きまぐれな日々

温室ガス削減の中期目標を取り上げた昨日のエントリは、やはり不人気だった。ブログへのアクセスは、トップページ(http://caprice.blog63.fc2.com/)への訪問が多く、これは普段と変わらないのだが、個別エントリのURL(昨日のエントリだとhttp://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-926.html)へのアクセス数が普段のおよそ半分だった。これは、昨日のエントリに限ったことではなく、環境・エネルギー問題を取り上げた時はいつもそうだ。おそらく、読者の関心が非常に薄いのだろう。先月来日したノーベル賞学者のポール・クルーグマン教授は、「環境関連主導の回復となりそうだ。実際に芽吹くにはもうしばらく時間がかかるが、それが回復につながる可能性が高いと思う」と述べており、テレビでも報道された。これが世界の常識なのだが、日本は世界からすっかり取り残されている。そういえば当ブログも「環境関連事業で雇用創出なんてできっこない」という冷淡なコメントをいただいたことがある。

環境・エネルギー問題には数々の「常識のウソ」がある。たとえば、昨日のエントリに対して、資本主義者さんから下記のコメントをいただいた。

日本と諸外国を同一に考えるのはおかしいでしょう。日本はエネルギー効率世界一です。実にアメリカの2倍、中国の7倍、欧州の1.4倍効率がいいのです。あまり大きな目標を立てると経済に打撃があるとも考えられる一方、新たなビジネスチャンスと見て新規起業で活性化もするでしょうし何とも言えません。ただ、1990年を起点にするべきです。2005年だと京都議定書はなんだったんだ?ということになってしまいます。不参加だったアメリカには2005年の方が好都合なんでしょうが。

2009.06.11 12:20 資本主義者


資本主義者さんのコメントを取り上げたことには他意はなく、これが一般的なとらえ方だと思うのだが、これも「常識のウソ」の一つである。それを解説したのが、ちゃこさんのコメントだ。

日本のエネルギー効率が世界一というのは見せかけです。
確かに、GDP当りのエネルギー消費量や1人あたりのエネルギー消費量は日本は先進国の中では少ないです。しかし、それは家庭と運輸部門でのエネルギー消費が少ないから全体として少ないように見えるのです。
特に太平洋ベルト地帯など人口集中地帯は温暖な地域なので、暖房エネルギー消費が欧州に比べて極端に少ないこと。また狭い地域に人口が密集しているために輸送エネルギーが少なくてすむ。こういった理由で日本のエネルギー効率は比較的高いとされているのです。
他方で、製造業など産業のエネルギー効率(鉱工業生産指数当たりのエネルギー消費量)について、日本は1990年を境に悪化し続けています。つまりこの20年間産業はずっとエネルギー効率が下がっているのです。また、日本は無駄な公共事業が多いため、これにかかるエネルギー消費量も他国に比べると多いといわれています。

2009.06.11 14:24 ちゃこ


この指摘は、当ブログで取り上げたことがあるかどうかは忘れたが、環境問題について調べていれば行き当たる事柄である。ちゃこさんの指摘される「無駄な公共事業」のほか、麻生政権が実施した「ETCを装着すれば地方の高速道路1000円」なる政策も、地球を温暖化させるわフェリー会社の経営を圧迫するわで、「世紀の大愚策」としかいいようがない。

恥さらしの麻生太郎を首相にいただく日本は、地球温暖化問題に取り組む環境保護団体の国際連合組織から10日、小さな温室効果ガス削減目標を決めたとして、地球温暖化対策に後ろ向きな行動を取った国に贈る「今日の化石賞」の特別賞に選出されてしまった。これは、共同通信が報じているので、地方紙には載っているのだろうが、今朝の朝日新聞(大阪本社発行統合版)の紙面を隅々まで見渡しても、どこにも出ていない(昨日報じていました。追記参照)。実は私がこの件を知ったのは、「きっこのブログ」経由であり、そこには「読売や産経が絶対に報じないこの記事」と書かれているが、本当に読売や産経はおろか、朝日も、おそらく毎日も報じていない[註]らしいことには驚き呆れる。きっこさんは、「全国紙読売や産経はこの件をスルーする」という情報を入手したのではないかと私は推測している。なお、この「化石賞」は昨年も「福田ビジョン」が受賞しており、それに関しては昨日のエントリでも紹介した飯田哲也氏が昨年6月19日付コラム「「福田ビジョン」をどう読むか――洞爺湖サミットの「舵取り」と日本の針路を見通す」に詳しく書いている。飯田氏は、福田ビジョンを「自然エネルギー促進に踏み込んだ」と評価しながらも(麻生太郎よりははるかにマシだ)、「福田ビジョンに中期目標がなく、緊急性を欠いていること、代わりに数字遊びをしていることが指摘されている。その通りだと思う」としている。

