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きまぐれな日々

国会の55日間会期延長が本決まりし、8月以降の総選挙投票日が濃厚になった。また、衆議院議員の任期が昨日で残り100日となったせいか、自民党議員たちのドタバタ劇が始まった。

町村派の山本拓(福井2区)が、総選挙前の総裁選求める署名集めを開始し、その背後にはカイカク派の領袖・中川秀直がいると噂され、各派閥は署名に応じないよう求める通達を出したという。
http://www.asahi.com/politics/update/0603/TKY200906020416.html

山本拓らの行動に激怒した一人が安倍晋三だそうで、山本拓の妻である高市早苗が慌てて安倍に謝罪に赴き、山本拓に署名運動をやめさせると説得すると安倍に言ったが、山本拓は署名運動は続けると意気軒昂らしい。最近の安倍の増長ぶりがうかがわれる。

その一方では、古賀誠選対委員長が、麻生首相の解散判断がずれ込んだ場合は10月総選挙もありうるとの認識を示した。
http://www.asahi.com/politics/update/0602/TKY200906020299.html

また、菅義偉が旗を振っていた国会議員の世襲制限は結局先送りになった。神奈川11区の小泉進次郎が制限の該当者になるが、この選挙区に自民党が小泉進次郎の対立候補を出すことは事実上不可能であり、ここで対立候補を出さなければミエミエの「世襲隠し」の批判を浴びると判断して先送りしたものらしい。考えてみれば当たり前の話で、自民党内にゴロゴロしている世襲議員たちが、自分自身を否定するような挙に出るはずがない。

世襲議員といえば、民主党は自民党よりずっと少ないのだが、どういうわけか鳩山由紀夫代表と小沢一郎代表代行の、事実上民主党の最高権力者二人が、ともに世襲議員である。総選挙が終わったら、政権政党になるかもしれない民主党にも、総選挙以降、世襲対非世襲の緊張が高まる可能性があると私は予想している。鳩山由紀夫と小沢一郎以外の民主党の有力議員は、多くが非世襲であり、先月の代表選では菅直人のほか、これまで小沢一郎寄りと見られていた旧社会党系の鉢呂吉雄や細川律夫らが岡田克也支持に回った。鳩山を支持した主力は、一昨年の参院選で初当選した「小沢チルドレン」であり、彼らが鳩山支持に回った裏には、輿石東の強烈な締めつけがあったらしい。いかにも経世会流の小沢一郎らしいやり方だが、数は膨れ上がったものの、鳩山を支持した議員に実力者は少ない。特に若手には大した議員がおらず、稲田朋美や城内実に近い主張を持つ極右の松原仁や、電波芸者の原口一博が目立つようではどうしようもない。一部で、テレビの討論番組に出演する民主党議員は、代表選で岡田克也を支持した議員ばかりだといきり立つむきもあるが、それもそのはず、鳩山由紀夫を支持した議員には人材が乏しいのである。

このような状態で私が懸念するのは、大連立の脅威である。「カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記」は、

「大連立」とは政党政治を独裁政治に変えることを意味する。ところで「大連立」はナベツネがずっと言い続けてきたことだ。小沢一郎は「大連立」に秋波を送り続けていたように感じる。鳩山由紀夫も「大連立」を否定しないように思う。

と書くが、私も同感である。ネットではあまり言われないが、自民党には鳩山由紀夫の弟・鳩山邦夫がいる。「週刊ポスト」の今週号にも、総選挙の結果、自民党と民主党の議席数が伯仲したら、小沢一郎が鳩山邦夫を引き抜いて、鳩山邦夫(由紀夫でなく)を首班にした内閣を樹立しようとするのではないかと書かれていたが、あり得ない話ではない。

こんなことになるのも、自民党と民主党の政策に大きな違いがなく、大連立がいつでも可能だからである。一昨年の参院選当時は、過激な新自由主義路線をとっていた安倍自民党と、「国民の生活が第一」をスローガンにした小沢民主党の開きは大きかったが、新自由主義がトレンドでなくなったと見るや、自民党は「脱カイカク」に舵を切った。とはいえ大連立には民主党左派からの反発があるだろうが、執行部は選挙さえ終わってしまえば左派の切り捨てなど平気でやらかすだろう。その場合、小沢一郎が労組政治家に転向していることがネックになるが、小沢が次回総選挙が最後の立候補と腹をくくってしまえば、あとは野となれ山となれの左派切り捨ては可能だ。

