きまぐれな日々

ここにきて自民党および麻生太郎の迷走が再び目立つようになってきた。このところ、麻生首相や自民党のイメージを下げているのは、厚生労働省の分割を麻生が口にしながらすぐ取り下げたことや、国会議員の世襲制限が党内から、議員定数の削減が党内および公明党からそれぞれ反発を受けてまとまらないこと、それに日本郵政の社長人事をめぐる日本郵政の西川善文社長と鳩山邦夫総務相のバトルに麻生が身動きできずにいることなどだ。

国会議員の世襲制限については、そもそも世襲議員が党を牛耳っている自民党にそんなことができるはずもないという当たり前の話だが、菅義偉はなお世襲制限にこだわっている。菅は安倍晋三の側近として知られるが、ボンボンの安倍とは対照的な苦労人で、高校を出ていったん集団就職で上京したあと、働きながら大学に入って卒業した経歴を持つ。2000年の「加藤の乱」では不信任案に欠席した。当時は加藤派で、現在は古賀派に籍を置く。そんな菅が、なぜ安倍晋三の側近になったのかよくわからないが、菅は本気で世襲制限を唱えていると考えて間違いないだろう。だから、党内のあつれきも強くなる。それでも、民主党ほどには踏み込めない。

議員定数削減については、もともとが自民党が、憲法改正や、野党に過半数を握られている参議院廃止を狙って民主党の議員定数削減案に悪乗りしたものであって、党内はもちろん公明党の強い反発を食って、マニフェストには削減数も盛り込めないと見られている。これはまあ正常な復元力が働いていると考えるべきだろう。むしろ、民主党がなお定数削減をマニフェストに盛り込もうとしている方が問題だ。これに関して、社民党の反発があまり強くないように見えることが解せない。社民党は、民主党に吸収合併されてもかまわないと考えているのだろうか。国民新党がそう考えるのは、保守政党同士ということでまだわかるのだが、社民党が民主党に呑み込まれて民主党が社民的な性格を強めるかというと、決してそんなことにはならないと私は思う。

なお、このところ当ブログでは選挙制度に関するエントリをあげてきたが、読者の方には当ブログが「中選挙区制復活を主張している」と誤読される方がおられるようだ。当ブログが最初に衆議院の選挙制度について取り上げたのは、2007年6月26日付エントリ「「タレント候補」の集票力の低下」だが、そこで書いたように、当ブログは「小選挙区比例代表併用制」の採用を主張している。この制度は、実質的に比例代表制である。中選挙区制については、現行の小選挙区比例代表並立制よりはましだと言っているに過ぎない。比例区のあり方を(現行制度のまま)見直せというのなら話は簡単で、せめて「政治改革」の初めの頃の議論並みに、小選挙区と比例区の定数を同数に戻せというだけだ。

現行の選挙制度は政権交代を起こしやすくする制度だという、「政治改革」の頃の議論に刷り込まれた読者はずいぶん多いようで、2000年と2003年の総選挙では民主党が小選挙区制の恩恵を受けたと仰る。しかし、初めて小選挙区制が導入された1996年の総選挙では、中選挙区制のままであれば新進党と民主党の連立政権が(連立を組もうとすれば)成立したという試算がある。2000年の総選挙では自民党は小選挙区で41%の得票率で59%の議席を、2003年には44%の得票率で56%の議席を、そして2005年には49%の得票率で76%の議席を得た。一方民主党は2000年に28%の得票率で27%の議席、2003年には37%の得票率で35%の議席、2005年には36%の得票率で17%の議席だった。このことは、政党がある程度大きければ、第二党は第三党以下より小選挙区制の恩恵を受けるが、それでもこの制度では第一党が圧倒的に有利であることを示す。そして、少しでも第一党と第二党の得票率の差が開くと、それはとんでもない議席数の差に拡大されることを冷徹に示したのが前回の「郵政総選挙」だった。「自民党ほど小選挙区制の恩恵を浴した政党はない」というのが真実なのだ。それでも民主党が比例区の定数削減にこだわるのは、今後の国政選挙では民主党が得票率で1位になると考えているからだろう。党利党略以外のなにものでもない。

