きまぐれな日々

今日1月7日は、昭和天皇の命日だ。没後20年にあたる。

昭和天皇は、約4か月間がんと闘病した末、息を引き取った。その間、大げさな歌舞音曲の自粛騒ぎがあったが、天皇死去のおよそ1か月前、本島等長崎市長(当時)が「天皇に戦争責任はあると思う」と発言して波紋が広がった。この本島発言によって、かろうじて昭和天皇の生前に戦争責任の問題が議論された。

もちろん、戦時中の昭和天皇の立場が難しいものだったとは思うが、どう考えても戦争責任がなかったはずがない。世を去って歴史上の人物となり、過剰な敬語も用いられなくなるのを見て私は、これから徐々に昭和天皇の戦争責任の問題も冷静に議論されるようになり、重大な戦争責任があったことが国民の常識になるだろうと予想していた。

しかし、それから20年。必ずしも私の予想した通りにはならなかった。それどころか、世論は徐々に右に傾いていき、あろうことか東条英機の復権まで図られるありさまだ。産経新聞や極右文化人は、先の戦争は裏でコミンテルンが糸を引いていた、などという陰謀論を言い出す始末で、昨年も田母神俊雄の「論文」問題で話題となった。

産経新聞や極右文化人のほか、一部の保守政治家も妄言をしばしば吐き、それが周辺各国を蔑視する排外主義的な言動につながり、普段「反貧困」に熱心な「リベラル」を自称する人たちの一部までこれを容認している。

こんな状況になってしまった原因として、昭和天皇の戦争責任を問わなかったことを挙げざるを得ない。天皇でさえ責任を問われなかったのだからとばかり、A級戦犯容疑で逮捕された岸信介は、それからわずか12年で総理大臣に就任した。岸はアメリカCIAから資金援助を受けていたことが、後年公開された当時の機密文書から明らかになっている。

今、日本は敗戦時以来の危機的状況にいると思うが、再建のために必要なのは、現状を招いた政治の責任者を厳しく追及することだ。昭和天皇と東条英機に相当する責任者は、いうまでもなくコイズミと竹中平蔵である。この二人は、重罪を犯した犯罪者として、二度と政治や言論の表舞台に立てないよう、徹底的に批判する必要がある。

さらに、新自由主義の開祖である中曽根康弘と、その協力者である渡邉恒雄(ナベツネ)の責任も重い。この二人は、憲法改定の道を切り開いたことについても責任を問いたい。経済政策に関してナベツネは、市場原理主義に反対すると主張しているが、新自由主義の開祖・中曽根に批判が及んでいないのは片手落ちだ。そもそも、著書などでナベツネ自身が明らかにしているように、ナベツネはもともと経済問題には関心の薄い政治記者だった。だから、読売新聞の新自由主義批判は、ほんの上っ面をなでた程度のものにしかならない。

許されないのは、かつて新自由主義の旗振り役を務めていながら、自民党政権が怪しいと見るや、泥船から逃げ出して新政権にも参画しようとたくらむ新自由主義者たちであって、その筆頭が渡辺喜美である。山本一太や塩崎恭久らなども、渡辺の尻馬に乗ろうとしている。

民主党も、かつて自民党と「カイカク」を競った政党であり、路線を転換してから3年近くになるとはいえ、党内に多くの新自由主義勢力を抱える。だから、共産、社民、国民新各党が掲げる製造業派遣原則禁止には党内で異論がかなりある。いや、そもそもかつて民主党も労働者派遣法の改正(1999年)に賛成した(但し製造業への派遣解禁は、コイズミ時代の2004年、与党の強行可決で成立した)。民主党も、党の新自由主義とのかかわりを総括しなければならない。

日本人は、今度こそ戦争責任を追及しなかったかつての誤りを繰り返してはならない。新自由主義者を自らの手で裁いて政治や言論の表舞台から去らしめなければ、成熟した社会を作り上げることはできない。


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「民主党も労働者派遣法の改正(2004年)に賛成した。」とありますが、この時は小泉政権の与党による強行採決で同法改悪(製造業への派遣解禁)が成立しました。民主党は反対しています。民主党が賛成したのは、1999年の改悪です。

2009.01.07 10:50 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]

負け組みの矜持さん、
ご指摘どうもありがとうございます。
本文を訂正しておきました。

2009.01.07 12:23 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

新自由主義と国家主義は相容れないものです。
逆に言えば、新自由主義を標榜しておいて、歴史認識をはじめとする国家主義者って自己矛盾です。
ちなみに小泉・竹中の新自由主義って新自由主義でもなんでもないです。郵政省と財務省の利権争いなだけです。(勝ったのが財務省)

2009.01.07 14:01 URL | ろーりんぐそばっと #ehuBx04E [ 編集 ]

戦後日本で政財官界のトップが根本的な責任を取ろうとすることが少ないのは、昭和天皇を総括していないせいだとずっと思っていました。上御一人が自分の責任について口をつぐんでいるのを見ていたら、なるほどあの手でも通るんだと思う人が多くて当然です。

2009.01.08 08:47 URL | jsds001 #wm5n2XIM [ 編集 ]

「赤旗」日刊紙に某大学教授の「昭和天皇の宣戦布告は内閣の補弼によって行われた」という論文が掲載されたことがあるそうですね。
日曜版しか取っていないので伝聞しかないのですが。
私に教えてくれた人は、「これは日本共産党が事実上昭和天皇の戦争責任を免罪したことになる。いよいよ天皇主催の晩餐会に出席した不破哲三の本音が現れた。奴は戦時中は軍国少年だったらしいからな」と憤慨していました。
不破哲三が理論的リーダーになってから日共はおかしくなっていますね。
プロレタリア独裁を「プロレタリアの執権」とか「暴力革命」を意味不明の「強力革命」とかに珍訳したり、最近では「ソ連は社会主義国ではなかった」なんてほざいてるではありませんか。
ソ連崩壊寸前まで「ソ連はいろいろ問題があるが、紛れもなく社会主義国」であると言ってた責任をどう感じているのでしょうか?

2009.07.10 11:04 URL | とんでもはっぷん #- [ 編集 ]













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