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きまぐれな日々

先月末の衆院選のNHK開票速報で、いの一番に当確が報じられたのが岡山2区の民主党前職・津村啓介だった。津村に敗れた自民党前職の萩原誠司は、比例復活もならず、国会議員の座を失った。

今回の衆院選で、自民党の中国ブロックは、比例名簿1位に岡山3区の阿部俊子を記載し、2位と3位にはそれぞれ比例単独候補を置いたので、4議席を獲得した自民党同ブロックは、小選挙区での落選者が1人しか復活できず、それが広島4区の中川秀直だった。岡山1区や5区で民主党がもう少し頑張っていれば中川(女)も中川(酒)同様落選に追い込めたのだが、今回の選挙では近畿地方を除く西日本でアンダードッグ効果が起き、中国ブロックでも広島県以外では自民党が粘り腰を発揮し、中川(女)は九死に一生を得た。

しかし、小泉郵政選挙でさえ小選挙区で敗れた岡山2区の萩原誠司や同4区の橋本岳(故橋本龍太郎元首相の倅)には、比例復活などあり得ない。選挙の数か月前から、この2人は落選確実と見られており、実際そうなった。

このうち、萩原誠司は元岡山市長だが、2期目の任期途中の2005年、郵政民営化法案に反対した岡山2区の熊代昭彦元自民党議員への刺客として市長職をなげうって立候補した。結果は、小選挙区で熊代氏を追い落とすことには成功したが、民主党の津村啓介に敗れて比例復活で辛うじて当選したのである。あの郵政選挙でさえ小選挙区で負けるくらいだから逆風下の今回は当選がおぼつかなかった。

2005年の総選挙直前の様子を、熊代昭彦陣営から生々しく伝えているのが、熊代元衆院議員の娘さんが書いているブログ『岡山の青い空』である(下記URL参照)。
http://kumamusume.blog76.fc2.com/blog-entry-13.html
http://kumamusume.blog76.fc2.com/blog-entry-14.html

熊代氏は、今回の衆院選にも立候補したが3位と惨敗、落選した。選挙は民主・津村啓介氏の圧勝で、自民・萩原誠司は大きく引き離されて敗れ、自民系無所属の熊代氏はその萩原氏にも大きく引き離された。さらにその下に国民新党の赤松和孝氏が続いた。この選挙区では、自民系も民社国系も分裂選挙を戦ったのだった。熊代氏が同じ岡山の平沼赳夫を頼らなかった理由等々、細かい事情は知らない。

だが、少なくとも一つだけいえるのは、小泉郵政選挙で落下傘候補として比例復活で当選した萩原氏は、当然ながら「小さな政府」を支持し、「自己責任論」を訴える立場に立っていたと見なされることだ。

その萩原氏が、衆院選での自民党の敗因を分析するために自民党本部で開かれた「党再生会議」で、「何か仕事が欲しい」と訴えると、場内には寂しい笑いが漏れたという。
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20090915163.html

元岡山市長で、小泉自民党の落下傘候補がこのざまである。萩原氏は岡山のハローワークに仕事を探しに行けば良い。そして、身をもって「自己責任社会」の厳しさを知るべきだろう。

一方、発足した鳩山由紀夫新内閣の支持率は、毎日新聞調査で77%に達した。毎日の調査では、小泉内閣には及ばないものの、細川護煕内閣を上回る数字だという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090917-00000096-mai-pol

毎日の数字は他社と比較しても特に高く出ているが、他社でも朝日新聞71%、共同通信72%などと軒並み高支持率をたたき出している。いずれも小泉より下で、細川内閣と同程度のレベルだ。

しかし、新内閣は早くも民主党の公約だった「政府会見を記者クラブ以外のメディアにも開放する」という方針を反故にしようとするなど、驕った姿勢を見せている。特に、平野博文官房長官が元凶らしい。週刊朝日の山口一臣編集長が厳しく批判している。
http://www.the-journal.jp/contents/yamaguchi/2009/09/post_90.html

内閣発足早々これでは先が思いやられるが、今後もこういう驕った姿勢を見せ続けるようでは、早晩内閣支持率は急落するだろう。有権者は自民党と麻生太郎に退場勧告を出しただけであって、鳩山由紀夫を積極的に支持した人は決して多くない。新内閣には謙虚さが必要だ。

