先日の大阪府松原市の市長選挙で自民・民主・公明が推薦する澤井宏文氏が共産党推薦の梅木佳章氏に勝ったが、敗れた梅木氏が44.21%の得票を集めて善戦した。この選挙結果からわかることは、民意は現在の自民党政治には強い不満を持っているが、民主党への支持もさほど広がっていないということだ。そんな状態で、今年の衆議院選挙で政権交代が起き、民主党が中心になる連立政権ができたとしよう。新政権は、発足当初には高い支持率を記録するだろうが、間もなく支持率は低下し、やっぱり民主党でもダメじゃないかという声が高まることが予想される。その場合でも、これまで長きにわたって国民の利益に反する政治を行ってきた自民党が見直されるとは考えられない。そこで、自民・民主以外の勢力を求めようにも、議席がほとんどなくどうしようもない。かくして、民意を反映しない自民党と民主党の政権交代が続き、国民の政治離れが加速する。これが、「二大政党制」の現実だと私は思う。
90年代の「政治改革」は、イギリスやアメリカ流の二大政党制を目指すものではあったけれど、だいぶ前にTBSの「サンデーモーニング」だったと思うが、アメリカでの世論調査によると、二大政党以外の第三極の政党を求める声が多いことを伝えていた。日本でも戦前の1927年(昭和2年)、与党・政友会に対抗する政党を作ろうと、民政党が結成された。この民政党結成に際しては、政友会を離れて加わった政治家も多く、自民党と社会党の出身者がほぼ半々でスタートした1998年の民主党を思い出させる。体質的にもよりタカ派的で官僚との結びつきも強く、利益誘導型政治を行ってきた政友会に対し、民政党の方がハト派的だったが、民政党も政友会と共通する性格も持っていた。この点も、党内に右翼や新自由主義者を多く抱える民主党と似ている。そして、民政党の浜口雄幸内閣は、コイズミにも比較されるポピュリズム政治を行い、人気は高かったが成功したとはいえなかった。国民の政治不信は高まり、極右が台頭してテロ事件が発生した。5・15事件で政友会の犬養毅首相が暗殺されると、軍人首班の内閣が成立し、政党政治は終焉した。その後の1940年に大政翼賛会が発足し、二大政党制は失敗に終わったのである。
一度戦前に失敗した二大政党制を、イギリスやアメリカに倣ってもう一度試そうとしたこと自体、決して賢くない選択だったと私は思っている。しかし、1990年代のマスコミは、政治改革に積極的な政治家に「改革派」、消極的な政治家に「守旧派」というレッテルを張った。その急先鋒だったのが田原総一朗である。あの頃私は、「サンデープロジェクト」を見ながら、毎週毎週よくもまああんな空疎なパフォーマンスができるなあと呆れていたし、当時非常に多忙だったため、政治への関心も薄れていた。私は自民党には過去一度も投票したことはなく、私の投票した候補者はたいてい落選していたが、1993年の総選挙で自民党が善戦した結果には、当然だと思った。この選挙の前に、小沢一郎らが離党して新党を結成していたため、解散時点で自民党は既に過半数割れしていたが、「守旧派」たちは勢力を守って下野したのである。明らかに、民意は必ずしも「政治改革」を支持してはいなかった。もちろん私は自民党嫌いだったから、非自民連立政権に一定の期待はしたが、小沢一郎が消費税の大幅増税を狙ったり、連立政権から社会党とさきがけを追い出そうとしたことにすっかり嫌気がさし、1994年の自社さ連立政権成立をむしろ歓迎したくらいだった。
朝日新聞は、「年金・定数削減…鳩山民主、マニフェスト見直し始動」と題する記事で、
と伝えているが、そもそも定数削減が本当に必要なのかという点に加えて、中選挙区制のままだったらとっくに政権交代していたはずが、ここまで自民党政権を延命させた小選挙区制を中心とした選挙制度はこのままで良いのかという議論がなされなければならないと思う。国会の定数削減も現実味が問われる。衆院では比例区80減を掲げるが比例区に頼る他党の反発が必至で時期に踏み込んでいない。参院もマニフェストに削減を明記する方針だが、3日の参院議員総会では反対の声があがり、人数までは明記できそうにない。
小選挙区制は、政治から民意(比較少数ではあっても、決して無視できない)を排除する最悪の選挙制度であり、これを廃止することが政治を国民の手に取り戻すために必要不可欠であると当ブログは主張する。
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天皇主権であった戦前での議会政治と、国民主権である現在の議会政治を
まるで同一線上のものであるかのように語り、
前者、戦前における政治事例を現代の政治の失敗例のごとく語るのは、ナンセンスだと思われます。
