きまぐれな日々

総選挙は来週解散、8月18日公示、8月30日投票との日程が固まった。政局については、朝日新聞などの大新聞やテレビが面白おかしく報じている。朝日新聞の記事は、読み物としては面白いが、果たしてこんな政局記事ばかり書き連ねるのがジャーナリズムの本来の姿なのかと疑問も感じる。朝日って昔からこんな新聞だっただろうか?

私はといえば、最近の「民主党=善、自民党=悪」だとか、「小沢一郎・鳩山由紀夫=善、岡田克也・前原誠司=悪」、あるいは「共産党は自公の補完勢力」などなど、一部の左派系ブログに蔓延するステレオタイプ的な論調にうんざりしている。4年前の悪夢のような郵政総選挙以来、待ちに待った総選挙なのに、こんなに気持ちが萎えてしまおうとは思いもしなかった。

とはいえ、だからといって「自民も民主も一緒」だと片づけてしまうと、そこには諦めが生じてしまう。それは良くない。いったいどうすれば日本の政治や社会を良くすることができるかを考えていきたい。最近思うのは、日本の政治をゆがめている元凶として、経団連のほかに連合という存在を見逃せないということだ。たとえば温室効果ガス削減の2020年中期目標について、経団連は1990年比プラス4%を主張し、麻生首相は8%削減、民主党は25%削減を主張する。そして、連合に加盟している電力総連は、経団連と同じプラス4%を主張している。完全に使用者側と一体となった主張である。電力総連は強力な原子力発電推進勢力でもある。そして、連合の意向が民主党や社民党を強く束縛する(但し、社民党はエネルギー政策に関しては日本の政党の中でももっとも先進的で、原子力発電にも反対している)。民主党が保守政党というべきかどうかは議論の分かれるところで、右翼は「左翼政党」、左翼は「保守政党」の一語で片づけてしまって議論は平行線となるのだが、連合に逆らえないというファクターを考えれば、民主党の「鵺(ぬえ)」的性格もある程度理解できる。また、社民党と共産党が、非常に似た思想信条を持ちながら極めて仲が悪いのも、連合というファクター抜きには考えられない。社民党は、秋田県知事選では自公推薦の佐竹敬久氏を推薦し、寺田典城(てらた すけしろ)前知事や民主党が推薦した川口博氏を破ったが、この社民党の選択も、連合が佐竹氏を推薦したからだった。そして、最近の連合最大の愚挙は、横須賀市長選でコイズミが応援した蒲谷亮一市長を推薦したことだろう(蒲谷氏は落選)。

当ブログ及び『kojitakenの日記』でしばしば取り上げてきた静岡県知事選も、「連合」というファクターを入れれば対立構造を鮮やかに説明できることを知った。これを教えてくれたのが一昨日(12日)にテレビ朝日の『サンデープロジェクト』の後半に放送された静岡空港建設問題特集であり、『kojitakenの日記』に、「好企画だったサンプロの静岡空港問題特集」と題したエントリでレビューした。このエントリについた「はてなブックマーク」で知ったのが、静岡県民のRRDさんのブログ『NOW HERE』の7月6日付エントリ「静岡県知事選を簡単にまとめてみる」だった。サンプロの特集と『NOW HERE』のエントリによって、静岡県外在住者の目には何を争っているのかさっぱりわからなかった静岡県知事選の対立構図が理解できた。

海野徹(うんの とおる)氏は、民主党の参院議員だったが、2001年の静岡県知事選で静岡空港建設反対派の水野誠一氏を擁立したことから連合に嫌われた。これがすべての始まりであり、2004年の参院選では連合の意を受けた民主党静岡県連に刺客を立てられて落選した(静岡選挙区は定数2で、表向きは民主党の2議席独占を狙った形。自民党も当選した坂本由紀子氏の他に山下善彦氏を擁立していた)。この時当選したのが今回の県知事選で川勝平太氏の選対本部長を務めた藤本祐司氏である。静岡空港は先日開港したが、空港の立ち木問題で地権者ともめたことを理由に、石川嘉延知事が任期をわずか残して辞意を表明したところから民主党の迷走が始まった。海野氏は早くから立候補の意思を表明していたが、もちろん連合は海野氏を阻むべく動き、結局土壇場で川勝平太氏の立候補が決まった。ここで注目すべきは民主党の小沢一郎前代表の動きで、前記『NOW HERE』によると、「川勝・海野の一本化調整を、独自の世論調査を元に、海野を軸に行っていた」とのことだ。これが事実だとすると、小沢一郎は民主党静岡県連の連合依存体質を改めようとしたと解釈できる。これに対し、川勝平太氏の民主党推薦を(小沢氏に逆らって)決定した鳩山由紀夫代表は、連合の意に沿った動きをしたことになる。伝え聞くところによると、小沢一郎は鳩山由紀夫の決定を不服としてへそを曲げていたそうだ。小沢一郎は、衆議院静岡7区の民主党候補決定に関しても、前自民党衆院議員の城内実を推す一部の県連の動きを受け容れず、斉木武志氏の擁立を決めたとされている。極右の城内を受け容れなかったこの判断といい、(単なる票読み上の理由だったかもしれないが)海野徹氏を擁立しようとした動きといい、鳩山由紀夫と比較すれば小沢一郎の方がずっとマシだったと言わざるを得ない。まさか、常日頃から小沢一郎に批判的だった私が、このように小沢一郎を見直さざるを得なくなるとは想像もしなかった。

