昨日、鳩山邦夫総務相が辞任した。いや、「辞任」と書いているのは朝日新聞だけで、他紙は「更迭」と書いている。「自エンド」界隈では鳩山邦夫を持ち上げるブログが多くて私はうんざりだ。むろん、私も郵政民営化は見直すべきだと考えているが、それは「郵政総選挙」で大量の議席を獲得した自公政府ではなく、次期総選挙を経て成立するであろう現野党の連立政権によってなされるべきものである。
そのあたりを的確に指摘しているのが、民主党員のさとうしゅういち氏や民主党支持の元新聞記者・宮崎信行氏である。
さとうさんは、次のように書いている。
結果として、鳩山大臣を麻生さんが「斬る」結果になったのは、わたしにとっては「想定内」です。
麻生さんは小泉政治の存続を求める声に屈した形ですが、麻生さんの権力基盤は、2005年9月11日の「郵政選挙」(9・11総選挙)で小泉純一郎さんが、「郵政民営化」をメインとしたネオコンないしネオリベラルなマニフェストにより獲得した衆議院での圧倒的な与党の議席です。
筋から言っても、麻生さんは、もし、鳩山邦夫さんをかばう路線をとるなら、解散総選挙を実施し、小泉政治を放棄するマニフェストを掲げて勝利した後でなければ、難しかったでしょう。もちろん、ここまで事態を引き伸ばした麻生太郎総理の威信は、低下することは避けられないでしょう。
(『広島瀬戸内新聞ニュース』?「鳩山邦夫さんへの過剰な期待は禁物」より)
さとうさんは鳩山邦夫を「裏切り三昧で信用できない人」、「信念などあまりなく、その場その場で、受けそうな行動を派手にぶちあげる」などと評しているが、私も裏ブログ『kojitakenの日記』に「鳩山邦夫 裏切りの人生」と題したエントリを公開し、裏ブログ久々の人気エントリになった。
宮崎信行さんはさらに辛辣で、「鳩山切りで“静脈瘤破裂”の危機回避 住友を甘く見たパフォーマンス大臣去る」と題したエントリは読ませる。宮崎さんのブログは、一時小沢一郎信者らの嫌がらせに遭ったあとの最近のエントリの方が、以前よりも精彩を放っているように思える。
まず、次期衆院選の福岡6区の自民党および民主党による情勢調査で、鳩山邦夫が民主党の古賀一成に大きくリードされていることを指摘し、続いて次のように書く。
そうして迎えた2009年1月からの通常国会。TV入りの審議中継では、官僚の答弁書には目もくれずに、自分の言葉で5分以上の時間を使って、とうとうと答弁する姿が目立ちました。閣僚としてTVを使ったパフォーマンスで起死回生を狙ったのは想像に難くありません。
鳩山総務相は西川善文・日本郵政社長との対立を演出し、茶の間の喝采を浴びましたが、これはあまりにも甘い。
日本の国家予算は年100兆円ですが、日本郵政グループの資産は300兆円を超えます。300兆円が国から民間にスピンオフしたのが小泉自民党による郵政民営化です。この流れを逆にしようしたのです。これを人間に例えると、血液の循環を逆にしようという話です。心臓から静脈に血を流すとどうなるか?直接的な表現で申し訳ないのですが、あっという間に静脈瘤ができて、破裂するでしょう。すなわち自民党は即死です。
郵政民営化見直しは政権交代による国民新党、民主党、社民党の連立政権でなければできるわけがないのです。
住友、小泉、経団連を敵に回して、味方はテレビカメラだけ。この状態で鳩山邦夫さんが勝てるわけがありません。私が麻生首相だったら、なりたくありませんが仮に麻生首相になったと仮定すれば、更迭は当然です。閣内不一致の場合は辞めるのが首相でなく閣僚であるのは自明の理。
住友を甘く見た当選10回のパフォーマンス大臣。民主党を離党して出馬した1999年東京都知事選惨敗の窮地を救ってくれ、福岡に選挙区を与えてくれた自民党への恩を仇で返したお坊ちゃん政治家。選挙区で名刺を配らず、東京の飲食店で初めて会う店員に名刺と称してお札を配る(この行為は選挙区外なので、公選法違反ではない)。地元回りを怠ったツケは、政治家として取り返しのつかない大失態へとつながりました。
(「国会傍聴記by下町の太陽・宮崎信行」?「鳩山切りで“静脈瘤破裂”の危機回避 住友を甘く見たパフォーマンス大臣去る」より)
確かに「1999年東京都知事選惨敗の窮地を救ってくれ、福岡に選挙区を与えてくれた自民党への恩を仇で返した」という見方も成り立つだろう。裏切りの常習犯である鳩山邦夫にとってはなんてことない行動なのだろうが。