カマヤンは、前記のエントリで、

日本政治の次の争点は「大連立=政党政治の死」VS「多党制」にあるように思う

と指摘しており、他のエントリでは、日本における国会議員数は人口比で先進12か国中、少ない方から2番目であることを示した「しんぶん赤旗」の記事を紹介している。それにもかかわらず、今朝(3日)のテレビ朝日「やじうまプラス」では大谷昭宏やメインキャスターのアナウンサーが「国会議員の数が外国に比べて多すぎる」などとデマを流していたが、なんのことはない、アメリカの国会議員の数が極端に少なすぎるだけの話なのだ。アメリカの属国たる日本は、もっと国会議員の数を削れ。これが、自民党や民主党の世襲議員たちやマスコミの主張の正体なのである。党首討論はイギリス議会からパクっておきながら、人口当たりの議員数では日本の4倍もいるイギリスにならわず、ご主人さまのアメリカにならえというのだから、ご都合主義もここにきわまれりである。

マスコミでもネットでも、自民党支持者も民主党支持者も、主流の人たちは国会議員定数削減に反対する意見を黙殺しているが、定数削減に反対するとともに、小選挙区制を生み出した90年代の政治改革は失敗だったと表明する論者も次第に増えてきている。一時期、反自公ブロガーによく引用されたが、今では「転向した」「自公の味方になった」などと罵倒されている森田実もその一人である(引用先にある「併用制」は「並立制」の誤りと思われる)。森田実は、

自民・民主の議席数が拮抗した場合はどちらも過半数をもつことはできない。したがって、連立政権にならざるを得ない。自民党と民主党のどちらかが政権の軸となるが、少数党を加えても安定政権ができないときは、大連立へ動くことは十分にあり得るのである。いったん大連立政権ができてしまえば、小選挙区制は無意味なものになる。

と書いている。小沢・鳩山支持者は森田実を「政権側に転向した」と非難するが、他のエントリではかつて「反党分子」として共産党を除名され、マスコミで活躍していたことにも不破哲三委員長(当時)へのインタビューを拒否された森田実が、不破氏の新著『マルクスは生きている』を絶賛し、自身マルクスを再評価する本を書こうかとまで思っていたが、不破氏の本を読んで断念したと書いているのを読むことができる。そんな森田氏が、自公政権側に転向したとは信じられず、むしろ「国民の生活が第一」路線から離れていきかねない民主党に強い懸念を示しているように、私には思えるのである。


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kojitakenさん、こんにちは。

「自民党と民主党の政策に大きな違いがなく」というのは、言い過ぎのような感じがします。
できるできないを別にすれば、官僚、消費税、メディア、情報開示などに対する姿勢は大きく異なっていると思います。

いずれにせよ大連立とならないように、自民、公明、共産を除く野党で過半数を獲得して欲しいものです。

2009.06.03 09:23 URL | pam #- [ 編集 ]

 どうもkojitakenさんは小沢氏に厳しいですね。
 しかし、裏で大連立を落とし所として、画策されているなら、検察とマスコミを使った、これだけ徹底した小沢攻撃はしないでしょう。
「郵便割引不正事件」では、再び、石井一・牧義夫といった小沢グループ議員が狙われているそうです。随分執念深い。
 また、鳩山邦夫の西川社長反対の大立ち回りも随分痛々しい。これは相当、シビアな権力闘争だと思います。
 こういった元田中派議員たちに胡散臭さを感じるのは、ある程度以上の世代の習性みたいなものでしょうが、不信感ばかり先走ると、少し客観的でなくなるような気がします。
 国家権力に弾圧されてきた歴史を持つ共産党が、一般論としての金権批判だけならともかく、西松事件でほとんど権力側の所作を批判しなことの、不可思議さ。

 ここまで来たら、政界再編ということはあっても、小沢氏が自民党の現主流派と組むことは絶対無いと思います。


2009.06.03 10:03 URL | cube #- [ 編集 ]

