きまぐれな日々

12月8日の新聞で、一斉に麻生内閣支持率の急落が報じられ、自民党内からも公然と麻生太郎首相に反旗を翻す動きが出てきた。

中でも目立つのが渡辺喜美で、この男は田原総一郎を筆頭とする電波芸者たちのウケがよく、マスコミに持ち上げられているため、国民の間にも「善玉」のイメージで受け止められているが、実体は中川秀直や小池百合子と仲が良く、その動きは新自由主義者の反撃として位置づけられることは、当ブログでは何度か指摘してきた。

本家本元のコイズミも動き出し、「郵政民営化を堅持し推進する集い」なる自民党の議連を立ち上げ、安倍晋三、中川秀直、石原伸晃、小池百合子らが参加した。
http://www.asahi.com/politics/update/1209/TKY200812090304.html

彼らは「脱カイカク」路線をとろうとした麻生内閣の支持率急落を利用して、復権を図ろうとしている。今朝(11日)の朝日新聞5面にも、「中川秀氏 反攻」なる記事が出ていて、中川秀直は今日、新たに社会保障に関する議員連盟を立ち上げ、これに渡辺喜美や小池百合子が参加する。中川の側近によると、議連の政策は将来「民主党と議論するための下地作り」であり、「総選挙後の再編に備える仕掛け」なのだそうだ。

公然と新自由主義者が反攻を仕掛けてきたわけだが、私が特に気がかりなのは、渡辺喜美に関してマスコミが作り上げた「改革者」の虚像が、民主党支持者を中心とする自公政権に批判的な人たちに好意的に受け入れられてしまうのではないかということだ。彼らは「小さな政府」を唱え、社会保障を削減する「コイズミカイカク」を推進してきた人たちである。彼らの復権は、不人気な麻生太郎よりもっと悪い影響を日本の社会に与える。そもそも、彼らの政策が失敗したから、自民党政権の支持率が急落するとともに、アメリカ発金融危機の影響もあって日本の社会や経済がおかしくなったのだ。

ホンダのF1撤退やソニーの大規模な人員削減策は、日本経済のみならず世界にも大きなショックを与えている。他にもリストラを計画している企業が多いようだが、利益を出して株主に配当を出す企業が従業員の首を切るなどということは、昔なら考えられなかったことだ。昔なら経営状況の思わしくない会社は、無配の時期を長く続けた。新自由主義が浸透した現在は、株主様は優遇され、役員報酬はうなぎ昇りに上昇する一方、民間給与所得は9年連続で減少した。10年目にようやく前年比で少し増加したが、そのあとはまた激減になることは間違いない。

「小さな政府」ではもうだめだ、これからはサービスの「大きな政府」でなければならない、とは当ブログが繰り返し主張していることだが、12月4日付エントリ「共産党まで新自由主義のイデオロギーに侵されていた!!」に、主に共産党支持と思われる方々からご批判をいただいているので、ここで答えておきたい。

当ブログは日本共産党が「大きな政府」に懐疑的で「小さな政府」を指向している、などとは全く考えていない。そんなことは政治の常識であり、私はそこまで「政治音痴」ではないつもりだ(笑)。昨年の参院選で、民主党が「国民の生活が第一」のスローガンを掲げて圧勝したが、要は共産党の主張を一部パクったものだと考えている。

ただ、『きょうも歩く』の昨年4月のエントリを読んで、共産党でも組織の末端においては、「小さな政府」論が国民生活に与える脅威に鈍感な場合も多いのではないかと感じた。コイズミ政権時代の世論調査は、共産党支持者の間にもコイズミを支持する人が結構いることを伝えていたが、同様の誤りが共産党員にまで及んでいたとしても、なんの不思議もないと思った。

エントリのタイトルはちょっと刺激的だったかもしれないが、タイトルで読者の注意を惹くのは、ブログを書く側にとっては常套手段なので、そこはご勘弁いただきたい。

この件に関して、『きょうも歩く』の管理人・黒川滋さんからコメントをいただいたので、以下に紹介する。

やり玉にあげられているきょうも歩くの筆者です。

生活保護はきちんと払え、年金は減らすな、保育所も学童保育も給食調理員も公務員正職員にせよ、地方を見捨るな、教育費を無償化せよ、児童の医療費を無料化せよ、医師に高い報酬を払え、とにかく何かと自己負担を減らせ、こうしたことをすべて満たそうとすれば、どう考えても今の日本の財政規模ではやっていけないはずです。公共事業費や防衛費を減らすにしても、それだけの財源が捻出できるわけがありません。

