きまぐれな日々

小沢一郎をめぐる新たな動きは2つあって、1つは逮捕された大久保隆規秘書に対する処分が決定する24日の時点で、進退問題などについての考え方を示す意向を明らかにしたことだ。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090317dde007010028000c.html

もう1つは、小沢一郎が「企業団体献金の全面禁止を検討すべきだ」と述べたことである。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090318ddm001040025000c.html

毎日新聞の記事は、

次期衆院選での争点化も視野に、企業団体献金の規制強化に慎重な声が出ている自民党との違いを示す狙いがあるとみられる。ただ、小沢氏は具体的な法改正案などには言及しておらず、民主党内からも実現を疑問視する指摘が出ている。

と書いている。

当ブログにしばしばコメントをお寄せくださるGl17さんは、

東京地検が何がどうでも強引に起訴してくるとすれば、代表のままよりも戦略的撤退のほうが抗戦に有利という判断に思えます。
そして、その場合は自民にとって悪夢と言えるシナリオを用意しているから、貴様等地獄を見せてやるぜ、という表明では。
無論、その脅しが起訴されない方向に効力を発揮すると事情は変わるかもしれませんが、その場合は自民側の自爆です。

と指摘されている。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-864.html#comment5242

なるほどと思える鋭いご指摘だ。小沢一郎の全面降伏だとの見方もあるが、私にはそうは思えない。しかし、小沢一郎が代表を退く可能性は高まったのではないかと思う。以前から書くように、小沢氏には検察への徹底抗戦をする権利も理もあると私は思うが、選挙の争点はあくまで「国民の生活を守る」ことであり、「コイズミカイカク」および中曽根康弘から安倍晋三にかけて推進された「戦後日本の総決算」路線への審判であるべきだ。これは「国策捜査批判」とは分離されることが好ましく、民主党の代表交代は、必ずしも選挙に不利には働かないと思う。ただ、後任を誰にするかが問題で、私は菅直人代表代行の昇格が妥当だと思うが、代表選を行ってもよいかもしれない。

ところで、今回の西松事件で「政府高官」・漆間巌官房副長官の実名が出た件だが、産経新聞の常務取締役編集担当・斎藤勉がとんでもない妄論を書き散らかしている。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090311/stt0903111210006-n1.htm

「「漆間発言」とメディア 取材源、安易に暴露していいのか」と題されたこの記事は、あまりにもバカバカしく低劣なものだが、上杉隆がこの斎藤の記事を厳しく批判している。
http://diamond.jp/series/uesugi/10069/

「漆間発言で思う、「オフレコ」を当然と思う日本メディアの甘さ」と題したこの記事で、上杉氏は下記のように指摘している。

 問題は、漆間氏のオフレコ懇談の環境が、「オフレコ」の条件をまったく満たしていないことにある。

 海外で「オフレコ」(以下BBもオフレコに統一)が認められるのは、情報源を明示することによって生命の安全が脅かされる可能性のある場合、あるいは氏名公表によって著しい不利益を蒙る可能性が高い場合に限定される。

 よって、公人中の公人である権力側の「政府高官」のオフレコは、基本的には認められない。国民の税金で口を糊する権力者の発言は、政治利用の恐れがあるため、実名が原則だ。それが事務次官会議を主宰し、官僚トップの官房副長官ならばなおさらだ。いかなる言動についても、公人としての説明責任が伴うのである。

 さらに、今回の懇談は、首相官邸という高い公共性を帯びた建物の中で、定例の記者懇談という形で行なわれている。当然、生命の安全を脅かされることも、不利益を蒙ることも考えられない。

 本当に、私的なオフレコ懇談が必要ならば、ホテルなどのプライベートな空間で開けばいいだけの話だ。そもそも複数の記者の前で、「オフレコ」が完全に通じると思う「政府高官」の認識が甘い。逆に、そうした「談合」を許し続けてきた記者クラブ側の意識の低さも今回の騒動の遠因にもなっている。実際、記者クラブ記者たちのそうした認識の低さは、きょうの産経新聞の斎藤勉・編集担当のコラムに顕著だ。

