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きまぐれな日々

朝日新聞の調査によると、全国の主要100社の社長アンケートで、景気が「悪化」または「緩やかに下降」しているとした回答が、昨年の98社から40社に減ったが、59社が「足踏み状態」にあるとしており、「拡大」との回答はわずか1社だった。個々の質問に対する回答を見ても、2009年度の実質経済成長率の予測は「-4.0%?-3.5%」との回答がもっとも多いし、従業員数には過剰感がある(特に製造業)とか、ボーナスは減るなどの回答が多い。

これが地域経済となるとさらに悪く、同じ朝日新聞が47都道府県の企業経営者らを対象に行った地域経済アンケートによると、景気の現状認識は「悪化」が51%で、「緩やかに下降」などを含めて71%が景気が後退していると回答した。

麻生太郎首相は、4-6月度のGDP速報値が発表される8月以降の総選挙なら、景気対策の成果をアピールできると考えているとも言われているが、GDPの数字はボーナスが減ったり職を失ったりする国民には実感を伴うものにはならない。それ以前に、静岡県知事選や東京都議選で自民党が敗北すると、「麻生降ろし」が起きるなどという話があり、そのせいで麻生首相は必死で都議選の候補のところを回っているのだという。過去、これほど自民党の総裁が都議選に入れ込んだ例はないなどとテレビでもコメンテーターに馬鹿にされるありさまで、国民からすれば国民生活を顧慮だにせず自分の地位を守ることに汲々としているように見える。あれほど総理大臣の座を熱望していた麻生は、いったい何のために総理大臣になったのかさっぱりわからないのである。

ここ最近では麻生内閣の支持率がもっとも高かった4月下旬に発売された「サンデー毎日」の5月3日号に掲載された都議選の議席数予想では、自民党が45議席プラスマイナス3、民主党が42議席プラスマイナス3、以下公明党23議席、共産党12議席、生活者ネット3議席、諸派・無所属2議席で、合計で与党68議席、野党59議席となり、与党が過半数を確保すると書かれている。現有議席は自民48議席、民主34議席だから、民主党が党勢を伸ばすのは間違いないものの与党の過半数割れまで持っていくのはかなりハードルが高そうだ。

この選挙で与党が過半数割れすると東京都知事・石原慎太郎の都政運営が苦しくなるのだが、民主党の鳩山由紀夫代表は勝敗ラインを第一党を自民・民主のどちらがとるかに置く発言をしている。これだと民主党にとってのハードルは下がり、「サンデー毎日」の予想の誤差範囲内で民主党の「勝利」(自民党の「敗北」)が可能になる。鳩山代表も与野党逆転までは難しいと見ているのかもしれないが、麻生首相からすれば第一党から転落ともなれば「麻生降ろし」の風が強まるのは必至だから、なりふり構わず都議選に入れ込んでいるものだろう。

そんな麻生首相の頼みの綱は、14兆円の大型補正予算なのだが、これが「旧来自民党のやり方」と見なされて、かえって都市部の支持を失うという分析がなされている。東京大学の菅原琢准教授がJANJANに掲載した「大型補正予算で自民党は浮上することができるか??誤解される自民党の選挙結果」がそれだ。菅原准教授は、小泉政権以降、自民党が都市部で支持を伸ばしており、それは小泉退陣後(安倍政権以降)も継続していることを、参院選の自民党例区得票率のデータに基づいて示している。そして、次のように指摘する。

 ただしこの支持は、決して旧来の自民党政治的なものに向けられたものではないということに留意する必要があるだろう。つまり、自民党が「古い」自民党に戻ったと感じられたときには、これらの新しい支持層は溶け出す。郵政造反組の復党問題が、安倍内閣の支持率だけでなく、自民党の支持率も大きく下落させたことが、その典型である。あるいは、西松事件が民主党の支持率に一時的に与えた影響も、同じ類型に入れることができるかもしれない。
(菅原琢「大型補正予算で自民党は浮上することができるか??誤解される自民党の選挙結果」より)


