きまぐれな日々

2次補正予算案が成立し、ニュースでは定額給付金をめぐって国会の機能不全が鮮明になったなどと言っているが、そもそも、あんな定額給付金ごときが、果たして大騒ぎして与野党が対立するような問題だったのか、きわめて疑わしい。自公政府が統治能力を失っていることは明らかだが、単なる政局狙いの民主党の拙劣な国会戦略も批判されなければならない。2兆円の「バラマキ」が問題なのではなく、2兆円程度ではしょぼ過ぎて何の効果もないのである。日本経済を上向きにするためには、数十兆円単位の景気対策(「バラマキ」と言い換えていただいてかまわない)が必要である。

私は、一日に何度か「自民党TBP」「はてブニュース」をチェックしているが、最近はこれらの中にも注意を惹く記事が少なくなっており、ネット言論も閉塞状況になっているという印象だ。政府批判の視点もマスコミに誘導されたものになっており、マンネリ化しているのである。

そんな中で目をひいたのが、『評論家・森田敬一郎の発言』の1月27日付エントリ「自公連立政権の「再生可能エネルギー」への消極姿勢」だった(下記URL)。
http://morita-keiichiro.cocolog-nifty.com/hatsugen/2009/01/post-7a1d.html

読んで感心したので、下記に森田さんの記事の前半部を引用、紹介する。

 朝のNHKテレビのニュースで、国際再生エネルギー機関の設立総会があったがわが国政府はオブザーバー出席にとどめたと報じられていた。つまり、わが国の政府は「風力」や「太陽光発電」については、中国やこの機関への対応を検討していたブッシュ・チェイニー政権と五十歩百歩ですと自ら発信したわけだ。

 しかも、側聞するところではもともと外務省も経済産業省も出席すらするつもりがなかったところ、オバマ政権の誕生でアメリカが「欠席」から「オブザーバー派遣」に切り換えたので慌てて日本もオブザーバー参加に切り換えたという。

 経済産業省や外務省は、天下りなどの都合で原子力村というか、財界というか、電事連というか、そういうものにがんじがらめになっているので、野放しにしておけばこの国際機関に「不参加」という結論もまあ予想はつく。朝日新聞でさえ、「風力発電の施設に貴重なオオタカがぶつかって死ぬ」といった記事をよく出していると思ったら、この前は「騒音などで健康被害」という記事を一面に大々的に掲載していた。「沖合を推進しよう」といった話など全く書かずにだ。これも赤字転落下の広告料の都合なのだろう。

 しかし、こうした癒着の構造にばかり足をとられることなく、例えば地球環境問題で経済産業省や外務省をリードして、あるべき方向に持って行くのが「政治のリーダーシップ」の役割であるはずだ。

 少なくとも、現在の自公政権はこの問題について私の期待には全く応えていない。やる気がないのだ。この際、民主党など野党各党はこうした問題についてどういう姿勢で臨むのか、ハッキリ態度を示して欲しい。民主党には電力会社からパーティー券を買ってもらっている議員がかなりの数いるのだろうが「政権交代しはしたけれども、やっぱり政治は電事連の言いなりのまま」といったことにならないよう、今から内外に「宣言」しておいたほうが良いと思う。

(『評論家・森田敬一郎の発言』?「自公連立政権の「再生可能エネルギー」への消極姿勢」より)


当ブログも何度も書いているが、太陽光発電は日本の技術が世界をリードしている分野であるが、コイズミが「カイカク」の一環で補助金を打ち切って以来、日本はこの分野でシェアを落とし、再生可能エネルギーに力を入れているドイツに逆転された。また、再生可能エネルギーは、今後内需を拡大し、地域を振興させるため、さらには地球の環境を守るために必ず力を入れなければならない分野である。それなのに、自公政府はブッシュが消極的だと追随して消極的になり、オバマが一転して積極的な姿勢を見せると、慌てて形だけ付き従う。しかし、内実は原子力利権にどっぷり浸かっているために再生エネルギーの開発推進には全くの不熱心なのである。とんでもない国賊というほかない。

しかし、それを批判するべき民主党や朝日新聞も、森田さんが指摘するようなていたらくで、民主党は電力会社や電機会社の労組が原子力産業に頼っていて原発推進を支持している関係で、再生可能エネルギーには及び腰だし、朝日新聞は、最近よく指摘されるように広告料収入が大幅に落ち込んで赤字に転落してしまったために、広告主の企業のご機嫌をとらなければならず、それが再生可能エネルギーに冷水を浴びせるような記事につながっている。

最近の朝日新聞は、もともと持っていた「構造改革」支持のネオリベ体質に加え、安全保障政策関係でも右傾化を強めている。1月24日付社説では、ソマリア沖の海賊への対応で海上自衛隊の護衛艦を派遣することをあっさり容認した。この件は、社民党だけではなく右派の国民新党まで反対し、民主党に共同歩調を取るよう働きかけていて、民主党も反対の方向で党内を取りまとめようとしていたが、朝日新聞があっさり容認したので、ネット右翼は「民主党は朝日新聞より左に行ってしまったのか」と民主党を批判した。民主党の長島昭久は海自の護衛艦派遣の言いだしっぺだったが、党の方針に従って主張をトーンダウンさせていたからだ。私に言わせれば、民主党が左傾したのではなく、朝日新聞の方が民主党右派より右に行ってしまったのである。