私が情けないと思うのは、多くの「政権交代ブロガー」だとか、いつの間にかリベラルでもなんでもなくなっている某掲示板(日に2万件以上のアクセスがあるあそこのこと)の投稿者たちが、単なるパフォーマンスに過ぎない鳩山邦夫の行動を歓迎していることだ。民主党との距離が近い人ほど冷徹に鳩山邦夫を批判していることに、彼らは目を向けるべきだろう。何より、今回の件は自民党政府の内紛に過ぎない。政権政党内の内紛があたかも国民の関心事であるかのように解散総選挙になだれ込むのは、自民党お得意の手法である。2005年の郵政総選挙は記憶に新しいところだが、過去にはもっとひどい例がある。それは、1979年から翌1980年にかけてのことだ。1979年10月の総選挙で自民党が敗北したあと、自民党内で「40日抗争」が起き、第2次大平正芳内閣は苦難のスタートとなった。福田(赳夫)派、三木派、中曽根派は反主流派となって大平首相を攻撃、5月に野党が提出した内閣不信任案の議決に欠席し、不信任案が可決されて、前年の総選挙からわずか半年あまりで再び解散総選挙になってしまったのである。この時は、たまたま参議院選挙の時期と重なっていて、史上初の衆参同日選挙になった。この選挙で、大平首相は公示日の遊説で気分が悪くなって入院し、選挙戦さなかの1980年6月12日、心筋梗塞で死去した。明らかに、自民党内の激しい抗争が大平首相を殺したようなものだった。ところが、大平首相の死を契機に、自民党の候補者が「弔い合戦」なる意味不明のスローガンを掲げて攻勢に出て、自民党は衆参両院の選挙に圧勝したのである。
このように、党内抗争を選挙のエネルギーに転じて得票に結びつけるのが自民党の十八番(おはこ)である。どの政党にも十八番があり、たとえば民主党にとっては年金問題がそれだ。2004年と2007年の参院選は、いずれも年金問題が争点になって民主党が勝った。一方、党内抗争を票に結びつける十八番に持ち込んで自民党が圧勝したのが「郵政総選挙」なのだ。そこには、筋が通っているも通っていないもない。自分たちが大平首相を殺しておきながら、平然と「弔い合戦だ」などと口にできる厚顔無恥さを彼らは持っており、そうでなければ政治家など務まらないに違いない。大平正芳の命日である6月12日に、鳩山邦夫が総務相を更迭されたのは象徴的だ。
当ブログは、前から書くように、次期政権は民主党、社民党、国民新党の3党連立の枠組であるべきだと考えており、民主党に対しては是々非々の立場を貫く。西松事件の捜査に疑義を呈すれば、右から「小沢支持の陰謀論者」と批判され、民主党を批判すると「隠れ自公」と誹謗される。だが、現野党の連立政権に政権を交代すべき、と考えているのであるから、少数政党を圧殺するような民主党の比例区定数削減案には断固として反対するし、連立政権の政策の中ですぐれていると考える環境・エネルギー政策に焦点を当てたりもする。だが、主流の反自公ブログや掲示板の話題といえば、自民党の土俵である日本郵政の社長人事だとか、もはや鳩山由紀夫執行部もあまり触れなくなった西松事件についての第三者委員会の報告書の話ばかりではないか。いったい何を考えているのかと頭痛がしてくる。某BBSでは、民主党自らが西松事件を総選挙の争点にせよなどという、正気を疑うような投稿さえあった。そんな中で、当ブログ6月5日付エントリ「「政権交代」への流れは止まりそうにはないけれど‥‥」にコメントを下さったukihunetei_tanakayaさんの、「鳩山邦夫打倒が結論」という投稿には、大いに共感した。以下に紹介させていただく。
鳩山邦夫打倒が結論
投稿者---ukihunetei_tanakaya(2009/06/13 08:04:29)
本BBSに結集するヤトウズ民主党応援団の皆さん
・自民党内の政局プロレスに過ぎない今回のお祭り騒動には冷静に対処しましょう
・鳩山邦夫の選挙区事情から派生したパフォーマンスには飽き飽きしていました
・彼こそ民主党を脱党し、自民党に寝返り、麻生太郎の最大の支援者となり、菅代行の選挙区に刺客として現れた、民主党の敵ですよ
・評価すべきことは何もありません。選挙のためのメディアを使った売名が今回の祭の本質です
・その選挙区で民主党候補をきっちり当選させる、このことに尽きます