こうした環境問題を真剣に取り上げない日本のマスコミは腐っているといいたいところだが、残念ながら「ブログ論壇」も同様だ。相も変わらず日本郵政の社長人事と民主党が外部に委託した「第三者委員会」の報告書の話ばかりで、前者はまるで自民党のコマーシャルだし、後者については今朝の朝日新聞の社説「民主党―自浄力が問われ続ける」が民主党・検察・報道の三者の問題点に触れた適切なまとめになっていて、それ以上の論評は不要だろう。

とはいえ、当ブログのスタンスにも異論はあるだろう。日本郵政の社長人事の件について、昨日のエントリで「どうでもよい」と書いたところ、cubeさんから下記のご批判をいただいた。

 郵政民営化問題はどうでもいいことではないでしょう。
 西川社長を支えているのは、ご存じの通り、奥田や牛尾、丹羽といった経団連の面々です。さらには、ゴールドマンサックス、メリルリンチなど、米国大資本。それらが手兵の小泉や竹中、マスコミを使って無理筋を通そうとしているのです。
 CO2削減目標と言っても、それこそ米国が本気で電気自動車普及をすれば、すぐに日米ともに達成できるでしょう。米国が主な消費地のトヨタも、ハイブリッドどころか、電気自動車に今日からすぐシフトです。電気自動車は、ハイブリッドよりはるかにエネルギー効率がいいらしいですよ。
 しかしそこに立ちはだかるのは石油利権です。
 結局、新技術も大切ですが、それより利権・策略・政治力・軍事力が世界を動かしているのです。そういったドロドロした欲が障害になっているのは郵政問題も、地球温暖化問題も同じだと思いますね。
 ちなみに私も、温暖化陰謀論を棄てきれませんが、エネルギー節約や大気汚染削減に役立つなら、CO2削減を追究するのは悪いこととは思いません。ただ、排出権取引には大反対ですが。

2009.06.11 13:17 cube


ちょっと脱線するが、「CO2削減目標と言っても、それこそ米国が本気で電気自動車普及をすれば、すぐに日米ともに達成できるでしょう」という楽観的な見通しには、大きな落とし穴がある。電気自動車の普及のためには、リチウムイオン電池の技術開発が不可欠なのだが、この技術には安全性の確保が難しいという大きな問題があるのだ。数年前からしばしば話題になっているノートパソコンや携帯電話の電池の爆発や発火の事故を思い出していただきたいが、自動車に用いられる電池のエネルギーは、携帯電話やパソコンの比ではなく、万一爆発が起きた場合は大きな死亡事故になる恐れが大きい。この分野もまた、環境問題同様、市場原理だけに任せていたのでは将来への大きな禍根になる。安全性をおろそかにして利潤追求に走られたのでは、何が起きても不思議はないからである。なお、リチウムイオン電池の安全性の技術でも日本は世界をリードしている。

話を元に戻すと、cubeさんのコメントに対して、sweden1901さんから反論のコメントが寄せられた。

飯田哲也氏のコラム、拝読しました。
経産省がなぜ、これまで無視してきたFITを突然導入しようとしているのか、その背景がよく理解できました。
経産省の省益、そして財界とのしがらみを最大限考慮したやり方なのでしょう。

自民党政権のままでは、世界との差が広がる一方だと思います。洞爺湖サミットで福田首相は、彼なりに頑張ったのだと思いますが、「サミットに名を残すためなら何でもよかった」程度の意気込みしか感じられませんでした。
そんな付け焼き刃的な取り組みでは、結局飯田氏のコラムにあるように、簡単に枠組みが崩壊してしまうような政策しか打ち出せません。
民主党など野党は、経産省の方針転換をうまく利用して、世界の潮流に少しでも早く追いつけるように努力を続けないといけないのでしょう。

