きまぐれな日々

朝日新聞に、ノーベル賞経済学者で米プリンストン大のポール・クルーグマン教授と与謝野財務・金融・経済財政相が対談し、クルーグマン氏は定額給付金の支給について「0点だ」と指摘するなど、日本政府の景気対策に辛口の評価もしたと報じられている。0点とした理由は、給付金はほとんどが貯蓄に回ってしまって使われないからで、ブッシュ政権末期にアメリカが同じ誤りを犯したのにそれを見ていなかったのかと、批判は痛烈だった。

記事にもあるように、これは、昨日(24日)、フジテレビの「新・報道2001」が昨日放送したもので、クルーグマン氏は日本政府に積極財政を求めた。マスメディアが好意的な自民党の与謝野馨や民主党の岡田克也は、ともに緊縮財政指向であり、マスコミは積極財政策にすぐ「バラマキ」のレッテルを張るが、そうやって誤りを繰り返してきたのが90年代以降の日本だった。

クルーグマン氏の評価で面白いと思ったのは、自公政府が実施した高速道路の値下げは「40点」で、なぜかというと交通渋滞という副作用を招くからで、高速道路の料金はむしろ値上げすべきだと言っていた。これでいうと、民主党の高速道路無料化はさらに評価が下がるはずだが、これには異論がある。民主党によると、高速道路の無料化により、一般道の交通量の一部が高速道路に移行すれば渋滞が解消・緩和されることから、二酸化炭素の発生が抑制できるばかりか、2兆7千億円の経済効果も生まれるとのことだ。民主党の馬淵澄夫議員によると、国土交通省もこれを裏付ける資料を持っており、国交省は同省所管の財団法人「計量計画研究所」の試算では、高速道路無料化の経済効果は、馬淵議員の試算をはるかに上回る7兆8千億円に達するが、国交省は報告書から、高速道路無料化の試算結果の部分を隠蔽して結果を公表しなかったとのことである(下記URL参照)。
http://www.zakzak.co.jp/top/200903/t2009030630_all.html

国交省がどこを向いて仕事をしているかがよくわかる話だ。なお、私自身は自民党も民主党も、道路より年々やせ細っている公共交通網の復活に力を入れてほしいと思う。中国・四国などの地方では、公共交通機関、特に路線バスの衰退は目を覆うひどさで、お年寄りや障碍者の方が年々暮らしにくくなっている。バス会社は、かつては利益の出ない路線バスを、観光バスの利益などで補う経営をしていたが、規制緩和によって誰でも観光バスを走らせることができるようになったためにバスツアーの値段が下がり、これがバス会社の経営を圧迫して、路線バスが次々と廃止に追い込まれたのである。これは、新自由主義の柱である規制緩和が、バスツアーを利用する都会人に恩恵をもたらす一方、地方の住民を苦しめた悪例の一つである。民主党が新自由主義に反対する姿勢をとるのであれば、公共交通網の復活に力を入れなければならないと当ブログは考える。

話をクルーグマン教授に戻すと、朝日新聞は、

省エネ家電への買い替えを優遇するエコポイント制度に対しては「評価は保留。現時点でポイントが何に使えるかわからないのに、ポイントが与えられる理由がよくわからない」とした。

と書いているが、テレビを見た限り、クルーグマン氏はエコポイント制度に「これは面白い」と肯定的な反応を示したが、現時点でポイントが何に使えるかわからない、つまり決めたことをすぐ実行していないことを批判していた。

クルーグマン氏から離れて、前のエントリでも取り上げた環境・エネルギー政策に話を移すと、経団連がまたやってくれた。

経団連の三村明夫副会長(新日本製鉄会長)は22日、東京都内で講演し、1990年を基準年に二酸化炭素排出量の削減を目指すことを決めた京都議定書を「外交上の失敗だ」と批判し、政府が6月に決める中期目標は、慎重に検討すべきだとの考えを示したのである(下記URLの毎日新聞記事参照)。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090523k0000m020100000c.html

中期目標を巡っては、経団連が12日、政府が示した「1990年比4%増」から「25%減」の6案のうち、最も緩い「4%増」の支持を表明。これに対し斉藤鉄夫環境相が「世界の笑いものになり、国際社会での地位をおとしめる」と批判したが、日本鉄鋼連盟の進藤孝生環境・エネルギー政策委員長(新日鉄副社長)は22日の会見で、「たとえ世界の笑いものになろうが、国民に過剰な負担にならないように国益を主張するのが行政責任者の役割だ」と反論したとのことである(前記毎日新聞記事による)。