("DIAMOND ONLINE 週刊上杉隆" 第69回 「漆間発言で思う、「オフレコ」を当然と思う日本メディアの甘さ」 より)


以下、上杉は斎藤の主張をいちいち検証して胸のすく反論を行っている。ワシントン・ポストのブラッドリー編集主幹とキッシンジャー国務長官の戦いは特に面白い。ワシントン・ポスト紙はキッシンジャーの要求に応じて、名前を伏せて「政府高官」として記事を掲載したのだが、記事に「政府高官」のキャプションとのついたキッシンジャーの顔写真が載っていたというのだ。これにはウケた。

以前、この「オフレコ破り」について記事を書いた時、「新聞記者と政治家の信頼関係が大事だ」とコメントされた方がいたが、私は「信頼関係と同時に緊張関係も必要だ」と応じたが、このワシントン・ポストの報道は、その恰好の実例だ。日本の新聞でもこんな記事を見てみたいもので、たとえば経営破綻の恐れがあるのではないかと危惧されている毎日新聞あたりには、このくらいの勇気が求められているのではないか。こんな報道が一つ出ただけで洛陽の紙価を高め、同紙が危機を脱出するきっかけになるかもしれない。差別主義者の城内実にまでコケにされながら破綻への道を歩む必要などない。

それにしても、産経新聞の「国策報道」ぶりは、目を覆いたくなるほどひどい。私は産経批判などあほらしいという感覚なので、あんまり「産経ヲチ」はやらないのだが、たまにはやらないといけないなあと思った今日この頃である。


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はじめまして。大変興味深く読ませていただきました。
非常に読みやすく整理された文章で感銘いたしました。

ただし私はいつも思うのですが、他国の実例と比べるのは滑稽だとは感じませんか?さまざまな風土の違う諸外国と比べる意味、そしてそれを批判の材料にする理由が理解しかねます。

2009.03.18 10:03 URL | pink #- [ 編集 ]

小沢さんが代表を辞任した場合、議員辞職まで一気に行きそうな気がしますね^^;『公設第一秘書』が逮捕された上に、代表辞任では守る人もいないでしょう。第一小沢さんがいる限り自民党を非難できないですしね^^;

オフレコですが、日本とアメリカでは定義が微妙に違うのはしょうが無いでしょう。日本のマスメディアは世界に類の無い『記者クラブ』なるものを作って、権力側と密接な関係を持っています。その密接な関係の中ではオフレコと政治家が言った場合、記事にしないというのが通例だった・・・産経の記事はそういっているのだと思います。アメリカには記者クラブみたいな権力との癒着組織はありませんから、必然的にオフレコも厳しいものになる・・・上杉さんがアメリカの実情を持ってきて、日本のマスメディアを評するのにはちょっと無理があると思いますね^^;記者クラブ制度がなくなれば上杉さんの言うことも的を射るのでしょうが^^

2009.03.18 13:15 URL | nono #- [ 編集 ]

上杉隆なんてジャーナリストもどきの記事を褒めているなんて恥ずかしくないですか?

ググって見る事をお勧めします。

2009.03.18 16:19 URL | aw #- [ 編集 ]

>ワシントン・ポスト紙はキッシンジャーの要求に応じて、名前を伏せて「政府高官」として記事を掲載したのだが、記事に「政府高官」のキャプションとのついたキッシンジャーの顔写真が載っていたというのだ。これにはウケた。

私も3/12に上杉氏のこの文章を読んだときに思わず声を出して笑いました。
上杉氏のこれまでの主張には賛同できないものも多いですが、このオフレコ発言関連については重要な指摘をしていると私も思います。

