きまぐれな日々

今日もしつこく田母神俊雄のアパ懸賞論文問題について書く。

11月8日付のエントリ「田母神俊雄、渡部昇一、元谷外志雄、佐藤優らに呆れる日々」は、当ブログでも有数の人気エントリになっていて、特に「元谷外志雄」を検索語にしたネット検索で訪れてくださる方が多い。

ところが、その私がうかつなことに元谷外志雄の著書『報道されない近現代史』産経新聞出版から出ていることを知らなかったのである。普通ならブログで本を紹介する時はアマゾンあたりのサイトにリンクを張るのだが、それすらけがらわしいと思ってネット検索もしていなかった。

産経新聞ウォッチャーのvanacoralさんは、11月2日付の「ちょっと陰謀論」というエントリで、田母神俊雄や元谷外志雄の画像やフジサンケイビジネスの宣伝文も盛り込んで紹介してくれているのだが、どうしたわけかこの良エントリを私は見逃していた。

上記フジサンケイビジネスの宣伝文を見ただけでは、元谷の著書は、ちょっと怪しげだなと思わせる程度で、しかもアパのサイトでは佐藤優が絶賛している。だから、ダマされる人も大勢出てくるかもしれないが、本の中身が田母神論文と共通点の多いトンデモであることは、昨日のエントリで紹介した「週刊新潮」の記事にも書かれている。

なんと言っても田母神論文のキモの1つは、コミンテルン陰謀論なのである。産経新聞はこれを広めようと躍起になっているが、この陰謀論は保守派の歴史家からも相手にされていないことはたびたび指摘してきた通りである。

そして、コミンテルン陰謀論に関して、こんなのを見つけた。
http://www.meiseisha.com/katarogu/rekishi-no/kakikae.htm

これは、日本会議という日本最大の右翼団体が発行している「日本会議ブックレット」の中の「日本の息吹ブックレット」シリーズに含まれる、小堀桂一郎と中西輝政による『歴史の書き換えが始まった!?コミンテルンと昭和史の真相』という小冊子である。

自ら歴史修正主義を高らかに謳い上げた小冊子で、小堀と中西はコミンテルン陰謀論を開陳しているのであろう。東大名誉教授の小堀桂一郎は大昔からの著名な極右イデオローグで、私は30年近く前から名前を知っている。また京大大学院教授の中西輝政は、言わずと知れた安倍晋三のイデオローグで、安倍内閣時代に「5人組」と呼ばれたうちの1人だ(当ブログ2006年11月16日付エントリ「安倍晋三につながる極右人脈」参照)。この2人が書いた小冊子の宣伝文句を以下に引用する。

歴史資料公開の「五十年ルール」に伴い、先の大戦にまつわる重要な歴史資料が続々と公開され、その真相が明かされつつある。

謀略に満ちた世界の現実を直視し、いかにして国家の存続を図るか。 それは、幕末明治以来、日本の先人たちが直面し続けた課題でもある。

その対応を困難にしたのは、ほかならぬコミンテルンの国際謀略だったことを明らかにしたのが本書である。

しかも、その根底にある人間不信の原理は、冷戦崩壊後の現在も進行中であり、GHQの占領政策とその固定化としての「戦後レジーム」に入り込み、日本の歴史、伝統、文化を破壊し続けているのである。


そして、小冊子の推薦人には渡部昇一が名を連ねている。
http://www.meiseisha.com/katarogu/rekishi-no/kakikae-suisen.htm

「コミンテルン陰謀史観」は「日本会議」公認のものといっても良いわけだ。

この団体の名前は滅多に新聞に載らないが、改正教育基本法の成立を報じた2006年12月16日付の毎日新聞1面に掲載されたことがある(当ブログ2006年12月16日付エントリ「毎日新聞の報道?改正教育基本法は「改憲へのステップ」」参照)。画期的な報道と思ったが、極右の安倍内閣が倒れた後は、再び「日本会議」の名前は新聞にあまり載らなくなった。だが、極右的人士たちの野望は決して潰えたわけではなかったことが、今回の田母神論文騒動で明らかになったわけだ。

日本会議の関連組織として、超党派の国会議員が所属する日本会議国会議員懇談会があり、その会長を務めているのは平沼赳夫である。この会のメンバーは詳らかではないが、2005年8月時点でのメンバー一覧が、ブログ『ホドロフスキの記録帳』の2008年5月31日付エントリ「平成17年8月時日本会議国会議員懇談会加盟衆議院議員リスト」に出ている(下記URL)。
http://d.hatena.ne.jp/Jodorowsky/20080531#1212214474

