きまぐれな日々

天安門事件20周年も秋葉原事件1周年も触れないまま、選挙制度改悪の動きを批判するエントリばかり上げている。アクセス数だけを重視するブログ運営をするなら、この件は、環境・エネルギー問題や世襲制限批判に次いで不人気なのだが、止めるわけには絶対にいかない。民主主義の根幹に関わる問題だと思うからだ。

だが、本論に入る前に、このところ常軌を逸してきた自民党の妄動を批判しておくことにする。これも、書く機を逃しそうになっていたが、絶対に見逃してはならない件だ。

6月7日付の読売新聞記事から引用すると、

 麻生首相は7日、東京都議選(7月12日)の立候補予定者の応援で訪れた武蔵野市のJR吉祥寺駅前で街頭演説し、弾道ミサイルの発射準備を進める北朝鮮に関し、「戦うべき時は戦わねばならない。その覚悟を持たなければ、国の安全なんて守れるはずがない」と述べ、制裁強化などで圧力を強める姿勢を強調した。
(2009年6月7日19時31分 読売新聞)

とのことである。

自民党は、これまでも困った時には北朝鮮を政権浮揚のために利用してきたが、ここにきてのこの麻生発言は、いよいよ自民党が頼れるものは北朝鮮しかなくなったという印象だ。それにしても、民主党との戦い(総選挙)から逃げている麻生首相が、北朝鮮と戦う覚悟を国民に強要するとは呆れる。こんなのを、「選挙に勝てる」ことを理由にして総裁に選んだ自民党には、下野してもらうしかない。

ところで、その自民党には「衆参両院を統合し『一院制の新国会』を創設する議員連盟」(衛藤征士郎会長)というのがあり、この議連が9日の役員会で、2019年に衆参両院を対等に統合した「新国会」を発足させるとの決議案を決めたとのことだ(朝日新聞記事より)。

同議連は決議案を党改革実行本部の武部勤本部長に提出し、次期総選挙の公約に盛り込むよう求めたが、その内容は、

(1)国会の定数を現在の衆参両院(衆院480、参院242)から約3割減の500人(2)選挙区は原則、大選挙区制で、人口25万人に1人の議員選出を目安に各都道府県に定数を割り振る――としている。
(2009年6月9日21時14分 朝日新聞)

とのことだ。これを実現するためには憲法改正が必要で、そのための原動力にしたいという意図がミエミエだし、うるさい参議院を廃止してしまえというのも論外だが、以前の中選挙区制よりさらに区割りの大きな「大選挙区制」を打ち出しているのは、自民党の党勢が衰退した今となっては、その方が自民党に有利だという党利党略からきているものだろう。公明党への配慮もあるかもしれない。だが、もちろんこんな案は認めるわけにはいかない。

一方、民主党も9日午前の常任幹事会で、定数削減を含めた参院の選挙制度のあり方を議論する「参議院選挙制度等改革検討委員会」の設置を決めた(産経新聞記事より)。座長は岡田克也幹事長、座長代理に輿石東参院議員会長が就き、5人程度で議論するとのことだが、わずか5人の意見で選挙制度をゆがめてしまおうなどというのは、とんでもない話である。産経新聞によると、

現在の党勢の原動力でもある参院第一党の立場を揺るがしかねないとの懸念から党内の参院側に慎重論もあることからとりまとめは難航しそうだ。
(2009年6月9日12時36分 産経新聞)

とのことだが、当然だろう。産経の記事は触れていないが、昨日のエントリでも触れたように、社民党の反対もある。

ところで、比例区を狙い撃ちにした民主党の議員定数削減案については、共産党支持ブログの主張が活発で、友さん運営の「大脇劇場」からはエールもいただいている。いただいたエールに対する反応が遅れてしまったが、ここにお礼を申し上げる。

また、当ブログにも民主党右派に近いと思われるcubeさんから、下記のコメントをいただいた。

私は民主党が平沼や鳩山弟や橋下と握手することは、まだ「合従連衡」の内であり、現実的対応として許されると思います。
しかし比例定数削減はよくないですね。私が民主党にメールしたら、

