きまぐれな日々

前々から、麻生太郎という男はなんて自惚れが強いんだろうと思っていた。

麻生が頭角を現した頃のイメージは、「単なるチンピラ」。とにかく滅多に見ないほど品のない男で、しかもしゃべっている言葉に内容が全くない。そのくせ、態度はやけに自信満々なのだ。聞けば、吉田茂の孫だという。くだらない世襲政治家だと思って軽く見ていたのだが、まさかこの男がコイズミに重用されて自民党の中心人物の一人になろうとは、夢にも思わなかった。

とりわけ印象に強く残っているのは、麻生が既に自民党の大物になっていた2004年に読んだ、魚住昭の『野中広務 差別と権力』(講談社、2004年)のエピローグに載った、麻生太郎の暴言と野中広務の激怒である。当ブログでも、一昨年以来何度も取り上げたが、これを再掲する。野中広務は、次のように激怒したのだ。

総務大臣に予定されておる麻生政調会長。あなたは大勇会の会合で『野中のような部落出身者を日本の総理にできないわなあ』とおっしゃった。そのことを、私は大勇会の三人のメンバーに確認しました。君のような人間がわが党の政策をやり、これから大臣ポストについていく。こんなことで人権啓発なんてできようはずがないんだ。私は絶対に許さん!

(魚住昭 『野中広務 差別と権力』=講談社、2004年より)


私はこの本を2004年9月5日の日曜日、米子から岡山方面に向かう伯備線の鈍行列車の中で夢中になって読みふけっていた。天気は前日の雨があがって、明るい初秋の日が差していた。欠点もいくつか挙げられるが、面白さでは比類のない本だった。同じ著者の『渡邉恒雄 メディアと権力』(講談社、2000年)を、2000年にプロ野球・読売ジャイアンツが日本シリーズを制した日に読み返したことも覚えているが、読んだ時の状況まで忘れられないくらい読者を夢中にさせたということだ。当時ブログを開設していたなら、熱を込めた書評を書いたに違いない。

そのくらい面白かった本のエピローグに、この麻生太郎の暴言が載っていたのである。麻生は、こんな発言をしていないと主張しているし、それに対して魚住昭が何か語っているのは見たことがないが(魚住は現在大作の準備中だと、月刊『現代』の最終号=2009年1月号=で語っていた)、総理大臣就任後の麻生の失言、暴言の数々を聞いていると、野中を指して吐いた部落差別の暴言を麻生が口にしたとしても、いかにも麻生なら言いそうなことだとしか思えないし、野中の激怒に対して、

麻生は何も答えず、顔を真っ赤にしてうつむいたままだった

というリアクションしかできなかった(前掲書より)のも、いかにも麻生らしいと思う。

麻生太郎を見ていて思い浮かぶ言葉は「みっともない」の一語である。テレビを見ていると、麻生が記者に質問して答えさせては、「それが今の答え。」と偉そうに言い放つ場面が出てきてむかつくが、あれは実は麻生自身が答えたら言い間違いをする恐れが大きいから記者に言わせているのではないかと今ふと気がついた。なにせ、「経済の麻生」を自認しながら、株式に満期があると思っていたり、1929年の大恐慌と1987年のブラックマンデーを混同するような男だ。おそらく麻生の頭の中には単語だけはたくさんあるのだろうが、それが散らかり放題で整理も収納もされていない状態なのだろうと想像する。

ネットの政治アンケートサイト『政治オぴみオン』では、10台、20台の若年層で麻生内閣の支持率が暴落していると伝えている。11月6日?11日の調査では、50代の麻生内閣支持率が21.1%、40代が23.1%であるのに対し、10代は44.1%、20代は39.3%と異様に高かったが、11月20日?25日の調査では、10代が28.3%、20代が24.6%と急落した(50代は14.0%、40代は14.5%とさらに低下した)。

これはネットのアンケートだから無作為抽出ではなく、政治に関心のあるネットユーザーについての数字ということになるが、安倍内閣の時にも見られたことだが働き盛りの支持率が低く、若者ほど支持率が高くなっている。極右の意見が支配的論調になっている某巨大掲示板の影響力なのだろうか。もっとも、働き盛りの世代が運営しているブログでも、反政権を標榜しながら極右レイシスト(未満?)の元政治家を応援しているところも結構あるから、40代、50代も免罪できないと思うのだが。