>世の民主党支持ブログも、もっとこういった点を積極的にアピールすればよいのにと思うが、一部ブログに引っ張られてか、もう国民からは見放されている自民党内の、日本郵政の社長人事をめぐるどうでもよい内紛のことばかり書いている。

とおっしゃるkojitakenさんに対して、

>郵政民営化問題はどうでもいいことではないでしょう。
とお書きになっているcubeさんへ。

私は次のように感じました。

郵政民営化の負の側面が露呈した以上、かんぽの宿を大安売りを主導した西川社長が辞めることは当然で議論の余地はありません。西川社長続投に反対を唱えている鳩山総務相は、小泉・竹中カイカク路線からの決別をしたい麻生首相の意向を汲んでいることも当然のことです。

麻生首相は、解散・総選挙を一番「自分に」都合の良いタイミングで行うために、ある次点(たとえば6/29の日本郵政の株主総会)で、
・「西川社長の辞任を求め、鳩山総務相の留任を決定」して内閣支持率アップを図り解散。
あるいは、
・「西川社長の辞任を求め、内閣改造を行い、結果として鳩山総務相をやめさせる形で両者相討ちの形で決着」して、支持率アップと自民党内の小泉シンパの顔を立てる形を取った上で解散。
というようなことを考えているのでしょう。

どちらにしても、郵政民営化の是非をめぐる自民党内の動きに注目を集めさせ、野党のメディア露出を相対的に抑えることで、衆院選勝利を目指しているのだろうから、そんな姑息な戦略に乗せられるのはやめよう、
ということをkojitakenさんはおっしゃっているのではないかと感じました。(的外れでしたら済みません)

私もまったく同感です。
西川社長を辞めさせられなかったら、完全に自民党への逆風が強まります。
もし辞めさせられたとしても、それが当然なのですから、麻生首相のリーダーシップがもてはやされることはあり得ません。(マスコミはやりかねませんが)
ですから私もkojitakenさんと同様、この件は「どうでもよい内紛」と認識しています。

ここまで書いて、たまたま城内実氏のblogを読んでみたら、案の定、この件で麻生首相がいずれ下す結論が世論の支持を得るだろうというような予想を書いていて、笑ってしまいました。
それにしても彼のblogにはまだあの醜悪で唾棄すべきエントリーが削除されずに残してあることがわかりビックリしました。あういうことを書いてblogで公開するような人間についてコメントするのもバカバカしいですが、次期総選挙で当選して欲しくない候補者の筆頭です。

2009.06.12 00:12 sweden1901


sweden1901さんのご推察通り、「郵政民営化の是非をめぐる自民党内の動きに注目を集めさせ、野党のメディア露出を相対的に抑えることで、衆院選勝利を目指しているのだろうから、そんな姑息な戦略に乗せられるのはやめよう」というのが私の言いたかったことなのだが、昨日のエントリでは反論を呼び込みたかったこともあって、あえて刺激的な書き方をした次第だ。cubeさんには申し訳ないことをしてしまったかもしれないが、ご了承をお願いしたい。

なお、sweden1901さんのコメントの末尾にある、城内実の醜悪なエントリとは、昨年の国籍法改正をめぐるもので、当ブログは何度もこの件を蒸し返しているが、改めてもう一度リンクを張っておく。
http://www.m-kiuchi.com/2008/11/11/bakawashinanakyanaoranai/

URLの、"bakawashinanakyanaoranai"という文字列がとても素敵である。このエントリは「はてなブックマーク」でも大人気だった。

最近台頭してきたさるブログの管理人様からも、今後、城内実や橋下徹が台頭してきそうだとして、当ブログと共闘したいと仰る非公開コメントをいただいた。今後自民党が没落し、それに代わって右翼ポピュリストである城内実や橋下徹が民主主義の敵として大きな存在になるだろうと私も予想している。鍵コメなのでブログ名は公開しないが、素晴らしい調査能力の高さを私も評価しており、むしろこちらから共闘を申し出たいほどの心強いブログだ。今後ともよろしくお願いしたいと思う今日この頃である。