森田実氏を本当に信用できるのでしょうか。彼は小沢氏を痛烈に批判しながら、自らの二階氏との癒着振りには知らん振りです。以下は「地獄への階段」さんのエントリです。

http://blogs.yahoo.co.jp/voteshop/1455717.html

彼が問題なのは、政治倫理、政治倫理と叫びながら、実際に批判しているのは、小沢氏ぐらいでしょう。
それはそうです。彼は巨大公共事業を肯定しているのですから。例えば、二階氏や亀井静香氏、森シンキロウ氏など、どう考えても政治倫理の悪い面では、今の小沢氏を「凌駕」しているのに批判しない。所詮、古いタイプの政治評論家に過ぎない。


2009.06.03 12:11 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]

皆さま、コメントどうもありがとうございます。

私が知りたいと思っているのは、90年代の「政治改革」に関する皆さまのご意見ですので、できればそれについても触れていただければ幸いです。

2009.06.03 12:21 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

newsingに投稿させていただきました。
ttp://newsing.jp/entry?url=caprice.blog63.fc2.com%2Fblog-entry-920.html

2009.06.03 16:48 URL | ursaemajpris #dDasgHZQ [ 編集 ]

kojitakenさんこんにちは。<90年代の「政治改革」>というところと少しずれてしまっているかもしれませんが、コメントさせていただきます。

自自公、自公保、自公といった連立政権の特徴は、普通に言われる「政治の無責任」というところ(政治倫理・理念の問題)とは少し違う、「政治の曖昧化」にあるような気がします。

異なる理念を持った政権が連立することで、政治がモデレートなもの・静かなものになるのではなくて、むしろ先鋭化し、極端な方向に走ったのがここ十年余りの歴史ではないでしょうか。小渕政権やその後の政権で、「あれは公明党の強い意向だ」とか「バックにいる支持母体が嫌がっている」とか、そういうある種の責任の曖昧化や背景化によって、議員一人ひとりの考えではなくて、国民が直接関わることのない集団の意見によって、政策が決められていってしまったように思います。そして政権への参与という「甘い汁」によって、議員達も自らの意見を通すことよりも支持母体の意見を右顧左眄することになった。かつての社会党にせよ、連立に参加することによって決断の大きな誤りをしてしまったように思います。今度の選挙で公明党がもし政権から外れたら、かつての与党としての歴史を彼らは「不本意な妥協」と捉えるのではないでしょうか。

一方で譲れない一線を明確に定めることなく、今回の話題にあるような「切られる」ことのみに戦々恐々として「離れる」ことを忘れてしまいがちになり、大同小異として(しかも大小を取り違えて)政策を妥協してしまう恐れが、また現在の政権準備党各党にあると思いますし、危惧もあります。

印象のようなことを長々失礼しました。

2009.06.03 18:37 URL | seike #v5LGPhT2 [ 編集 ]

> 鳩山由紀夫代表と小沢一郎代表代行の、事実上民主党の最高権力者二人が、ともに世襲議員である。総選挙が終わったら、政権政党になるかもしれない民主党にも、総選挙以降、世襲対非世襲の緊張が高まる可能性があると私は予想している。

政権与党になった民主党に「世襲対非世襲の緊張が高まる可能性」などあるでしょうか? つまりそのような時間的猶予が、喫緊の政権運営中に生じうるでしょうか? 主流対非主流の緊張はそれなりに生まれるでしょうが、世襲が焦点になることはないんじゃないか。そんな呑気な状況は任期中に生じ得ないと思う。

> 自民党と民主党の政策に大きな違いがなく、大連立がいつでも可能だからである。

政策が大同小異なら、予算編成も似たものになるはずである。
けれども、政権与党の政策と、民主党の政策では、重複する部分があるがその優先順位がまるで異なる。優先順位が違いは予算の配分を見ればわかることですし、政策のスパンに違いがでてくる。私には、政策に大きな違いがないとは、とうてい思えない。
諸メディアや政権与党が喧伝する「財源問題」など、本来どうでもよいことで、政策の優先順位が変わることが一般に政権交替の意義で、今回の衆院選も例にもれない。「財源」がなければ優先順位に載らないものから予算が剥がされる。
政策の相似性は見かけ上のものなので、「大連立」の根拠になりえない。
私には、民主党の現執行部が、好んで「大連立」を志向する動機を選挙を目前にして持ちようがないと思う。
総選挙の結果、現与野党が拮抗した場合、それは主権者の判断なので「政局」もしかたがない。おっしゃるように「大連立」もあるのかもしれない。ただ、拮抗したとしても、一院を現野党が多数を抑えていることは重いとは思う。

