きまぐれな日々

資本主義の世の中では、バブルの生成と破裂がつきものだが、新自由主義の時代になってからそれは一段と顕著になった。

現在注目されている「新エネルギー(再生可能エネルギー)」も、今後バブルを生成する(あるいはすでに生成し始めている)といわれており、発売からだいぶ日が経ってしまったが、『週刊東洋経済』の3月21日号にも、「新エネルギーバブル!」と題された特集が組まれている。

「バブル」と名がつくので聞こえが悪いが、未曾有(笑)の経済危機にあって、「クラッシュした経済を "緑の経済対策" で立て直す」(『週刊東洋経済』2009年3月21日号37頁参照)というのは、ごく自然な発想だ。つまり、たとえバブルを生成しようが力を入れなければならない分野なのである。アメリカの前大統領・ブッシュは、新エネルギーにはきわめて消極的だったが、新大統領のオバマは、大統領選挙時から公約していた通り、新エネルギーに積極的だ。2月17日に成立した米景気対策法では、総額の約1割を環境エネルギー分野に支出することを決めた(同37頁参照)。

よく知られているように、この分野ではヨーロッパが先進的だ。この分野は、市場原理に任せていたのでは成長しないから、投資に対する税額控除やフィードインタリフ(FIT、固定価格買い取り制度)を導入して、新エネルギーの需要を人為的に拡大させる必要がある。つまり、「官主導で市場を創る」という点が、「グリーン革命」の大きな特徴とされる(前掲誌38?39頁参照)。これは、新自由主義の精神には反するから、ブッシュやコイズミは否定的だった。コイズミは、住宅用太陽光発電設備への補助金を2005年に打ち切り、以後日本の太陽光発電のシェアは、FITを導入して市場を急成長させたドイツにあっという間に追い抜かれ、今では大差をつけられている。コイズミというやつは本当にろくでもないことばかりをした男だった。

アメリカの大統領が「小さな政府」志向のブッシュから「大きな政府」を許容するオバマに代わって、アメリカはヨーロッパに追いつけ追い越せで、新エネルギー市場に本格的に乗り込もうとしている。アメリカへの追随しか能のない日本も、今年1月になって環境省が「日本版グリーン・ニューディール」の構想立案に着手した(前掲誌38頁参照)。

しかし、『週刊東洋経済』の記事は、日本の新エネルギー産業の将来を不安視している。同誌によると、最大のネックは電力会社が発電所と送電線インフラの双方を抱えたまま、実質的に地域独占していることだという。電力自由化が進んだ海外では、発電所と送電線インフラで機能分離されているケースが多く、送電線の会社は積極的に新エネルギーと接続しようとするが、日本では電力会社が、新規参入を招く新エネルギーの拡大を、既存の発電所を脅かすものと受け止めて、風力発電など新エネルギーの送電線接続に制限を課している(前掲誌43頁参照)。

先月、ヨーロッパに遅れること十余年、ようやく経済産業省がFITの導入計画を発表したが、これも対象を太陽光発電に限定されており、風力などその他の新エネルギーは対象にならない。経済産業省が、電力会社と、太陽光発電の高い技術力を有するシャープなどのメーカーの両方に配慮した形である(前掲誌43頁参照)。

そもそも、日本政府はこれまで新自由主義カイカクを進めながら、電力についてはノータッチだった。当ブログは、「官から民へ」を錦の御旗にする新自由主義カイカクには賛成ではないが、規制緩和や自由化がすべて「悪」であるわけでないのは当然だ。私は、飯田哲也著『北欧のエネルギーデモクラシー』(新評論、2000年)を読んで、北欧諸国において電力の自由化が新エネルギー開発を進展させたことを学んだ。それ以前には、脱原発の動きがあり、たとえばスウェーデンが脱原発の方向に踏み切ったのは70年代である。日本は30年以上も遅れをとり、いまだに政府は原発政策に固執している。日本の政党で脱原発の主張を明確に打ち出しているのは社民党だけであり、同党にしても自社さ連立を組んだ頃には一時原発容認の方向性をとり、日本に反原発の政党が一つもなくなったことさえあった。そのせいか、「地球温暖化問題」というと、「原発推進をもくろむ勢力の陰謀」などというトンデモ陰謀論さえ政府系、反政府系双方のブログなどに流布しているありさまで、もちろんこれは事実に反する。アル・ゴアは現在では確かに原発推進勢力と関係があるようだが、ゴアが始めたキャンペーンに原発産業がすり寄ったというのが実際で、まず陰謀ありきなどではないし、前述のようにスウェーデンは脱原発を打ち出した上で新エネルギー開発に注力してきた。

政府と電力会社は既得権益を守ることに必死で、それに対抗すべき民の意見も、トンデモ陰謀論なんかに侵されている始末だから、日本における新エネルギーの将来は暗いと言わざるを得ない。現状では、新エネルギーが伸びた場合に期待される雇用の創出が生み出されないことには特に留意したい。つまり、このままでは日本経済はいつまで経っても浮かび上がれず、日本は世界から取り残された四流国になってしまうと危惧する。

せっかくの高い技術力を持ちながら、政治の貧困によって経済がずるずる後退している日本。こういうところに、官僚支配政治の弊害があるのだろう。現在の自公政権が続く限り、現状の改善は望むべくもない。民主党が政権交代を求めて総選挙を戦うのであれば、環境・エネルギー政策で「自公政権にはできず、民主党を中心とする政権にならできる新エネルギー政策」を争点の一つに据えてもらいたいと思う今日この頃である。


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古寺多見さん、皆さん、こんばんは

私も送電線と発電所を切り離すべきと考えています。
地方の大容量の発電所で電気をつくり、大消費地に送電するというシステムは送電線の電力ロスは大きく、非効率です。
各戸、各事業所で自然エネルギーで発電し、地域で供給し合うのが望ましい形と思います。
流域下水道や大規模ダムなども、すべて同じで、考え方が地産地消と同じようにすべきと思います。
巨大工作物で対応するより、各単位で対応する方が自然に優しいと思います。
放射能が何万年も持続する原子力発電所は、人間とは相容れないもので、やめることを宣言し、自然エネルギーにパワーを傾注すべきと思います。

2009.04.09 21:49 URL | 愛てんぐ #PARia3Ic [ 編集 ]













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