朝日新聞の右傾化は社説を書く幹部級記者の問題であり、末端の記者は頑張っていると言う人もいるが、果たしてそうだろうか。再生可能エネルギーの推進は、朝日新聞主筆の船橋洋一も主張しているはずだ。いかに「再生可能」と言っても、環境に全く悪影響を与えない電力供給設備を作るのは至難なのは当然だが、ネガティブな側面を強調するだけの記事は、化石燃料や原子力に頼っている現状を追認するだけのものだ。そして、そんな記事を書くのは社説を書く幹部級記者ではなく、現場で取材している記者なのである。朝日新聞の右傾化は、中堅や若手の記者にまで浸透しているのではないだろうか。

そんな朝日新聞は、民主党寄りの新聞として知られている。かつて社会党びいきだった流れをくんでいるのだが、朝日新聞の論調が民主党の政策に与える影響は大きいはずだから、その朝日の右傾化は憂慮すべきことである。ところが、当ブログが朝日新聞を批判すると、「なんでブログ主は産経ではなく朝日にばかり八つ当たりするのか。実は右翼なのではないか」などと呆れたコメントを寄せてくる読者もいる。そんなことを書くまでに批判精神が鈍磨してしまっているのであるが、それを自覚していない。

自公政府を批判する側までこのありさまだから、麻生内閣の支持率が20%を割り込んだくらいで(そんなのは当たり前のことだ)、浮かれる気には全くなれない今日この頃なのである。


↓ランキング参戦中です。クリックお願いします。
FC2ブログランキング

関連記事
スポンサーサイト

騒音うんぬんはちっとも冷や水ではありません。
要は風力発電も場所を選ばないとマイナスにしかならないということでは。
その辺を疎かにして推進しようとしても風力発電は支持されません。
あと一つ。マンネリといいますが、
弊ブログのリンク先にこういった記事があってもマンネリと言えますか?
http://funnyarome.blog82.fc2.com/blog-entry-330.html
http://funnyarome.blog82.fc2.com/blog-entry-333.html

2009.01.28 13:36 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

本年初投稿となります。今年も宜しくお願いします。
いつものラジオ・アザーサイドジャーナルです。朝日の右傾化は新聞の広告が減少し始めた頃から顕著になってきたように感じていました。新聞の読者層の高齢化、発行部数の減少等々から見て、中道層・右派層へとウイングを広げる必要があったと思われます。数年を待たずいずれ滅亡するであろう事は、現在もっとも有力とされる地上波TVでさえも青息吐息である事から見ても、さほどの影響力はないでしょう。

ブログ主さんの右傾化の基準はいまだ良く分かりませんが、左派バリバリの雑誌「ロスジェネ」の編集者のブログのスタンスはもうすでに右傾化と断じられるかも知れない程度に右派的議論を許容されています。批判ではなく「議論を積み重ねる」やりかたは愚かな小生の脳みそにも理解しやすいもので、多岐にわたって議論の選択肢を提示してくれています。

ソマリアの海賊退治について言えば、右派議員・防衛省はダダをこねて、この際「集団的自衛権」を明確にしたいという下心丸出しなのは言うまでもありませんが国際海洋法条約・国連のソマリア関連の決議に基づけば支障はないはずであると、ロスジェネ編集者氏もさほど問題視されてはいないようです(条件はありですが)小生も集団的自衛権の確立を狙う右派のやり方には賛同しかねます。

エネルギー論議についても、オバマ大統領は産業再生の側面から論じていますが、新聞の多くは思想的側面から見ているのではないかと思われます。ソビエト崩壊以来、左派の拠り所は「反グローバル化」と「環境」だと言われていますから、朝日とてそう見られては部数増に繋がらないと考えたのかも知れません。もちろんスポンサーのプレッシャーはトヨタの奥田相談役の言を待つまでもありません。その程度にまで「死んだメディア」に期待するのもいかがかと・・・。

2009.01.28 14:30 URL | 秀太郎 #- [ 編集 ]

今日28日の朝日新聞の「声」欄に、
ソマリア沖への自衛艦派遣を支持した社説を批判するものが載っていました。
この「声」の言うとおり、そこは譲らないようにしてほしいです。

2009.01.28 17:48 URL | Az #- [ 編集 ]

>2兆円程度ではしょぼ過ぎて何の効果もないのである。日本経済を上向きにするためには、数十兆円単位の景気対策(「バラマキ」と言い換えていただいてかまわない)が必要である

麻生首相が度々述べられている様に
定額給付金の2兆円は景気対策に費やす総額75兆円の内の2兆円に過ぎません。
額面で言えば、麻生首相はkojitakenさんの不満の出ない対策を選択している筈です。

http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2008/12/081224kaikensiryou.pdf
Web東奥・政界注目発言 75分の2/麻生太郎首相 http://www.toonippo.co.jp/notice/detail.pl?ID=295

2009.01.29 22:01 URL | 釣本直紀 #JalddpaA [ 編集 ]

釣本直紀さん、

> 定額給付金の2兆円は景気対策に費やす総額75兆円の内の2兆円に過ぎません。

ご指摘ありがとうございます。実は記事を公開してからこれに気づいたのですが、面倒なのでそのままにしておいたのでした。もともと新自由主義のコイズミ政権で要職にいた麻生だから、景気対策もしょぼいという先入観があってキーボードを打つ指が滑りました。

でも、しょせんは麻生内閣の景気対策ですから、大企業や金持ちばかりが潤う政策しか打ち出せず、効果は期待できないと考えています。

2009.01.29 23:14 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]













管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://caprice.blog63.fc2.com/tb.php/834-edbd517a