2009.06.03 19:01 URL | anton #jFjG/CSQ [ 編集 ]

antonさん、
現在の「喫緊の政権運営中」に、自民党では麻生降ろしだの世襲制限をめぐる駆け引きだのを行っています。民主党の政治家たちは自民党と違って清廉潔白で、権力抗争とは無縁だとは、私には思えません。
「世襲対非世襲」というより、以前「大連立」をやろうとした小沢一郎と、それに反対した人たちの間で、再び持ち上がる大連立をめぐる権力抗争が行われるのではないかと私は心配しているわけです。
小沢一郎や鳩山由紀夫の「心のふるさと」は自民党であって、大連立になびきかねない体質を今なお持っているのではないかと懸念する次第です。
当然、大連立なんかになったら、非世襲でたたき上げの民主党議員にとっては面白くないだろうと想像します。
もちろん、選挙で民主党の圧勝になれば大連立の芽は消えるわけですが、今回の代表選の経緯などを見ていると、小沢一郎は「負けはせず、勝ち過ぎず」を狙っているように思えてなりません。下司の勘繰りかもしれませんけど。
「総選挙以後、世襲対非世襲の緊張が高まる」と書いたのは、自民・民主伯仲の選挙結果になるだろうとの予想を暗黙の前提にしたものです。

2009.06.03 19:20 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

小沢代表代行の政治生命をかけた最終目的は、中央集権官僚支配の打倒に尽きるでしょう。
その為に彼は官僚のいいなりの自民党から飛び出してきたのです。
福田首相時代の大連立は、民主党の人材を政権維持に耐えられるように経験を積ませる為の戦略だったと解釈しています。
その試みは失敗しましたが、その為に自民党の(官僚によって支配される)無意味な延命がこれだけつづいてしまいました。
小沢代表代行がなぜ小選挙区を志向したのかというと、自民党に対抗する政党を育てたかったのではと思っています。
小選挙区制になると与党が現職優先のため、優秀な人材が野党に流れるという説を岸信介元首相が述べていますが、それが根底にあったのだと思います。
そしてその通りに屋t労第一党の民主党に人材が流れ集まり、自民党は世襲を繰り返し人材が大幅に劣化しました。
小沢代表代行の最終目的は議会制民主主義の機能回復であると考えます。
彼は何が何でも自民党=中央集権官僚支配を倒し、政権交代が当たり前の社会を作ろうと必死です。
政権交代が当たり前になれば中央集権官僚の力も弱まり、日本もやっと当たり前の民主主義をスタートできるからです。
今の日本の状態は異常です。
また異常を異常と思わない社会はどんどん崩壊していきます。
そしてその時に一番苦しむのは、過去の例をみても明らかなように一般の国民です。

2009.06.03 23:42 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]

>私が知りたいと思っているのは、90年代の「政治改革」に関する皆さまのご意見です

いつもながらの長文で済みませんが、私の考えを記します。

>小選挙区制を生み出した90年代の政治改革は失敗だったと表明する論者も次第に増えてきている。

kojitkenさんが一例として森田実氏を挙げておられるので、検索してみました。
6/4のkojitakenさんのエントリー同様、
「中選挙区のままの方が良かったのではないか」と主張している文章がありました。
6/4のコメント欄に記入した方が望ましいかもしれませんが、ひとまずこちらに。

http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/TEST03-05A.HTML

このページに、2005年1月から3月までのコラムの目次があり、
【中選挙区制復活論】というタイトルのコラム(No.1からNo.9)に森田氏の考えが述べられています。
もちろんkojitakenさんの考え方と同じところもあれば異なるところもあるのだろうと思いつつ、感じたことを記してみます。

ーーーここから引用ーーー
小選挙区比例代表並立制を導入した目的は、ただ一つ選挙による政権交代の実現にありました。しかし、この制度を導入してからすでに10年以上が経過し、3回の衆院選が行われましたが、選挙による与野党間の政権交代は実現しませんでした。これからも、選挙での政権交代はきわめてむずかしいと思います。
ーーーここまで引用ーーー

2005年の3月の文章ですので数値は少し変わって、
「1993年の政治改革により、1996年に小選挙区比例代表並立制の総選挙が行われて、以後2000年、2003年、2005年と4回の総選挙が行われましたが、いまだに政権交代は実現していません」
と言い替えられるわけですが、いずれにしても【10年以上経過しても当初の目的であった「政権交代」なんてできていないんだから、中選挙区に戻すべきだ】
という主張です。
そして森田氏は、1993年の細川政権誕生について、「中選挙区制で起こった政権交代」の一例と認識しています。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0966.HTML