・郵政に潜む巨大な闇の構造は、政権交代後に全貌解明の作業が始まるまで明らかになることはないでしょう
・ヤトウズ民主党派は、目くそひとつ分も鳩山邦夫を評価してはいけません
胸のすく投稿である。何より鳩山邦夫は自民党の議員であり、鳩山邦夫にエールを送る民主党支持者は、福岡6区の票を固めてきた古賀一成氏の身にもなってやれ、と言いたい。
同様のことが静岡7区についてもいえる。他区の民主党公認候補予定者までもが、静岡7区から無所属で立候補を予定している城内実を「気配りの人」などと持ち上げていたのをどこかで見たことがあるが、なぜ同じ民主党から立候補を予定している斉木武志氏への配慮を見せられないかと疑問に思ったものだ。
とにかく、再び「郵政民営化」を選挙の争点にされてはたまらない。城内実にとってはおそらくその方が好都合だろうが、国民の多くは、日に日に苦しくなる生活を良くする政治を願っている。「郵政民営化」のピンポイントではなく、コイズミらが進めた「構造カイカク」(新自由主義)全体の総括、安倍晋三らが進めた戦前回帰の是非などを、総合的に問う選挙にしなければならないと思うのである。
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せっちー
「まったく、前に『友達の友達はアルカイダ』で叩いたり、
死刑執行連発の時など強烈に叩いた同じ口で賛美するってなんだ。
そんなのが政権交代だなんてほざくのはちゃんちゃらおかしいってもんだ。
一度滝に打たれてこい!」
2009.06.13 09:58 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]
同感します。
政権交代ブロガーの方によくコメントしたりしてお世話になっているだけに、鳩山邦夫を持ち上げる意見は分かります。郵政民営化を見直すのは当然だと思います。しかし、鳩山氏の前歴を考えると警戒し、距離を置く。そのような大人の対応が必要だと思います。
今回、選挙区で厳しい情勢ですので鳩山邦夫氏は苦杯をなめることとなるでしょう。
私も民主党・社民党・国民新党の連立政権が良いと思いますし、共産党も議席を伸ばして良き野党・健全な野党として頑張ってもらいたいと思います。是々非々で行くのが妥当ですね。
2009.06.13 10:19 URL | ゴルゴ十三 #DTxGwd9Y [ 編集 ]
つまり大きな流れとして政権交代は避けられそうもなく、現野党が与党になった時 アメリカ傀儡の小泉一味と竹中達の悉くが糾弾され21世紀最大の疑獄が検証される それを見越して保身だけのためにスタンドプレイに身を窶し選挙の事前運動をしていた と理解すれば宜しいのでしょうか? 今度の選挙で仮に政権交代が実現したとしてもアメリカ傀儡の闇からは逃れられないと思うのですが。
2009.06.13 11:14 URL | ricanikanmuri #- [ 編集 ]
鳩山弟を殊更持ち上げる必要はありませんが、西川続投を認めた麻生首相は批判すべきでしょう。ですから、社民・国民新党がこの際問責決議を、と言っていますが、私もすべきだと思います。また、この件で、首相統治能力ばかりを問題にするのは間違っていると思いますね。
私は、さとうさんの書かれるものには日頃から大変敬服しておりますけれども、さとうさんの、
「以下の発言を拝見すれば、さほど、心配はしていません。
『政権の体をなしていない姿をまたもや露呈』鳩山代表、総務相辞任で
『麻生総理のリーダーシップのなさが改めて示された一件』 鳩山総務相の辞任受け岡田幹事長」
というのは首をかしげましたね。私に言わせれば、もしこの発言だけだったらとても物足らない。もちろん、鳩山氏も岡田氏も西川氏が責任を取るべきだとという発言も同時にしていますが。 宮崎さんの、
「民主党を離党して出馬した1999年東京都知事選惨敗の窮地を救ってくれ、福岡に選挙区を与えてくれた自民党への恩を仇で返したお坊ちゃん政治家。」
というのはもっと納得いきません。これではやくざの論理ではないですか。どうして西川氏に退任を迫ることが自民党への裏切りになるのか。
もちろん、政界とやくざ界は共通点も多いのでしょうが、それなら小沢から政治を学んだ岡田氏は、どうして小沢批判ができるのか?