こんなニュースに接すると、つくづく「経団連が日本を滅ぼす」と思ってしまう。昨日のTBSテレビ「サンデーモーニング」やテレビ朝日「サンデープロジェクト」でも、この中期目標が話題になっていたが、自社の不利益になることは何もしたくないという経団連傘下の企業や、その意を受けた経産省、それに彼らの言いなりになる麻生太郎首相以下の政治家の「政官業」三者が、日本を環境エネルギー問題の後進国にしてしまっている。

国民の意識も低く、当ブログを見にくるような、比較的政府に批判的と思われる人たちの間にも、「地球温暖化陰謀論」がまかり通っていたり、陰謀論に感化されていなくとも、「電力会社は現状の発電量で十分対応できており、新たな電気などいらない」などという論外なコメントを寄せてくる人(環境や資源の問題を全く考えていない)などがいる。地球温暖化陰謀論は、一部左派ブログに蔓延しているほか、新自由主義者の池田信夫も信奉しており、陰謀論の旗振り役をつとめている某ブログを見ると、「マスゴミ」というお決まりの物言いをしているほか、池田信夫のブログにリンクを張っていたりする(笑)。とんだ「左右共闘」である。

金子勝などは、この問題が話題になるたびに、再生可能エネルギー(新エネルギーまたはーとも自然エネルギーとも呼ぶ)は、地球温暖化対策と、新規雇用創出という二つの側面があり、是非とも力を入れなければならないと、口を酸っぱくして力説しているが、こうしたまともな議論が展開されているのはもっぱらマスメディアにおいてであり、ネットでは「グリーンニューディール」というと「原子力のPR」かと勘違いしてしまう人も出るほど、デタラメな議論ばかりがまかり通っているのが現実だ。ネットばかり見ていると、まともな認識は得られないと、ここに強調しておく。


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始めまして。
拝見させて頂きました。

確かに経団連は経済に重きを置いており、マスコミはスポンサーの方を見ています。
結局日本を変えていくには、国民一人一人が意識を持つしかないようにも思えます。

そんな思いで、政策サイトを立ち上げております。
真面目なサイトですので、一度ご覧頂ければと思います。

2009.05.25 10:27 URL | 虞民党 #wIU4ZApo [ 編集 ]

みずほ氏
「この前の予算委員会でもやったんですが、エコポイントの管理を公募するそうです。
ただその締切りが私が質問した日だったのは、公募がヤラセだったと言われても仕方ないと思うんですう。
特定業界にアメをやるなんて、エコポイントのエコは『エコヒイキ』なんじゃないかとダジャレの一つも言いたくなりますうw」

2009.05.25 12:11 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

サイトを拝見させていただいて思うのは財源をどうしようと考えておられるのかということだ。私も新自由主義は反対だが、その一方でバラマキにも反対だ。消費税もダメ、高速料金の無料化は推進する、地方の道路は作るというのでは財源をどう考えておられるのか疑問だ。もちろん下がり続けた法人税や累進課税は上げる必要があるし、行財政改革は必須だがそれだけで膨らみ続ける社会保障費をも考慮に入れると果たして賄いきれるのか疑問だ。仮に賄えるとしてその見通しはお持ちなのだろうか。
 政策によっては一定の経済政策はあるがマクロで見た場合日本は今後高度経済成長期のような経済成長は見込めず、良い時でも数パーセントの経済成長しか見込めない社会になっていく。パイはそんなに大きくならない。よってこれからは限られた中でそれをどう配分していくかということになる。新自由主義者のようにそれを勝ち組に厚くする政策は論外だが、かといって(今回のような突発的な経済状況では一時期仕方がないとしても)継続的に見た場合パイが伸びない以上それを無視した形での拡大的な財政出動を伴う政策はいかがなものかと思う。
 財政出動を伴っても行わなければならない政策はあると思う。だがそれならばなおのこと同時に財源論も語るべきだと思う。

2009.05.25 12:32 URL | 政権交代を望むものとして #- [ 編集 ]