ここできちんと一定の増税を対置できれば、きちんと筋が通るのです。

一時は地域福祉とか、そういうチチンプイの魔法で何とかなるような幻想を見せられましたが、それもNPO労働力を低廉に使えると見込んだ介護保険の崩壊状況を見るとどうやら限界にきているようです。

共産党が、自らが掲げる理想の社会を実現しようとすることはそれなりに欧州で実現していることで、筋があります。しかし、それは国民負担率でいうと、5割前後の政府になります。増税が対置されないとできないのですが、あらゆる負担増に反対するもので、そこでいつも非現実的、となってしまいます。

で、増税が悪いのかといえば、増税がないことによって、生活保護の必要な人はワーキングプアとして人生を犠牲にし、教育の格差は広がり、保育や介護ではサービスを受けられない人がいて、医療機関は人材確保に汲々としている実態があるわけです。そういうところで働いている人の労賃の問題を考えない立場の人にはまったく実感のない話だと思います。多少の増税をすれば、こうした社会のサービスがもっと余裕をもって提供されることになり、とりもなおさず金銭、人脈、家族、教育など社会的資源に恵まれない人の救いになるはずです。

そういうことの抗議の意味を込めて、埼玉県委員会の返答を例題に使わせていただきました。しかしこれは共産党批判ということではなく、社会サービスの足りなさに抗議しないのに増税反対運動に盛り上がるこの国の左派陣営の人たちの共通の弱点ではないかと思います。

もっともだからといって公共事業で何とかしようという議論には私は最もくみしません。
今の日本の公共事業は、何ら生産性の向上につながるものがないからです。
社会的ニーズが高く、日本人の生産性改善に寄与するはずの、通勤電車の改良、保育所の増設、介護施設の増設、ホームヘルパーの給与改善、そうしたことはすべて後回しで、道路ばかり造っているというのもいかがなものかとは思います。

2008.12.09 00:03 URL | きょうも歩く


当ブログの取り上げ方に問題があったせいか、黒川さんのブログが「槍玉にあがる」形になってしまったことを申し訳なく思う。批判のコメントが多い中、コメントしてくださった黒川さんに感謝したい。

今回、新自由主義者たちが反攻をしかけてきたのは、経済政策、特に財政や社会保障に関する議論を高めるチャンスでもあると思う。ここで、新自由主義者たちの欺瞞を徹底的に暴くとともに、彼らに反対する側としても、財政政策の「富の再配分」の機能を正しく認識して、分離課税の多すぎる個人所得課税を改めることによる所得税の累進性強化や、環境税の導入などの社会民主主義的、あるいは修正資本主義的な施策によって税収を増やし、それを乗数効果の小さな道路建設ではなく、医療や公共交通機関のサービス改良、再生可能エネルギーの開発推進など、生産性を改善するための支出に振り向ける、などの議論を深めていく必要があると思う。


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只今、民主党にメールで意見をいたしました。

 自民党の小泉、中川、石原、渡辺、小池氏ら新自由主義派が民主党へ秋波を送っているようですが、彼らを一人でも党内に入れることは止めていただきたいと思います。民主党内の一部議員が個人的に離党して、彼らと新党を作るのは仕方ありませんが、例えそのようなリスクがあったとしても、民主党が自民党と殆ど変わらなくなるのは、貴党にとって最大のリスクですよ。
 もし自民党議員が離党して貴党に入党するという場合は、最低限、郵政民営化に反対という、国民新党と同じ意見であることを質してからにしていただきたく思います。

2008.12.11 12:13 URL | cube #- [ 編集 ]

大きい、小さいと言う言葉はとても抽象的な言葉であり、何を基準に大きい、小さいというのかを語らずに使うのはどうかと思います。

又、日本政府は、職員数の面では小さい中央政府になるが、地方公務員を含むと大きな政府になるでしょう。予算の面でも、埋蔵金を入れないと小さいが、入れると大きいなど、いろいろと変わるので、ひとえに大きい、小さいとは言えないのではないでしょうか。

政府を大きい、小さいと語るのは、あまり意味が無いことだと思います。

黒川さんは、kojitakenさんと同じように増税に賛成のようですが、増税の前に政府による無駄遣いを無くすことが大切だと思います。政府の無駄遣いを無くせば、増税の必要はなくなるでしょう。

2008.12.12 04:25 URL | 美爾依 #HfMzn2gY [ 編集 ]

新自由主義者は、自ら座礁をして、その難破船の上で騒いでいる状態です。船を下りて岸に押し寄せてくるかもしれません。要注意です。そのうちおぼれてしまう可能性も大ですが。

2008.12.12 11:05 URL | Orwell #qsvP4ThM [ 編集 ]













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