fc2ブログ

きまぐれな日々

日曜日の午前中は、ずっとテレビを見ていることが多いのだが、昨日(11日)は外でずっと体を動かしていて、テレビは見なかった。このところのマスコミ報道には欲求不満を感じることが多いのだが、その主な理由はマスコミの麻生内閣批判が、しばしば新自由主義側からなされていることによる。

今朝の朝日新聞を見ると、麻生内閣の支持率がさらに低下して19%になったとあるが、一面トップの見出しは「給付金「中止を」63%」(大阪本社発行統合版)というものだ。当ブログは、給付金の件についてはほとんど取り上げないのだが、それはこの政策がマスコミが批判するほどひどいとは考えていないからで、社民党が掲げる「定額減税」と同じ方向性を持っている。

社民党のオフィシャルウェブサイトには、「「社民党の定額減税」と「政府の給付金」の違いについて」という解説文が掲載されている(昨年10月31日付)。社民党案の方がより所得再分配の効果が高いという指摘は正しいと思うが、給付金も方向性自体が間違っているわけではない。ただ、社民党案のように、もっと効果的なやり方がありますよ、ということだ。

ところが、マスコミは給付金を「バラマキ」だと言って叩く。社民党とは方向性が逆の、新自由主義側からの批判だ。特にこの傾向が顕著なのが朝日新聞であって、この新聞はどうしようもないネオリベ新聞である。朝日新聞は、記者自身がいわゆる「勝ち組」であったり、スポンサーの意向を汲んでいたり、朝日新聞の読者が首都圏や大阪近辺のサラリーマン(正社員)の世帯に特に多く、彼らのニーズに応えようとしている、等々の理由によって、現在の新自由主義の継続を求めているものだろう。

毎日新聞は、朝日より一足早く、従来の「構造改革」支持路線からの離脱を始めているが、これは朝日と比べて毎日は広告料収入が際立って少なく、それだけスポンサーの意向を気にする必要性が少ないからだと考えられる。佐々木俊尚の『ブログ論壇の誕生』(文春新書、2008年)によると、新聞社の収益に占める広告料の比率は、アメリカでは8割だが日本では5割であり、朝日や読売に比べて部数の少ない毎日の場合は2割程度なのではないかという。実際、朝日・読売・日経の強者3紙と比較して、毎日新聞や産経新聞のページ数が少ないことは皆さまよくご存知だろう。これは、記事が少ないのではなく広告が少ないのである。だからこそ、「低俗記事事件」で『毎日jp』から広告を引き上げられてもダメージはほとんどなかった(広告料収入に占めるインターネット広告の割合など微々たるものだろう)。

蛇足だが、産経も毎日と同様の事情のはずなのに、財界の意向を汲んだ記事を掲載しているのは滑稽極まりない。せめて、産経と思想的にきわめて近い平沼赳夫一派に倣って構造改革に反対し、反貧困に力を入れて竹中平蔵などの誤謬を指弾する紙面づくりをすれば、産経新聞は右側の読者を増やせると思うのだが、なぜかそうはしない。おそらく、産経新聞の首根っこを押さえているフジテレビの圧力だろう。毎日新聞はTBSとは業務提携しているだけなのに対し、産経新聞はフジテレビに生殺与奪の権を握られてしまっている。フジテレビは、もちろんスポンサー様のご意向どおりに動く電波媒体だから、財界の意向には絶対に逆らえない。

そんなマスコミに受けが良いのが渡辺喜美だが、この男がいつも最初に口にするのが「給付金をやめろ」であることからもうかがわれるように、典型的な新自由主義者である。だからこそマスコミの評判が良いのだ。1月5日付の新聞各紙に、渡辺が自民党離党に踏み切るだろうという観測記事が掲載されたが、自民党に同調者はおらず、今になって渡辺に迷いが生じているという情けない報道まで出てきた。口だけ勇ましくて何もやれないのであれば、渡辺喜美など麻生太郎と何も変わらない。

ところで、麻生内閣の支持率が下がっても、民主党の支持率はいっこうに上向かない。共同通信の世論調査でも、麻生内閣支持率は朝日と同じ19%という数字になっているが、昨年前半には36%に達していた民主党の支持率は31.1%止まりである(自民党は27.5%)。勢力急伸が伝えられる共産党も、同調査では支持率3.6%で、昨年春に支持を急増させたあとはむしろ伸び悩んでいる。実は、福田政権後半から政局は基本的には膠着状態にあり、麻生内閣成立で一時波乱があったものの、元に戻った状態だともいえる。

