きまぐれな日々

『週刊文春』の2009年1月15日号に、政治広報センター社長・宮川隆義による衆院選の情勢分析の記事が出ている。これによると、民主党が280議席を獲得して単独過半数を占めるという予測がされている。

これを見て、意気がまた上がっている人たちもいるようだが、私が気になったのは3か月前との比較である。

週刊誌というのは、選挙がない時でもしょっちゅうこの手の企画をやる。昨年の正月にも『週刊文春』は同様の企画をやっていて、その時は自民党が200議席くらいで、民主党はそれを上回って第一党に躍進するものの、単独過半数には至らないという予想だった。

しかし、麻生内閣が成立し、臨時国会冒頭で解散かといわれた時期に発行された、同誌の昨年10月9日号の予想では、自民党惨敗、民主党圧勝と、予想が大きく変わったのである。この時、自民党の予想議席数は141議席で、民主党は280議席だった。そして、今回の予想では、民主党の280議席は変わらないものの、自民党の予想獲得議席が149議席と、3か月前と比較して8議席増えている。調査は、前回も今回も同じ宮川隆義によるものだ。そこで、この3か月で情勢はどう変わったのかを、3か月前と今回の両者を比較して調べてみた。

すると当然ながら、前回苦戦を予想されながら、今回有力または当確と予想された自民党候補が結構いた。以下その名を挙げる。額賀福志郎、谷津義男、小島敏男、松本純、桜井郁三、深谷隆司、平将明、伊藤達也、長勢甚遠、橘慶一郎、稲田朋美、棚橋泰文、上川陽子、大村秀章、川崎二郎、中馬弘毅、谷畑孝、中山太郎、赤沢亮正、中川秀直、金子恭之、上杉光弘、徳田毅、小里泰弘、国場幸之助。以上の人たちが、3か月前には落選が予想されながら、その後情勢が改善されて今回当選予想に変わった。

もちろん、一方で前回は優勢を予想されながら、今回の調査では落選予想に変わった人たちもいる。その影響で、トータルでは前回の141議席という予想から8議席増えたに過ぎない。また、山崎拓、古賀誠、中川昭一、津島雄二、伊吹文明、武部勤らの落選予想も変わっていない。だが、それにもかかわらず、今回の調査では見逃せない傾向がある。

まず、東京、神奈川、大阪で自民党が巻き返していることである。逆に地方では自民党の退潮はさらに進んでいる。たとえば、当ブログ管理人の地元・香川では、前回の予想では2区で自民党の木村義雄が当選するとされていたが、今回は民主党の玉木雄一郎優勢に変わっている。1区は民主の小川淳也、3区は自民の大野功統で決まりの情勢だから、2区で民主が取ると、民主の2勝1敗になる(3区で民主党が支持予定の社民党の米田晴彦候補を含む)。他県を見ても、地方では自民党の退潮はさらに進んでいる。これは、大都市ではいまだにコイズミカイカクの余韻が残っていて新自由主義を支持する人たちがまだまだいるのに対し、地方ではますます「カイカク離れ」が進んでいるためと見られる。

さらに、ニュースになったり、バラエティ番組に出たりして、電波媒体への露出度が高かった候補が巻き返している。額賀福志郎、稲田朋美、棚橋泰文、大村秀章、中川秀直らである。いずれも、当ブログでも何度となく取り上げた人たちである。「消えた年金」問題についての討論で、民主党の長妻昭に完膚なきまでに叩きのめされて目に悔し涙をにじませた大村秀章が、愛知県の選挙区で唯一優勢と予想されている自民党候補だというのだから、呆れるほかはない。どんなに恥をさらそうが、テレビに出て名を売ると、選挙で有利になるというやり切れない傾向である。

自民党以外にも視野を広げて眺めてみると、極右候補が元気なのも目立つ。前述の稲田朋美もそうだが、平沼グループの平沼赳夫は当然として、城内実や小泉龍司も当確との予想だ。城内がブログでやらかした差別エントリの公開は、情勢に何の影響も与えていないようだ。民主党でも、松原仁や渡辺周などが当確とされている。改革クラブの西村真悟は無印であり、議席を失う見通しであることだけが救いだ。これによって、改革クラブ所属の国会議員は4名になってしまうので、総選挙後に平沼グループと合流するのではないか。当ブログは、こういった極右勢力は政権から排除すべきであると考えている。

以上まとめると、(1)首都圏や大阪ではまだまだ新自由主義の勢いが残っており、(2)テレビで名を売ることは、それがたとえ悪名であろうと選挙では有利であり、(3)勇ましい極右の主張をする候補にも勢いがある、ということだ。

もっとも、以上はあくまでも自民党惨敗の予想の中での懸念点に過ぎない。『週刊文春』の記事では、いくつか興味深い指摘がある。

まず、民主党過半数の予想によって、政界再編成の議論の根拠がもはや消滅したこと。さらに、公明党が小選挙区で全敗して(上限でも3議席)、公明党は「政党機能を失う」こと。小選挙区選出の民主党女性議員が、現在の3人から18人に増えること。自民党は、コイズミチルドレンの総崩れなどもあって、世襲議員の占める比率がさらに上がること。逆に、民主党は新人の当選で世襲議員の比率が下がる。『週刊文春』の予想では、世襲議員の比率は自民が44%、民主が6%となり、こうなれば、少なくとも世襲議員が少ないという点では、民主党が自民党とはっきり差別化することができるとともに、世襲王国・自民党の没落は一時代の終わりをはっきり告げることになるだろう。宮川隆義は、国会議員世襲禁止法の立法を提案している。民主党の小沢一郎や鳩山由紀夫も世襲議員だが、彼らも引退が近い。真面目な話、総選挙後に検討すべきだと思う。コイズミ、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎と四代続いた世襲内閣の悪政が、日本をズタズタにしてしまった。この根を断ち切らなければならない。