今回ご指摘の「参議院の議員定数削減」は、民主党としての方針ではございません、各議員により、それぞれ考えはあるのでしょうが。民主党は行政改革などを顧みて、議員数も削減すべきとの施策を主張し、衆議院議員の定数を400人に減らすための法律案(公選法改正案)を2004年の第159回通常国会に提出いたしました。
有権者のみなさんのお考えを鏡のように反映させようとすれば「比例代表選挙」ですが小党分立状況になりますし、政権交代をやりやすくするならば「小選挙区選挙」となり大政党に集約されていきます。選挙制度は、各党ばかりでなく政治家個人間でも、「最良」の制度は異なるものだと思います。

などというあいまいな返事をいただきました。
福島さんは、「連立しないかもしれない」ではなく、「しません」とはっきり言うべきですね。この社民党の対応は正しい。
2009.06.09 10:25 cube


当ブログは、共産党とも意見が合わないないところがあるし、それ以上に「平沼や鳩山弟や橋下と握手する」ことを容認するcubeさんの意見とも合わないのだが、比例区定数削減反対については三者の意見が一致する。民主党に抗議のメールを送られたcubeさんには敬意を表したい。

それにしても、「民主党としての方針ではない、各議員により、それぞれ考えはある」と言いながら、岡田克也や輿石東ら5人だけで比例区定数を削減してしまおうという民主党執行部のゴリ押しは断じて許されるものではない。党代表の鳩山由紀夫は強烈な比例区定数削減論者であり、鳩山代表の意向も民主党の動きに反映していると考えて間違いあるまい。

民主党内からも異論は出ている。「JANJAN」で、民主党員のさとうしゅういち記者が伝えるところによると、6月6日午後6時に広島県福山市を訪れた民主党鳩山代表の遊説会場は、超満員で人があふれてしまい、その人気は「小泉旋風を髣髴(ほうふつ)とさせる」ものだったそうだが、さとう記者は「議員定数の削減を今やるのはまずいのではないか」という質問をしたかったが果たせなかったとのことだ。だが、民主党内からの異論をネットで発信している。さとう記者は「広島瀬戸内新聞ニュース」で、反対の理由を、

選挙協力にも悪影響が出るし、官僚をうまく押さえ込んで使いこなすには、議員は当面減らさないほうがいいのではないか?むしろ立法は強化すべき。

と書いている。

しかし、「反自公」を唱えるネットの主流になっているブログや掲示板では、民主党の定数削減案への反対の声はいたって弱い。彼らの司令塔的存在である植草一秀氏のブログは、さすがに「総選挙の争点と国会議員定数削減論への反対論」と題するエントリで、さる掲示板に「風太」さん(当ブログのコメント常連の方でもある)が投稿された記事を引用する形で、定数削減に反対の意見を表明している。そのこと自体は評価できるが、定数削減を強硬に主張する鳩山代表や岡田幹事長ら民主党執行部に苦言を呈する文言が見当たらないのが画竜点睛(がりょうてんせい)を欠く。オピニオン・リーダーの腰が引けているとフォロワーたちが感じたら、彼らは民主党執行部に物申す姿勢を全く見せなくなるので、植草氏には率先垂範をお願いしたいと思う。植草氏がブログからリンクを張った憲法学者の上脇博之教授(神戸学院大学)のブログ記事には、「しんぶん赤旗」の記事からの引用や、同紙にインタビューを受けた時の上脇教授のコメントも掲載されており、この件に関しては植草氏は共産党と同意見だと考えて差し支えないと思うのだが、そのことや民主党執行部への批判の文言を表に出さないあたりに物足りなさを覚えるというか政治的意図を感じる。だが、留保はつけるけれども国会議員定数削減反対論に関しては、当ブログも植草氏の意見に賛成である。

ちょっと今日の記事は長くなり過ぎたが、物言えば唇寒しであってはならないと考え、長文をつづった次第である。ここまで読んでくださった読者の方々には、お礼を申し上げたい。