森田氏は「1993年の細川政権以降中選挙区制のままだったとしてもまた政権交代は起こっただろう、と言いたいのかもしれませんが、
「細川政権が誕生したのは、自民党が負けたというより、自民党(正確には竹下派)が勝手に分裂して、総選挙後、自民党以外の小さな党を寄せ集めたら自民党を上回ったので、結果的に自民党が下野した」
という非常に特殊な状況だったと私は認識しています。つまり、時の野党が政権交代を強く意識して選挙を戦ったわけではありません。
(これ↑はあくまでも私見ですので違う見方をする人もいるでしょうからこれ以上述べることはしません。)

さて、もし中選挙区制のままだったら、1993年以降現在までの間に政権交代は起きていたでしょうか?

社会党(社民党にはなっていなかったかもしれません)や共産党は現在より多数の議席を維持できていたでしょうし、それ以外にも比較的小さな政党が議席を得ていたと思います。今の民主党と自民党が掲げる政策からあぶれてしまっているニーズに応えられる政党が、議席を得ていたであろうことは、もちろんプラスだと思います。
しかし、政権交代については、中選挙区制のもとでは、
・自民党が過半数を大きく割り込む負け方をすることは非常に考えにくい。
・自民党は、たとえ過半数に届かないとしても、政策の近い小政党を取り込んで政権維持に執念を燃やすだろう。
という理由から、自民党内の派閥間で主導権が移る『疑似政権交代』を起こしながら、結局自民党政権が続いていた可能性が非常に高い、と私は思います。
別の観点から言えば、自民党は、細川政権の誕生を許して下野することの意味を知ったからこそ、長年の仇敵、社会党までをも説き伏せて自社さ政権を作ったのだと思います。、
さらに言えば、自民党内から中選挙区制復活論が出てくる(小泉氏、加藤紘一氏、古賀氏など)のは、中選挙区制ならば、もう二度と負ける気がしない、と彼らが考えているからではないでしょうか。

なお、「政権交代」自体が目的化しただけでは意味がなく(政官財の癒着を断ちきる、というメリットはあるにせよ)、政権交代で何をどう変えるのかが重要であることはもちろんです。
小沢氏が1993年当時に掲げていたのは「新保守主義」路線であり、彼が想定していたのは、「交代可能な保守二大政党」ですから、その二つの政党の間で政権交代が起きたとしても、自民党内での疑似政権交代と大差はありません。
森田氏も上記コラムのNo.9で、
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0975.HTML
「民主党はすでに第二自民党化しています。もはや自民党と民主党との間には基本政策上の違いはほとんどありません。たとえ政権交代があっても、政策的にはほとんど意味はなくなっているのです。」
と述べています。もし現在の自民党と民主党の政策が本当にほとんど同じなら私もその考え方に共感できますが、少なくとも現在の民主党は、新自由主義路線とは距離を置き、欧州の社民路線を念頭に置いた政策を多く打ち出してきていると思います。

最後に脱線します。(6/4のエントリーにも関連します)
自民党政権を延命できた原因は多くあると思いますが、小沢一郎氏の「自自連立」という決断もその一つではないかと思います。

自自連立は、自社さ政権の橋本内閣が1998年の参院選で大敗して退陣し、続く小渕首相が政権を安定させるために小沢・自由党党首と連立することを決めて成立したわけですから、小沢氏のこのときの決断が、自民党政権が続くことを手助けしたことになります。
小沢氏がこのときの自分自身の行動をどう評価しているのか知る由もありませんが、もし批判的に考えていないのだとしたら、kojitakenさんが懸念するような、「大連立」も現実味を帯びてくるのかもしれません。
小沢氏が代表の座から去った今、大連立の可能性は小さいとは思いますが、警戒すべきことでしょう。
そして民主党は勝っても負けても、自民党からの分裂・合流の誘いに乗ることは絶対にせず、社会弱者のための政策遂行に全力を尽くして欲しいと思います。さもないと、来年の参院選で苦杯をなめることになるでしょう。

2009.06.05 02:30 URL | sweden1901 #SVqLzQOU [ 編集 ]













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