それにしても、官房長官に平野博文とは、なんという人事だろうか。この男は松下(現パナソニック)労組の出身だが、私などどうしても新内閣の環境・エネルギー政策が気になるので、電機連合の消極的な姿勢が頭に浮かんで、嫌な予感にとらわれる。これは、他の多くのブログも指摘していることだが、誰しも気になることだと思うから当ブログも書かないわけにはいかない。平野博文を官房長官に据えるセンスでは、環境相に福島瑞穂を持ってくるような大胆な人事を鳩山首相が行おうはずもなかった。環境相の小沢鋭人は鳩山首相の側近である。何かと自民党政権からの変化を抑えようとする姿勢が目につく鳩山首相を思う時、大胆な環境・エネルギー政策の転換にもブレーキがかかるのではないかと危惧する。

自民党から奪い取った権力の座にあぐらをかいていたら、民主党の面々も次の総選挙のあとには、現在の萩原誠司と同じように、「何か仕事を欲しい」と党執行部に訴える醜態をさらす羽目になるのである。新内閣には、もっと緊張感が欲しい。


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>環境相に福島瑞穂を持ってくるような大胆な人事

男女共同参画担当に福島氏を持ってくると言うのは充分「大胆な人事」だと思いますが。
党内外のネオコン勢力(と言うか極右)が「過激フェミ」云々と彼女を批判したら鳩山首相はどうするつもりなんでしょうか?
(はしごを外したら、田中真紀子騒動や鳩山邦夫騒動と同じ事になるでしょうに)
それとやや難しい、無理筋かもしれませんが、彼女の担当である消費者行政を環境と絡めると言うこと(鳩山氏の考えはともかく彼女がそう動くこと)も不可能ではないのでは?

2009.09.18 09:22 URL | bogus-simotukare #- [ 編集 ]

今回の政権交代を無血市民革命だのなんだのといって浮かれたこと言ってる人たちもいるようですけど、とんでもないです。
どこが市民革命なんでしょう・・・
自公政権とそれがもたらした現状への不満と不安と小選挙区制度があいまって今回の大逆転現象が起きただけであって、いつまたひっくり返るか分からないです。そうこうしているうちに小政党は壊滅的になり、大右翼政権の樹立の可能性だって否定できません。現政権と合わせて右派議員の動向というものは注意しておく必要があると思います。民主政権が余計なことをしたり、やるべきことをやらなかったりして、ずっこけないことを祈りますね。

2009.09.18 12:58 URL | フリスキー #iMBi6aSc [ 編集 ]

早速、フリー・ジャーナリストを抽選でいいから、会見会場に入れてください、と首相官邸に抗議メールしました。
それくらいできなければ、官僚支配打破など、到底出来ないでしょう。

2009.09.18 14:06 URL | cube #- [ 編集 ]

政治家の問題と言うのは結局は民衆の問題なんだと思います。
危険な政治家や無能な政治家が生まれるのは、
それを支持する民衆がいるからです。
語弊を恐れずに言えば、衆愚が一番厄介です。
日中戦争の時に、支那人を皆殺しにせよなどとはやし立てたのも
民衆であって、南京入城の時の司令官松井大将でさえ、

「日露戦争以後40年間、日本人の国民精神、
社会道徳は堕落の一途をたどっている」

と言って嘆いたと言われています。
それを煽ったのがマスコミです。

魚住昭の「官僚とメディア」を読めば、客観報道主義の下で、
いかに大手メディアが官僚と癒着しているか、
官製報道に依存しきっているかが分かります。
それを助長しているのが記者クラブ制度ですね。
より民衆を賢くさせるためには、
このような官僚にべったりの大手メディアによる報道に
依存しきらないで、より開かれた情報発信源を育み、
裾野を広げていく必要があるのに、
「政府会見を記者クラブ以外のメディアにも開放する」という
方針を反故にしたというのは、
まったく解せません。
いったい民主党はどこを向いているんでしょう?
報道という民主主義の根幹に関ることなのに、
この期におよんで官僚に配慮してどうするのよ。