[註] Google検索では「今日の化石賞」に関する記事は共同通信の記事しか見当たらず、各紙のウェブページからも見つかりませんでした。もし全国紙読売新聞か産経新聞に報道されていれば当ブログまでお知らせいただければ幸いです。

[追記] 朝日新聞は昨日(6/11)の2面、毎日新聞は昨日の3面で「特別化石賞」受賞をそれぞれ報じていました。朝日は長い2面の記事の中のわずか3行で触れていただけでしたが、毎日は大きな写真入りで見出しつきの7行の記事でした。これらが判明したので、当エントリのタイトルを変更しました。朝日も毎日もボンに派遣された特派員は結構頑張って記事を書いているのに、経済部が経団連の意向を汲んだ反動的な記事を垂れ流している印象を受けます。


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麻生総理は鳩山総務相を切り西川社長の続投を決めました。
テレビ報道では、例によって明らかに鳩山総務相に利があるにも関わらず、曖昧な態度に終始し、
事態を矮小化するのに必死のようです。
まあわかりやすいというか、なんとももはやの体ですね。
思うにアメリカのブッシュに連なる勢力の力を背景に政権を奪取した小泉新自由主義一派が、
依るところのアメリカの傾きかけた勢力を支える為に日本の富を当てる必要があった。
アメリカは物作りの力を失い金融で穴埋めをするものの、まったく追いつかないところにきていた。
ブッシュはイラク戦争でアメリカ国民の関心をそらそうとしたが、結局その戦費調達が命取りになりました。
小泉一派が推進する郵政民営化は、郵政官僚が溜め込んだ資産をオリックスに二束三文で払い下げ、
それを外資に手数料を上乗せして売り払う。
外資はそれをもとにリートを組んで世界中に売りさばき大もうけをし、損失の穴埋めに当てる。
それで見返りに小泉一派は再び外資の力を背景に権力の再奪取を果たす。
おおかたそんなシナリオでしょうが、あまりにも見え透いています。
しかも当のアメリカは金融で経済を支えるのを諦めています。
アメリカはすでにオバマを選択し、オバマの推進するグリーンニューディールに踏み出しているのです。
となると小泉一派のやろうとしていることは何も意味の無いただの国富の売り渡しで、
オバマのアメリカとは無関係な一部の金融資本を延命させるだけに終わる事になるのです。
麻生総理は日本経団連の意向を受けて、環境問題で世界のイニシアチブを取るチャンスを放棄したわけですが、
まるで一昔前のブッシュ政権の政策の後追いをしているかのようです。
これから小泉改革で崩壊した医療や介護福祉や教育の復興にかかる多額の出費の源泉になるはずの郵政資産を、
無意味な外資への放出で失おうとしているのにもまったく気がついていないようです。
これから多額の資金が必要なものには、旧建築基準法下で建てられた耐震性に問題のある老朽化した住宅の立替問題もあります。
こちらは立替を急がないと、地震時の崩壊の問題に加えスラム化の危険性もあります。
もう待ったの無い問題の山積みで、無駄に使う国民資産などどこにも無いはずなのに何も理解できていないのですね。

2009.06.13 01:54 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]

 電気自動車は、三菱の市販車が出たぐらいだから、kojitakenさんが書かれたバッテリーの弱点もかなり改善されているのではないでしょうか。
 いずれにせよ、どんな実用技術も、まずそれを進めたら儲かるという投資意欲が一番で、次に技術家の日進月歩の試行錯誤が必要なのだと思います。
 電気自動車も同じで、それを買いたい、売りたいというニーズがなければ、到底普及しないし、今後の進歩もないでしょう。
 CO2削減という目標があるなら、自動車自体はもとより、インフラ整備にも国家が奨励し、補助金を出し、エンジン車から強引に変換していくべきでしょう。その上で各社が性能や安全性を競うように高めていけば、完全に取って代わるのは早いのではないでしょうか。
 また、そういったインフラ整備は景気対策にもなります。まさに「グリーン・ニューディール」といったところでしょうね。
 しかし、石油産業は米国の象徴です。石油消費量はそれほど減らなくとも、火力発電には原油のまま使えるとなれば、エンジン車が無くなれば、彼らは大打撃を受けるでしょう。
 米国オイルメジャーというのは、石油精製工場を新設せず、拡充せず、毎年のようにガソリン不足を喧伝して、相場をつり上げるようなワルです(時に日本や欧州から石油製品を輸入します!)。当然、政府もグルです。昨年、メタノールを奨励して穀物相場をつり上げたのも記憶に新しい。
 果たしてどうなる事やら。
 
