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きまぐれな日々

この年末年始、国内でもっとも注目を集めたのは、「年越し派遣村」をめぐるニュースであり、村長を務めた湯浅誠は、いまや日本でもっとも注目を集めている人物の一人だろう。

当ブログは、朝日新聞がこれを大きく扱わなかったことを非難してきたが、もっと滑稽だったのは権力や御用文化人の反応である。

派遣村に集まってきた人たちに対して、「本当に働こうとしている人か」と述べたのは、坂本哲志総務政務官である。この発言を報じた毎日新聞の記事には、およそ270件の「はてなブックマーク」がついたが、うち33件に「これはひどい」というタグがついている。「はてブ」の3分の1に「これはひどい」のタグがつけられた城内実には(ネットの世界では)及ばないが、大顰蹙を買ったといえる。

ところが、2ちゃんねるやmixiの日記などでは、この坂本発言を支持する声が多いのだという。いや、『Munchener Brucke』が採集して提示したように、坂本発言を擁護しているブログがゴマンとある。テレビで彼らを煽っているのはみのもんたである。いや、「たらたら飲んで、食べて、何もしない人(患者)の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」とか、ハローワークで「何かありませんかと言うんじゃ仕事は見つからない。目的意識がないと雇う方もその気にならない」などと発言した麻生太郎首相自身が、コイズミ内閣の頃時代を席巻した自己責任論を再び撒き散らしている。麻生は、いくら積極財政論を唱えようが、本質的に新自由主義者である。

現在、日本の支配層の知的水準は際立って劣化しており、権力が崩壊していく時というのはいつもそうなのかと思わせるほどだ。単に漢字が読めないだけではなく、その無教養ぶりを日々露呈している麻生太郎もそうだが、「経済学者」であるらしい池田信夫という人物もその悪例に挙げられる。

以前、『kojitakenの日記』で、池田が「地球温暖化陰謀論」なるトンデモにはまっていることをご紹介したが、当該エントリからリンクを張った『シートン俗物記』の指摘によると、池田は、従軍慰安婦否定論、沖縄集団自決否定論、捕鯨問題などにも首を突っ込んで、毒電波を撒き散らしているようだ。学界ではまともに相手にされていないのではないか。少なくとも、私は池田を「経済学者」とはみなしていない。

その池田が、ブログで「「派遣村」の偽善」なる、呆れたエントリを上げている。2ちゃんねるでは絶賛されているのかもしれないが、「はてなブックマーク」における評判はかなり悪い。私に言わせれば、この池田のエントリは、どこがどう悪いという以前のレベルのものだ。

ところで興味深かったのは、これだけではおさまらなかった池田が、「反貧困―「すべり台社会」からの脱出」というタイトルのエントリを上げてきたことだ。

内容は、同名の湯浅誠の著書に対する単なる悪口だが、このエントリを読んでいて、池田がこんな駄文を書いた動機がわかった。

池田もエントリ冒頭で書いているように、この本は昨年暮、朝日新聞社が主催する「大佛次郎論壇賞」を受賞した。
http://www.asahi.com/culture/update/1213/TKY200812130197.html

朝日新聞の論調自体は、必ずしも「反貧困」の方向性を持っているとはいえないが、この湯浅の名著に論壇賞を授与する程度の良識は残っているようだ。そして、池田は明らかに湯浅誠に嫉妬している。

彼の経歴も東大法学部の博士課程修了と、普通の「プロ市民」とは違う。

などとわざわざ書いて、対抗心をむき出しにしているし、なんといってもお笑いなのは、

本書のような「社会主義2.0」では、朝日新聞や岩波書店などの滅びゆく左翼は喜ぶかもしれないが、若者はついてこないし、政策論議としても建設的なものは出てこない。

というくだりだ。おいおい、と思ってしまった。これをちょっと言い換えると、

池田信夫のような「新自由主義2.0」では、自民党や竹中平蔵一派などの滅びゆくネオリベは喜ぶかもしれないが、若者はついてこないし、政策論議としても建設的なものは出てこない。

となる。

とにかく滑稽なのは、池田信夫の湯浅誠に対する強烈な嫉妬心であり、これが池田にくだらないエントリを書かせた動機なのだ。みっともないの一語に尽きるが、こういう人間のありようが露骨な形で示されるのが新自由主義時代の日本の特徴なのかと思ってしまった今日この頃である。


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「年越し派遣村」の状況については、色々な情報が流れ困惑していましたが、こうした場面でよくみられるいわゆる「利用主義者」は、「9条守れ」といった腕章をはめた一人だけだったとの現場報告を聞き、これを信用したいと思っています。
 ということは、これまでこうした場面ではこれみよがしの振る舞いに及ぶこと甚だしかった諸団体も自制したと思うからです。