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日曜日、社民党と共産党にメールを出しました。社民に対しては「福島党首は常々社民党を大きくしなくちゃ、せめて党首討論ができる二桁の議席を獲得したいと述べられている。今回の比例区削減案に断固反対しなければ支持者への重大な裏切りになってしまう。90年代初頭の過ちを繰り返さないように、戦後民主主義の灯を消さないように」、共産党には「国民運動にもっていかなければならない重大な問題なので自ら孤立化に追い込むような愚をおかさないようにしてほしい。政党助成金を受け取らない貴党の態度は立派で筋が通っているとは思うが、政党助成金の廃止だけを訴え議員歳費を問題にしないとしたら一般国民の共感は得られないと思うので、そのあたりも考慮する必要もあるのでは」との主旨で書きました。
民主党に対してもメールしようと思っていますが、まずは近々行われる地元選挙区候補主催の市民フォーラムに参加して直接質問してみるつもりです。「リベラルの会」発足の世話役も務めた方で、HPで読む限りは政策や今までの活動等賛同できる点多々なので投票するつもりでいますが、民主党リベラル派がこの件をどう考えているか知りたいところです。

植草一秀氏のブログは、実はほとんど訪問したことがないのですが、偶然にも定数削減に反対したエントリーは読みました。そして、それが風太さんの掲示板への書き込みに対するかたちで述べられていることも知りました。風太さんと民主党にメールされたcubeさんに敬意を表します。

一方、昨年から既に「定数削減賛成」を表明されている天木直人氏は、最近も日刊ゲンダイが掲載した小泉チルドレン杉村太蔵議員不出馬表明の記事を引用するかたちで持論を繰り返されているようです。しかし、ここでタイゾー君を持ち出すのは、いわば一部の不正受給者を例にあげて生活保護受給制度を批判するような稚拙な論理です。
最近、非常に民主党寄りの発言がめだつ同氏のブログ(無料で読めるところだけですが)ですが、それはさておき、9条擁護を旗印としているはずの氏が改憲と一心同体といっていい選挙制度改悪にかくも無神経なのは驚きです。小沢氏についても「過去の彼は知らない。現在の彼は確かに違う」とあっさり言い切っていられますが、天木氏の年齢・キャリアで90年代の政治改革を知らないわけはなく、まして小選挙区制導入と改憲や小沢氏の関係が見えていないなどとは考えられません。

その他にも、穏健保守というか民主党寄りで私とは立ち位置が少し違っているとはいえ民主主義と現行憲法の精神を尊重するという点では共感を感じていた一部ブロガーさんもほとんどこの件ではスルーされているのにも失望しています。

90年代初頭の政治改革をどうとらえるかは、既に歴史観の範疇になっているのかもしれません。

2009.06.10 12:00 URL | ぽむ #mQop/nM. [ 編集 ]

私も比例の定数削減は反対です。貴ブログの以前の記事と同じ意見で、小選挙区だけでは、得票率と議席数が大きな差となり、民意の切り捨てになりますからね。比例を削減すると私の大嫌いな共産、社民の議席は壊滅的でしょうが(笑)貴ブログで右派と位置付けられる私も反対なのに誰が賛成何でしょう?自民、民主共に人気とりでやってるんでしょ?多くが反対なのに意味があるのか?

2009.06.10 12:47 URL | 資本主義者 #- [ 編集 ]

まあ人気とりというより、各党に都合がいい(と思われる)案なんでしょうか。しかし、大選挙区とは何を考えているのやら。連投すいません。

2009.06.10 12:54 URL | 資本主義者 #- [ 編集 ]

政策方針の擦り合わせもしないまま、支持率好調の勝ち馬民主党とくっ付こうとする社民党を初めとした少数野党の態度が、近衛文麿という勝ち馬に右から左までワラワラと飛び乗った大政翼賛会とダブって見えてなりません。

その辺りを意識して、徹底した独自の政策維持と信念を貫く共産党だけは評価できますね(労働党に党名が変更すれば人気でると思うのですがね)。

ちなみに、福島みずほ氏の内心を正直に言えば、民主政権で社民党が潰されないか心配なのではww?