まあ内実を伴わない元政治家やその支持者への悪口は今日はこのくらいでやめておいて内閣支持率の話に戻ると、『政治オぴみオン』のサイトを見ていてなるほどと思ったのは、

子供でも読める漢字が読めないとなると、流石に若い世代の支持は維持できないようだ。一国のトップの常識レベルが疑われるとは、まさに未曽有の事態といえる。

という指摘だ。赤字ボールドの部分の最後はそれ自体皮肉になっており、誰もが「みぞゆう」(私には「みぞうゆう」と聞こえた)という麻生の誤読を思い出すだろう。

麻生内閣の支持率低下が雪崩現象の惨状を呈していて、いつもだったら毎日新聞あたりが劇的な支持率低下を示す調査結果を発表したあたりから支持率低下が問題になるのだが、今回はテレビ朝日、日経新聞、FNNなど、電波媒体や保守の新聞の調査から支持率が崩壊していっている。働き盛りでかつその先にはリタイア後のことも視野に入っている世代にとっては、消費税増税や社会保障削減が重大な関心事だが、若者にとっては麻生の常識の欠如がもっともインパクトが強いだろうことは容易に想像がつく。このところ私はしばしば、高校や中学校、いや小学校の国語の授業で、教師と生徒の間でどのようなやりとりがなされているだろうか、と想像するのである。漢字の誤読の多い生徒に対して教師は、「お前はまるで麻生総理みたいだな」とか「麻生総理か、お前は」などと言っているのではなかろうか。一国の総理が学校の授業で笑いものにされるようでは、確かにお話にならない。

この状態では、選挙はほっといても野党の圧勝になるだろうし、特に野党第一党の民主党にとっては絶対有利な情勢のはずなのだが、不可解なのは小沢一郎が「全党参加で超大連立の選挙管理内閣を作ろう」などと呼びかけていることだ。
http://www.asahi.com/politics/update/1201/TKY200812010420.html

ふだんから朝日新聞は民主党に好意的だから、

早期解散をめぐる世論や政治情勢を見極めつつ、内閣が信任を失った場合には野党第1党が政権を担当するべきだという「憲政の常道」論を盾に共感を広げながら提案の時機を探る考えだ。

などと書いているが、それなら最初から民主党の選挙管理内閣で解散させよと言うべきだろう(当ブログも同様の主張をしている)。それをわざわざ、あの忌まわしい「大連立」という言葉を使うとは、何か意図があるのだろうと思うほうが自然だろう。

本当は、今日のエントリでは、小沢一郎やナベツネ、中曽根康弘、与謝野馨、加藤紘一、朝日新聞などの意図を勘ぐりまくったり、性懲りもなく「真正保守の結集」などとほざいている大物極右政治家を笑いものにしたりしたかったのだが、前フリに当たる麻生太郎の悪口がついつい長くなってしまったので、この続きは明日のエントリに回すことにしたい。


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「野党第一党の民主党にとっては絶対有利な情勢のはずなのだが、不可解なのは小沢一郎が「全党参加で超大連立の選挙管理内閣を作ろう」などと呼びかけていることだ」
昨年の参院選後民主党に有利な情勢であったのに大連立に乗りかけた前科があるのだから、別に不思議ではないでしょう。
麻生人気は賞味期限切れですが、その分小沢人気がリードを大きくできている訳でもありませんし。衆院選前に麻生を降ろせば、今の民主党の有利もまた危うくなる可能性があります。そもそも敵失(今回の大部分は麻生個人の資質の問題)で得た有利ですから。
麻生が降りて、かつ任期満了まで解散しない可能性があるのなら、とりあえず残りの期間大連立に参加する方が依然として野党でいるより得だ、という皮算用なのでは。

2008.12.03 17:40 URL | Black Joker #RtNpiJ3M [ 編集 ]

本日はじめて拝見させて頂き、激しく共感を覚えました。
私も現状の麻生内閣の迷走ぶりについて、日々憂慮しております。評価に値しない前代未聞の拙策や、筋の通らない方針転換、対応の遅さ等、政府としての政策面での愚昧さもさる事ながら、最も憂うべくは、麻生太郎という歴史上類を見ない愚物が、この緊急事態とも言うべき経済危機の今日、こともあろうか首相の座に居座り続けているという悪夢の様な現実ではないかと思います。
巷では、総理や議員としての資質を問う声が多く聞かれますが、浮世離れしたその愚鈍さは、もはやその域になく、一社会人、成人、としての資質をも著しく欠いているものと思えてなりません。
一国の首相でありながら、政治、経済に関する知識は、民間のサラリーマン以下。連日ぶらさがり会見で発言している内容は、居酒屋でサラリーマンが世間話をしている程度のレベルとしか思えません。
また、「なんとなく」「基本的に」「なんだっけ・・・」「忘れた・・・」等を連発し、"てにおは"も無茶苦茶で、日本語として殆ど体をなさない発言内容から、頭の回転もそうとう鈍い事が伺えます。
漢字の誤読や驚く程の語彙の乏しさは、聞いている方が恥ずかしくなる程で、日本の未来を担う子供たちには、とても見せられたものではありません。
さらに、上から目線で微塵の謙虚さも感じられない醜悪な人間性にも絶句、閉口してしまいます。かねてより、各地の遊説や視察先で繰り返される、傍若無人で無礼千万な立ち振る舞いには、不快な思いを募らせる向きもさぞかし多い事でしょう。
また、すぐにキレて記者に喧嘩腰で嫌味を言ったり、会見途中でも都合が悪くなると逃げ出そうとするあたり、精神年齢は中学生程度でしょうか。
議員内閣制を盾に解散を拒み、民意を無視して政権の延命を正当化していますが、憲法上合法でも、これで民主主義と言えるのでしょうか。ここまで醜い利己主義の独裁者に、日本の国政が委ねられているかと思うと、恐怖すら感じてしまいます。