確かに日本は民主主義移行において市民による政府政権打倒を経験していないために、
国民精神において立憲君主制を克服できていないところがある。
とはいえ、両者を全くの同一線上にあるかのごとく語るのは、
詐術に近い論理の飛躍と思われます。
天皇主権の憲法下の議会と国民主権の憲法下での議会では、
やはりできるものとできないものの差がある。
後者国民主権が優れているという話では決してなくて、質的な問題として。
私はどちらかというと、国民が政権交代を繰り返していくことで主権者意識に目覚め、
民主主義の皮をかぶった社会主義国(最も成功した社会主義国)であったこの国を、
本当の意味での民主主義国家に変えていくのではないかと希望しています。
まあ後50年くらいのスパンで見ないと、どうなるかわからん話ではありますが。
2009.06.04 09:36 URL | shimura #XQYq98OQ [ 編集 ]
いいじゃないですか、兄弟再合流のパフォーマンスでも。あれだけ大立ち回りを演じてくれれば、少なくとも国民に西川氏を囲んだグループの汚さをアピールしてくれています。
鳩山邦夫氏の主張は、民営化自体には反対でないそうで、中途半端なようですが、それでも、現職大臣でなければ、これだけの破壊力は持てません。
ちなみに、西川社長を告発した超党派議員のうち、民主党議員は、原口、川内、松野、武内の4氏で、皆、鳩山・小沢派であるのが興味深い。
もちろん、岡田支持の議員でも名前を出さないだけで、同調しているんでしょうが、
ここは一気呵成に小泉・竹中・西川グループを有罪まで持って行く努力をすべきでしょう。
また、共産党議員はどうしてここでも一名も共同歩調がとれないのでしょうかね。
2009.06.04 15:37 URL | cube #- [ 編集 ]
小選挙区制が少数意見を排除する制度だということはそのとおりだ。自民と民主以外の選択肢がなくなるということに関しては仰るとおりだ。だが私はそれでも2大政党制に期待したい。政権をベストな勢力が担うようになるというのは目指すべき目標とはいえ現実的には不可能ではないかと思う。ならば不完全とは一つの政党がずっと居座っている状態より政権交代によって変革が行われた方がまだましではないかと考える。
少なくとも交代すれば前政権のスキャンダルを暴こうと必死になるだろう。それによって政治家や官僚が切れらていくだけでも一党独裁状態よりましではないかと思う。
中選挙区制では私は政権交代は難しいと思う。というのは風の力が弱いからだ。世論が流される風にはもちろん危惧する面も多々あるがただその風によって政権交代が出来るような大勝が見込める可能性がある。郵政のようなことが逆の面で起こる可能性があると思う。一方で中選挙区制では野党は小党に分裂する。そして過去の経緯をみても多少の野党共闘を掲げることがあっても実際には政権が目の前にあるまでは一緒にはやれない。
以上のように中選挙区制で政権交代が難しいならば風の期待できる小選挙区制に期待するべきではないだろうか。危険な方向に一気に流れる危険性の問題もあるし、急激な変化を求めるようなことはヒトラーの登場前夜にも似た危険性を孕むとはいえ、このまま一党独裁のような状態でじわじわと右に流れるような状態を続けるのならば変化に期待したい。ベストな政権がきれいに改革としてくれることは目標としては持つべきだとしても人間のあつまりである政党(それも政権と担うほどの大政党)がそれほど清潔で能力のある集団であるという状態の党であるというは難しいと思う。であるならば目標としてはもちつつも政権交代のよるある程度の改革を望む方が一党独裁よりよいと思う。
2009.06.04 15:40 URL | 政権交代を望むものとして #- [ 編集 ]
ココログからTBが通りませんので、。
下記アップしました。
足利事件、高裁が再審決定する前に慌てて釈放決定した東京高犬。これで国民の厳しい目が緩むと考えているなら甘いゾ。(笑)
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2009/06/post-3e60.html
↓画像表示ぜんぜんやめる気ないです。
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0anime/jiminwotheend74.gif
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0anime/jiminwotheend76.gif