2009.01.08 19:28 URL | 只今 #gIYQI5Sw [ 編集 ]

派遣村については意外にも『読売』社会面が紙面を多く割いていたように見えました。
昨日のNHK『その時、歴史が動いた』じゃありませんが、
新自由主義は人から『筋目』を奪ってしまったんじゃないかと、
ブログでかみつくボケ共を見て感じてしまいました。

2009.01.08 19:34 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

あけましておめでとう御座います。反知性派ラジオアザーサイドジャーナルです
今回のエントリには大いに同意いたします。竹中氏ほども世に問う力も無いくせに理屈を言い、悦に入ってるのはみっともない限り。せめて慶応レベルで教鞭を執ってからにして頂きたいもんです。
「やらないよりはやる偽善」です。困ってる人がいれば助けるのが古来からの日本人の美徳であって、政党云々、プロパガンダ云々はこの緊急時には関係ないと思います。震災記念日が近いので特に被災民だった者としては辛さが思い起こされます。

あの時は、自らの思想によって自衛隊の救援を拒否する輩もおりましたが、「誰が行おうと善意は善意」とかえって馬鹿にされ左派の面目丸つぶれのシーンも見受けられました。あの日は暴力団でも炊き出しをしていたもんです。

市井の一人として、あの教授には「情」や「熱」は感じられません。授業を受ける学生こそ非人間的な「新自由主義2.0」の被害者であり、彼には悪魔の再生産は止めてもらいたいものです。

2009.01.08 20:05 URL | 秀太郎 #- [ 編集 ]

池田信夫さんはたしかに嫉妬心がすごいですね。
売れっ子の佐藤優さんにたいしても、「記事がネットのコピペレベル」などと誹謗中傷ではないかと思うようなことを書いています。
彼の経済学者としてのレベルは低いと思いますね。
日本の人文科学のレベルの低さのせいでもあると思いますが。

2009.01.09 02:10 URL | 怒助兵衛 #buI3a3AE [ 編集 ]

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/3_a7ad.html
労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎氏によると

>池田信夫氏の第1法則:池田信夫氏が自信たっぷり断言していることは、何の根拠もない虚構である蓋然性が高い。

>池田信夫氏の第2法則:池田信夫氏がもっともらしく引用する高名な学者の著書は、確かに存在するが、その中には池田氏の議論を根拠づけるような記述は存在しない蓋然性が高い。

>池田信夫氏の第3法則:池田信夫氏が議論の相手の属性(学歴等)や所属(組織等)に言及するときは、議論の中身自体では勝てないと判断しているからである蓋然性が高い。

だ、そうです。

2009.01.12 21:41 URL | 元BP@闘争中 #oeKd1LZE [ 編集 ]

このコメントは管理者の承認待ちです

2011.03.01 10:02  | # [ 編集 ]

 たまたま通りがかったのですが、確かに池田信夫さんは妬み心,嫉妬心を隠そうともせずむき出しにした文章を書かれる方のように見受けられます。
 
 武田邦彦さんが注目されるとそれが面白くないのか、やはり噛みついてましたが、2chではこのように指摘され、正にその通りと思った次第。

以下2chより
世田谷ウラン発見で武田邦彦がこっそりブログ修正、池田信夫は「魚拓に残っているので無駄である。」
2011/10/16(日) 02:03:22.88 0
池田信夫さんは、今まで適当な経済の話をして、自分が文化人気取りでもてはやされていたのに、原発事故以来、世間の関心が放射能に集まったために、武田邦彦さんの発言が世間の注目を集め、文化人・知的エリートの範疇に属する人々の中では人気No1になる一方、自分の発言に対しては、子飼いの太鼓持ち連中のヨイショがある他には、誰も注目しなくなったため、知的エリート層に属していると勘違いしている池田さんにとっては面白くなく、「クヤシー!!」とばかりの僻み根性丸出しでこのような文章を書いたのでしょう。
彼の文章から、彼が「俺も注目されたいよー!、チヤホヤされたいよー!」とばかりに、武田さんを羨望し、僻み、妬んでいることがにじみ出ています。
また、彼が論理的に物事を考えることができないのだなあということも、彼の文章の端々から伺い知ることができます。
まあ、僻み、嫉妬は人間の感情として理解できることですから、池田氏は、僻み根性丸出しだったとしても何も恥じることはありませんが、彼自身の幸福のためには一度カウンセリングを受けることを考慮してみるのが良いと思われます。

2012.02.26 11:41 URL | きっき #- [ 編集 ]













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