ついこの間まで、「新参者」とか自称していたような気がするが、ブログを3年コンスタントに続ける人間はそんなに多くなく、おかげでGoogleなどの検索エンジンにはずいぶん引っかかりやすくなった。そうなってこそのブログ運営である。たとえば最近、下関市長の江島潔について書いた昔のエントリへのアクセスが急増しているが、安倍晋三と親密な関係にあることで知られる江島潔が今年の下関市長選に出馬しないというニュースが報じられたためだった。このニュースを知った人が、検索語「江島潔」でネット検索をかけたところ、江島を批判する当ブログのエントリに行き当たったということになる。それにしても、この時期に市長選不出馬を表明するとは、まさか衆院選出馬を狙っているのではなかろうかという気もするが、実際のところはどうなのだろうか。
ところで、かくも長い間ブログを続けるのは、かなり疲れのたまる作業だ。それでも続ける動機は、私の場合ははっきりしていて、コイズミらの新自由主義と安倍晋三らの新保守主義を打倒するのが目的である。たかが日に4千件から5千件程度、ユニークアクセスならその半分程度のアクセス数でどんな力があるのかはいまだにわからないが、連鎖反応とか相乗効果というのもあるだろう。但し、最近では私はブログの巡回先が減っていて、その代わりにYahoo! のヘッドラインや「はてブニュース」などで注目を集めている記事を読むことが多い。トラックバックも、原則として記事中でリンクを張った参照先にしか送っていない(いただいたTBに対しても返信が滞りがちになっているが、ご容赦願いたい)。
そんなあがきを続けている今日この頃だが、産経FNN合同世論調査でコイズミ発言が「意外に不評」だったと報じた記事などを読むと、やっとここまできたかという感想だ。麻生太郎首相の郵政民営化をめぐる発言を批判したコイズミの発言に、「評価する」が36.4%、「評価しない」が56.3%という調査結果で、やっと「反コイズミ」が「コイズミ支持」に20ポイントの差をつけるところまできた。コイズミには政局を起こす力はやっと失われつつある。もっとも、「構造改革」については「評価していない」が53.6%で「評価している」は44.2%と、その差は9ポイント程度しかなく、最近の橋下徹フィーバーなどを見ると、国民の考え方までが変わったとは思わないが、コイズミの呪縛からは、コイズミ政権誕生から8年経って、やっと脱しつつある。
だが、自民党に代わって政権与党となるであろう民主党の政策がどのようになるかは、まことに心許ないものがある。長年の政官業癒着構造を壊す必要があるのは当然だが、その壊した分をサービスに回さなければならない。間違っても、「小さな政府」などを志向してはならない。しかし、民主党には「小さな政府」志向の人が多いように思う。かつて「普通の国」を目指すとしていた小沢一郎は、外交・防衛政策ではタカ派だったが、地元では利益誘導型の旧来自民党型の政治家だった。だから、松下政経塾出身の政治家ほど新自由主義志向ではなく、むしろ新自由主義者たちを力で抑えているように見えるのが辛うじて救いだ。あとは、政治思想では距離が大きいながら、経済左派同士で手を組んだ国民新党と社民党が、どこまで民主党を社民主義寄りに引っ張っていけるかどうかが、今年成立するであろう連立政権の成否の鍵を握っている。
しかし、「給付金」一つとっても、「バラマキ」という言葉でしか批判できないようでは、それこそコイズミと同じである。当ブログは、給付金は方向性自体は間違っていないと以前から言ってきたが、同様の主張をするブログは少ない。有名ブログでそういう主張をしているところがあるが、別に私はそこに追随したわけではなく、社民主義的あるいは修正資本主義的な考え方をすれば、そういう結論にしか行き着かないのである。「もっと効果的な再分配を行うべきだ」という批判ならわかるが、「バラマキ」という新自由主義者の愛好する言葉は、みだりに使うべきではない。
森永卓郎が先週、「定額給付金は本当に意味のない政策か」と書いたが、これは私の溜飲を思いっきり下げてくれた記事だ。
とか、不況時に減税をするのは、ごく普通の経済政策である。それがなぜか日本ではバラマキだと批判されてしまう。だが、財政政策というのは、基本的には減税と公共事業しかない。公共事業に対する風当たりが強い現在、減税もだめだというならば、いったいどういう政策をとればいいのか。
あるいは、自分の財布が苦しくてしかたがないのに、「減税には反対だが、増税は理解できる」と主張するとは、これほどお人好しで扱いやすい国民はほかにあるだろうか。百歩も百万歩も譲って、それで景気が上向けばいいが、そうならないから問題なのである。