宮崎さんは、まだ先の代表選のしこりが残っているようで、小沢氏だけ呼び捨てにしたり、あまり感心できませんね。
鳩山弟の為人は仰るとおりなのでしょう。しかし、彼が現在主張していること、意志を貫いたことは、条件付きで評価してやってもいいと思います。有権者が彼に投票するかどうかは別問題です。
2009.06.13 11:15 URL | cube #- [ 編集 ]
今回の民主の対応はいただけない。
生活が第一のキャッチの前に、「自分の」って言葉や「韓国の」「中国の」って言葉が見え隠れするね。
鳩山(弟)が裏切り者かどうかは別にして、今回の件に限っては、国民と国家を裏切ったのは麻生と民主党全般
2009.06.13 11:17 URL | 民主支持だけど #z8Ev11P6 [ 編集 ]
ricanikanmuriさん、コメントありがとうございます。
> つまり大きな流れとして政権交代は避けられそうもなく、現野党が与党になった時 アメリカ傀儡の小泉一味と竹中達の悉くが糾弾され21世紀最大の疑獄が検証される それを見越して保身だけのためにスタンドプレイに身を窶し選挙の事前運動をしていた と理解すれば宜しいのでしょうか?
鳩山邦夫はそこまで考えてなくて、このまま自民党にいたのでは落選必至の選挙区事情を考え、なんとかしようと焦っていたところに、兄貴が民主党代表になったものだから、これにくっつこうとスケベ心を起こしただけだと思っています。
> 今度の選挙で仮に政権交代が実現したとしてもアメリカ傀儡の闇からは逃れられないと思うのですが。
これについては残念ながらその通りでしょう。しかし、鳩山邦夫が果敢に「アメリカ傀儡の闇」と戦ったのかというと、そうではないと思います。
2009.06.13 11:30 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]
ありがとうございました。
2009.06.13 14:22 URL | ricanikanmuri #- [ 編集 ]
一体どこをどう捻れば郵政鳩山問題から韓国だの中国の話に繋がるのだろう。
ネトウヨの人の頭はどういう回路なんだろう、あらゆるものをインプットすると中韓に出力されるのか。
少なくとも民主支持できるなら、そんな発想は出て来ようが無いのすら判らないとは・・・ある意味すごい。
しかし、思った以上に鳩山は自滅的結果になりそうですね。
死刑問題などで安直なパフォーマンスをやって、耳に心地よい反応だけで悦に入っていたから情勢を読み違えたんですかね。
この人の場合、真っ当に世の中を読めた試しは無かったような気はしますけど。(家柄と変わり身で渡って来ただけで)
兄が妙な欲を出さないことを祈ります。
2009.06.13 15:23 URL | Gl17 #EBUSheBA [ 編集 ]
僕はポッポ兄が大きなチョンボをしでかさないか、心配ですなぁ。
政権交代劇は、まぁ、起きるんですけど、ここに至って「たかがそんなこと」で喜ぶ気にはなりません。
リベラルでもなんでもなくなっている某BBSは、もうちょっと長い目で見てあげてください。そのうち淘汰されてくるのでは、と思っております。
2009.06.13 17:40 URL | 謎のカスパール・ハウザー #- [ 編集 ]
茶番としか言いようがない。死刑をベルトコンベヤーに乗せてしまった男の茶番。選挙に勝ちたい一心で、必死の自己アピールの鳩山邦夫。もし本当に郵政民営化に文句があるのなら、もっとずっと以前から対応していたでしょう。マスコミも信じがたい持上げ方。
死刑の多発は、日本という国の人心を荒廃させてしまった。人々は死を軽々しく扱うようになってしまった。そうさせた張本人の一人が鳩山邦夫でしょう。取調べの完全可視化を提案することもなく、ただひたすらに死刑に拘泥した鳩山邦夫、そして彼にそれを行わせた自民党が私には許せない。
私も鳩山兄が弟可愛さに変なことをするのではないか、それを恐れる。
社民党にはとにかく民主党のブレーキ役になってほしいと願うばかりだ。そのためにも、10議席以上を社民党には取ってもらいたいと考える。
2009.06.13 18:05 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]