きょうのエントリーでも引用されている部分:
【公人中の公人である権力側の「政府高官」のオフレコは、基本的には認められない。 国民の税金で口を糊する権力者の発言は、政治利用の恐れがあるため、実名が原則だ。それが事務次官会議を主宰し、官僚トップの官房副長官ならばなおさらだ。 いかなる言動についても、公人としての説明責任が伴うのである。 】
も重要ですし、コラムの最後の部分:
【ジャーナリズムの守るべき取材源は、相対的に、社会的な弱者である。強者の保護は限定されるべきではないか。だからこそ、政治家や権力者などの公人のコメントは、原則としてオフレコが解除されて当然だと考える。】
にも賛同します。

なお上のコメントには、上杉氏が「アメリカの実情をもって日本のマスメディアを評するのは云々」「他国とは文化風土が違うのに云々」とおっしゃっている方もいますが、そもそも産経の斎藤氏が
【米国でも、例えば国務省で報道官が公式会見を行ったあと、同じ報道官との懇談は取材源を「国務省高官」として発言の引用が許される慣例がある。】
【米国のジャーナリズムでは犯罪や犯罪組織を利するようなケースを除き、取材源の秘匿は徹底して守られるべきだとの空気が根強い。】
とアメリカの実例を挙げて漆間オフレコ発言について実名が暴露されたことを批判しているのですから、上杉氏がアメリカの実情を以て反論することに何の違和感も感じません。

産経の斎藤氏の主張の最大の問題は、「これまでの原則論をたてに、【双方が合意した時にのみ取材源の公表は認められるべき】」と主張している点だと思います。
記者クラブが長い時間をかけて築いてきたという「政局の真相の一端に迫るため長年かけて編み出した取材」方法を守りたいという気持ちも分からなくもありませんが、漆間氏の経歴および現在の立場、そして発言内容とを勘案した場合、取材する側もされる側も今回の例が特殊な例であることは共通認識としてあるはずなので、斎藤氏が懸念する【せっかく積み上げてきた「取材現場の知恵」が傷ついたことで、政府各機関の記者懇にも負の影響】というのがあったとしても非常に小さな影響にとどまるのではないでしょうか。

2009.03.18 18:27 URL | sweden1901 #- [ 編集 ]

斎藤氏の論説は、そんなに無茶苦茶でしょうかね…?

政府の一員であろうとも一市民であっても匿名にするかどうかは取材される側の決定権ではないでしょうか?
原則実名なら、懇談会を廃止すれば良い話です。

現場の政治記者さんの権力と適切な距離を取るのに苦労していると感じます。

日本では反権力を押し通そうとすると西山さんみたいに追放されかねないからです。

日本の国益を考えると一定の匿名報道は必要だと考えます。

2009.03.18 20:05 URL | 葉隠 #CRmGiUQU [ 編集 ]

産経の斉藤氏が云々と言うのが滑稽だと言う事なんです。
あるところでは日本式で主張し、あるところでは欧米式で主張する。その様があまりにも一貫性が無く滑稽であると感じるわけです。

2009.03.19 08:26 URL | pink #- [ 編集 ]

視点がおもしろいので、よく拝見させてもらっています。
しかしながら、同感することはほとんどありませんね・・・。
上杉隆って単なるコメンテーターですよね?
中身のある話しを聞いたことがないのですが・・・

2009.03.19 14:16 URL | エディー #- [ 編集 ]

>以前から書くように、小沢氏には検察への徹底抗戦をする権利も理もあると私は思うが、選挙の争点はあくまで「国民の生活を守る」ことであり、「コイズミカイカク」および中曽根康弘から安倍晋三にかけて推進された「戦後日本の総決算」路線への審判であるべきだ。これは「国策捜査批判」とは分離されることが好ましく、民主党の代表交代は、必ずしも選挙に不利には働かないと思う。ただ、後任を誰にするかが問題で、私は菅直人代表代行の昇格が妥当だと思うが、代表選を行ってもよいかもしれない。