これは、『日本の息吹』2005年9月号に掲載されていたリストらしい。貴重な資料である。現首相・麻生太郎や元首相・安倍晋三は当然のごとく名を連ねている一方、前首相・福田康夫やコイズミの名前はない。Wikipediaでは福田康夫もメンバーであるように書かれているが、これは間違いかもしれない。意外にも、森喜朗の名前もない。加藤紘一の名前ももちろんないが、山崎拓はあってもおかしくなさそうなのに名前がない。民主党では、前原誠司、藤井裕久、松原仁、長島昭久らが名を連ねているが、小沢一郎や鳩山由紀夫の名前はない。原口一博や河村たかしら、あっても不思議なさそうな名前もない。国民新党では亀井静香、綿貫民輔らの名前がある。無所属では、郵政造反組の名前が多く、巨魁・平沼赳夫のほか、小林興起や、自称「中道左派(リベラル)」(爆)の城内実の名前がある。

延々と政治家の名前を挙げたが、要は「コミンテルン陰謀論」とは、この人たちが属している極右組織のイデオロギーに則った考え方だということだ。つまり、「文民統制」ができていないのではなく、「文民」があらぬ方向を向いて軍(自衛隊)を「統制」している。だから、私は田母神論文事件は「文民統制」以前の問題だと主張しているのである。

さて、以上を結論にして本エントリを締めくくる予定だったが、2003年以降、小松基地の宿舎の実に3分の1がアパと契約していたというニュースが飛び込んできた。
http://www.asahi.com/national/update/1118/TKY200811180178.html

上記URLの朝日新聞記事から引用する。

 防衛省・自衛隊では、他基地から長期で隊員が派遣された際などに、基地外で民間のアパートやホテルなどを宿舎として借り上げている。

 防衛省が03年度から08年11月までの小松基地の契約状況を調べたところ、同基地の地元周辺での契約額計約337万円のうち、アパとの契約が106万円で3分の1を占めた。05年度は小松基地の契約額の7割以上をアパが占め、03年度も5割にのぼっていた。原則、随意契約という。

 また、アパグループが全国展開するホテルチェーンと、陸海空自衛隊全体の契約では、03年6月から08年11月にかけて、計32件約466万円の利用があり、小松基地の106万円は全体でも2割を占めていることが判明した。演習時などに、基地内の宿舎で間に合わない際に利用されたという。同ホテルチェーンは、防衛省共済組合を通じた契約先の一つで、組合員の自衛隊員は割引があるという。

(朝日新聞 2008年11月18日)


ますます「贈収賄」の匂いを強く漂わせる報道だ。これは「サンデー毎日」が書くように、本当に「第二の守屋事件」に発展するかもしれない。


#この記事は、「トラックバックピープル・自民党」 および 「トラックバックピープル・安倍晋三」 にトラックバックしています。ここにTBされている他の自民党関係の記事も、どうかご覧下さい。

↓ランキング参戦中です。クリックお願いします。
FC2ブログランキング

関連記事
スポンサーサイト

>元谷外志雄の著書『報道されない近現代史』が産経新聞出版から出ていることを知らなかったのである。

地域の公立図書館の「蔵書情報」で検索してみたら、一冊だけですが、あります。現在貸出中になっていますから、今回の騒動で興味をもたれて貸し出されたのかも知れません。そのうち、戻ってきたら見てみます。(けがらわしさを我慢して!)
『詳録』欄に、「ソ連の崩壊により公表された資料や1990年代後半になってアメリカが公開した「ベノナファイル」などをもとに、近現代史の闇の部分を解析する。」、『著者紹介』欄には「石川県生まれ。アパグループC.E.O.。デザイナー、プランナー、CFプロデューサーなど多くを手掛ける。月刊誌『アップルタウン』編集長。」と記述されています。

2008.11.18 22:32 URL | junko #- [ 編集 ]

こんばんは、KOJIさん。
佐藤優現象やら、その他もろもろ、解析すべく、色々と考え中ですが、頭、コンニャク化中。
レヴィ=ストロース『野生の思考』と藤田省三『異端論断章』等、難しくって・・。

