きまぐれな日々

衆議院選挙の公示をいよいよ明日に控え、そろそろ大新聞の情勢調査の記事が出始める頃だと思う。選挙が公示されると、ブログに書ける記事にも何かと制約が生じ、自由に言いたいことが言える記事も、総選挙前では今日が最後になると思うので、思う存分書きたいと思う。当ブログ管理人は、今週後半にブログの夏休みをとる予定だが、その頃にはもう総選挙の流れは不動のものになっていることだろう。

今日は、先週の12日に公開された、「毎日jp」「毎日ボートマッチ えらぼーと」に掲載された、各党の候補予定者の回答を分析した結果を公開したい。このところ当ブログはこの「えらぼーと」の話題ばかりだが、昨年夏に「毎日新聞叩きに反対するキャンペーン」の開始を宣言した当ブログらしいといえるだろう。当時話題になった毎日デイリーニューズの「エロ記事事件」自体は批判されて当然だが、城内実だの某経済評論家だのが、騒ぎに乗じて毎日新聞に言いがかりをつけて私怨を晴らそうとしたことは、不愉快きわまりなかった。

下衆たちのことはともかくとして、今回の「えらぼーと」の設問を最初に見た時は、正直言ってなんてシンプルというかプリミティブな設問なんだ、と思って拍子抜けしたが、各党の立候補予定者の回答見ていくと、予想外に党ごとの政策の差がはっきりと現れていることがわかってきた。特に、このところ立場が接近してきて違いがわからなくなった印象を受けていた自民党と民主党の差が、思っていた以上に大きいことには驚かされた。

「えらぼーと」の設問は20項目あるが、当ブログ管理人は、それぞれの設問について各政党の候補予定者の回答の平均を求め、それをもとに政党間の政策の距離を算出してみた。たとえば、憲法9条改正の是非を問うた第1問では、「改正賛成」に1点、「反対」に0点を割り振り、政党ごとの平均値を求めた。全員が改正賛成なら1点、全員が改正反対なら0点、両者が同数なら0.5点といった具合だ。こうして、全20問の設問に対応する各政党のポジションを決定し、各点間の距離を求めた結果を下表に示す。ここで距離は0から1の間の数値を取り、その値が小さいほど政党間の距離が近いことを意味する。

0908_えらぼーと2

個々の設問について、各党のスタンスを順番に並べた結果は、『kojitakenの日記』のエントリ「毎日新聞「えらぼーと」への回答に見る各党のスタンス」にまとめたので、あわせてご参照いただければ幸いである。

なお、表でピンク色の表示は政党間の距離が近い(0.3以下)ことを示し、グレーの白抜き数字の表示は、政党間の距離が大きい(0.5以上)ことを示す。

一見してわかることは、民主党が中道右派から左派までをカバーする巧みなポジショニングをしていることで、連立相手に想定している社民党、国民新党、新党日本といずれも近い距離にあるだけではなく、共産党や「みんなの党」とも十分近い距離を保っている。ここで、社民党と共産党は民主党より左側、国民新党、新党日本、みんなの党は民主党より右側に位置するから、民主党は両者の中間にあって左右両方とも協調できる位置取りをしているといえるのである。

一方、自民党と距離が近いといえるのは平沼グループ(当ブログにおける呼称は「平沼一派」)だけであり、社民、共産の両左翼政党だけではなく、新党日本および新党大地とも距離が大きい。これは、左翼政党とはイデオロギーの対立があることに加えて、自民党が小泉構造改革に一定の評価を与えていて、製造業の派遣労働や最低賃金の引き上げに関して、大企業寄りのスタンスを露骨に示していることが、中道右派のうち特に新自由主義に批判的な勢力と距離が開いた理由と考えられる。自民党と民主党との距離も、思いのほか大きい。そんな中、自民党と平沼一派とは異様に距離が近いことが注目され、これは平沼一派が、看板のはずの郵政民営化反対さえ明確にできておらず、労働問題に関してもかなり大企業寄りで、かつ外交・安全保障問題に関しては自民党以上にタカ派的である(自民党よりやや右に位置する)ことが影響している。平沼一派から見ると国民新党ともっとも距離が近いことからわかるように、「郵政総選挙」でともに刺客を送られた出発点においては、亀井静香と平沼赳夫はごく近いスタンスにいたのだが、国民新党を結成して民主・社民との接点を探り続けた亀井静香と、自民党に恋々とこだわり続けていまだに新党結成にさえ至っていない平沼赳夫の差が、4年経ってどうしようもないほど大きく広がったといえる。民主党から見て一番距離の近い政党は国民新党であるのに対し、平沼一派は民主党より自民党との距離の方がはるかに近いのである。