などなど、正論のオンパレードである。社民党や国民新党は、森永氏と同じ方向性を持つ経済政策を持っている。たとえば社民党は定額減税を公約に掲げていたはずである。社民党のような、社民主義の立場からの給付金批判ならよいが、単に「バラマキ」というだけの給付金批判には、私は与しない。では、もし定額給付金反対論者のいう「バラマキ」をやめて、萎縮を続けていくとどうなるか。それは来年度予算を見るとよくわかる。来年度予算の最大の特徴は、税収見通しが7兆円も減っていることである。だめだ、だめだといって萎縮していると、どんどん税収も減って悪循環に陥ってしまうことになる。定額給付金に反対する野党や評論家は、そのことを理解しているのだろうか。
森永氏は、今週のコラム「衝撃的な実質GDPマイナス12.7%という数字」でも、「財務省の分身である与謝野大臣では大規模な景気対策は望めない」として与謝野馨を手厳しく批判しているが、これにも全面的に同意する。森永氏は、
とコラムを締めくくっているが、肝心の民主党が新自由主義や緊縮財政路線の経済政策をとってしまっては元も子もない。私は、きたる総選挙においては、選挙区では民主党候補に投票するが、比例区では民主党以外(もちろん自公以外)の政党に投票すると決めている。それは、民主党の経済政策に信を置けないからであると同時に、より経済左派の政策をとる政治勢力に伸びてほしいからである。どれだけ民主党の経済政策をまともな方向に向かわせるかに、日本経済や社会の再生がかかっていると思う今日この頃である。もはや、日本経済は八方塞がりに陥っているといって過言ではない。唯一、これを打破する方法があるとしたら総選挙しかない。
わたし個人の意見では、ぜひとも早く解散・総選挙をしてほしいのだが、負けが決まっている戦いを自民党がやるとは思えない。あるとしたら、党の顔を取り替えての総選挙になるだろうが、それではまた余計な時間がかかってしまう。とはいっても、もはやそれしか解決方法が見当たらないのが実情なのだ。
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みやけ「またボンが寝言ほざいているな。
いいか!足りない分はむしり取ってでも埋め合わせるのが常識なんだよ!
そこまでやらないとオレは自民のおこぼれにあずかれないんだよ!
・・・ってテレビでやっても言った通りにならないし、
まともな結論なんて出ないよな。
ボンなんて『エコノミスト』じゃなくて『経済コメディアン』の方がお似合いだぞw
かく言うオレも片棒担いだも同然だな。
ま、ボンよこれからも漫才やろうやw
2009.02.26 08:12 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]
新自由主義打倒と保守主義(私は国粋主義者と呼んでいます)打倒につては全く同感です。
私の場合は更に加えて、食料に自給率を高めることと、環境保全がこれに加わります。間口を広げすぎたために、少ない文章でも毎日のように書いています。
健闘を祈る。
2009.02.26 17:23 URL | そりゃないよ獣医さん #RbQvinRU [ 編集 ]
ココログからTBが通らないようなので、下記をアップしました。
下地幹郎さんの米対日要望書についての質疑、2月4日付国会議事録が今だにアップされない。おい、衆院選後までサボタージュかよ。
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2009/02/post-9.html
以下よろしくです。
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0anime/jiminwotheend70.gif
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0anime/jiminwotheend69-2.gif
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0anime/jiminwotheend69.gif
2009.02.26 17:26 URL | SOBA #XPXthLJ6 [ 編集 ]
定額給付金批判は主に二つのベクトルがあるので、注意する必要があると思います。
一つは新自由主義的な財政出動的或いは弱者保護的な施策に対する批判。
もう一つは将来の消費税UPとセットになっていることの批判や、景気刺激策より社会保障的な支出に的を絞って欲しいという左派的な批判です。
定額給付金に反対する民主党議員に両方の要素が混じっているのがわかりにくくしているかも知れません。
与謝野大臣についてですが、彼は財政規律主義者ですが、政局観のある人ですから、まず増税あるきで、増税で確保して税収をすべて借金返済に回すのでなく、一部は公共事業に回すことで、自民党守旧派と握手し、一部は社会保障に回すことで社民主義者と握手するという政治工作をできる人です。
最終的に新自由主義者を共通の敵として、自民党守旧派や社民主義者が彼に取り込まれる危険性があります。
2009.02.27 02:32 URL | kechack #uVfX8ZAQ [ 編集 ]
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