鳩山邦夫、福岡の地元選挙区に入ったようですね。選挙活動に専念するために、また人気アップのために、罷免に見せかけた辞任を行ったと見るのがまともな考えでしょう。
鳩山前総務相、地元入り 「がんばれよ」の激励飛ぶ
とは朝日の記事の見出し(http://www.asahi.com/politics/update/0613/SEB200906130009.html)。麻生と鳩山を福岡県人は当選させるのですかね。それにしても、朝日のお涙頂戴のちょうちん記事には呆れる限りです。
2009.06.13 21:40 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]
cubeさんがおっしゃるように、
>鳩山弟を殊更持ち上げる必要はありませんが、西川続投を認めた麻生首相は批判すべきでしょう。
と私も思います。
麻生首相が「西川社長の辞任を求め、内閣改造を行い、結果として鳩山総務相をやめさせる形で両者相討ちの形で決着」して、支持率アップと自民党内の小泉シンパの顔を立てる形を取った上で解散。
などの予想をしていた私がコメントするのも何ですが、
鳩山邦夫氏が勝手に暴走したようにとらえている方が多いように思いますので、ちょっと違う見方を。
私は鳩山邦夫氏が、日本郵政に対して強硬な姿勢を取り始めた頃から、それが麻生首相の意向を受けたものだと認識していました。
読売からそれを裏付ける記事が出ています。
(ただ、渡辺恒雄氏が唱えた厚労省分割案を麻生首相が下手に扱ってぶち壊したことから、麻生首相への意趣返しとして麻生首相不利のデマを最近の読売が流している可能性は否定できないので、鵜呑みにするべきではないと思っています)
<首相、当初は「西川交代」…竹中・小泉コンビが封じ込め>
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090613-OYT1T00127.htm
今年2月、首相は鳩山邦夫総務相と会い、日本郵政の6月の株主総会で西川社長を含む取締役を一新するよう指示した。
(中略)首相の意を受けた鳩山氏は5月に入り、日本郵政の取締役人事を決める指名委員会の一部委員に「首相は西川氏を代えるつもりだ」と伝え、「西川辞任」に向けた多数派工作を始めた。
しかし、直後から巻き返しにあう。
指名委員会は、委員長を務める牛尾治朗・ウシオ電機会長を始め、郵政民営化など、小泉元首相が進めた構造改革に積極的な財界人が名を連ねる。委員を通じて鳩山氏の動きを察知したのは、構造改革の旗振り役だった竹中平蔵・元総務相だった。
竹中氏は小泉氏に相談した。小泉氏は2005年、竹中氏を通じて西川氏と知り合い、社長就任を要請した経緯がある。すぐに指名委の委員を「西川続投」で説得して回り、首相や鳩山氏の動きを封じ込めた。
ーーー引用以上ーーー
指名委員会の件はすでに植草氏のblogなどでも何度も出てきているので新鮮味はありませんが、最初の一文が真実だとしたら、その意味は無視できません。(かんぽの宿問題が持ち上がったのは今年1月なので、それから1ヶ月前後の時点で麻生首相が、↑の記事にあるような指示を出せたのか、という疑問はあります)
また、読売系の報知新聞の記事なので、これまた鵜呑みにはできないのですが、小泉氏の執念を示す記事がこちら↓です。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090613-OHT1T00051.htm
盟友を切った裏側には、「小泉新党」の影におびえた首相の姿があった。鳩山氏が西川氏の社長続投拒否を公言し始めた5月以降、小泉純一郎元首相が何度も電話をかけた。「鳩山が何を言おうと知らない。だが、あんたは違う。俺が閣僚に起用した。やるべきことは分かっているはずだ」と激しい口調で西川氏留任を迫ったという。
ーーー引用以上ーーー
麻生首相は、中川秀直氏の恫喝は無視できても、小泉氏の恫喝は無視できなかったのでしょう。
そこで、一応悩んだ挙げ句、「西川社長が鳩山総務相に謝罪をすることで、鳩山総務相の矛を収めてもらう」というお粗末な解決案しか考え出すことができませんでした。
当然それは鳩山総務相に拒まれ、となると麻生首相には総務相更迭という選択肢しか残らなかった、ということなのでしょう。
