きまぐれな日々

河村たかしが名古屋市長選で圧勝したが、マスコミが喧伝するような、千葉・秋田の県知事選で民主党が推した候補が敗れたのは「西松事件の影響」で、名古屋市長選は与党の復調に水を差した、などという事実はない。千葉県知事選はポピュリズムにしてやられたものだし、秋田県知事選は「佐竹ブランド」の勝利、そして名古屋市長選はもともと民主党が圧倒的に強い地域でテレビによく出演するタレント性の強い候補が勝っただけの話だ。特にテレビへの露出度は候補の当選・落選を左右する大きな要因になっている。河村たかしは、テレビでよく右翼的な発言をする元民社党系の民主党右派政治家である。

こんなことを書くと、またお前はウヨサヨ論か、この世の中、右も左もないんだよ、などと批判を受けそうだが、ソマリア沖の海賊対策にかこつけた海賊対処法案の審議のニュースなどを聞くと、政治のなし崩し極右化はますます激しくなっていると言わざるを得ない。昨日(26日)のTBSテレビ『サンデーモーニング』でもコメンテーターたちに指摘されていたが、これまでは自衛隊の海外派遣は憲法に配慮した時限立法だったのに、海賊対処法案は恒久法で、しかも自公案では国会での事前承認も必要ないとしている。法案に反対している民主党にしても、修正にこだわっているのは「事前承認」の部分だけで、総選挙を経てしまえば仮に自公与党が過半数を確保しようが3分の2に到達する見込みはほとんどないのだから、審議を引き延ばせば海賊対処法案は潰れるのだが、民主党は参議院での審議を引き延ばさずに否決する方針らしく、要するにもう少し経てば確実に使えなくなる再議決をどうぞお使いください、と実質的に自公与党に協力しているようなものだ。『サンデーモーニング』では、普段は自民党べったりの岸井成格でさえ、「最低でも国会の事前承認を入れなければダメだ」と言い、寺島実郎を筆頭とする岸井以外のコメンテーターはすべて無条件で法案に反対していたが、いまや極右化して暴走している自民党と、それに無抵抗で従う、どこが弱者の味方かわからない公明党が、総選挙前にやれることは全部やってしまえとばかりに横車を押し、民主党もそれを事実上黙認する。そんな情勢下で、安倍晋三や平沼赳夫に近いのではないかと思われるほど右翼的な河村たかしの当選を喜ぶ「リベラル・左派」のつもりの人たちの気持ちが、私にはわからない。

話をミニ統一地方選に戻すと、現職の落選が目立つことこそ注目されるべきだ。朝日新聞(26日付紙面)でも、2面に小さく「ミニ統一地方選 現職苦戦目立つ」という見出しで、高知県四万十市でも自公が支援した現職の沢田五十六氏が、民主、共産、社民が推薦した新人の田中全氏に敗れたことを伝えている。要するに、この閉塞状況の中、どこの地域の住民も、「チェンジ」を求めているということだ。ところが、朝日新聞の記事を見ると、四万十市は別として、昨日投開票の行われた岐阜県各務原市、兵庫県淡路市、和歌山県田辺市などでは自公に民主党が相乗りした候補が当選している。四万十市のような民主・社民・共産の共闘の方が稀なケースであり、民主党がどこまで国民の不満の受け皿になれるか、かなり疑わしい状況である。

民主党の小沢一郎代表の問題について書くと、25日付の朝日新聞が、米コロンビア大教授のジェラルド・カーティス氏が、24日に行われた民主党が設けた有識者会議に出席して、「国民とのコミュニケーション能力がない人は総理大臣になる資格はない」と述べ、小沢氏と民主党を厳しく批判したと報じた。
http://www.asahi.com/politics/update/0424/TKY200904240296.html

カーティス氏は、昨日早朝に放送されたTBSテレビ『時事放談』でも同趣旨の発言をしていた。

このカーティス氏は、3月12日付の朝日新聞に、西松事件について「検察には説明責任がある」として、説明をしようとしない検察が国民の政治不信のみならず国家権力に対する不信感を深めていると批判していた。だから民主党が有識者会議に呼んだのかもしれないが、そこで民主党批判が飛び出したというわけだ。

これ以上小沢一郎は何を語れというのかと主張する人もいるが、どんなに怪しげな捜査であり、マスコミが権力側に加担した報道をしていようが、それに打ち勝つ説得力を持った言葉を発することができなければ、国民の多くには訴えは届かず、政治戦に敗れてしまうのである。もともと自公政権に反対である私を説得したところで何の意味もない。マスメディアのちょっとした報道ですぐに支持政党や選挙での投票先を変えてしまう人たちをどう説得するか。テレビによく出てくるタレントたちのほうが、プロの政治家が変えられないものを変えてくれると思われている情けない状態をいかに打破するか。訴えが届かないのは偏向マスゴミのせいだとかB層のせいだなどと言っているようでは、いつまで経っても負け犬の遠吠えから脱せないと思う今日この頃である。