2008.12.03 17:58 URL | yukimura #- [ 編集 ]

初めまして。自分は麻生が最初に変だな、と思ったときのことをよく覚えています。ネットで読んだインタビューだったのですがインタビュアーになぜか逆質問し、「何で日本のロケットはよく失敗するんだと思う?」と聞きなんでですか?と聞き返され「ロケット現場で変な人がうろうろしてたりするんだよなぁ。学者先生たちは頭がいいけどそういうところは鈍感なんだよ」といっていて要するに外国のスパイの妨害工作で日本のロケットの打ち上げは失敗している、と言いたいらしいのです。多分、2,3年前の記事だったと思いますがなんとも気持ち悪い印象を受けました。それにしても上から目線といいマンガ脳といい、昔から麻生は麻生であって支持してた人はほんとに見る目がないと思います。

2008.12.03 18:46 URL | ヒロト #- [ 編集 ]

反知性派ラジオ「アザーサイドジャーナル」です。
おかげさまで6年目に入り月間平均45000DL、PVも50000件となりました。貴ブログへのコメントの効果もありなんと思い御礼申し上げます。

さて今回のエントリの「麻生VS野中」爆笑させていただきました。東西両横綱がっぷり四つと言う感じでしょうか。ブログ主さんの唾棄してやまない大阪府知事が「同和対策費削減」を言い出したとたん、知事に面会を求め早速、野中先生は恫喝されまして対策費削減はピタリと沙汰止みになりました。(友人の府職員談)まだまだ意気軒昂でおられるようです(笑。麻生総理を批判するに野中氏を当てるのは提灯に釣鐘と言いますか、水鉄砲に核兵器で対抗するようなもので威力が違いすぎて笑えました。今後とも貴ブログの悪口雑言・罵詈讒謗楽しみにしております。大金持ちVS利権屋総本家の戦いは貴ブログなくしては語れません。今後とも健康に留意されますよう年末のご挨拶を兼ねて一筆啓上いたしました。

2008.12.03 19:13 URL | 秀太郎 #- [ 編集 ]

>秀太郎さま

貴ブログの御宣伝、ご苦労様です。

さて、

>今回のエントリの「麻生VS野中」爆笑させていただきました。

今回のエントリーをちゃんと読まれておられますか?
どう読みましても、このエントリーの主題、趣旨は、
「麻生VS野中」ではないですよ。
麻生総理の言動における、不見識、非常識、教養の無さを批判する上での
コジタケンさんにとって記憶に強く残っているエピソードとして
これを取り上げたということでしょう。
麻生総理がかつて公言したとされる、
『野中のような部落出身者を日本の総理にできないわなあ』
についての野中氏の激怒をここで取り上げたうえでの、
麻生氏の不見識を批判しているわけで、
同和対策、同和利権についてはなんら触れてはおられません。
そして、
その後の文章を読みましても、主題はこれではないことが
わかるはずです。

そもそも、なんで爆笑されるんでしょう・・・
言葉は悪いですが、マヌケってものですよ。

いかにも秀太郎さんらしい、ピントのずれた、慇懃無礼な、牽強付会な
コメントですね。
さすが、反知性派ですね。
現代文読解の基本的な勉強をお勧めします。

2008.12.03 20:38 URL | フリスキー #iMBi6aSc [ 編集 ]

それと、秀太郎様、

今、はじめて貴殿のラジオ番組を
拝聴してみましたが、

貴殿の政治的信条にそぐわない政治家がそこにいるからって、もし北朝鮮から核攻撃があるならば、大阪の高槻市に落としてほしいなんて、よくもそんな不穏な発言を軽々しくも言えるものですね。

冗談でしょうけど、
あまりもの無神経さに唖然としました。

2008.12.04 01:28 URL | フリスキー #iMBi6aSc [ 編集 ]













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