きまぐれな日々

石の上にも3年というが、少し前に知人に教えてもらったところによると、ウェブサイトの寿命は3年といわれているのだそうだ。当ブログは4月で開設3周年を迎える。ここまでは、幸いにもコンスタントに更新できる状態が続いたが、もちろんいつどうなるかはわからない。しかし、これまで3年間の蓄積は無駄にはなっていないと感じる。

なぜそんなことを書くかというと、もうだいぶ前からなのだが、ネット検索をしていて自分の書いたブログ記事が上位で引っかかる頻度が、ブログを続けるにつれてどんどん増していっているからだ。当ブログのアクセスでもっとも多いのは、トップページへのアクセスで、最新のエントリを読んでいただいているが、その他にウェブ検索や他のブログ等からのリンクによって過去のエントリにいただくアクセスがある。それを仮に「個別エントリへのアクセス」と称するが、アクセス解析(最近は月々の解析結果は非公開にしている)を行って集計してみると、800件強の全エントリのおよそ4分の1にあたる211件のエントリについて、個別エントリへのアクセス累計(2007年4月集計開始)が1000件を超えていた。

今日のエントリを書こうとして調べた検索語「金持ち増税」によるGoogle検索では、当ブログの昨年12月17日付エントリ「自民党までもが「金持ち増税」の必要性を認めたが...」が上位で引っかかった。ちなみに、筆頭で引っかかったのは、『世界の片隅でニュースを読む』の昨年2月15日付エントリ「「金持ち増税」論は少数意見ではない?山口二郎・宮本太郎共同論文を読む」である。

私などは、不況期には金持ちにお金を出してもらって景気を刺激するのは当たり前だと思うのだが、マスコミはなぜか異様なまでに逆進性の強い消費税増税にこだわる。今ほど景気が悪くなかった1997年の消費税増税でさえ日本経済の足を思いっきり引っ張ったのだから、2011年の消費税増税など気違い沙汰の一語に尽きるのだが、なぜマスコミがそんなことを主張するかというと、単に彼らが金持ちだからである。

しかし、先週金曜日(1月30日)に自民党幹事長の細田博之が、

雇用されているみなさんが消費をいたずらに削減(節約)するのは、むしろ罪なことだ。そういうことは避けなければいけない

と言った(URL)ことは、批判しないわけにはいかない。この細田というのは、世論の袋叩きを浴びた中山成彬の日教組批判を、テレビで延々と擁護し続けたり、選挙に異様に強い渡辺喜美の離党を牽制しようとして「離党したら刺客を送る」と脅したつもりになったり(自民党は実際に刺客を送るらしいが、細田の期待に反して何の牽制にもならず、渡辺は離党した)などと、落日の自民党政治家がなに偉そうにしてるんだ、としか思えない夜郎自大の男だが、今回の消費者批判の発言もいかにも細田らしいと思う。

細田は、

実際にはお金をたくさん持っている人がいるが、『これから不況になる』ということで、使わなくなっている

と言った。これは実際その通りだが、なぜ中間層以上の「実際にはお金をたくさん持っている人」が金を使わなくなってしまったかというと、それはただでさえ社会保障の貧弱だった日本で、コイズミが「痛みを伴うカイカク」と称して社会保障をどんどん削っていったからだ。こんな社会では、多少お金に余裕があっても安心できないから、金持ちが金を貯め込んでしまうのである。コイズミ内閣の官房長官も務めた細田には、「節約」を批判する資格などなく、「お前が言うな」のタグをつける必要がある。

今は、金持ちに金を出させて、庶民に金が回るようにしなければならない時期だ。政府紙幣の発行も悪い案ではないのだろうが、1月26日付エントリでご紹介したように、かつて同様の提案を行った榊原英資は、「相当にバブリーな政策なので、金の使い方が問題だ」と言っていた(榊原氏自身は「農業支援を行え」と主張していた)。新自由主義側がこれをやると、またぞろバブルの発生に使われてしまう。「サービスの大きな政府」が強力な再分配を行うことこそが必要だ。

コイズミ政権時代の後半、私はあるイギリス人と定期的に話す機会があって、彼はイギリスの社会と日本の社会を比較してイギリスの社会保障を紹介し、日本はアメリカと同じで低福祉の国で、コイズミはその方向をさらに促進しようとしていると言っていた。当然ながら、彼はサッチャーを嫌い、アメリカを馬鹿にするイギリスのリベラルだが、サッチャーによるカイカク以前には、イギリスは「小さな福祉国家」を目指す国だった。同じ新自由主義といってもアメリカとイギリスは違い、もともと小さな政府だったアメリカは、酷薄な格差社会となってしまったが、イギリスはサッチャーがかなり過激に破壊した今でも、実質的には福祉国家と言ってよいのではないかと思う。日本はアメリカ同様、もともと小さな政府だったところに、コイズミや安倍晋三がサッチャリズムを真似てでたらめな「カイカク」を行ったものだから、ワーキングプアの問題が起きた。いや、コイズミ以前の橋本龍太郎内閣発足前夜あたりから新自由主義政策は酷薄の度を増してきていた(さらに遡ると、もちろん中曽根康弘に行き着く)。1998年に日本の自殺者が年3万人を超え、今もいっこうに減らないが、これは橋本龍太郎やコイズミ、安倍晋三らが犯した殺人であるといっても過言ではない。

