きまぐれな日々

1月2日付エントリ「新聞とネット ? 置き換えではなく、補完関係を求める」に、奈良たかしさんから下記のようなコメントをいただいた。

http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-815.html#comment4695

>紙媒体としての新聞がなくなるとしても、現場で取材し、それを記事にまとめる企業体の必要性はなくならない

>既存のジャーナリズムとの補完関係を求めていきたいと思う

 それは、おっしゃられるとおりですが、朝日新聞の場合は立ち直りができるのか疑問です。かつて故石川真澄政治記者が晩年の2004年頃「世界」に連載していた当時、多くの若手たちからその政府批判について、苦情の声があると、嘆いておられました。
 こういう特権階級意識と政府迎合の若手記者層が、この数年の出世で実務と社説の論説委員室を把握した。それで格差や消費税上げ賛成など国民の希望を追及しない、エリートから見下ろす視点で作っているのが現状だと思うからです。象徴なのが社説欄の論説委員室メールアドレスが昨年から消えました。

2009.01.02 20:18 URL | 奈良たかし


また、奈良さんからは、同趣旨のブログ『生きてるしるし』のエントリ「有力ブログのメールマガジン有料化とマスコミ競立はあるか」をトラックバックいただいた。お礼を申し上げる。

実は、奈良さんのコメントに私も少なからず賛成である。故石川真澄記者晩年の著書『戦争体験は無力なのか』(岩波書店、2005年)は、当ブログでも2007年6月1日付エントリ「「亥年現象」を超えて」などで何度か紹介しているが、かつて朝日新聞の中心的な政治記者だった石川氏は、90年代の「政治改革」、特に選挙制度の改変に賛成しなかったあたりから、社論の主流から外れていった。朝日新聞は政治改革に賛成し、1993年に成立した細川政権を支持し、98年の小渕政権以降は民主党寄りの論調になった。そして、2001年にコイズミ政権が発足すると、コイズミ・竹中の「構造改革」を支持したのである。

それでも、右翼たちは朝日新聞を目の敵にした。今世紀初頭には、護憲派の佐柄木俊郎が論説主幹で、昭和天皇の戦争責任を問う社説を掲載して右翼から非難を浴びるなどしたが、佐柄木はどうやら経済問題にはほとんど関心がなかったらしく、佐柄木の名前と「新自由主義」あるいは「構造改革」といった言葉を掛け合わせてネット検索しても、ほとんど何も引っかからない。しかし、朝日新聞社の幹部は政治思想的に左派色の強い佐柄木を嫌って、論説主幹を若宮啓文に交代させて佐柄木をヒラの論説委員に降格した。父親も朝日新聞記者だったいわば「世襲記者」の若宮は、コイズミ?竹中の「構造改革」を支持し、論説主幹交代後の2002年10月26日付紙面には、「不良債権──「竹中いじめ」の無責任」という呆れたタイトルの社説が掲載された。

さらに、一昨年からは長く空位だった「主筆」に船橋洋一が就任した。読売新聞では渡邉恒雄(ナベツネ)が主筆の座にいる。船橋は、しばしば朝日新聞の一面に署名入り記事を書く。昨年末には、下記のように書いた。

公の再建は、資本主義をよみがえらせる上でも必要である。資本主義の代案は資本主義しかない。市場の欠陥を補うのは、市場に「公正」のルールを課し、国民の働く場を維持し、社会を安定させることである。それにはたくましい「公」が不可欠である。


要は修正資本主義ということで、その主張自体は間違っているとは思わないが、船橋には竹中平蔵との共編著『IT革命―新世紀への挑戦』(朝日新聞社、2000年)があるし、最近朝日新聞本紙の真ん中に折り込まれるちょっと紙質の良いなんとかいう付録にも、竹中平蔵がでかでかと登場していた。その記事は、読む気にもならなかった。竹中平蔵の主張など読む時間ももったいなかったからだ。いうまでもなく竹中は、「政府は余計なことをするな」が口癖の「小さな政府」論者、すなわち新自由主義者である。建前上修正資本主義を掲げる船橋洋一が、その実新自由主義と親和性が高いように見えるのは何故だろうか。