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kojitakenさんの仰る事はよくわかります。小沢代表が、もっと自己主張すべきという見解でしょう。私もそれは思うのですが、小沢代表が、あの会見以来なかなか喋らないのは、マスコミがその主張をノーカットでは報道しないと考えているからではと思います。また多額の政治資金の使用先について、自分の育てた若手政治家にまで、自分と同じ矛先が向かうのを、避けたいがゆえんではとも考えます。

今小沢代表が何か言葉を発しても、マスコミは都合のよい部分だけを抜粋して、文脈から何からすべて改変され、およそ真意とはかけ離れた内容に作り変えて垂れ流す事でしょう。今のマスコミの現状では間違いなくそうなると思います。だから小沢代表は言葉を発する事が出来ないでいるのです。そして自分に出来る事として、地道な地方行脚に精を出し、国民に直接語りかける作業をし続けるのでしょうね。権力を握る側がメディアをすべてコントロールするということは、そういうことなのだと思います。

自公両党は、もてる力を総動員して小沢民主党を叩こうと必死です。結局最後は国民が自分の中に判断できる力(物差し)を持とうとしているかにかかります。これだけ情報に積極的にアプローチできる時代にもかかわらず、それを面倒がり、怠り、騙されるのでは、これはもう日本が破滅しても、自分達が地獄を味合うはめになろうとも当然かもしれませんよ。

ただ救いがあるのは、そうでもないのではという気配が感じられる事です。例えばTBSが番組編成を大幅に改編して、ゴールデンタイムに報道番組をもってきたのですが、視聴率が最低を記録しているという事実があります。あの報道番組は形ばかりにこだわり、中身はゼロですからね。取り上げる事件も、その掘り下げ方も、上っ面をなぞるだけで、訴えかけてくるものが殆どありません。つまり視聴者(国民)は、そんな内容の薄いものには満足できていないという事です。

現実を幾ら誤魔化そうとしても、それは無理というものです。ようやく国民も自体の深刻さに気が付きつつあるのかもしれません。それが一連の地方選挙で現職が敗れる結果となって現れているのかもしれません。
総選挙が楽しみです。

2009.04.27 10:10 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]

 風太氏のご意見に賛成。
「説明不足」ということ自体、マスコミが作り上げたものです。それに乗っかっても、さらに揚げ足をとってくるだけでしょう。

 国民も、現実の生活がますます苦しくなっているのに、それでも現職、現与党政治家を支持し続けるほど愚かではないと思います。それが地方選に現れています。千葉も秋田も名古屋も、引退する現職が推薦した候補が落ちていることがポイントでしょう。
 公明党のために早く解散できない自民党の命脈は尽きていると思います。
 
 

2009.04.27 10:55 URL | cube #- [ 編集 ]

私は長い間、国民が政治家に期待しすぎていたのだと思います。
政治を変えたいなら、小沢さんが言ってたのと同じように、私達国民も変わらなきゃいけないのです。まだ、テレビの報道や新聞だけを信じている事が、幼いのだと思います。政策を見抜く力が国民にも試されているのだと思います。私達が出来るのは草の根の活動だと思います。kojitakenさんのブログもその一環だと思います。私達で変えていきましょう!!

2009.04.27 12:45 URL | 心穏やか #bBmFigmc [ 編集 ]

>そんな情勢下で、安倍晋三や平沼赳夫に近いのではないかと思われるほど右翼的な河村たかしの当選を喜ぶ「リベラル・左派」のつもりの人たちの気持ちが、私にはわからない。

全く同感です。この人って、慰安婦問題に関しての日本政府の責任を否定するワシントンポスト全面広告(2007年6月)に賛同者として名前を連ねてます。慰安婦問題と南京事件の事実を検証する会の会員でもあります。
「歴史修正主義反対」のバナーを貼るリベラル派有名ブロガーが河村氏の当選を手放しで喜んだ上、「少年のような心を持った人物のよう」と書いているのには、まさにビックルいっき飲みです(笑)。

海賊対処法案が衆議院を可決通過した23日のNHKの7時のニュースは異常でした。トップは例の草なぎくんの事件(実は事件といえるほどのものでもない)。海賊対処法案は大阪の女児死体遺棄事件(これは痛ましい事件ですが)に次いで三番目。その解説も自民党案と民主党案をざっと比べただけ。民主党案すら憲法違反として社民・共産だけでなく国民新党も反対していることなど全くふれていませんでした。