小沢氏に近い議員、菅氏に近い議員、鳩山氏に近い議員、岡田氏に近い議員、前原氏に近い議員・・・
それぞれに思惑があると思いますが、もし小沢氏が代表を辞任したら、党の規約に従って「代表選」を行うことが重要だと思います。
両院議員総会での選出、という形の代表選もこれまでありましたが、党員・サポーターも含めた全国規模の代表選(この形の代表選は2002年が最後)の方が、より望ましいと考えます。
3月4日のコメントでも述べたように、新・代表が、次の首相になる可能性が相当程度ある以上、間違っても小渕首相入院後に森首相を5人組で決めたような轍を踏んではいけないのは当然で、実質的な「禅譲」と見られることを否定できないような選び方では、有権者、特に無党派層への支持は広がらないと思います。

3月3日に大久保秘書が逮捕された直後は、「すわ解散・総選挙か?」という雰囲気もあったので「代表選をやっている暇はない」という大義名分も立ったでしょうが、そのときも麻生首相は、民主党の混乱に乗じた解散には否定的でしたし、今でもその姿勢は変わっていないようです。(ソースは示す必要がないほどたくさんありますので示しません。ただ、解散権は麻生首相にある以上、代表選に絡めた日程での解散の可能性はゼロではありませんが)
ですから、「時間的余裕がない」というのは代表選を行わずに新・代表を選ぶ理由にはなり得ないと考えています。

このあたりの議論(小沢氏が代表を辞任したら新・代表をどうやって選ぶのか)が、民主党内で一応なされているのかどうか。
これら↓の記事を読むと、どうも代表選を行おうとしている民主党議員は少ないように見受けられます。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090307/stt0903070104001-n1.htm
菅サイドもひそかに、「小沢辞任」を想定した新体制の検討に入った。
「代表空席のまま、現執行部の菅と幹事長の鳩山由紀夫に、党内で最も待望論が強い副代表、岡田克也を加えた『新トロイカ体制』をつくる案を練っている。衆院選前に代表選をやっている時間的余裕はないという大義がある」
----------------引用以上----------------

これは3月7日の記事なので、菅氏に近い議員らが現在もこれを最善と考えるとは思えませんが一応参考になります。ただしソースが産経なので信用ならないと思っていましたが、毎日も同じ構想が菅氏周辺から出ている、と3月9日に報じていました。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090309k0000m010092000c.html
代表選の実施は、党内の亀裂に直結しかねない。小沢氏が無投票3選を決めた昨年9月の代表選も「政権交代を前に党内抗争は避けるべきだ」というのが、選挙を行わない大義名分となった。党内調整の難しさから、菅氏周辺では「代表空席で菅、鳩山、岡田3氏の新トロイカ体制で乗り切る」との奇策も浮上している。
----------------引用以上----------------

3月14日の中日新聞には、「代表選は衆院選後にやればよい」という眉唾ものの案が。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200903140308.html
首脳部で有力視されているのは「トロイカ体制」で小沢氏を支える菅氏と鳩山由紀夫幹事長。両氏とも「やる気あり」とみられている上、「衆院選直前の緊急事態なのでいったん、『選挙管理内閣』的な体制とし、選挙後に本格的な代表選をやればいい」(中堅議員)との声が上がる。
----------------引用以上----------------

小沢氏が代表を辞任することになった場合の議論をすること自体が「検察が起訴することを今から認めることになる」とか、「小沢後をどうするかと言い出したら、小沢降ろしにつながる」というような理屈でもし押さえつけられているのだとしたら、あるいは「小沢降ろしのきっかけを作ったと言われるのは困る」というような理屈で自粛しているのだとしたら変な話です。
起訴された場合の対応をどうするか十分に協議しておいて、もし起訴されなければそれでいいわけです。

起訴された場合に、議論百出して収拾がつかなくなるようなことがあれば、民主党に日本の将来を託そうとしていた有権者の信頼をますます失うことになるでしょう。

2009.03.19 22:03 URL | sweden1901 #SVqLzQOU [ 編集 ]













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