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0anime/jiminwotheend73.gif
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0anime/jiminwotheend75.gif
2009.06.04 17:49 URL | SOBA #XPXthLJ6 [ 編集 ]
ココログからTBが通りませんので、。
下記アップしました。
成句としての三種の神器(さんしゅのじんぎ)の読みを「しんぎ、しんぎ」と連呼したアホウ内閣総理大臣と報道しないマスゴミ。
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2009/06/post-ed67.html
2009.06.04 17:53 URL | SOBA #XPXthLJ6 [ 編集 ]
真実なのに、実名を出せないもどかしさ。
東証一部上場の私の会社で行われている企業ぐるみ選挙。
しかも、旧民社党系(旧同盟系)の労組は、多分経営からの締め付けと思うが、民主党ではなく、自民党を推しているという事実。
たぶん、今度の選挙で、民主党は大企業の労組の支援と票は予想ほど取れないだろう。
2009.06.04 18:48 URL | 山猫 #2eH89A.o [ 編集 ]
反知性派ラジオ・アザーサイドジャーナルです。
ご無沙汰しておりました。で、今回の定数削減はおそらくは自民・民主ともに共通する利害は「公明はずし」にあると思われます。傍杖を食う社民・共産はおそらくカウントに入っていないでしょう。と同時に宗教法人に対する課税がおそらくは今後俎上に上る可能性もあろうかと思われます。これとは別に「新宗連」の青年部では政治との距離を置くことを真剣に考えているとの情報に接しました。政界再編時に侠雑物を取り除いておこうと言う両者の思惑の一致ではないかと思料されます。
どうも二大政党制の持つ政治思想的思考ではなく現実的な対応だと思われます。また振り返れば過去「少数者の意見」の反映が見られたかどうかを考えた時、疑問が生じます。社会党時代には党是たる「反自衛隊」を「政権維持」の為に放棄せざるを得なかった苦い過去もあり、社民党衰退のきっかけともなった事は記憶に新しいところです。
自民は「選挙戦術的」に見て「麻薬」たる公明党によって「地力」を失っている事は事実ですし、党内にも結果としての「集票力の減退をなげく議員もいます。他方民主党はその事を熟知しており且つ過去に小沢~創価の関係で煮え湯を飲まされた事もトラウマになっているのかも知れません。穿った見方ではありますが、自民・民主もこの論議を止める為に出されるであろう「創価のウラ金」を待っているのかもしれません。
2009.06.04 22:23 URL | 秀太郎 #- [ 編集 ]
あんたのような完璧主義者の非現実的な発言は
結果的に自民党を延命させ、民主党や他野党の
足を引っ張ってるという事に早く気付くべきだ
。いきなり「ベスト」を望もうとするのは愚の骨頂だ!自民党と民主党、どっちがまともなんだい?よ~く考えるまでもないだろうが。
2009.06.04 23:05 URL | ichiro.jr #TbRDTy5I [ 編集 ]
私は政界再編成を望んでいます。民主党にもネオリベが多すぎる。
清和会等自民ネオリベ+渡辺喜美一派+前原派+野田派+岡田派+松下政経塾で政党を結成。
尾辻ら自民の少数良識派+小沢派+菅派+渡部派+横路派+川端派+国民新党で政党結成してほしい。
鳩山兄はネオリベ臭がするので、判定は難しいです。
清和会らネオリベ派は追放という流れになってほしいです。
2009.06.04 23:22 URL | 元2ちゃんねるの政治板民 #- [ 編集 ]
>天皇主権であった戦前での議会政治と、国民主権である現在の議会政治をまるで同一線上のものであるかのように語り、前者、戦前における政治事例を現代の政治の失敗例のごとく語るのは、ナンセンスだと思われます。
過去に大きな過ちを犯した国の国民が、常に過去と現在を比較し「いつか来た道」にならないようにとするのは当然です。
戦前の日本は一応は立憲君主国として選挙で選ばれた国会があったとはいえ、国民の諸権利はいちじるしく制限されたものでした。特に左翼政党に対する厳しい弾圧はよく知られていることです。そして、今の小選挙区制も間接的かつ巧妙な左翼弾圧といってもいいものです。もともと、小選挙区制導入のねらいは自民党の権力維持と左翼政党排除そして改憲なのですから。戦後、最初に小選挙区制導入を考案したのが鳩山一郎氏、ついで田中角栄氏です。政権交代をどの党よりも望むはずがない自民党が主張したことなのです。