公明党は、本来は中道政党なのに、距離が近いと言えるのは「みんなの党」だけであり、これは自民党との連立に足を引っ張られている形だ。このことから予想されるのは、下野後の早い時期に公明党が自民党との提携を解消することである。権力を持っていない自民党など、公明党にとって何のメリットもないから、提携解消は当然だろう。

みんなの党は、民主党よりやや新自由主義寄りだが、思ったほどではなく、意外にも平沼一派の方がより新自由主義寄りだ。この党も、選挙後に政界再編でうごめくことは間違いない。平沼一派との距離も近いから、平沼一派を取り込んだ上で民主党の右派勢力に手を突っ込むことは十分考えられる。そのためには彼らだけでは力不足だが、おそらく橋下徹や中田宏らが彼らに加勢することになるだろう。また新党日本(回答者は2人)は事実上民主党と同じと考えて良いが、民主党より新自由主義と距離を置いている。新党大地はそれよりは右寄りで、まあ佐藤優と親しい鈴木宗男の北海道ローカル政党だからしょうがない。

注目されるのは、社民党と共産党の距離がきわめて近いことで、今回調べた政党(平沼一派を含む)間の66通りの組み合わせの中でも、突出して小さい0.12という値を示す。つまり、両党は実質的に同じ主張を持つ政党である。歴史的な経緯があってそれぞれ別の政党で互いに仲も悪いのだろうが、政党が分かれていることによって比例ブロックにおける議席の確保が困難になっていることを考えれば、両党は合流を検討するのが筋だと当ブログは考える。

最後に、改革クラブ(回答者は西村真悟1人だけ)と幸福実現党は、どうしようもない極右政党であって、お互いと自民党および平沼一派以外のすべての政党との距離が離れている。逆に言うと、こんなトンデモ政党と距離がさほど離れていない自民党や平沼一派が痛いともいえるわけだ。よくいわれる「二大政党制においては二大政党の政策は中道寄りになる」という説との対応を考えると、民主党はみごとにこの説に当てはまっているが、自民党は政策が右に偏り過ぎていて、それが中道やや保守寄りの人が多いと思われる無党派層の支持を得られない原因になっていると考えられる。逆に言うと、民主党のポジショニングが選挙に勝つ上では最適だったということで、これは、2006年4月の代表就任と同時に、かつて「自民党より過激」と言われた民主党の新自由主義志向路線を改めて「国民の生活が第一」路線を打ち出した小沢一郎の寄与が大きかったというほかない。小沢一郎は今年5月に代表の座を退いたが、辞任がまた民主党の支持を押し上げた。ある意味では、30日の総選挙は小沢一郎の政治生活の集大成といえるかもしれない。そうはいっても当ブログ管理人は小沢一郎に対しては一定の批判を持っているのだが、認めるべきところは認めるしかないという思いを強くしている今日この頃である。
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2009.08.17 06:45 | 2009年衆議院選挙 | トラックバック(-) | コメント(13) | このエントリーを含むはてなブックマーク

 ブレまくりの麻生が、民主がぶれたとわめくのが見苦しくてしょうがない。
 立場によって評価は分かれるかもしれないが、政治右派の国民新党と、政治左派の社民党と選挙協力し、また共産党からすらも、事実上の閣外協力もありうると言われている民主党は、ぶれていると言うよりウイングが広い、と言うべきか。
 確かに、肝心な部分で党の要人の意見が食い違ったりはしているが、麻生ほど、無定見にぶれているのではない。

