きまぐれな日々

1月19日のアメリカは、「キング牧師記念日」の祝日だった。1968年に暗殺された黒人公民権運動指導者、マーティン・ルーサー・キング牧師の誕生日(1月15日)にちなんで、毎年1月の第3月曜日が祝日とされている。この日は、ニューヨークの株式市場もお休みだった。

私が感心するのは、マイノリティである黒人のキング牧師の祝日を設けたアメリカという国である。ひるがえって日本はいうと、建国記念の日だの昭和の日だのと、右翼好みの祝日ばかりが増えていく。向きが正反対なのである。確かにキング牧師記念日は、牧師の死後15年経った1983年にようやく制定されたものだし、一部の州では白人たちの反対が多数で、なかなか祝日として導入されなかった。しかし、国として人種差別をなくしていこうというアメリカの姿勢は、周辺諸国に対する戦争責任問題でいまだにグズグズいう政治家が後を絶たない日本とはえらい違いである。

そのアメリカに、初めてアフリカ系のバラク・フセイン・オバマが大統領に就任した。大統領就任式を翌日に控えた19日、オバマはワシントンにある子供のホームレスのための施設を訪れ、壁にペンキを塗るなどして、施設の修復を手伝った。そして、「キング牧師の夢はすべての国民が自由を分かち合い、子供たちが私たちよりも高くのぼっていくことだった」と、牧師をたたえながら、社会奉仕への参加を訴えた。

"I have a dream" の一節で知られるキング牧師の演説から46年、やはり演説の名手として知られるオバマが全米の人たちの心をつかんだ。オバマの大統領就任演説や今後の政策については、多くの方々が語ってくれるだろうから、本エントリではそれには触れず、就任演説に先立って演奏されたバイオリン、チェロ、クラリネットとピアノの四重奏について書きたい。

オバマのために演奏を行った各氏は、バイオリンがイスラエル出身で幼い頃から下半身が不自由なイツァーク・パールマン、チェロが両親とも中国人のヨーヨー・マ、クラリネットが黒人のアントニー・マクギル、ピアノがベネズエラ出身女性のガブリエラ・モンテロ。演奏されたのは映画音楽の作曲家、ジョン・ウィリアムズがオバマ大統領就任式のために作曲した新曲 "Air and simple gifts"だった。演奏家の取り合わせが、いかにもアメリカらしいという印象だ。イスラエル出身のユダヤ人や中国系の演奏家がいるので、要らぬことを言う人たちもいるかもしれないが、そんな人はおのれの愚かさをさらけ出すだけだろう。

私は、NHKテレビの中継で見たのだが、この演奏の最中もアナウンサーがうるさかったし、オバマの就任演説では同時通訳によって聴く方の集中が妨げられた。だから、ちょっと興をそがれたのだが、それはいたしかたあるまい。ウィリアムズの新曲自体は、仮にアナウンサーの余計なおしゃべりがなかったとしても、正直言ってさほど素晴らしいものとは思えず、先立ってアレサ・フランクリンが歌った「アメリカ」の方が印象に残った。四重奏の方は、演奏家の顔合わせに意味があったといったところだ。

アメリカも日本も大変な時代を迎えたが、せめてアメリカ人が持てるくらいの夢を日本人も持ちたいものである。今までは、あまりに受動的であり過ぎた。今こそ、覚醒すべき時だと思う。


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日本の中で少数民族(民族に限定しないが)が苦学のあと首相にまでのぼりつめられるか、といえば例の国籍法の問題からしても無理でしょうねえ。

2009.01.21 10:43 URL | ろーりんぐそばっと #ehuBx04E [ 編集 ]

米国民は前任者がアレだったから喜ぶでしょうが、
日本のメディアまで一緒に喜ぶ必要はないでしょう。
理解できませんね。
アフガンの件など先のことを考えると、
とてもそんなことをしている場合じゃないと思いますが。

2009.01.21 13:46 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

kojitakenさん、皆さん、こんばんは

アメリカは、先進国の中では、格差を是認する、極めて異質な国です。
市場経済を国民の意向を踏まえた方向に是正する、ふつうの国に変えて欲しいと思います。

NHKのクローズアップ現代で、オバマ陣営はネットを利用して、草の根運動で若い人を掘り起こし、政治に関心を持たせ、運動へと結びつけました。
この手法で、直接国民と双方向でコミュニケーションしながら、政策に反映させていくという新たな方法をとるそうです。
国民の意思を直接取り込むことによって、政治に関心と参加意識を持たせつつ、支持率を高いまま、政策を遂行する、大企業や資本家からの圧力を排除する、この方法が成功することを祈っています。

2009.01.21 22:38 URL | 愛てんぐ #PARia3Ic [ 編集 ]

日本のマスコミの反応と持ち上げ方は酷かったですが、今日の特ダネは酷かったです。
オバマ氏が神であるかのように持ち上げまくり、小倉さんはひたすら演説に感動して涙流した話題の繰り返し。
それで後半はブッシュこき下ろしまくり。たしかにブッシュは馬鹿でしたが。

日本人にとって白人か黒人かは重要なんでしょうか?どちらもアメリカ人であり大差ないと思うのですが。
そういう歴史的シーンを見て感動しろって言われてもどうかなと。

それより中身だといいつつオバマの上辺だけを見せてどうするのではなく、彼の公約が実際にはどう変質し後退するのかとか世界と日本に与える影響を分析して、どう日本はそれに対応すべきかを報道しなくてはならないのに、オバマ氏はタレントですか?
世界の趨勢に影響を与える超大国の大統領だってことを踏まえて真面目に報道して欲しかったです。

ちなみに特ダネで小倉さんが就任式の感動を語るのに対して唯一、高木ミホさんだけが、
「いま世界中に迷惑をかけている国の新しい大統領になろうという人でしょ。それなのにアメリカはその自覚もなく、勝手に盛り上がっててバカみたい。」
と言ってましたwwwよく見てますね。

2009.01.21 22:41 URL | 与志 #- [ 編集 ]

オバマ大統領の選挙戦を考えてみると、 私には小泉元首相を彷彿してしまうのですが、皆さんはいかがでしょうか?

圧倒的な国民の支持を背景にアメリカ国民を守る政策を打ち出すはずです。

日本にとって大きい問題は、大幅な減税政策をした後に大量に発行されるアメリカ国債を購入せざるを得ない国際情勢に追い込まれることだと感じます。

対米輸出に依存する体質からどのように 脱却していくかは、 次期本格政権の課題 のひとつと考えます。


オバマ大統領が新自由主義的政策を見直す政権になっても、 日本にとってプラスになるかは冷静に見極める必要があります。

2009.01.21 23:36 URL | 葉隠 #CRmGiUQU [ 編集 ]

すみません、うまく送信できなかったみたいなのでもう一度送らせていただきます。
(内容ちゃんと覚えてないので思い出しつつ・・・・)

>ひるがえって日本はいうと、建国記念の日だの昭和の日だのと、右翼好みの祝日ばかりが増えていく。

そんなことないと思いますよ。
敏感に考えるとかえって右翼を勢いづかせるのではないでしょうか。

オバマ大統領のこと、日本のテレビは騒ぎすぎですね。
拉致問題のことで市民の声をNHKが取り上げていたので、それは良かったと思いました。

2009.01.22 00:28 URL | 桜子 #noLPitPI [ 編集 ]













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