さらに菅原准教授は、麻生政権の大型補正予算が選挙で自民党の票を押し上げる効果を疑問視する。

麻生政権が懸命にやっていることは、まさしく旧来型の自民党政治である。このような政策で恩恵を受け、評価するのは旧来の自民党支持層であるが、最近の選挙で農村部の得票が大幅に減ったことはない。したがって、農村部や旧来の支持層周辺で自民党は大幅に得票を伸ばすことは難しいだろう。得票を固めて惨敗を避けるという方策としては正しいだろうが、過半数を獲得するための戦略としては見当違いと言ってよいだろう。自民党が過半数を獲得するためには都市部の新しい自民党に好意的な層の離反を防ぎ、上積みする必要があるが、このような不健全な財政政策は彼らが最も嫌うことの一つであり、つまり全く逆の「対策」を麻生政権は採用しているのである。
(菅原琢「大型補正予算で自民党は浮上することができるか??誤解される自民党の選挙結果」より)


つまり、麻生政権の旧来自民党的政治では衆院選には勝てないというのである。ネットでは、「Munchener Brucke」がしばしば同様の主張をしていることを思い出した。これでいうと、参院選前には「国民の生活が第一」をスローガンにして農村部の票を固め、衆院選前にはやや「カイカク」色を強めて新自由主義寄りに軌道修正している民主党の行き方は、選挙戦略としては理にかなっており、自民党はその逆をやっているといえるかもしれない。

だがこのことは、衆院選の結果政権交代が起きても、「カイカク」(新自由主義)の方向性はある程度かかなりの程度保たれることを意味する。民主党にも厳しい監視が必要だと当ブログが考える次第である。

[追記]
今週号の「サンデー毎日」(7/5号)にも都議選の予想記事が出ているようですが、当ブログ管理人は明日にならなければ読めません。ちょっと間の抜けたエントリになってしまいましたが、このあたり、地方在住者のハンデといえるかもしれません(笑)。


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 興味深い分析を教えてくださりありがとうございます。
 確かに、コイズミ郵政選挙でも実は得票数では自民党は過半数には達していないわけで、この得票と議席の差に、小選挙区制の問題があるのですが、もし、今の世論調査の動向が正しければ、今のままでは民主党が大勝してしまう可能性があります。
 それは自民党が勝つよりは良いですが、その先が不安です。
 そうなると、大連立というより、自民党が溶解して、個別の議員が民主党に乗り換える可能性を強めます。さらに万年与党体質が抜けない公明党も民主党に寝返るでしょう。
 こうなると、改憲まで一気に進みかねません(参院でも民主への鞍替えが大量に出た場合)。
 そうすると、民主党内左派が追い出され、結局自民党的体質の巨大与党ができてしまうかもしれません。
 それを防ぐにはどうすればいいのでしょうね。

2009.06.22 10:32 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

次の総選挙が民主党の勝ちだとしたら、自民が市町村合併で支持基盤を失い、下部ががたがたという自滅に助けられたと言う事になる。
 民主党改憲派は政権を取れば、眠り猫氏が言うように、護憲派追放切捨てをする。
 10年の国民投票法で改憲=壊憲のプログラムが現実の物となるだろう。
 政権交代が9条破壊になるのか、有権者は目を凝らして見るべきだ。
 眠り猫氏が言うように、自民議員の民主党寝返り、公明党も連立維持のため、民主党と組む。あれほど民主党叩きした議員も変節するだろう。生き残りの為に・・・・
 そんな保身劇が選挙後ありそうである。
民主党も従米党、泣き所の安保政策の一本化のため、護憲派追放をたくらむだろう。

2009.06.22 12:50 URL | ぶじこれきにん #U9m.xr6A [ 編集 ]

自民党をそんなに甘く見ないほうがいいのではないでしょうか。あの村山を首相に据えた政党です。都議選で大敗した自民党は、破れかぶれで直ちに総裁選を行い、舛添を首相候補に、総裁を与謝野にして、橋下、そのまんま東を総務大臣、経済産業大臣に据える体制を取って衆議院を解散するのではないでしょうか。

漫画ではないが、何でもありの自民党、私には荒唐無稽とは思えない。橋下が民主党批判を強めているのも、こうした思惑があるからではないでしょうか。

2009.06.22 16:58 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]

↓ゴメンナサイ。面白過ぎるので貼らせていただきます。

「民主に政権担当能力ない」道州制めぐり橋下知事が酷評
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090622/lcl0906222117004-n1.htm

これは懸案事項である、地方への利権移譲についての自民党へのけん制であり、こうして両派から自分の望む答えを引き出そうとしているのでしょうね。
日本で唯一の政治家らしい政治家かとwww

2009.06.23 00:22 URL | 与志 #- [ 編集 ]













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