 

2009.06.13 08:43 URL | cube #- [ 編集 ]

kojitakenさん、コメントを取り上げていただいてありがとうございました。

先月の党首討論で、鳩山代表が2009年度補正予算について、
「588億円かけてエコカーを1万5000台購入すること、71億円かけて地デジ対応のテレビを役所用に購入することになっている。こんなことに補正予算を使っていいんですか。」
と問いただしたのに対して、麻生首相はその質問には直接は答えず(答えられず)、
「自動車、テレビのお話がありましたけれども、少なくとも御党では確か、次の中期目標に関しましては、確か(温室効果ガスの削減を)最大限22%か、1990年比で。(中略)少なくとも可処分所得で、22万円、新たにかかることになります。加えて光熱費も14万円かかる。合計36万円もの支出がかかるということを世論が認めているかといえば、多くの世論はそれに対して反対のパブコメ(パブリック・コメント)を寄せておられるというのもご存じの通りです」
などと言い出していました。
民主党などが提案する温室効果ガス削減案が非現実的なものだ、ということを党首討論で持ち出したかったのでしょう。
負担増の試算はどこが出したものかと思っていたら、政府の「地球温暖化問題に関する懇談会中期目標検討委員会」が出していたものだったのですね。(↓PDFファイル)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tikyuu/kaisai/dai09/09sankou.pdf

そこで試算された6パターンの中から麻生首相が、2005年比-15%(=1990年比-8%)を選んで6月10日に発表、ということになったわけですね。(それが化石賞・・・)

そして民主党などが唱える、2005年比-30%(=1990年比-25%)については、6/11の麻生首相のメルマガ
http://www.mmz.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2009/0611tm/0611.html
の中で、
「これ以上、削減目標を大きくしようとすると、太陽光パネルのついた家しか建ててはいけないとか、湯水のように補助金を出し続ける、といった事態になりかねません。また、国民の負担も、余りにも重たいものとなってしまいます。2005年比30%減(1990年比25%減)といった選択肢は、年36万円、月3万円の負担となります。責任ある立場として、国民にお願いするわけにはいきません。」
と、党首討論のときと同様に批判しています。
そのメルマガには、内閣府が行った世論調査では、半数近くが2005年比-14%(=1990年比-7%)を選んだ、とありますが、どうもこれは誘導尋問くさいようです。

<温室ガス排出量:調査ごと中期目標に差 質問方法が影響か>
http://mainichi.jp/select/science/news/20090603k0000m040123000c.html
ーーー以下、一部のみ引用ーーー
内閣官房の調査では光熱費などへの影響を説明しており、「詳細に分析していないが、質問の仕方の違いで結果に差が生じたのではないか」(副長官補室)と見る。一方、電話調査を主催したNGO気候ネットワークは「内閣官房の調査は、排出量を大幅削減する場合の国民負担を前面に打ち出すなど誘導的だ。我々の調査も一つの判断材料になるのではないか」としている。
ーーー引用以上ーーー

そもそも、この報告書には次のような問題点があります。
http://www.wwf.or.jp/activity/climate/world/kyoto/2020/pblcinfo01.htm
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20090611ddm002010079000c.html
(↑を参考にしました。)

1. 実質GDP押し下げ効果
削減目標を大きくしたときに、各パターンの実質GDP押し下げ効果が非常に大きくなってしまう、と誤解され得る数値の提示の仕方になっている。
例えば、選択肢6: 1990年比ー25%のパターンでは、実質GDPが「3.2%下がる」とあり、かなりの押し下げ効果が出てくる、と思わせる。
しかしこれは、選択肢1: 1990年比+4% だと実質成長率年平均1.3%で、2020年までの15年間だと「21.3%」(←この数値は報告書には書かれていない)ということになるが、この21.3%に比べて3.2%下がる、ということで、一番削減目標が大きいパターンでも、15年間で18.1%の実質成長率がある、ということ。