 選挙はこのままで行って欲しい。
 だが、選挙後の各勢力の力関係まで、現時点で見極めることはできない。
 リベラル・社民主義と言う一点で、協力していってほしい。

2009.08.17 09:15 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

客観的で的確な分析に頭が下がりました。
新聞でも週刊誌でも読めない見事な分析と思いました。

共産党と社民党は統合すべきだというのは同感です。
共産党が「マルクス・レーニン主義」を乗り越えて、一種の党派エリート主義を反省すれば可能と思います。
むしろ、民主党と社民主義政党の二大政党になるべきです。自民党は国民の意見の代表ではなく大企業の意見を代表する右翼政党として少数政党でいいと思います。

2009.08.17 10:35 URL | 緑豆 #- [ 編集 ]

斬新な手法の興味深い分析と思いました。ご労作ですね。
自民党に関しては、政権党である以外にもう求心力を保つ要素が希薄で、下野すればもう解党に近い事態となるのではという見方があります。
この分析を拝見するに、掬い取るべき民意がもはやない自民は、権力という接着剤を失えばバラバラになっておかしくないという、一つの論理的証左といえそうです。

自民議員或いは一部支持者は、政権交代後の敵失に期待しているようですが。
経験の浅い民主が高い支持率を維持するのは確かに難しいかもしれません。(もっとも、その原因を内政よりも、外交安全保障だのに見る保守派の身勝手な予測は噴飯ものです)
しかし、それで自民党に支持が戻ることは殆ど有り得ないでしょう。そう思うなら、長年の与党暮らしでモノの見方が甘くなり過ぎです。

今はもう神通力を失い、一定の批判に晒される「小泉カイカク」ですが、それで旧来自民への支持が戻ったでしょうか。
むしろ以前よりも「小泉以前自民」への否定は強くなっているように思われます。
民主党政権はどうなるか読めません、しかし、それによって政権交代以前に逆回しという民意が主となることだけは無いはずです。

2009.08.17 17:18 URL | Gl17 #EBUSheBA [ 編集 ]

「えらぼーと」は、設問の内容(問い掛け方)の問題だけでなく、候補者が正直に回答しない可能性や当選後に主張を翻す可能性等を無視している問題もあるので、かなり割り引いて考えるべきと思いますが。こちらの方がずっと参考になると思います。実際の行動、実績ですから。

http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10305035768.html

「中道右派から左派までをカバーする巧みなポジショニング」
民主の重心は右寄り、つまり右派の方が左派(左派と本当に言えるのか疑問ですが)より多いのでは。
民主党にも極右は少なからずいますし、西村真悟も元は民主ですし。民主と極右の親和性も十分高い、「極右であっても、来る者は拒まず」と思いますよ。

「自民党は政策が右に偏り過ぎていて、それが中道やや保守寄りの人が多いと思われる無党派層の支持を得られない原因になっていると考えられる」
その仮説では、何故郵政選挙で自民が大勝したのか、説明できないのではないでしょうか。安倍や麻生にしても、初めから全然人気がなかったのではなく、初めはそこそこ人気あった訳ですし。
言い換えれば、民主の支持が高まっているのは「巧みなポジショニング」によるものではなく「敵失」によるものなのでは。

「小沢一郎は今年5月に代表の座を退いたが、辞任がまた民主党の支持を押し上げた」
それは偶然の賜物、敵失の延長なのではないでしょうか。3月下旬の秘書起訴後に解散していたら、状況は違っていたでしょうし。小沢辞任後にしても、鳩山弟と簡保問題の処理、そのまんまとハシモトの抱き込み、麻生の降板等を自民が上手にやっていたらやはり状況は違っていたでしょう。

2009.08.17 18:46 URL | Black Joker #RtNpiJ3M [ 編集 ]

「えらぼーと」の結果では共感度高くても、実際の行動を考えると評価が下がってしまう候補者はいますね。私にとっては新党日本の田中康夫氏。少数政党の党首にもかかわらず比例削減賛成も大減点ポイントですが、他の点では100%一致。しかし、昨年の国籍法でみせたブレと年頭の派遣村を中傷するような発言(本人はそのつもりではなかったかもしれませんが、結果的に足を引っ張り派遣村バッシングに一役かったことは確か)からくる悪印象はぬぐえません。更に一昨年の都知事選で示したにえきらない態度も。