>小選挙区制になると与党が現職優先のため、優秀な人材が野党に流れるという説を岸信介元首相が述べています
前の記事についていたコメントですが、書かれた方の意図とは逆に岸信介が推賞するようではいかに非民主的・反動的な制度であるかを示して下さいました。
小選挙区制導入は、細川元首相もそのブレーンを務めた田中秀征氏も政治改革の理論的旗振り役だった山口二郎氏も今では「間違いだった」と言っていることからもわかるように、完全に誤った選択でした。
そもそも、多数が常に正しいわけではないことは歴史が証明しています。あの小選挙区制の申し子ともいえる郵政選挙の大勝の結果成立した悪法の数々を思い出してください。ドイツが比例代表を採用しているのもかっての苦い経験からではないでしょうか。似たような過去をもちながら、独裁政治に走りやすい選挙制度に固執する日本は歴史から何も学んでいないのではないかと思います。
2009.06.05 02:56 URL | ぽむ #- [ 編集 ]
管直人氏がイギリスに公式訪問するそうです。私には、アイルランドやドイツに足を伸ばして、比例制度について考察してほしいものです。特にアイルランドは今後の日本の選挙制度を考える意味で役に立つと思うのです。
2009.06.05 07:17 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]
参議院のことをさしあたりおくとして、仮にもっと早く小選挙区にしていたら、社会党がより現実的になって二大政党制になったか、自民党がもっと早く分裂していたでしょう。多党制というのは一見望ましいかに見えますが、結局お上まかせであって、選挙をしたらあとは政党が勝手に離合集散するだけです。55年体制ではそれを自民党の派閥がやっていたわけです。
中選挙区ならとっくに政権交代していたという認識もおそらく間違い。民主党ほど小選挙区の恩恵を受けてきた政党はありませんよ。2000年、2003年の選挙を見ればわかるでしょう。2005年はその過程でのアクシデントです。
「新政権は、発足当初には高い支持率を記録するだろうが、…これが、「二大政党制」の現実だと私は思う。」
の部分は最悪のシニシズムだと思います。それで何が悪いのでしょうか。民主党政権がダメなら自民党というのは当たり前の話であって、それで国民が政治離れをするなんてのは全く余計なお世話でしょう。単にご自分の思い通りにならないと言っているだけでは?要するにブログ主さんは、仮に次の選挙で「左」に揺れたとしても、いずれ「右」に揺り戻しがくる可能性を察知して、先回りして前途に失望してみているのでしょう。おそらく事態の認識としては正しいですが、評価があまりに消極的すぎる。だいたい安全保障や経済政策で、「左」にベクトルが進み続けるとは到底思われないのです。自衛隊の海外派兵は進むでしょうし、憲法も改正されるでしょうし、労働市場の規制緩和も行われるでしょう。それでも政権交代する意味はあるでしょう。安倍政権で一部にあった、復古的な国粋主義のようなものはあまり大きな力を持ちえず、新しい中道路線のようなものを、二大政党制が競っていくことになると思います。
自民党が日本政治の一方の極でありつづけることは、おそらく今後も変えようがないのです。そういう現実を無視して、あたかも自民党よ消滅してしまえといった論調があちこちで目立つのですが、そうなれば民主党が肥大化して結局保守とリベラルに分かれるだけなんだからあほくさいはなしです。今さしあたり出来ることは、民主党を自民党にに対抗しうる極にできるかということだと思われます。
2009.06.06 16:49 URL | 心 #- [ 編集 ]
自民党が今以上に議員数・党員数とかが激減ないし分裂等する局面を迎えない限り、ブログ主さんの様に「中選挙区制」復活を唱えても、かえって自民党の与党としての延命に手を貸すだけと思います。
なお且つまたしても、野党が「万年野党」化に戻るだけではないでしょうか?
確かに小選挙区制はいわゆる「死に票」の多さが問題だとは思いますけど・・・。現行の比例制部分の改良をもっと検討されても良いとも思います。
2009.06.06 20:42 URL | ROM者です。 #HFyLlNM2 [ 編集 ]
確かに小沢は細川政権時社会党を‘迫害(?)した’しかし新生党はたいした数のない政党だった。
2009.06.16 01:21 URL | 村山時代のニッポン #- [ 編集 ]
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