きまぐれな日々

麻生太郎首相は漫画がお好きだそうだが、手塚治虫の『陽だまりの樹』を読んだことはおありだろうか?

手塚治虫の晩年、といっても50歳台の1981年から86年に描かれたこの漫画のタイトル「陽だまりの樹」とは、幕末期の江戸幕府を指す。見かけは大きくて立派な樹だが、中身が腐っていて、倒壊する寸前。私がこの漫画を読んだのは、手塚の死後だいぶ経ってからの2001年の年末、自民党がコイズミの登場で息を吹き返していた頃だったが、私は読みながら、「自民党政府も同じだなあ、今はコイズミ人気で盛り返しているように見えるけど、内実はもう自民党は歴史的役割を終えた政党のはずだしなあ」などと感じていた。

その後、自民党は03年の衆院選、04年の参院選で党勢を落としたが、2005年の「郵政総選挙」で圧勝して、有権者の信任を得たコイズミは任期の末期にさらに過激な新自由主義政策を推進した。「骨太の方針2006」では、毎年2200億円の社会保障費削減の方針を打ち出し、同じ2006年には後期高齢者医療制度を強行採決で成立させたのである。

「我亡き後に洪水よ来たれ」とコイズミが思っていたかどうかは知らないが、いわば「コイズミコウズイ」がコイズミの後を襲った3人の宰相、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎の世襲政治家たちを直撃した。最近、麻生太郎を徳川慶喜にたとえる論評も見かけるが、頭脳明晰だった慶喜が漢字も読めない無能な麻生太郎にたとえられたのでは、あまりにも慶喜が気の毒である。

それはともかく、ここにきての自民党の迷走ぶりは目も当てられないひどさで、たとえば麻生は、まだ福田康夫が辞意を表明する前の今年8月に民主党をナチスにたとえて批判されたが、先日は鈴木政二・自民党参院国対委員長も同様の発言をした。だが実際には、「郵政総選挙」のあと、「物言えば唇寒し」の空気が生じて誰もコイズミを批判できなくなり、ナチスドイツかソ連共産党のような体質に変わり果てていたのは自民党だった。

伊吹文明に至っては、「YKKK」(山崎拓、加藤紘一、亀井静香、菅直人)を白人優越主義を唱える米国の秘密結社「KKK」(クー・クラックス・クラン)にたとえるという、ネット右翼並みの発言をやらかした。これも、より「KKK」に近いのは歴史修正主義者や反中反韓の人間が少なからずいる自民党の方だろう。もっとも、自民党よりさらに「KKK」に近いのは平沼一派だと私は思うけれども。

自民党の政治家はこういう妄言を繰り返すだけではなく、「反日教組」議連などという右翼イデオロギー議連を発足させる愚行まで犯している。国民の多くが明日の飯を心配する状況に追い込まれているこの時に、こんなくだらないお遊びをしていられる自民党のノーテンキさには呆れ返るし、「公明党を切れば比例票が増える」という意味の発言をした古賀誠とか、加藤紘一や渡辺喜美を意識して「離党すれば刺客を送るだけ」と脅したつもりでいる細田博之など、よくもこんなにおめでたい「KY」(「漢字が読めない」ではなく、「空気が読めない」ほう)が自民党には揃っているなあ、と呆れ返るばかりだ。公明党を切ったら、それでなくても苦戦必至の小選挙区で自民党候補者は壊滅的な打撃を受けるだろうし、落ち目の自民党に「刺客」を送られたって、加藤紘一や渡辺喜美は痛くも痒くもないに違いない。新自由主義者の渡辺は、中川秀直らとくっついてナンボの人物だから、単独でどこまで行動できるかはきわめて疑わしいと思うが、それはともかく、ノーテンキな古賀や細田は、「陽だまりの樹」を内部から食い尽くしていくシロアリのようなものだと言うべきだろう。

麻生は、「政局より政策」だと言う。それなら、民主・社民・国民新党の3党が提出した「緊急雇用対策関連4法案」を受け入れても良さそうなものだが、大企業の経営陣の利益しか頭にない自民党は、これに反対して否決する方針のようだ。

いまや、自民党には新自由主義者(中川秀直一派など)と極右(反日教組議連参加者など)しかいないかのような惨状を呈しており、下野後に民主党に対する反対勢力として生き残れるかどうかさえ疑わしい。かつて、自社さ政権時の選挙で、社会党が党勢を大きく落としたことがあったが、いよいよ自民党の番だと思われる。近い将来、総選挙で惨敗した自民党は一部が新自由主義新党、一部が極右新党(平沼一派はこちらに合流してもらえばすっきりすると思う)に分裂し、残りが民主党との合流を図り、大きくなり過ぎた民主党が、政権交代後のある時期に新自由主義指向のグループと社民主義指向のグループに分裂して政界再編成が行われるのかなとも思う。

いずれにしても、政官業癒着構造は大がかりに改めなければならないから、その意味でも次の総選挙の結果を受けての政権交代は必要不可欠だ。いまさら、選挙敗北必至の自民党が「大連立」を仕掛けようなどとは、甘ちゃんもいいところであって、各議員は自分自身のサバイバルに専念すべきだろう。そして、有権者の信任を得た議員だけが、そう遠くない未来に起きる政界再編に参加すれば良いのである。


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野党の雇用関連法案について、今朝のラジオ番組(ローカル)で、
コメンテーターが「野党の単なるアピールでしょ」とほざいていたのには腹が立った。
何もやらない与党よりアピールでも意見する野党の方が百倍マシと思えないのか。
もっとも、そのコメンテーターの肩書きが『フィナンシャルプランナー』だったので、
「さもありなん」と思いましたが。

2008.12.18 19:20 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

しかし、この期に及んで刺客とか言い出すのは驚きました。そんなものを送られたら、当時とは逆にかえって有権者の支持が集まるのでは。
元自民なぞが下手に当選しても困るのでやめて欲しいですね、共倒れになったら無問題ですけど。

2008.12.18 23:34 URL | Gl17 #EBUSheBA [ 編集 ]

陽だまりの樹、懐かしいですね。
最近床屋で置いてあるコミック本を見て、懐かしかったですね。私は確かビックコミックだったかな、書店で立読みをしていました。
自民党の姿は、只春の夢の如しですね。寝ぼけ眼もいい所だ。
小泉さんが麻生さんが解散先延ばししたのを見て、選挙区を息子に譲ると言いましたね。
見切りを付けたんでしょうね。
やはり、あそこらが軸になって動いて行くように思います。何しろ郵政解散の当事者ですから、政界再編のシナリオも出来ているかも。
先日、飯島さんが杉村議員の応援にいっていますしね。

2008.12.20 17:53 URL | Hbar #AxZBP2pg [ 編集 ]













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