鳩山さんの政治家としての能力には私は疑問を持ちます。
いざと言う時には弱腰になる人だと思いますので。

2009.09.18 15:16 URL | フリスキー #iMBi6aSc [ 編集 ]

久しぶりにコメントさせていただきます。

岡田外務大臣が外務省の記者会見を全メディアに開放するようです。

http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009091801001177.html

私は民主党のホームページに官邸などの記者会見を全メディアに開放するよう求めるコメントを送りました。少なくとも、今の民主党は聞く耳を持っていると思うので、どんどんコメントなどを民主党なり、官邸なりに送るべきでしょう。数多くの人々が官邸などにメールなどを通じて働きかけていけば、道は開けると思います。その上で今後の平野官房長官の対応を見ていくべきです。

なお、全メディアへの開放を今のところ認めないのは、官僚に対する配慮ではなく、巨大メディアへの配慮でしょう。情報公開と取調べの可視化は民主党の政権下で絶対やらせなければならない重要な政策であり、その手始めが全メディアへの会見の開放でしょう。

2009.09.19 01:02 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]

>なお、全メディアへの開放を今のところ認めないのは、
>官僚に対する配慮ではなく、巨大メディアへの配慮でしょう。

ゆうべ、神保哲生氏の
「記者会見クローズの主犯と鳩山さんとリバイアサンの関係」
というエントリーを読みました。

http://www.jimbo.tv/commentary/000585.php

ここで、神保氏は、取材を基に、
リバイアサンつまり“統治権力”がその黒幕であり、
記者クラブをクローズにすることで、一番特をしているのは
この“統治権力”に他ならないとしています。
メディアの既得権益は、副次的な産物に過ぎないと。

お読みいただければ分かりますが、
神保氏の指摘は、魚住昭氏の共同通信記者時代の多くの経験から来る
考察と符合してます。
統治権力がメディアを手なずけておく上で好都合なんです。

官僚が実質的に主導している“統治権力”がキーであることは、
間違いないことだと思いますよ。

2009.09.19 15:34 URL | フリスキー #iMBi6aSc [ 編集 ]

「記者クラブ解放」の公約の反故に続いて「議員立法原則禁止」。

議員立法が禁止されたんでは、鳴り物入りで初当選の福田衣里子氏も「薬害肝炎」について存分に活躍できないことでしょうネ。小泉チルドレン達は気の毒にも使い捨てにされましたが、民主党の新人議員たちは逆に「民主党を使い捨て」にした方が得策かもしれません。

「鳩山内閣」が悪いのか、「民主党」が悪いのか私にはわかりません。それ以前に、あまり騒ぎたてる問題でもないのですか?

高い支持率を背景に、「革命的!」「革命的!」と煽動しながら、新政権が暴走することのないよう願うばかりです。

2009.09.19 17:18 URL | aranjuez #- [ 編集 ]

記者クラブの解放について、一気にやれば田中康夫長野県政の二の舞になりはしないでしょうか?
自民党の衰退により浮上した立場であるからこそ、まずは大手マスコミの誹謗中傷に絶えうる実績を積み上げなければ奴らの攻撃には耐えられないと思いますが。
そこに至ることも出来ないのならそれまでだったということです。

2009.09.19 21:48 URL | うに #- [ 編集 ]

>まずは大手マスコミの誹謗中傷に
>絶えうる実績を積み上げなければ
>奴らの攻撃には耐えられないと
>思いますが。

記者クラブの問題と言うのは、
大手メディアの既得権益と、
官僚の思惑が一致しているところに
あるんです。
ですから、そういうメディアとの
駆け引きが、結局は官僚の思惑に
利してしまうということになるのでは
ないでしょうか。
こんなところで立ち往生しているようでは、
これから先、実のある改革が出来るのか
大いに疑問です。

2009.09.20 11:53 URL | フリスキー #iMBi6aSc [ 編集 ]

 平野は、原発推進派ではあります。http://www.hhirano.jp/policy23/#part4

2009.09.21 09:41 URL | puyonyan #- [ 編集 ]

私は瑞穂様は防衛大臣にするとかなりおもしろかったと思います

2009.10.26 00:58 URL | かい #LbFZHv5A [ 編集 ]













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