そんな中、民主党は渡辺喜美のほか、加藤紘一や山崎拓らにも菅直人が亀井静香や黒幕・ナベツネらを介して接近し、かと思うと平沼赳夫一派にも色目を使っている。これは、新自由主義者だろうが保守本流だろうが極右国家主義者だろうが、取り込めるものは誰でも取り込もう、というダボハゼ的発想であり、政策も何もあったものではない。

だが、年も改まり、いまさら新党を結成しても政党助成金も受けられない。今後、総選挙までの間に政党の離合集散の動きはほとんど考えられない。民主党は国会での論戦を通じて麻生内閣を解散に追い込まなければならない。


↓ランキング参戦中です。クリックお願いします。
FC2ブログランキング

関連記事
スポンサーサイト



とはいえ給付金にこだわる与党の頑迷な物言いもほめられたものではありません。
朝日の読者層は『田舎のインテリ層』も追加で。

2009.01.12 08:31 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

>渡辺喜美など麻生太郎と何も変わらない。
にはちょっと同意しかねます。
別に麻生氏の味方するわけではありませんが、渡辺氏の方が桁違いに問題だと思います。麻生氏は少なくとも郵政民営化にブレーキをかけようとする節が見られます。また渡辺氏が推進しようとした対米100兆円寄付(外貨準備金の出資)もストップをかけています。だから売国性において渡辺氏は群を抜いています。
だからといって麻生氏を支持する気になれません。気になるのは渡辺氏や中川(秀)氏が第3極の形成に成功したときです。そうなると日本はもっと悪くなります。
護憲政党である社民党と共産党の連携が必要なのかもしれません。

2009.01.12 11:43 URL | バク #- [ 編集 ]

よりマシなほうに期待するのが政治というものかもしれませんが、こと国内問題に関する限り民主党のほうがカイカク派であって、給付金への批判の仕方もそうだが、製造業派遣問題への中途半端な対応もそう。その旗振り役が朝日新聞なのですから。選挙後のことは誰も具体的に考えたくないんですよね。なんとなく政権交代でスカッとしたいだけで。民主党中心の政権になればすぐ財源問題につきあたり、うやむやにしていた議論が噴出して立ち行かなくなるでしょう。再び流動化した政局で、小政党も含めてまたしてもカイカク競争をする姿が目に見えるのです。どうして社民党や共産党を推そうという動きがもっと出てこないんでしょうか。自民党を批判していても、いつのまにかカイカク教に染まっちゃってるのね。

2009.01.12 22:23 URL | 鉄輪 #- [ 編集 ]

「給付金」は愚策中の愚策と思います。その理由として、ちょっと列挙するだけでも以下のものが考えられます。
1) 2兆円を「配る」のに2000億円の事務経費がかかるという試算もある。
2) 路上生活者や派遣切り犠牲者など住所が定まっていない者に行き渡る可能性が極めて低い。
3) 事務経費に関連するが、事務作業の負担が各地方自治体にかかりすぎる。
4) 「おれおれ詐欺」の被害が心配される。
5) 消費税アップを前提としている。

私は今、健康保険料を支払うのに四苦八苦しています。健康保険料を払っていても、治療費3割負担のため、自分自身は余程のことがない限り病院にはいきません。子供がいなければ、健康保険料を払わずにいるかもしれません。「給付金」より健康保険料を下げてもらいたいものです。

付け焼刃にもならない「給付金」が、やがて私のような「負け組み」の上にさらに重い負担となってのしかかってくるのが目に見えるようです。

いかに新自由主義者の立場を批難するためとはいえ、本ブログ氏ほどのお方が「給付金」について肯定的な見方をしていることにどうも合点がいきません。「方向性がいい」といったところで、細部が酷すぎるのではどうにもなりません。また、高額所得者も一律もらえるというのでは、一律に負担を強いる消費税と何ら変わりません。

2009.01.13 14:08 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]