2009.08.17 21:33 URL | ぽむ #mQop/nM. [ 編集 ]

 近年の一般世論の趨勢として、とにかく官僚・大企業主体の自民党政治から離れたいのでしょう。
 公務員という特権階級はもちろん嫌いだし、大企業やゼネコンの末端や系列にいても、今やいいことはあまりない。
 小泉旋風というのも、自民党を壊し、特権郵便局長や局員を引きずり下ろせるから、訳も分からず応援したので、今民主党が天下り禁止を叫んで支持されるのも、支持される理由の根っこは同じです。
 で、社民党や共産党など従来から自民党と一応、対立してきた政党はどうかと言うと、やはり官僚主義の臭いや、自民党との平和共存の頼りない時間が長すぎて、ほとんど信用できない。
 結局、政党名としてあまり手あかの付いていない、反自民の受け皿と言えば、民主党しかないのだと思います。
 その点、特に去年の参院選以来、自民党にはできないこれだけのことができるぞ、という政策メニューを作ってきた小沢氏は確かに才能ありますね。
 

2009.08.17 21:44 URL | cube #- [ 編集 ]

>リベラル・社民主義と言う一点で、協力していってほしい。

他者への共感を経済活動の規範としていたアダム・スミスにとって、自由な経済とは権力と結託した大企業を保護する規制を撤廃し、中小零細資本の経済的自由と労働者の地位向上を通して「貧困の解消」を目的としていました。

古典派経済学の後継は新古典派ではなく社会主義です。
自由主義経済の延長に社会主義があります。

リベラルと社会民主主義の連合は理想的な黄身合わせです。

社会民主党がそういう政党であってほしいですね。

2009.08.17 22:39 URL | そにっく #GCA3nAmE [ 編集 ]

よくテロ朝とやゆされるテレビ朝日の報道ステーションだが、
17日22:40ころ すばらしいものを見せてもらった。

山養世VS猪瀬のデスマッチが行われ、
猪瀬完敗涙目、古舘顔面蒼白
かなり楽しませてもらった。

長妻VS大村のバトルを思い出してしまった。

しかし、この山養世とは何者?
ゴールドマンにいたものを信用していいの?

2009.08.17 23:01 URL | 匿名 #a2H6GHBU [ 編集 ]

管さんのブレインだった人じゃないですか?
21世紀臨調にもいたみたいですね。
UCLAのMBAって大した学歴じゃなさそうだけど、さすがゴールドマンにいただけのことはあって郵便貯金の証券化を提案してますね。

でも、何のことだろ?

藤原直哉さんみたいに、なまじ金融の最先端にいたせいで、その馬鹿馬鹿しさが分かって態度を改めた人かな?

2009.08.17 23:18 URL | そにっく #GCA3nAmE [ 編集 ]

山崎養世って田中康夫ともダチだったんじゃ。
何度か『ペログリ日記』に出ていた記憶が。

2009.08.18 00:01 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

>>「右」に寄り過ぎた自民党

いや、ブログ主さんが「左」に寄り過ぎてるだけです。

特定政党の一致度が9割越えってどう考えてもおかしいですから(笑)

だいたい、どの政党もだいたい3~5割の範囲内ですよ、普通は。

2009.08.18 22:36 URL | #CzFp58lQ [ 編集 ]

>だいたい、どの政党もだいたい3~5割の範囲内ですよ、普通は。

また知ったかぶりが・・

2009.08.19 03:27 URL | そにっく #GCA3nAmE [ 編集 ]

僕の住む北海道では、町村氏、中川氏、 武部氏を小選挙区で破れるかが最大の焦点になっています。

ただ、僕個人としては比例区で新党大地が二議席取れるかを一番注目しています。
鈴木氏が福祉に精通している八代氏を担いだ点は、高く評価されて良いと思います。


比例区における棲み分けをきちんとできないと野党間の共闘は瓦解してしまいます。

民主党の一人勝ち現象は、(緊張感のある)安定政権を作るためにも避けて欲しいと思いますね。
管理人さんが以前提案された『比例区は自公民以外で投票』は大いに賛成です。

2009.08.19 20:20 URL | 葉隠 #CRmGiUQU [ 編集 ]













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