小沢一郎は、本質的には右派で新自由主義指向の政治家だと思うが、左派との政策協定にはずっと配慮してきて、それが「国民の生活が第一」をスローガンとする疑似社民主義路線を打ち出しての2007年参院選での民主党大勝につながった。鳩山由紀夫は、「国民の生活が第一」のスローガンはそのまま用いているが、軽々しく橋下徹との「連携」を口にしたり、静岡県知事選でも右翼で新自由主義者、かつ実質的に「オール与党体制」の継承者ともいえる川勝平太氏(川勝氏は「つくる会」会員ではなかったようだが、『文藝春秋』4月号掲載の「日本最強内閣」特集のアンケートに答えて内閣総理大臣に櫻井よしこ氏、外務大臣に曽野綾子氏を挙げていることから、右翼であることは間違いない)推薦を強行するなど、明らかに小沢一郎の路線から新自由主義寄り、右派寄りの路線へと方向転換しようとしている。そういえば鳩山は幹事長時代にもしばしば平沼赳夫に連携を呼びかけていた。もし鳩山がずっと代表の座にいたら、静岡7区の民主党候補も城内実になってしまったのではないかと思えるほどだ。

総選挙で政権交代が実現すれば鳩山由紀夫が総理大臣になるのだろうし、もし自公が奇跡的に過半数を確保すれば、麻生太郎がそのまま続投するだろう(この逆風下で自公が過半数を守ったら、「麻生降ろし」は不可能である)。どちらの結果でも、右派の政治家が総理大臣になる(または続投する)。「リベラル・市民派」を標榜するブログであれば、批判的スタンスを保ち続けるのは当然だと思う。

[追記]
川勝平太・静岡県新知事の思想信条については、下記ブログ記事が参考になります。
「川勝平太・静岡県知事って、どう見ても右派で新自由主義者だよね。」(『dj19の日記』)


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浮船亭です。

>まさか、常日頃から小沢一郎に批判的だった私が、このように小沢一郎を見直さざるを得なくなるとは想像もしなかった。

同感です。相対的に選択せざるを得ないのが政治の習いかもしれませんが、鳩山代表の気まぐれな日々を見るにつけ、小沢一郎の方がましだったと思うことはなんとも奇妙な気分です。
政権交代は確実でしょうが、浮遊感ただよう鳩山代表を民主大勝の結果、絶対的な権力など与えてしまったら何が飛び出てくるか、予測できない恐さがあります。
友愛の実質もよくわかりませんが、この言葉は優位者が慈善の思いを表すような響きであり、不快であります。

都議選の結果を見て、どうもあんまり鳩山民主党に勝たせすぎない方がいいのではと、そんな気もいたしております。
まだ十分に訓練されていない政党としての民主党、日々検証精進しながら成長するためにもヤトウズでそこそこ過半数ぐらいに落ち着けばいいのではないでしょうか。

2009.07.14 09:08 URL | ukihunetei_tanakaya #- [ 編集 ]

>(川勝氏は「つくる会」会員ではなかったようだが、『文藝春秋』4月号掲載の「日本最強内閣」特集のアンケートに答えて内閣総理大臣に櫻井よしこ氏、外務大臣に曽野綾子氏を挙げていることから、右翼であることは間違いない)

川勝氏が、文春「日本最強内閣」特集のアンケートで上記2名以外にあげた閣僚候補は中山恭子氏・竹中平蔵氏・今回敵に回した渡辺喜美氏等。
勝手な思いこみかもしれませんが、ネオコン・ネオリベの申し子にして節操のない人物という印象ですね。

2009.07.14 09:15 URL | ぽむ #mQop/nM. [ 編集 ]