朝日新聞の紙面を見ていても、派遣村の記事はいつも小さいし、イスラエルのガザ侵攻の記事はイスラエル側からの記事ばかりで、何か官僚的な新聞という、もともと朝日新聞にあった印象が、このところますます強くなっている。私は、新聞社の命は社会面だと考えているが、朝日新聞の社会面は全然生き生きとしていない。

朝日新聞は相当重症だなあと言わざるを得ない。記事を眺めていると、ため息が出てしまう。それでも、マスコミが権力に対するチェック機能を取り戻さなければ日本の再生はなく、朝日に限らず新聞記者たちには頑張ってもらわなければならないと思う今日この頃なのである。


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元々平和にイスラム教徒やユダヤ教徒が仲良く長年住んでいた場所に
『我々は2千年前にこの地に住んでいたからここは我々の土地だ』
というメチャクチャな理屈で「軍事侵攻」し(米国の超バックアップ付き)
徹底的に武力で制圧して領土を奪い核武装までしたイスラエルの
どこに正義があるというのでしょうか?
日本は残念ながら米国の属国ですからメディアでは
あたかもハマスが悪者(テロリスト集団)のような報道がされますが
これはまさに大東亜戦争時に欧米列強に戦争をけしかけられ
植民地にされるか戦うかを選ばされた大日本帝国と同じ構図です。
パレスチナの人々が不憫でなりません。特に民間人の方々。。。
戦争自体もちろん悪いことだと思いますがこれは明らかな侵略です。
日本人みんなで声を上げていきましょう。

2009.01.06 08:12 URL | 博多っ子 #DKH/kKes [ 編集 ]

元々イスラエルがあそこに建国したのは英国主導で決められたことですね。中東を弱体化して分割支配するために。
イスラエルのせいで民族過激派などに脅かされるアラブ各国は、政権安定を米軍駐留に依存しており独立性を制限されます。
ビンラディン家などはサウジの建設財閥ですが、米基地建設で成り上がった家系です。
その意味でパレスチナは悲惨なスケープゴートですが、常に咬み合わせられるため存在するという意味ではイスラエルもそうです。

まあ、対外攻撃によって問題を転嫁しようとしているという点で、二次大戦当時の日本は今のイスラエルに近いのでは。
リアルタイムで国際非難の対象になっていたというとこも近いですし。
別に必然でそういう情勢になったわけでは無く、むしろ戦略の甘さ、読み違いで自らを追い込んだという差異は大きいですが。

2009.01.06 10:01 URL | Gl17 #EBUSheBA [ 編集 ]

追い風もありませんし朝日も大変なんじゃないでしょうか。

2009.01.06 21:28 URL | AAA #- [ 編集 ]

 おおっと気がつけば私の名前が載っていました。ありがとうございました。トラックバックも。

 私にとって新聞はとても大事なものです。朝日新聞が、もうかなり立ち直りが無理だと感じているのは、80年代に朝日ジャーナルで西武鉄道グループと堤義明批判を繰り広げた本多勝一記者に、西武の土地購入時期での自粛を言い、一時従い再開すると、今度は西武といい関係だからやめるよう言った。今度は「いい関係」とはメディアの言うことではないと従わなかったのですが、このときは相手は朝日の幹部でした。しかし石川真澄さんの時は若手記者のリーダー層です。

 これは半分死んだようなもので、現に官僚の世論操作の道具化しています。厳しく言うのはもしできるなら再建したいからです。

2009.01.07 22:33 URL | 奈良たかし #L1ch7n1I [ 編集 ]

こんにちは。朝日新聞は、検索でみると、kojitakenがおっしゃるように、主筆の船橋洋一さんの評判が今ひとつのようですね。日経新聞についてですが、主張自体は、おしゃるように新自由主義的と思います。ただ、「経済」という切り口なので、株価に影響しそうな内容は、小さくても記事として入れようとしているのではないかと思っています。それが良いことかどうかはわかりませんが、参考になる記事はあります。

2009.01.10 21:40 URL | 散策 #TY.N/4k. [ 編集 ]













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