ところで、Rollingbeanさんのところで、
「狂気の核武装大国アメリカ」っていう本を教えてもらったんですけど、検索翔けてたら、sabasaba13の
「散歩の変人」というブログに出くわしました。そこのカテゴリー「本」の欄にhttp://sabasaba13.exblog.jp/10072726/
「原発・正力・CIA」
http://sabasaba13.exblog.jp/9781275/
「核大国化する日本」
などがあって、これをさらに検索したら、
「核大国化する日本 [著]鈴木真奈美
[掲載]週刊朝日2006年12月1日号[評者]永江朗」に遭遇。
http://book.asahi.com/topics/TKY200611280169.html

あ、上の「本」にはこんなのもあった、
「大反転する世界 地球・人類・資本主義」ミシェル・ボー 筆宝康之・吉武立雄訳 藤原書店
http://sabasaba13.exblog.jp/10065741/

論理的思考の積み上げが、「核」等を誕生・大量蓄積させてしまった現代。そこからの逃避のような挑戦のような、「野生の思考」がはびこる。
陰謀なのか、陰謀論なのかの峻別もなかなか大変です。

2008.11.19 19:08 URL | 三介 #CRE.7pXc [ 編集 ]

「「文民統制」ができていないのではなく、「文民」があらぬ方向を向いて軍(自衛隊)を「統制」している。」
国会の決議、政府や防衛省の公式見解等が田母神と同じトンデモ認識になっているのなら、「文民」があらぬ方向・・・でしょうが。
今はまだそこまで行っていないので、やはりシビリアンコントロールができていないのだと思います。
http://www.linkclub.or.jp/~teppei-y/tawara%20HP/index.html
実際内閣には極右が大勢いますが、政府公式声明としては田母神レベルまでは言えません。個人レベルで誰かの暴言があっても、撤回か辞任になります。政府統一見解にはならない。

2008.11.19 19:10 URL | Black Joker #RtNpiJ3M [ 編集 ]

村山談話は政治的に作られた”歴史観・歴史認識”でしかない。つまり、政権が変われば
修正されてしまうものに過ぎない。そんな目の先の道具に満足しているあなた方の姿勢に
危機感を抱く。真の意味で、アジア諸国との橋渡しや共有のできる史実とこれに基づく歴史観・歴史認識こそが必要ではないのか?
村山談話如きに自己満足している、貴公らに心から危惧を覚える。歴史から逃げることができない。やがて、追いつかれ、歴史による裁きを受けることになるだろう。歴史に対する畏れを持つことを薦める。老婆心ながら忠告していく。

2008.11.24 17:41 URL | 黄色のトンビ #IFdljVkg [ 編集 ]

なんで田母神の言動が日本国家への反逆行為だってのが分からないんだろう?
保守派をきどっている連中の多くは外国のカルト教団と重なっている。
保守の記号を使えば愛国だと思ったら大間違い。
あいつらは売国奴だってことが、どうして分からないのか?

2008.11.25 00:17 URL | sonic #GCA3nAmE [ 編集 ]

>黄色のトンビ氏
>村山談話は政治的に作られた”歴史観・歴史認識”でしかない。つまり、政権が変われば
修正されてしまうものに過ぎない。そんな目の先の道具に満足しているあなた方の姿勢に
危機感を抱く。

少なくとも、「否定的修正は許さない」旨を国民が意思表示(更には『否定的修正』を目論む勢力を政権に就けない)して置けばよろしいかと。
>真の意味で、アジア諸国との橋渡しや共有のできる史実とこれに基づく歴史観・歴史認識こそが必要ではないのか?

kojitaken氏らはちゃんと示してきた筈ですが?


>村山談話如きに自己満足している、貴公らに心から危惧を覚える。歴史から逃げることができない。やがて、追いつかれ、歴史による裁きを受けることになるだろう。歴史に対する畏れを持つことを薦める。老婆心ながら忠告していく



全部あなた方にこそ当てはまる事ですね。歴史から逃げてるのはどっちかな?

2008.11.25 23:51 URL | てあとる☆北極の支配人 #DdiHOXp. [ 編集 ]













管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://caprice.blog63.fc2.com/tb.php/785-bb4c5c2c

報道されない受賞の経緯
田母神俊雄前航空幕僚長の論文の大賞受賞はやらせではないのか、と考える。

2008.11.21 02:16 | thethe