日本郵政の社長人事をめぐる各紙の報道については、毎日新聞が「社説ウォッチング」でまとめている。これによると、麻生の統治能力欠如を問題にしているのは主に毎日新聞で、日経や朝日は鳩山邦夫の暴走を批判し、西川善文続投の方向で麻生が指導力を発揮するよう求めているという。ところが、記事には書かれていないけれども注目されるのが、従来日経や朝日と同じ方向性をとっていた読売が、突如として西川善文の経営責任を問う方向に社論を転換したことだ。これにより、「ネオリベ・あらたにす連合」の一角が崩れた。当ブログの邪推(笑)によると、これはナベツネが提案した厚生労働省の分割案を麻生が反故にしたことに対する意趣返しで、読売が(というよりナベツネが)麻生を見放したのではないかと思うのである。

この件に関しては、政局に持ち込もうとする鳩山邦夫のぎらつきぶりに辟易するので、当ブログはあまり熱くなれない。「敵の敵は味方」という思考は私は好まないのである。私がこだわっているのは、かつての民主党結党時に、鳩山兄弟が「排除の論理」を言って、さきがけの武村正義氏や社民党の村山富市氏の合流を拒んだこと(特に弟の鳩山邦夫が彼らを「裏切り者」呼ばわりし、決して民主党には合流させないと強硬だったこと)や、その後1999年に民主党を離党して東京都知事選で石原慎太郎と争った時に民主党の支援を受けて選挙戦を戦いながら、その後あろうことか自民党に復党し(いったいどちらが「裏切り者」なんだろうか)、2003年の総選挙では菅直人と同じ選挙区に「刺客」として立候補したこと(選挙区では落選したが比例区で復活当選)、それに「ベルトコンベヤー」式に死刑執行を(大量に、事務的に)行えと主張したことなどであり、要するに鳩山邦夫というのは自民党の政治家の中でも私が特に嫌っている人間の一人なのである。こんな人物にエールを送るつもりは私にはさらさらないし、万一鳩山邦夫が民主党に合流した場合を想定した時、菅直人について「あのような人物を一国の総理にするわけにはいかない」と言った鳩山邦夫の発言を思い出さないわけにはいかないのである。

なんだかんだ言って小沢一郎の最大の功績は、民主党を割らなかったことだった(「改革クラブ」を結成した極右議員を除く)。しかし、万万一鳩山邦夫が民主党に合流した場合、この男は最悪の民主党分裂要因になるだろう。それなのに、兄の鳩山由紀夫は邦夫にエールを送った。一方、岡田克也は冷たく鳩山邦夫を批判した。両者を比較した時、鳩山由紀夫の言動は軽率であるとしか私には思えないのである。


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鳩山由紀夫が鳩山邦夫にエールを送ったと書かれるが、それには異論がある。
敵の敵を味方には思えなくても、
対立勢力の結束を崩すためには、たとえ茶番劇に見えようと、
とりあえず本丸の敵と対立する(ように見える)勢力は鼓舞しておくに限る。
その程度のことではなかろうか。
裏を見て事の真相はこうだ、と常に先見を発揮して発言することは
必ずしも人の心を掴むことには繋がらない。
物事を素直に見つめる視線を好む風潮の方が、むしろ世間では多いのではないか。
民主党党首鳩山が、どこまでこれら人心掌握の類いを意図して
総務省鳩山の背を押す発言をしたのかはわからないが、
とりたてて騒ぐほどのことでもあるまい。
もし、ブログ主が鳩山兄弟が本当に合流すると本気で思っているのなら、
無用の心配と言っておく。
そこまでの節操の無さを発揮すれば、
あの弟は今後政界で兄に頭が一切上がらなくなる。
そのような事態になることを、あの利かん坊の弟が良しとするとも思えない。
それよりも、麻生応援団の旗頭である鳩山邦夫が、
マスコミを抱き込んだ検察の異常捜査による小沢秘書逮捕事件の影響が下火になった、
この時点で、国民の注視を集める事態を引き起こしたことに対して、
想像力を働かせた方が良い。
何にせよ彼の言うところの「正義」に彼が殉じるつもりがあれば、
もっと早い段階、遅くとも補正予算成立前にでも
然るべき態度を取っておくタイミングは、いくらでもあったはずなのだから。