渡辺の行政改革案は、公務員を減らして不足する人員を外資系の会社に民間委託することでしたね。
国賊ですね、この人。

>1) 2兆円を「配る」のに2000億円の事務経費がかかるという試算もある。2) 路上生活者や派遣切り犠牲者など住所が定まっていない者に行き渡る可能性が極めて低い。3) 事務経費に関連するが、事務作業の負担が各地方自治体にかかりすぎる。4) 「おれおれ詐欺」の被害が心配される。5) 消費税アップを前提としている。

1)は良いんでないですか、9割は効果があるということだし。
2)なるほど、ダメダメですね。
3)自治体は人手が足りませんので、確かに心配ですね。
4)がんばれ警察!
5)これはまるでダメ。アクセルとブレーキを一緒に踏んでるようなもんだ。

世界恐慌直前の今、政府が金をバラまくのは必要だと思います。それで定額給付金自体は悪くない。問題は金額が少ないことだ,,,と思っていましたが、その他にも細かなところでつまづいていそうですね。

2009.01.13 18:22 URL | ぶぶ #- [ 編集 ]

まあ新自由主義側からも批判されているが故にここまで支持率が低いのだと思います。
 麻生政権が社会福祉重視の積極財政あるいは新自由主義的構造改革どちらかにはっきりさせれば、批判されこそすれ25%以上の支持率を確保できたでしょう。
 定額給付金は、マスコミが「バラマキ」を理由に批判すると、反新自由主義の立場を標榜する者にとっては心理的に反発して定額給付金に親和的になるというのも理解できなくはないですが、やはり一番抵抗があるのは、将来の消費税アップとセットになった政策で、一次的名なお小遣いと将来の半永久的増税がセットになっている点ではないでしょうか?
 消費税アップは決定していないので反故にすることも可能ですが、財務官僚とその影響下の政治家がそれを許す訳がありませんからね。
 政権交代すれば反故にできるという考えもありますが、野党にしてみれば、政権獲得の際にやりたい政策の財源として期待していた埋蔵金を先に使われてしまうために、やりたい政策ができなくなることへの不満もあるでしょう。

2009.01.13 20:03 URL | kechack #1/Y8RI0s [ 編集 ]

ここ数年の政府の財政を見て思ったんですけど、国債費と公債費、ほぼ同額ですよねぇ。
で、税収に対して一般歳出の方が少ないですよねぇ。
中央政府自身の仕事は税収で十分まかなわれている...つまり黒字でしょう?
金額的には地方交付税分をちょっと下回るくらいが本当に足りない額ですっけよ。
国債費と公債費は相殺して考えることにして、本当に不足しているのは5~10兆円弱。
これって累進課税をちょっと強化すれば、なんとかなる金額なんでないですか?
消費税の増税ってほんとに必要なのかな?

不況なんだから、政府がバラまくのは正解でしょう?だったら法人税、所得税の累進税率をアップすれば良いんでないですか?
不況下では緊縮財政は悪ですけど、金持ちが金を持ちっぱなしにするのも悪なんだから、金は溜め込んでいるところから税金として分捕っていいんでない?

だめ?

2009.01.14 01:30 URL | ぶぶ #Z.dMZcLI [ 編集 ]

地方自治体労働者です。
定額給付金の年度内支給を、本気で信じている政治家がいるとしたら、かなりのおバカです。
実際の事務に、どのくらいの時間がかかるかシュミレーションしてみましょう。ちなみに、役所の人事異動は4月1日なので、それまでに配布についての詳細が、総務省から示されたと仮定しての話です。
1.4月 給付金の配布方法を市民に周知
広報等に掲載、あわせて全世帯に、振込み口座番号を役所に知らせるよう通知
2.5月末日までに口座届けを締め切る
3.6月末日までに口座の登録、見届け者に催促
4.7月から振込み作業開始
5.役所→金融機関への振込みは、通常1ヶ月程度かかるため、実際に入金されるのは8月以降になる。
これが、一番早いシュミレーションです。
実際は、3月末まで国会決議がもつれた場合、総務省の「指針」ができるのが4月下旬、市町村がそれから準備を開始しても、すでに人事異動が終わったあとで、担当部署の押し付け合いになり、実際に動きはじめるのは5月以降になりそう。それから作業を開始した場合、各世帯に入金されるのは、早くて10月以降でしょうね。
とても麻生の9月任期満了には間に合わない。大都市では12月以降になるのでは?

2009.01.14 08:57 URL | jun #- [ 編集 ]













管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://caprice.blog63.fc2.com/tb.php/822-6622c4f1