こうぞう氏
「いやー、オラの方は連合の直系議員なんて県議が関の山だぞ。
保守系の候補を下支えすんだから、やる気は出なえべなあ。
静岡の話でいくと、オラの方は原発のプルサーマルを議論凍結してたんだが、
再開することになったんだ。
オラだちの会派は副議長を出してんだが、それが電力労組出身なんだなーw
そりゃ社民党と統一会派だげどよ、そんなんじゃいつまでも渋れねえべな。
まあ連合はたしかに有難いが、やっぱり竹下派七奉行が助けてもらっては様になんねえべなw
自民も所によっては青年会議所や商工会議所青年部が実働部隊を仕切る所もあるから、
おんつぁま達にはキツイ夏になるべな。」

2009.07.14 09:25 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

うーん、たしかにそうかもしれません。
ですが、鳩山氏には盟友の菅氏がついています。
菅氏は民主党の中でも信頼出来る政治家であり、政権交代後も要職に就くでしょう。
菅氏がいる限り、今の政治よりはマシだと思うんですが。

2009.07.14 12:01 URL | 青森 #- [ 編集 ]

鳩山兄のHPを見た。改憲タカ派で改憲のコーナーを設けるのにびっくり。
 海外派兵容認。自衛隊を自衛軍と位置づけるクリーンなタカぶりに驚く。
 故人献金疑惑より、政策的にタカ派。来年の国民投票法解禁の時彼が憲法改正もくろむのではないか???
 クリーンなタカが日本の政治風土に入る。小渕は日の丸君が代法、周辺事態法、盗聴法を通した。竹下は消費税導入した。
 閉塞した政治状況の打開が日本を危険な方向に行かせるような気が私にはした。
 革新の全滅にならなきゃいいが・・・

2009.07.14 12:02 URL | ぶじこれきにん #U9m.xr6A [ 編集 ]

ぶじこれきにんさま、いつもコメントありがとうございます。

鳩山由紀夫氏は間違いなく改憲へと動こうとするでしょうね。私が鍵を握っていると思うのは、来年の民主党代表選です。今年の代表選は、小沢一郎・鳩山由紀夫両氏によって、党員やサポーターの意思が反映されないやり方で実施されてしまいましたが、来年の代表選では、鳩山氏でも岡田氏でもない、望ましくは菅氏でもない、市民の意見を政治に反映できる人が民主党代表になってもらいたいと思います。

2009.07.14 12:09 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

>社民党と共産党が、非常に似た思想信条を持ちながら極めて仲が悪いのも、連合というファクター抜きには考えられない。

仲の悪さは、歴史的には「寝た子を起こすな」か否か・・・、の違いに端を発していると思いますが・・・・。

2009.07.14 13:46 URL | ・ #sSHoJftA [ 編集 ]

>小沢一郎は、本質的には右派で新自由主義指向の政治家だと思う

これはとんでもない誤解ですね。
県連体質もそう、小沢一郎は経団連のことも批判していますよ。
これまでこちらのブログを拝見しておりまして、小沢一郎の本質を知った上でご批判されているものとは到底思えない内容であり、一度本など読んでみてはいかがでしょうか。1冊読めば十分です。こちらは多くの人が読む人気のブログ、きちんとした知識を持った上で記事を書く方がよろしいかと。今までの謎も解けすっきりしますよ。知った上での好き嫌いはご自由だと思います。

2009.07.14 15:15 URL | sarah #RLJMvFJw [ 編集 ]

>社民党と共産党が、非常に似た思想信条を持ちながら極めて仲が悪いのも、連合というファクター抜きには考えられない。

このこと、kojitakenさんや他の人から最近教えてもらって、驚きましたが、なぜこの2党が連立を組めないか?のなぞが解けました。そういえばメーデーでも、分かれてやっていますね。いずれにしても、国民のためにはなりません。どちらの党も消滅してしまうのではないかと心配です。

2009.07.14 21:36 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]

まず、政治家や官僚はそれなりにすねに傷がある。そのことを前提とした上で、政策で考えれば、わたしにとっては坂本候補(女性で自公推薦)がもっとも政策的には近かったです。

海野さんは、下手をすると公務員叩きに走りかねない危うさもある。

ただ、川勝さんよりはましだろうと。

県民の4年間の幸せを考えたら坂本さんがいいに決まっているとわたしはおもいますよ。保守的な静岡で女性をもっと大事にしてくれたら・・。でも、政権交代には川勝。連合組合員で民主党員としては、非常に苦しい選択ですね。

連合ですが、組合員の意気が中々上がらないわけです。

2009.07.14 21:59 URL | さとうしゅういち #EGTCt1XI [ 編集 ]