私は環境や資源の問題に対して何も考えてはいないの発言に対し怒りをおぼえます。2チャンと変わらないですね! 私が言いたいのは環境問題についてもっと多くの視点からものを見つめ議論すべきだと述べているのです。「水力」や「地熱」、家庭用としては「燃料電池」自動車としては「燃料電池」「バイオエタノール」「LPガス自動車」「圧縮天然ガス自動車」など環境にやさしいエネルギーは多く存在します。それらの中には既に実用化されたものもあります。それらを踏まえて議論すべきと唱えているのです。スペースの関係上それらには触れませんでしたが・・・。ただ単に「エコ」=「太陽光発電」「エコ」=「ハイブリッド車」ということに世の中が傾く。このことに疑問を投げかけるつもりで投稿しました。

2009.05.25 13:21 URL | 世直し大工 #- [ 編集 ]

世直し大工さん、

私はあなたが最初にコメントしてきたエントリで、

> 日本版FITでは、買い取り対象が家庭・公共施設での太陽光発電量のうち自家消費を除く余剰分だけで、事業目的は除外されているし、風力発電等、太陽光発電以外の再生可能エネルギーは適用除外になっている。

と書いています。すなわち、あなたが書いている、

> 「水力」や「地熱」、家庭用としては「燃料電池」自動車としては「燃料電池」「バイオエタノール」「LPガス自動車」「圧縮天然ガス自動車」など環境にやさしいエネルギーは多く存在します。

などということは、ちゃんと視野に入れて書いているわけです。いったい当ブログのどこをどう読んでいるのでしょうか。

文章をまともに読まずにトンチンカンなコメントをよこすあなたの方こそ、「2ちゃんねらーと同じ」です。

2009.05.25 13:46 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

kojitakenさんへ
私のトンチンカンなところは認めます。私は「政府が推進しているソーラーシステム」についての疑問を投げかけただけであり、「経団連」の発言に対して述べたつもりは有りません。 私にはkojitakenさんの批判の矛先がどこを向いて書かれているのか?が難しすぎて判りません。「トンチンカン」な私のせいかもしれませんが「ここがおかしい!」という事を判り易く説明していただくとあり難いです。
「2チャンネル」の件は言いすぎでした。ここにお詫び申しあげます。

ちなみに燃料電池の製造各社(主に石油会社)などはしたたかです。燃料電池とソーラーシステムを組み合わせた製品を販売してきました。これだと補助金が受けられ、しかも余剰電力の買取にも対応できます。

2009.05.25 15:28 URL | 世直し大工 #- [ 編集 ]

エネルギー消費を減らすには料金値上げが効果的です。クルーグマンがヒントをくれているじゃないですか。

2009.05.25 15:34 URL | #- [ 編集 ]

鉄鋼業界に限らず、技術力向上のためのそれまでの日本の企業努力が、結果 二酸化炭素排出を抑えてきたという事実があり、そもそも京都議定書は日本にとって非常に不利な数字であったとということにも目を向けてほしいです。これ以上の努力を強いるのは企業が悲鳴を上げます。

2009.05.25 16:19 URL | sarah #- [ 編集 ]

私は、陰謀説の側です。といっても、経団連などには勿論批判的です。原発もCO2も再開発もどんどんやれという立場に立っているのでは論外です。
 かといって、CO2削減でもって原発や高層ビルを正当化している、小池百合子らのような輩が、最もたちが悪いと私は考えてます。環境族の名にふさわしいと思います。もっとも、彼らの言動は完全に破綻しています。もったいない、などといいつつ地デジを推進したり、ゴアの映画で泣いたといいつつディーゼル車を禁止するというおそまつなものです。
 私は陰謀説に立ちつつも、ブログ主さんの考えにはほぼ同意できます。共存は十分に可能と考えています。CO2いけないんだ論の人でも、原発や地デジ、そして乱開発に反対していれば全く不満はありません。

2009.05.25 17:36 URL | puyonyan #- [ 編集 ]

エコだの福祉だの言うと必ず、財源論を言い出す人は出てきますね。
ただ、ミサイルや戦闘機を買うとか箱物を作るとか、或いは政府の肝煎りで消費者庁を作るとか、そういう方面で「財源が(新規に)なきゃダメ」という人は殆ど見ません。
そういうのって、政府が利権に繋がらない出費を渋るサボタージュの手法を、知らず真似してるだけじゃないのかという気がして仕方ないのですが。

