのは、全然お門違い。

  

民主党は、鈴木氏の無実を理由にして反論しなければならない。

    

民主党は、

   

「判決が有罪となっても、民主党は鈴木氏の無実を信じているので

外務委員長をやっていただく」

   

と言わなければオカシイ。

    

鈴木氏を外務委員長に就任させたあとに

鈴木氏が有罪判決を受けた場合でも

民主党は、

鈴木氏の無実を理由として就任を継続させなければならない。

決して、鈴木氏をヤメさせてはならない。

  

逆に、収賄をやった疑いが濃いならば

たとえ裁判で無罪になったとしても、

無実ではないのだから

外務委員長をヤメてもらわなければならない。  


  

こ れ が 道 理 だ

  

   

民  主  党  さ  ん

ズ  レ   て  る  よ

2009.09.24 10:31 URL | 推定無罪を誤用するなって民主党さん(鈴木宗男外務委員長就任に関して) #L52t0waA [ 編集 ]

八ッ場ダム問題、前原国交相の取る態度はダム賛成派に中止する理由の説明もなく、マニフェストで中止だからダム中止をする。
 納得する策も取らずに説明もせずに強引にダム中止をしている。押し切る事だ。
ダム中止に伴う対案を前原は用意するべきだった。ダム中止で長野原地域の活性化を対案として出すべきなのに・・・・・・

2009.09.24 13:51 URL | ぶじこれきにん #U9m.xr6A [ 編集 ]

民主党のダム中止のやり方は、一昔前の言い方で言えば「KY(空気読めてない)な改革」ですよね。
KYならKYで、いきなりブルドーザーで××するような実力行使的なダム中止行動に出る方法もあったろうに。
何でしょうね?
この永田メール問題で大口叩いといて、結局追及できずじまいで、風呂敷を畳むのを誰かに押しつけて破滅的に終わってしまいそうな予感は。(国土交通省に限って言えば)

野田佳彦は国土交通省の副大臣をこそやればよかったのに(ボソリ)

2009.09.24 17:07 URL | 朱の盤 #XQYq98OQ [ 編集 ]

私は昨日23日朝のフジテレビの「とくダネ!」を見ましたが、住民や沖縄の議員をつかって八っ場ダム建設と泡瀬埋め立てに地元は賛成しているという伝え方をおもいっきりしていましたよ。ひどいな~と思いながら見ました。

>デマは「工事の7割はすんでいて、あと3割の予算を投入すればダムが出来る」というもの。これは4600億円の予算をすでに7割使用したということに過ぎなくて、工事の進捗率とは何の関係もない。 

これをしったのは、このkojitakenさんのブログやきっこさんの日記やそのほかネットでです。新聞もテレビも、7割工事がすんだ、と伝えていたと思います。前原さんが悪者になっていましたね。

前原さんは好きではないですが、メディアのこんなデマは犯罪的です。

2009.09.24 17:51 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]

おざわ氏
「まったくメディア諸君の切り口はこうも進歩がないものか。
いいか!この程度で揚げ足取りしてたらまた得宗が調子こいてあることないこと持ち出してくんだぞ!
細川の時に佐川の件があったろうが。あれなんてまさにそれだ。
選ぶ側もメディアに付き合って根性無しになることはない。
即刻中止はしなくても条件闘争で度量を見せれば納得するっての。
…もっとも西松の件を蒸し返されるのが厄介という思いもあるがw」

2009.09.24 21:19 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

春夏秋冬をご紹介頂き有難うございました。
民主党政権になったら、上関原発は造られなくて済むかと期待していたのですが・・・・・
中国電力がTVコマーシャルをはじめたと言うことは、もう上関原発には目鼻がついたと思っているからなのでしょうね。

全くがっかりです。
西日本の者にとって、瀬戸内海がどんなに大切なものか知っていたら、あんな所に原発を造ろうと言う気を起こす事さえ出来ないと思うのですが・・・・

尤も もう既に四国側に、原発は出来ているのですね。
上関の丁度向かい合わせの処に、伊方原発が有りますが、此れだけでは足りないから、
瀬戸内海の入り口の両側に原発を造って、
何が何でも、瀬戸内海を汚そうというのでしょうか!

2009.09.25 20:37 URL | 和久希世 #dN1wHbUA [ 編集 ]













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2009.09.24 10:39 | マスコミに載らない海外記事