しかし、腹立たしいのは民主党が完全に受身に回ってしまったことだ。3年前の「偽メール事件」直後のことを思い出す。堀江貴文を騙ったメールが偽物であったことが、当時問題になっていた4点セット(耐震偽装事件、ライブドア事件、防衛施設庁の官製談合事件、米国産牛肉輸入問題)を追及する必要性を損なうものでは全くなかったにもかかわらず、民主党の追及は、「偽メール事件」ですっ飛んでしまった。2006年2月16日の永田寿康の国会質問から同3月31日の前原誠司民主党代表(当時)の辞意表明、そしてそのしばらく後に至るまで、国会論戦における民主党は著しく精彩を欠いた。今回も、3月3日の大久保秘書逮捕から1か月半あまり、民主党の政府追及は全く元気を失っている。
一刻も早く、争点を「西松事件」から「国民生活の再建」に争点を移すべく、民主党の果断な行動が求められると思うのだが、朝日新聞を読んでいると、今月中旬に結果が出るはずだった民主党独自の衆院選情勢調査は下旬にずれ込んだという。といっても既に下旬に入っているのだが、党執行部が先送りを図っているようにしか見えない。これでは、自公政権に不満を持つ多くの国民も納得できないだろう。
一方、千葉や秋田の知事選で「民主党が負けた」と大騒ぎしていたマスコミも、青森市長選をはじめとする「ミニ統一地方選」での自民党の劣勢を報じざるを得なくなっており、朝日新聞も今朝の紙面で、青森を選挙区とする津島雄二が衆院選で厳しい情勢だとか、自民党の参院幹部が「補正予算だけでは票にならない」と言ったとか、自民党の幹事長経験者が「なぜ、自民党の支持率が伸びてこないのか」と危機感を募らせた、などと報じている。厳しい経済状況の中、政治が膠着状態に入ったとは、大げさにいえば日本国が機能不全に陥ったといえるのではないか。こんなご時勢だから、選挙では「無所属」を謳うだけで有利になる。それを悪用したのが森田健作だったが、自民党はこんな姑息な手を使わなくてはやっていけないほど足腰が衰えてしまった。
政治の膠着状態についてぼやいているだけでは芸がないので、今日のエントリ後半では、部屋を整理していて見つけた3年前の週刊誌の記事を紹介したい。
コイズミ政権の最末期、安倍晋三内閣発足直前に発売された『サンデー毎日』2006年9月10日号に、「安倍晋三を支える「警察エリート3人衆」」と題された記事が出ていて、この記事によると、安倍内閣の事務方トップの官房副長官に警察庁長官(当時)の漆間巌を起用する説が浮上したというのである。

ジャーナリストの川邊克朗氏によると、安倍は警備局長時代の漆間の、拉致問題に関する国会答弁が気に入ったらしいとのことで、漆間はコイズミ時代末期の首相官邸に出向く姿が目立っていたそうだ。
『サンデー毎日』の記事は、次のように書いている。
だが、考えてもみよう。首相や官房長官(注:安倍は当時内閣官房長官)とはいえ、捜査機関トップが直接、特定の政治家のもとへ通う ── 仮に検事総長が同じことをすれば、日常的に「指揮権発動」を受けることになりかねない。警察庁は行政機関だが、準司法的な性格を持つ以上、素直にうなずけない行動だ。
(『サンデー毎日』 2006年9月10日号記事 「安倍晋三を支える「警察エリート3人衆」」より)
結局漆間巌は安倍内閣の官房副長官にはならなかったが、2年後に麻生太郎内閣の官房副長官になった。もちろん、漆間は検察ではなく警察の出身だから、検察に影響力を行使できたなどと主張するつもりはないが、安倍晋三や麻生太郎がどういう方向性を持った政治を行おうとしているかは明らかだと私は思う。そして、今回の西松事件の捜査は、エリート揃いの東京地検の検事たちにしては迷走が目立った印象が強い。捜査に影響を及ぼした何らかの力が働いていたのではないかという疑いを、私は捨て切れない。
なお、『サンデー毎日』が書いた「安倍晋三を支える「警察エリート3人衆」」のあとの2人は、三谷秀史・内閣情報官と北村滋・警察庁外事課長(当時)である。三谷秀史については、ネット検索をかけたら『カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記』の2006年9月9日付記事が引っかかり、酒に酔って共同通信記者を平手打ちした事件(前記『サンデー毎日』にも出ている)や、
などという記述が出ている。北村滋は、神戸新聞の記事によると、今年4月1日付で兵庫県警本部長に就任したようだ。三谷秀史と、共同通信・朝日新聞は、佐賀県警記者クラブで、ラグビーを通じて、合同ラグビーチームを作るほど、かなり深い繋がりがある。三谷秀史と森喜朗は、ラグビーでも繋がっていることになる。
安倍晋三や麻生太郎はいったい何をたくらんでいるのか。今後も、彼らに対して警戒を怠ってはならないと思う今日この頃である。