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ここで書かれている新自由主義と極右的思想の繋がりというか、そもそも新自由主義の定義ってなんですか。
極右思想が、過去の戦争を美化し憲法を変えて軍隊を持ち、領土問題等に軍事力を使うことも辞さない、ないしは反中のみならず反米である。というところは理解できるのですが、こういう思想の根幹は国家主義であり、新自由主義という経済政策を中心としたリバータリアンの思想とは対極にあるんではないんですか。新自由主義を極端に遂行したら笠井潔のようなアナルコキャピタリズムに進むわけで、それって保守(右翼?)からみたら伝統も何もなくなる方向ですから、相容れないんじゃないのかな。
いや、仮に新自由主義的な経済政策を(彼らが打ち出しているのかすらわかりませんが、)言っているのであれば、それは見せ掛けだけとしかいえないのでは。
一緒にする前提というか定義がよくわかりません。

2009.01.09 11:08 URL | ろーりんぐそばっと #ehuBx04E [ 編集 ]

民主党は都市部で少し挽回したかに見えましたが、自民党が再び巻き返しましたね。都市部の自民党はしぶといですね。
 こうなりますと、Kojitakenさんの恐れている現象が起きかねませんね。つまり民主党が都市部でのテコ入れのために新自由主義色の強い都市部向けマニフェストを作るといったような。参議院選からの地方重視路線から修正される可能性があります。

>ろーりんぐそばっと さん

 国家主義と新自由主義は別モノで、最近はかなり分離が進んでいますが、小泉時代は兼業の人が多かったです。
 まあ、ブロフ主が両者を嫌いだけでしょう。

2009.01.09 23:14 URL | kechack #1/Y8RI0s [ 編集 ]

ろーりんぐそばっとさん、kechackさん、
コメントありがとうございます。
国家主義というか新保守主義と新自由主義は、もちろん別ものですが、完全に独立してはおらず、新自由主義でバラバラになった人心をつかむのに、新保守主義が用いられます。サッチャーもレーガンも、ともに新自由主義者にして新保守主義者でした。日本で、コイズミが後継者に安倍晋三を指名したのにも、小泉は意識していたかどうかはわかりませんが、サッチャーやレーガンの伝統に則ったものです。
しかし、コイズミ自身が日本の共同体をめちゃくちゃに破壊したため、保守の人たちが狙った新自由主義と新保守主義の「幸福な結婚」は失敗に終わり、新保守主義と新自由主義が分化してきたというのが私の分析です。kechackさんが、「国家主義と新自由主義は別モノで、最近はかなり分離が進んでいますが、小泉時代は兼業の人が多かった」と指摘されるのも、その通りだと思いますが、前述の分析から解釈できます。日本における新自由主義の開祖は中曽根康弘ですが、彼はみごとに両者を兼業しており、サッチャーやレーガンと軌を一にしていました。
私が両方を嫌いだというのはその通りですが、もとは同根だったと思います。むしろ、伝統的な国粋主義と新保守主義の違いを考察する必要があるのではないでしょうか。平沼一派など、現在の日本の極右が新自由主義を捨てたのは(もとは平沼も新自由主義者でした)、新保守主義から伝統的な国粋主義への回帰と解釈されると思います。

2009.01.10 13:48 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

うん?もう少し詳しく教えていただけませんか?
新保守主義というのは新たに出てきた言葉ですが、概念はなんですか?
日本の共同体をむちゃくちゃにしたというところが気になるんですが。
日本の共同体を守る=保守ですよね。
サッチャーやレーガンの打ち出している保守というのは基本的に理解できますが、日本の保守ってなんですか。保守は国家主義であり、過去の日本の戦争を美化する傾向にありますが、彼らの言うことが「日本の共同体を守る」ということで、その点で保守思想を理解できるんです。
もっとも、非正規社員と正規社員の格差等を共同体の破壊というのであれば、非正規労働者の増加は小泉内閣の発足よりはるか前の1990年代前半から始まっており、コイズミ改革とは何の関係もないですが。
新自由主義は自分の理解では経済政策についてであり、つきつめればアナルコ・キャピタリズムになる点で国家主義とは絶対に相容れないもので、兼業していると言っても「ふり」だけです。
平沼が新自由主義なんてとんでもない。
そもそも新自由主義が進めば世襲議員なんてありえないんですから。

2009.01.10 23:01 URL | ろーりんぐそばっと #ehuBx04E [ 編集 ]

右翼が強い筈の東京都議選で
自民が敗れる
自民党は内紛を起こすも
反乱軍小泉一派は鎮圧される

2009.07.20 10:19 URL | 都議選 #HfMzn2gY [ 編集 ]













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