簡単に言えば、
・小泉・竹中カイカク路線から決別したかった麻生首相は、元々の政権基盤も弱いのでそれを貫くことができない腰抜けだった。
・鳩山総務相の西川社長辞任要求は、【盟友・麻生首相のお墨付き】あってのことだったので、後先考えずにこぶしを振り上げ続け、下ろすことができなくなった。
という話だと私は認識しています。
なお、マスコミは、鳩山兄弟をどうしても結びつけようとしたがっているようですが、毎日新聞のインタビュー記事(6月1日)で鳩山総務相は、兄のことを、
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090601dde012010002000c4.html
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090601dde012010002000c5.html
兄は昔、金権・密室・派閥政治が大嫌いで、小沢一郎さんのような政治家を政界から追放するのがライフワークだと言っていた。それが民主党の代表になり小沢さんの操り人形になった。
(中略)兄を総理にしてやろうって思ったのが旧民主党を作った時の私のエネルギー源でした。それなのに兄は僕に感謝することもなく、自分が将来偉くなるためには弟も使ってやろうって考えだった。そこにずれが生じて兄弟げんかに至ってしまった。兄貴は僕の思いを分かってくれなかったんです。
(中略)兄貴が妥協して小沢さんの軍門に降ったことは私にとって痛恨の事態。理念の無い人とは一緒にできない。
ーーー引用以上ーーー
などと述べているくらいですから、合流はあり得ないでしょう。
鳩山代表も、「こちらから誘うつもりもない」と断言していたのでそれを貫くものと信じます。
2009.06.14 03:05 URL | sweden1901 #SVqLzQOU [ 編集 ]
「オリックスへの一括売却を止めたことは高く評価される。止めたのは他ならぬ鳩山氏だ。鳩山氏が総務大臣でなければ、オリックスへの売却は止められていなかっただろう。」
http://www.data-max.co.jp/politics.html
この、「九州企業特報」のコメントは、いつも的確でわかりやすい。
民営化自体に賛成の鳩山弟と共同する必要もないし、野党でなく彼に投票するなど、愚かでしょうが、結果としての彼の仕事は評価すべきでしょう。
2009.06.14 09:45 URL | cube #- [ 編集 ]
「リベラルでも何でもなくなった某掲示板」という言い方が、本文にもコメント投稿欄にもあるが、なぜ「リベラルであること」が正しいことという大前提があるのか?
そのことの方が自分には不思議だ。「リベラル」だって、ひとつのイデオロギーじゃないか。イデオロギーでしか物が見れない、人を判断できないというのは「何でも中韓批判に持っていこうとする」「ネットウヨ」連中と同じじゃないか?
2009.06.14 14:20 URL | ロック #- [ 編集 ]
ロックさん、コメントありがとうございます。
> 「リベラルでも何でもなくなった某掲示板」という言い方が、本文にもコメント投稿欄にもあるが、なぜ「リベラルであること」が正しいことという大前提があるのか?
これは、「リベラルであることが正しいことという大前提」があるのではなく、当該の掲示板が、もともと「リベラル」を標榜している元政治家の白川勝彦氏が運営するホームページの掲示板に源を発するところからきています。つまり、「リベラルを標榜する白川氏に共感する投稿者が集まっているはず」の掲示板だったのが、いつの間にか「リベラル」の範疇からはみ出した意見が主流になってしまっていることを揶揄した表現であるわけです。
2009.06.14 14:27 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]
郵政会社の労組であるJP労組が
西川氏を評価して続投を支持をしているので
民主・社民・国民新の連立を支持しておきながら小泉氏の自民党を裏で支援?
2009.06.18 20:37 URL | 労組 #- [ 編集 ]
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