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この場には似合わない話題なのかもしれませんが、少し気になる出来事がありました。
タレントの北野誠が事実上芸能界を追放されたのではと言われている件です。
彼の追放(謹慎)は、所属の松竹芸能から一方的に発表され、すべてのメディアから姿を消す事になりました。
今では、彼の出演していた番組では、彼は元々いなかったかのようにされています。
ところが、売れっ子タレントをここまでする原因については、松竹芸能は何も発表していません。
過去にも彼は山本リンダさんに対しての中傷騒ぎを起し、謝罪会見を開いています。
ところが今回は、何も一般に知らされないままに、葬られようとされている。
そこで例によってネットでは色々な憶測が乱れ飛ぶ結果になり、一時は巨大宗教団体からの抗議が原因との説が主流でしたが、ここにきてざこば師匠の生放送時のひと言で、大手芸能プロダクションのトップの逆鱗に触れた事が原因ではといわれ始めました。
もともと関西ローカルでは、東京キー局ではありえないような話も、関西では出来るという、そういう面があったはずなのが、ここにきて、もろくもすべてが押しつぶされた様な感じです。
メディアが、理由は何であれ、すべて右へならへとばかりに押し黙らさせられる、テレビも新聞も何も無かったかのように口をつぐむ、恐ろしい話です。
小沢代表の秘書の件も、殆どのメディアが判で押したように、同じ内容の原稿を垂れ流し続ける。
この国では権力を持つ側の意向で、どんな無理もまかり通るようになりつつあるようです。
ちなみに北野誠はある有名アイドルと麻生総理が不適切な関係だと喋ったともネットでは言われています。
余程の事が無い限り、誰からどの様な発言について抗議されたからと、そういう理由も発表されるはずなのが、今回はまるでない。
まさか現職総理サイドからということは無いとは思いますが、余程の力が働いたのでしょうね。
そして見事にメディアは沈黙をした。
わかっていた事とは言え、この国のマスメディアは頼りないですし、信頼できませんね。
いざという時は、あっという間に日本は変えられてしまうかもしれません。
ネットの重要性は、ますます高まってきているような気がします。
2009.04.21 15:29 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]
麻生ソーリは企業献金を個人献金として処理しているようです。
「http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/kanpo/shikin/20070914g00214/20070914g002140174f.html」によると、個人の寄付に以下の名前があります。
山崎直樹 150万円(アップフロントグループ代表取締役会長)
荒敬一 150万円(アップフロントグループ専務取締役)
山崎由佳子 100万円(アップフロント音楽出版代表取締役、直樹の娘)
山崎直彦 100万円(アップフロントグループ取締役、直樹の息子)
寺本保治 150万円(アップフロントエージェンシー代表取締役副社長)
持田陽司 100万円(アップフロントエージェンシー代表取締役社長)
瀬戸由紀男 100万円(アップフロントワークス代表取締役社長)
佐藤尚 100万円(アップフロントエージェンシー取締役)
堀内孝雄 150万円(アップフロントエージェンシー、歌手(元アリス)・タレント、「君のひとみは10000ボルト」)
括弧内については、わかりやすくするため、私が追加したものです。官報によると、個人の寄付として処理されています。合計1100万円にも上っています。なお、私の調べた範囲では、このアップフロントの役員等が麻生ソーリに献金しているのは、2007年だけです。
企業献金と思われるのに、なぜ、個人献金として処理したのか。
ネット上では、さまざまな噂が飛び交っているのは、風太さんのおっしゃる通りです。反吐が出るような噂ですが、麻生ソーリのゆがんだ笑い顔を見ると、松本清張の小説のごとく、ありえそうな噂です。
私に言わせれば、小沢氏の問題など比較できないほど大きな問題と思われるのに、マスコミは何も伝えようとしません。
この国は北朝鮮化しつつあるようです。
2009.04.21 17:00 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]
久しぶりのコメントです。
私はあちこちで「漆間巌は日本のハインリヒ・ヒムラー」だとコメントしてきましたが、まさにその通りですね。75年前の日本、それにドイツ・オーストリアが蘇ってきました。事実上、この国の最高権力者です。
日本第二の都市の「指導者」も、最早・・・。
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