なすべきことは、社会保障の充実であることは論を待たないのだが、その財源に消費税を充てる発想こそ「さもしい」としか言いようがない。アメリカのオバマは大統領選挙戦で金持ち増税を公約し、イギリスは消費税率を引き下げたというのに、日本だけ「金持ち増税」をいうと脊髄反射で「金持ちが国外に逃げていくぞ」と脅しのコメントが返ってくるようではどうしようもない。自民党でさえ、金持ち増税の必要性を認めているこのご時勢に、「金持ち増税」の検索語によるネット検索で当ブログごときが上位で引っかかるようではどうしようもないのである。具体的には、分離課税だらけで実質的にはあのアメリカよりも累進性が弱くなっている所得税制を改めたり、法人税そのものは妥協して据え置くとしても、環境税を創設して環境に優しくない企業には応分の負担をしてもらうことなどが必要だ。現在のような緊急時にはそれだけでは足りないので、無利子国債発行などが検討されて良い。

最後っ屁をかましておくと、「金持ち増税をすると金持ちが国外に逃げていくぞ」と脅し文句を口にする(あるいは書き込む)のは決まって貧乏人である。金持ちはもっとずっと狡猾であり、貧乏人にそういうことを言わせて、自らはジャーゴンを駆使して新自由主義を正当化する屁理屈を捏造して「洗練された議論」と称するのである。しかし、現実の大不況が彼らの戯言が誤りだったことを立証した。これから、大きな時代の転換が始まる。


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政府紙幣発行は赤字国債以上の麻薬で歯止めはありません。

 借金の返還に使用目的を限定すること。デフレ傾向であること、円安とのかねあいを数値を上げ制限。
 なおかつ、日銀の同意が必要くらいの制限が必要では。
うまみがないですかね。

>ウェブサイトの寿命は3年といわれているのだそうだ
それは、市民運動に参加する人の平均活動年数が約2年と短く定着しないように、WEB言論活動も粘りがないからいわれることなのでしょう。でも私も他にホームページをやっていましたが、その継承として昨年3月ブログを始めました。何しろ12月末から本格稼働したばかりです。2年で終わるかどうかは、人によるのではないでしょうか。

2009.02.04 13:06 URL | 奈良たかし #L1ch7n1I [ 編集 ]

kojitakenさん、皆さん、こんばんは

一律の消費税の他にも、逆進性のものはいっぱいです。
厚生年金の保険料率は報酬月額62万円で足切り、介護保険、健康保険は120万円で足切り、月収1000万円でも62万円と120万円の人と同額です。
勿論、一律の国民年金も逆進性です。
このように、土地や株の譲渡益、利子や配当の分離課税を含めて、金持ち優遇の税や保険料ばかりです。
これらを是正すれば、高額所得者から税や保険料が入るはずです。
ヨーロッパの福祉国家は高額所得者の所得税率は50%近くになっていて、高額所得者の社会に対する役割になっています。
日本は40%ですが、元の50%に戻しても何ら問題はありません。
日本で稼いで外国に居住する非居住者にも、課税すればよいと思います。

政府紙幣の発行は、天下の愚策です。
何のために、中央銀行を独立させているか、判りません。
政府がこのようなことをしないよう、お金のプロとして日銀を独立させています。
政府紙幣を発行するなら、日銀は要りません。
何の保証が政府紙幣にあるのでしょうか。
円を水増しして、円の価値を下げるだけです。

2009.02.04 22:58 URL | 愛てんぐ #PARia3Ic [ 編集 ]

読む人のいなさそうな、あいさつエントリに
アクセスが増えているので、なにごとと思ったら、
こんな文脈でリンクをいただいていたのですね。

>ウェブサイトの寿命は3年

興味がほかのことに移ったり、読者のために更新するという、
義務感が先行するようになるのが、だいたい3年くらいみたいです。


>日本はアメリカ同様、もともと小さな政府だったところに、

日本も他国とおなじく(?)、「大きな政府」の国でしたよ。
ヨーロッパの民主主義国は、おおむね革新政党が
政権を取りつづけて、福祉政策に重点を置き、
保守政党も原則的に、これに賛同していたのでした。

これに対して日本は、保守政党が政権を取り続けて、
企業を保護する政策を取り、革新政党も原則的に、
これに賛同していたというのがちがいです。

実際、日本は戦後、産業界にさまざまな規制や保護を設けて、
他国に見られないほどの、徹底した重商主義政策を取りました。
「日本は世界でただひとつの成功した社会主義国だ」と、
ときどき揶揄されましたが、これは国家による
経済活動へのかかわりが、きわだって大きかったためです。

この「成功した社会主義」は、計画経済では当然ないし、
生産者や企業の利益を守ったのであって、
消費者を守ったのではないです。
よって、本来の共産主義でも、社民主義でもないのは、
もちろんのことですが。

2009.02.04 23:18 URL | たんぽぽ #ZiqE0vWU [ 編集 ]

>> 日本はアメリカ同様、もともと小さな政府だったところに、

> 日本も他国とおなじく(?)、「大きな政府」の国でしたよ。

ここは、正確に「サービスの小さな政府だったところに」と書くべきでしたかね。

政府の介入が社会保障方面に及ばなかった意味では、「(サービスの)小さな政府」といえます。たとえば神野直彦氏などの社会民主主義系の学者は、そのような意味で日本は「小さな政府」だったと言っています。

2009.02.04 23:29 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]













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