2009.06.10 16:20 URL | 与志 #- [ 編集 ]

「民主党、定数削減」で検索してヒットしてきた、民主党の中村哲治議員メルマガの記事(2000年1月)
http://archive.mag2.com/0000016530/20000123180000000.html?start=219
は、国会議員定数削減のメリット・デメリットが中立の立場で書かれているように思えました。
しかし最後には、「国全体の意思決定のスピードを上げるためには、もう少し代議士の数を減らす方が良いと思います。」
とあります。
民主党は2003年のマニフェストから議員定数削減を掲げている(そしてそれより前から党の方針としていたと思います)ので、所属議員がこのような考えであるのはある意味当然なのかもしれません。(だからこそ、民主党へ直接メールを送って反対の姿勢をアピールすることは重要だと思います)

蛇足ながら、1998年、自由党党首(当時)の小沢氏が、衆院比例の議席50減(=150議席)を目指すことで自民党と合意して自自連立が成立したこと、その後公明党も巻き込んで、2000年2月に自自公の賛成で20減(=180議席)案が成立した、という、小選挙区比例代表並立制における定数削減の歴史を思い出させてくれました。

民主党内にも定数削減に反対する声はあることもわかりました。(以下は、参議院の定数削減についての反対意見ですが)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090603/stt0906032314011-n3.htm
鳩山、岡田がそろってマニフェストに盛り込む考えを表明した参院の定数削減問題も火種となっている。
6月3日の参院民主党の議員総会は、それを強く予感させるものだった。
「国会議員を減らせば国民が喜ぶと思っているのか。立法府の議員の数を減らして国民が安心するか。官僚任せになるだけだ」
副代表、北沢俊美は定数削減に真っ向から反対を表明した。
ーーー引用は以上ーーー

さて、議員定数削減によってどのくらいの金額が節約できるのでしょうか。

国会議員に支給される歳費、文書通信交通費の合計は、ヒラ議員で5000万円弱/年。
もし
「衆参両院を統合し『一院制の新国会』を創設する議員連盟」 の案:
<国会の定数を現在の衆参両院(衆480、参院242)から約3割減の500人へ>
が実現すれば、722人→500人なので、222人減。
全員がヒラ議員として試算すると、111億円/年の削減です。

一方、補正予算が成立したあとであるにもかかわらず、自民党内からも関連予算の執行停止を求める議員が出てきた、いわゆるマンガ・アニメ・ゲーム博物館(国立メディアセンター)の経費は117億円となっています。

国民を代表して立法府に送り込まれている国会議員を減らして111億円を浮かせるよりも、117億円もかかる、麻生首相の趣味の延長とも揶揄される事業をストップする方が何倍も良いと私は考えます。

また、昨日も書きましたが、政党交付金は共産党以外の政党が受け取っているわけですが、全党合わせて約300億円/年で、単純に議員人数で割ると、一人4000万円くらいです。
支持政党ではない政党に税金が投入されるという問題も含むこの制度には、共産党のみならずとも疑問を抱く人も少なくないはずです。
政治には何かと金がかかるので交付金(や歳費、文書通信交通費)は必要、というのであれば、これらの金にこれまでほどは頼らなくても済むように、個人献金をしやすくする方策を考えていくべきではないかと考えます。
(個人献金に関しては↓こんな記事もありました。一歩前進だと思います。メンバーがちょっと気になりますが)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090604/stt0906041936012-n1.htm

2009.06.10 19:33 URL | sweden1901 #SVqLzQOU [ 編集 ]

どうも、コメントを取り上げてくれてありがとうございます。今後も政党等にメールして返事をもらえたら、ご報告いたします。

それから、植草氏をどうもkojitakenさんはあまり誉めないようですが、彼はもはや欲得なしにブログをやっていると思いますよ。
今日の記事も、小沢・民主党応援団を今やっている高野孟を、西川社長擁護という意味で批判してますね。植草氏も、民主党やマスコミ関連に色気があるなら、控えるでしょう。
植草氏が城内実を評価するのは、郵政民営化反対の同志ということのみで、城内氏の右翼的経歴には全く無頓着なんでしょう。政治家の左右にはあまり興味ないようです。
彼はなにしろ、反竹中経済学者の筆頭ですからね。確かに冤罪だとしたら、本当に気の毒だし、もったいない人物です。

2009.06.10 20:00 URL | cube #- [ 編集 ]













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