昭和初期、不況の中戦争への道をひた走った頃も、多くの国民は自分たちが今破滅に向かっていることにも気づかず、エログロナンセンスに憂さを晴らしたのですね・・・。

2009.04.27 13:39 URL | ぽむ #- [ 編集 ]

>テレビによく出てくるタレントたちの方が、プロの政治家が変えられないものを変えてくれると思われている情けない状態をいかに打破するか。訴えが届かないのは偏向マスゴミのせいだとかB層のせいだなどと言っているようでは、いつまで経っても負け犬の遠吠えから脱せないと思う今日この頃である。

これにも同感。
小沢氏や民主党だけでなく、社民・共産等のリベラル左派・護憲勢力もいわゆるsilent majority(声なき多数)の心をいかに動かすかに真剣に取り組まなければ。現状ではもともと少ない支持者を取り合いしてるだけ。
私が日々、リアル社会で接する人たちのほとんどは政治や社会へは全く無関心です。だから、自己責任論が蔓延してしまうのです。
こんな現状を打破するには、わずかな党勢拡大にあくせくするようなせこいやり方ではどうにもなりません。

2009.04.27 14:14 URL | ぽむ #mQop/nM. [ 編集 ]

>この人って、慰安婦問題に関しての日本政府の責任を否定するワシントンポスト全面広告(2007年6月)に賛同者として名前を連ねてます。慰安婦問題と南京事件の事実を検証する会の会員でもあります。

 むしろこういう人物は地方へ行ってもらった方がいいのではないでしょうか。彼は民主党代表や総理にもなりたかったようですが、中・韓とうまくやれないなら、とても政権党のトップはつとまらないでしょう。
 生活に汲々な庶民はとにかく「既得権益」が大嫌いなのです。だから彼の減税、自分も含めた公務員の報酬カットというのが受ける。「新自由主義」と批判する向きがいるかもしれませんが、では官公労と馴れ合いの従来左派が現状を変えられるか、というと、甚だ心許ない。
 彼が今後、減税するにしても公約に書いているように、定率減税で金持ちにはゼロ%減税にするのかどうか、よく見ておきましょう。

2009.04.27 16:21 URL | cube #- [ 編集 ]

非タレント・プロ政治家が選挙活動に大金を使わざるをえない状況になってるのは、政治家側の責任だけでなく、大々的に選挙活動をするような候補者に票を投じる有権者の側にも責任があるのではないでしょうか?

こんな御時世でも政治家から情報を与えられなければ、ほとんどの有権者は労力やコストを払って政治情報を得ようとはしない無関心さ。
ゆえに、情報を与えるための労力やコストを政治家が負担しているので金が必要になっている。
もちろんプロの政治家のコミュニケーション能力や説明能力の問題もありますが、今の国民はあまりにも国政に無関心であり、選挙が知名度・タレント性に左右され、それらが無ければ政治資金に余裕のある候補者を選んでしまう傾向にある気がしてなりません。

2009.04.27 22:25 URL | 与志 #- [ 編集 ]

河村たかし氏当選を喜ぶ↑とは別のリベラル派ブログより

>河村たかし氏は右派でずいぶん意見が違う。でもそういうことにこだわらず祝福したい。

歴史観などこだわるほどの事ではないようです。「右も左もなく多様な価値観を尊重する」リベラル派が増えつつあるのでしょうか。
でも、この河村氏が自民党の候補者だったら民主党支持のリベラル派から「タカ派」といった非難が結構あったのではないかと思います。だとしたら明らかなダブルスタンダードですね。

>生活に汲々な庶民はとにかく「既得権益」が大嫌いなのです。だから彼の減税、自分も含めた公務員の報酬カットというのが受ける。

しかし、公務員の中途採用試験がすごい倍率になることからわかるように、公務員は今や人気の職。でも、なれる人はごく一部で、あぶれた多勢は「あんたらは既得権益者だ」とバッシングに回るわけです。

2009.04.27 23:25 URL | ぽむ #mQop/nM. [ 編集 ]

こんな事はありえないだろうが、民主党が広島市市長の秋葉忠利氏を党代表に据えるなら、私は文句なく民主党に投票するだろう。

先見性、平和主義、地方自治への見識、国政経験、国際性、発信力の確かさなどを考慮すると、今こそ、秋葉氏(66歳)に日本のリーダーになってもらいたいと心より感じる。

2009.04.28 07:50 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]













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