2009.06.08 10:21 URL | shimura #XQYq98OQ [ 編集 ]

 kojitakenさん。私はあなたが中選挙区制復活を考えていると誤解してそれを前提に批判していた。そのことについては率直にお詫びしたい。私も比例の強化には賛成だ。
 さて一つお聞きしたいことがある。私もあなたと同様に小沢や鳩山には懐疑的だ(岡田に関しての評価は違うように思うが)。そして私は将来的に政界再編をしなければならないと考えており、その際に左の結集した政党が出来ることを望んでいる。
 そこでkojitakeさんにお聞きしたいのは政界政変に関して直近は論外としても将来的にどう考えておられるかということをお聞きしたい。また再編の後の左の結集を望んでおられるとしたらどのあたりの人がその中に入るのかお聞きしたい。特にその政党での最左翼と最右翼(全体としては中間的な位置になると思うが)の境界についてどうお考えになるのか。そしてテーマごとに違う場合の取り扱いついてはどうお考えになるのか。このあたりのことについてお手数ですがいつか時間のある時にブログにかいていただけるとありがたいと思う。

2009.06.08 12:11 URL | 政権交代を望むものとして #- [ 編集 ]

newsingに投稿させていただきました。
http://newsing.jp/entry?url=caprice.blog63.fc2.com%2Fblog-entry-923.html

2009.06.08 13:39 URL | ursaemajpris #dDasgHZQ [ 編集 ]

ココログからTBが通りませんので、。

↓下記アップしました。

出た~ぁアホウ太郎、国民に焦土戦の覚悟を迫る⇒最後の奥の手求心力「対北、戦うべき時は覚悟を」
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2009/06/post-9412.html

↓エントリー中、下記You Tubeをご紹介しています。

昨日、6月7日の麻生吉祥寺駅前演説「対北、戦うべき時は覚悟を」
http://www.youtube.com/watch?v=i_3VQDuzqPU

以下3本も、
麻生太郎総理大臣吉祥寺駅街頭演説(1、2、3)
http://www.youtube.com/watch?v=fWZkwXgPP7Y
http://www.youtube.com/watch?v=kySXbEbRcLU
http://www.youtube.com/watch?v=wh4W1WqG8Y8

↑↓戦争ごっこを煽ってる場合じゃないでしょう。と言うことで、

看護師2万人に過労死の危険:過酷な実態
のYou Tubeなども。

2009.06.08 16:44 URL | SOBA #XPXthLJ6 [ 編集 ]

国会は臓器移植法の改正案をめぐって、9日の衆議院本会議で中間報告が行われ、
採決をにらんだ議論が活発化する。

採決順に苦慮、後ほど有利?=臓器移植法改正4案-衆院

異なる4案が審議中の臓器移植法改正案をめぐり、与党が衆院本会議での採決方法
に苦慮している。与党や民主党などは「個人の死生観にかかわる」として党議拘束を外
すため、「採決順序が投票行動に大きな影響を与えかねない」(自民国対幹部)ためだ。
衆院議院運営委員会は8日の理事会から具体的な調整に入る。

貴方はどの案に賛成ですか。アンケートはこちらをクリックして下さい。
現行法改正不要  19
A案 1
B案 0
C案 3

注)D案は命との交換、曰く付きの臓器を前にして倫理委員会の判定は抑止力を持たない、
曰く付きの臓器が排除される事は無い。
この事から、D案はA案の代替案になりえない。