2. 失業率
「削減目標を大きくすればするほど、エネルギー多消費型の産業が縮小→雇用が縮小」という側面でのみ算出した数値が提示されていて、再生可能エネルギー産業の発展や新規産業創出には、雇用増加の効果が見込める(環境省が今年3月に発表したグリーンニューディール構想では、2020年に期待される環境ビジネスの市場規模は120兆円で、雇用規模は2006年の2倍の280万人)のに、今回のモデル計算には入っていない。(←検討委員会でもモデル計算に入れていないことは明言されていた、とのこと)

3. 可処分所得、光熱費負担
可処分所得が減り、光熱費負担が増えることが強調されているが、そもそも温暖化対策の費用は、日本国内で使われる限りそれは内需拡大につながると考えることができるのに、「企業が設備投資を増やさなければならない→賃下げやリストラが加速される」という理由で可処分所得が下がることのみが算出されている。
また「電力会社が原子力発電所の増設を進めるため電気料金が引き上げられる」ことなどを理由に光熱費の大幅なアップ(1990年比ー25%のパターンでは14万円/年のアップ、1990年比ー7%のパターンでも4万円/年のアップ)を見込んでいるが、本当にそんなに増えるのか?
そもそも、火力発電所→原子力発電所へのシフトで、これまで電気料金は上がってきたのだろうか?原子力発電所には、建設費用とランニングコスト、減価償却を含めた発電コストが、火力発電所より安い、というメリットがあったはず(←もちろん一部には異論が指摘されている)なのだが?
(なお、私自身は原発推進には反対の立場です。)

他にもいくつも問題点は指摘できると思いますが、負担増にのみスポットを当てている報告書は、温室効果ガス削減なんてやりたくない、という財界の本音が反映されていると思わずにはいられません。

お粗末な報告書と、それを参考にさせた上で誘導尋問的な世論調査。
それらに基づいて、世界から笑われる方針を打ち出した麻生内閣。
恥ずかしい限りです。

2009.06.13 09:40 URL | sweden1901 #SVqLzQOU [ 編集 ]

目標についての朝日の経団連の顔色をうかがうかのような記事(今月11日)は、はがゆいばかりです。

ところが、5月31日の朝日新聞は一面で「CO2目標、縛る産業界 家庭に負担しわ寄せ」と題して産業界に甘すぎる異様な日本の温暖化対策をまともに批判していたのです。

http://www.asahi.com/eco/TKY200905300262.html

WEBでは1面に掲載された部分しか読めませんが、この記事は2面に続き、「強い政治意志」先行の欧米に対し、日本は世界では異例の業界主導で目標づくりがされていることを詳しく解説しています。
スクラップしておいたので、2面から一部引用。

─────────────────

産業界はまず自分たちの生産量や省エネ努力で削減できる量を固め、それを政府の意思決定に反映させる。実際に日本がポスト京都で背負う削減幅は、12月の国連気候変動枠組み条約の締約国会議(CDP15)で決まるが、産業界はすでに防波堤を築きつつある。
日本経団連の関係者はこう話した。「決まった前提を変えるようなことはさせない。こちらにも手練手管がある」

─────────────────
たとえ政権交代があろうと変わらないと言っているようにも聞こえてしまいます。

小森敦司編集委員、同・石井徹の署名が記されていますが、11日の記事でも石井徹委員による「世界に後れとる恐れ」とした「解説」の部分にかろうじて5月31日の記事との共通性が感じられます。それにしても最近の朝日は時々「朝日らしい」記事があってもそれが続かないみたいな事がすごく多いように思えますね。


ところで、憲法改正の手続きや中身を決めるための憲法審査会規定が11日衆議院を通過しました。解散間際に郵政選挙で得た数の力を使い切ってしまおうといわんばかりです。
改憲派議員もかかえる民主党も一致して反対したのは国民投票法の採決で当時の安部元首相率いる自民党が採決を強行したことへの反発もあったと言われていますが、反対を表示したことは評価したいです。しかし、鳩山代表が代表就任直後にNHKの番組で、それまで凍結していた憲法審査会を始動させ、議論の開始を容認する発言をした事を忘れるわけにはいきません。

2009.06.14 00:39 URL | ぽむ #mQop/nM. [ 編集 ]













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これまでの 沢山のご支援に応じる事もかなわず kimera25は閉鎖されました。

2009.06.12 23:59 | kimera99