そもそも施策で大切なのは「必然性」「プライオリティ」であって、どこの財源を充てるというのは枝葉の話じゃないかと。
今だってかなりの予算は既に国債で賄っているんです、要らんと言われるアチコチ含めて。
新規施策に限って新たな財源を問われるのって、変じゃないでしょうか。道路特定財源とかそういうのを除けば、税金に色は付いてないはずです。

野放図に使っていいなどと言う意図では無論ありませんが、どうせ不景気であれば国家収支は良くなりようが無いのです。
昨年あたりは珍しく増収になり国債減額が叶ったはずですが、要するに海外景気の好影響があったからです。
現況では内需の悪さが景気の強大な足枷となっており、これも結局は将来不安など、国民不在の政治が消費を抑えてしまう悪循環が基礎にあります。

2009.05.25 23:55 URL | Gl17 #EBUSheBA [ 編集 ]

>民主党が新自由主義に反対する姿勢をとるのであれば、公共交通網の復活に力を入れなければならないと当ブログは考える。

いい意見だと思います。私は自転車が安全に走れるような道路整備も良いと思います。「公共工事はすべて悪」のような考えが、日本経済を疲弊させた一因ですから。

政権が変わったら、すぐに積極財政に転換するべきだと思います。財源に関しては文藝春秋5月号に菊池英博と言う学者が、十分な論拠をもとに述べていますのでご一読を。

http://hayanosuke.blog45.fc2.com/

2009.05.26 11:20 URL | ハヤノスケ #- [ 編集 ]

遅いな小ネタですが、高速道路ETC1000円で中四国を結ぶフェリー会社の呉松山フェリーが6月限りで廃業を決定みたいです。
竹原波方フェリー、しまなみ海道とバッティングするフェリー会社2社目の廃業。

予想通りETCでの1000円導入で利用者が半減で経営が立ち行かなくなったみたいです。
小泉改革による地方のバス会社への影響と同じく、フェリー会社も麻生改革で似たような状況を受けています。2社で社員失業者だけで100名。パートなど含めるとかなりいると思います。
1000円高速で今回失った以上の雇用が創出されていれば無問題なんですが、ETC1000円のサービスは平成23年3月まで。値引き総額5000億円に達した時点で期間満了前でも終了なので、ETCが元の値段に上がり、再びフェリーを使いたくてもその時には選択の余地がありません。

さらに呉市はこのフェリー会社の為に桟橋を5億もかけて整備したばかりだが(桟橋埋め立て費用別)、これもこの会社の廃業で利用する会社無しで全くの無駄に。


ちなみに、呉竹原を含む広島5区は前回選挙時に民主党が高速道路無料化を叫んだのでフェリー会社など中心に反民主の声があがって自民候補が勝ったそうですが、今回の件が影響して、この選挙区は次にどんな候補を立て、どんな政策を言うのか楽しみですw

2009.05.26 12:47 URL | 与志 #- [ 編集 ]

 菊池氏の論にももちろん理がある部分はあると思うが、全面的にとはいかない。確かに無駄は多いし、隠しているものもあるだろう。だが、例えば金融資産といっても年金等の社会保障関係の積立金を動かせるのだろうか。社会保障に回すものを借金の手当てに回せるものなのだろうか。
 また米国債についてもかなり大きな額があるが理論的には動かせるが実際の問題としてはどうなのか疑問がある。前に橋本総理が米国債を売りたい誘惑に駆られると発言して国際問題化しかかった。このように米国債についても単純な財政論、金融論だけで片付けられない部分もあると思う。もちろんそのようなことを考慮に入れてもなお活用すべしというのならばそれはそれで一つの意見だが、私はそこまで踏ん切りを付けられない。
 私は高福祉国家を目指すうえで改革をした上でなお必要ならば消費税の増税もやむをえないという考えだ。ただ上げずに済むものならば上げない方がいいのは言うまでもない。よって財産があるという菊池氏の論に惹かれるものがあるのは事実だ。ただ私は専門知識があるわけではないし、素人考えだが菊池氏の論には前述のような疑問点が浮かんできてしまう。
 

2009.05.26 23:41 URL | 政権交代を望むものとして #- [ 編集 ]













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