>仲の悪さは、歴史的には「寝た子を起こすな」か否か・・・、の違いに端を発していると思いますが・・・・。

部落問題だけでなく戦前のマルクス主義をめぐる講座派VS労農派も対立の原点のひとつ。

メーデーもここ数年、4月29日(昭和の日)に連合が、本当のメーデーの5月1日に全労協(社民党系の非御用組合)と全労連(共産党系)がそれぞれ別個に集会を開いている有様です。

更に不幸なことは反核運動も、原水禁(旧社会党~社民系)・原水協(共産党系)に分裂してしまっていること。旧社会主義国の核保有をめぐる両党のソ連や中国との関係からくる意見の相違が発端とされていますが、冷戦下、反核運動もその本来の意味を失いイデオロギーに翻弄されてしまったわけです。もちろん現在では、両党とも「核は絶対悪」としていますが、統一への道はまだ遠そうです。

尚、原水禁は原子力発電廃絶を主張しており、これが社民党の原発反対に影響しているものと思われます。一方、原水協や共産党は原子力の平和利用の可能性を全否定はしていません(但し、現在の原発については反対で、その危険性から考えて段階的に撤退し、自然エネルギーの開発・活用を主流とすべきと主張)。
また、原水禁はNPT(核拡散防止条約)体制には好意的で基本的に政府と共同歩調をとっているのに対し、原水協は「大国による核独占・軍事支配を強化する」と批判的です。

と、いろいろ相違点はあるにせよ「ヒロシマ・ナガサキの心」という原点に立ち戻ってほしいと願うばかりです。例の田母神のあまりに低次元な「殴り込み」すら通ってしまいそうな状況なのですから。

社民・共産両党が「国民の幸福」を忘れ、自分たちの党勢拡大に埋没したあげく滅亡しても自業自得と言わざるえないですが、やはりこれは国民にとっても不幸なことです。
派手な政局話題に埋もれてしまっていますが、先日国会で可決されてしまった入管法・入管特例法・住基法改定(外国籍住民の監視を強化し、さらに一部の外国籍住民を社会から完全排除するなどの問題を含み、更にそれがいずれ一般の日本人にも及ぶ可能性が有)や水俣病救済法案(実際には多くの被害者の切り捨て)に反対を表明したのは社民・共産でした。もちろんあまりにも少数で役に立たなかったわけですから意味がないと言ってしまえばそれまでですが、比例区削減案が通ってしまえば、上記のような法案は反対者もほとんど皆無でさくさく通ってしまうようになるわけです。

また確かに、今、社民・共産両党が共闘しても70年代くらいと違って小さな勢力です。しかし、それ自体は小さくても、そこに「反貧困・反格差」を訴える市民団体や「九条の会」のような護憲・反戦運動のグループ、環境保護を訴えるグループ等が加わり、その方向を常に「国民の幸福」に向かわせることができれば強力な「軸」となる可能性もあるのではと思うのですが。

2009.07.15 01:20 URL | ぽむ #mQop/nM. [ 編集 ]

「国民の幸福」「国民にとっても不幸なこと」って何ですか。曖昧すぎてよく解りません。経団連等の財界、御用労組、御用学者、御用メディア、改憲派、つくる会関係者等の極右、公明党・創価学会等々、一応国民の一部ですよね。彼らから見れば、今でもそれなりに幸福なんだろうし。比例区削減案が通ってしまえば今よりもっと幸福になるんじゃないですかね(いや公明党は反対か)。
まあ、B層は幸福かどうかは解りませんけど、仮にB層が自ら支持したコイズミやらイシハラやらハシモトやらのお陰で不幸になってるとしても、それはB層の自業自得なのでは。「B層が不幸になっているのは社民と共産のせいだ、両党が共闘しないからいけないのだ」とか文句言うのは責任転嫁ですね。

「今、社民・共産両党が共闘しても70年代くらいと違って小さな勢力です。しかし、それ自体は小さくても、そこに「反貧困・反格差」を訴える市民団体や「九条の会」のような護憲・反戦運動のグループ、環境保護を訴えるグループ等が加わり、その方向を常に「国民の幸福」に向かわせることができれば強力な「軸」となる可能性もあるのではと思うのですが。」
はっきり言って、そんな可能性はありません。多数のB層がB層であり続ける限り、強力な「軸」がB層とB層を操る者から離れて別のところに移動することはあり得ません。社民・共産両党が共闘しようがしまいがB層を減らすことはできません。B層が自ら「なんとかしてくれそう」を止めて自分で深く考えるようにならないことには話になりません。しかしそれはB層にとってほとんどできない相談に等しいことです。そもそも「深く考えられるほどの頭はあるけど使っていない」のではなく「深く考えられるほどの頭がないから使いようもない」ですから。

2009.07.15 18:45 URL | Black Joker #RtNpiJ3M [ 編集 ]













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