命と交換、生命の尊厳に関する臓器移植法、法案提出者は改正案が必要な理由を
明確にして下さい。
この10年間に何人の患者が臓器移植をしたか、法改正で何人の順番待ちの患者が救
われるのか。
国籍法が改正されて、臓器販売を目的としてDNA鑑定を排除して偽装認知した子供の
臓器提供の防止策が十分であるか、特に麻薬密売闇市場よりも、更に深刻な臓器密
売闇市場に対する対策が十分であるか、臓器販売闇市場の開設を企む犯罪行為に加
担するために臓器移植法の改正を急ぐのであれば、この法案の成立を許してはならない。

【臓器移植法改正案関係の掲示板】
http://www.aixin.jp/axbbs/kzsj/kzsj11.cgi
【臓器移植法改正案タイトル一覧】はこちらをクリックして下さい。

2009.06.08 18:34 URL | 愛信 #EBUSheBA [ 編集 ]

kojitakenさん、こんにちは。
「排除の論理」、わかりませんね。噂の眞相96年12月特集2には、「民主党の仕掛人政界フィクサー稼業・高野孟の”正体” 」というのがあって、高野さんの筋書きだったのではないかとの推測が書かれています。
ttp://www.asyura2.com/07/hihyo6/msg/238.html(頭h抜き)
高野さん自身は、旧民主党の発足に深く関わっていたことは、「政治資金問題をめぐる政治・検察・報道のあり方に関する第3者委員会」でのヒヤリングやTHE JOURNALで述べています。
ttp://www.videonews.com/asx/press/090501_dpj-1_300.asx(頭h抜き)
ttp://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/05/96.html(頭h抜き)
「排除の論理」については定かではありません。
鳩山総務相と西川さん続投問題の件は、麻生さん、小泉さんの了解の上の芝居というネット上の説を見て、盛り上げておいて西川さん続投阻止英断で麻生さんの人気を上げるという手もまったく無いことはないなあとは思いました。でも、新自由主義反省気運はありますが、構造改革支持のかたも、またまだ多いでしょうから、そこまで評価される材料になるかは疑問です。
「かんぽの宿」は、社民党保坂展人議員がよく調べ、野党3党の「かんぽの宿疑惑追及チーム」が西川社長を東京地検に告発していますので、その行方も注目しています。

2009.06.08 21:36 URL | 散策 #TY.N/4k. [ 編集 ]

中選挙区制の件、私も誤解していたようで済みませんでした。

中選挙区制については、
・少数意見を取り上げられるという点で、大政党にのみ有利な現行の小選挙区比例代表並立制よりマシである。
・中選挙区制のままだとしたら1996年の総選挙で政権交代は起きていたという試算もある。一方、小選挙区比例代表並立制は、「政権交代を起こしやすくする制度」と宣伝されていたが実際にはそうなっていない。
ということをおっしゃっていると認識しました。

前者についてはその通りだと思います。今後選挙制度を変えるとしたら私は、kojitakenさん同様、1993年の政治改革のときに社会党などが主張した小選挙区比例代表併用制が良いと思っています。

後者については、1996年の総選挙については、もし中選挙区制のままであったなら自民党は中選挙区制なりの戦い方をしていたはずですし6/3のエントリーのコメントにも書いたように、自民党は細川政権の誕生を許して下野することの意味を知っていたわけですから、そう簡単に下野に追い込めなかったのではないかと思います。
よって、自民党を政権から引きずり下ろすには、中選挙区のままではダメだったのではないかと私は思ってはいますが、「現行の選挙制度は政権交代を起こしやすくする」という刷り込みを受けているだけかもしれませんのでこの件についてはこれ以上触れることはしません。

2009.06.10 00:55 URL | sweden1901 #SVqLzQOU [ 編集 ]













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