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きまぐれな日々

解散総選挙が遠のき、ブログへのアクセス数が減るかと思いきや、11月に入ってもアクセス数の多い状態が続いている。こんな素人のブログにしては多すぎるんじゃないかと怖さを感じたりもするが、周りを見ても政治関係の話題を扱ったブログはどこもアクセス数が増えているようだ。国民の政治に対する不満の現われだと思う。

正直言って、麻生太郎がここまで無能だとは想像していなかった。定額給付金そのものは、それだけを切り取ってみれば悪い政策だとは私は思わないが、あとに消費税増税をやろうとしているのが最悪で、左手で飴を差し出している人間が、利き手の右腕を思いっきり振り絞って相手(国民)に殴りかかろうとしているようなものだ。これでは朝日新聞と経団連以外の支持が得られるはずがない。

思わぬ国民の反発にたじろいで、麻生の言うことが毎日変わるのはさらに印象が悪く、信念がなく腰の定まらない政治家に映る。実際、麻生は一昨年の自民党総裁選レースでは、「景気が上がるときに消費税を上げると言ったら景気がなえるでしょ。これまたやったらアホですよ」と発言して、消費税増税論者の谷垣禎一を厳しく批判していた。
http://www.news24.jp/65574.html

その麻生が2011年の消費税増税を口にしたかと思うと、増税の実施時期をめぐって翌日には発言のニュアンスを変え、かと思えば昨日(11日)にはまた、「経済がうまくいけば、2年後にも消費税を上げる」と述べた。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081111k0000e010063000c.html

朝令暮改がこれだけ続けば、誰も麻生の言うことなど信用しないし、しかもそれが国民にとって不利益な政策なのだからなおさら怒りと不信を買う。

定額給付金にしても、所得制限を設けるか設けないかで、麻生と経財相の与謝野馨との意見が合わず迷走し、毎日のように異なる政府の方針が報じられたあげく、所得制限は設けないが年間所得額1800万円以上の人には「受け取りを辞退するよう促す」というわけのわからない方針が固まった。

税制に関しては、当ブログでは10月31日付エントリ「社会保障を削って消費税率を引き上げる麻生内閣の理不尽」で、神野直彦著『財政のしくみがわかる本』(岩波ジュニア新書、2007年)の記述に基づいて、日本は他国と比較して個人所得課税が著しく低く、要するに金持ちが応分の負担をしていないと主張した。

当ブログの読者の皆さまには、上記『財政のしくみがわかる本』を手にして、同書の68頁に掲載されている「所得階層別に見た所得税の実効負担率」のグラフを是非ご参照されたい。高額所得者の所得は給与所得ではなくて、利子所得や配当所得、不動産所得などの資産所得が多いが、日本の税制ではこれらを分離課税にして累進税率の適用除外にしているため、年間所得2500万円以上の高額所得者の実効負担率は、同2000万?2500万円の所得の人よりも低くなっている。つまり、この所得層をピークに、それ以上の高額所得者に対しては実質的に逆進的な税制になっているのだ。

つまり、これだけ金持ちを優遇しておいて消費増税を行おうとすること自体が言語道断なのである。給付金の年収制限など、税制の根本に横たわる大きな問題と比較すれば、枝葉末節に過ぎない。こんなことで毎日方針を二転三転させる麻生内閣の欺瞞を見ていると、心底腹が立つ。

なんだかんだ言って、自民党は金持ちのための政党だから、絶対に所得税の累進性強化の政策はとらないし、新聞もテレビも所得税の問題点を全然指摘しようとしないが、これもマスコミ人たちが高額所得者だからだろう。ジャーナリズム精神などどこかにいってしまった。

ジャーナリズム精神というと、これを持った最後のジャーナリストが7日に亡くなった筑紫哲也ではなかったかと思う。昨日(11日)もTBSテレビで追悼番組をやっていた。私は、「kojitakenの日記」に、「筑紫哲也の死を悼む」(11月7日)と「筑紫哲也の福田康夫論が興味深い」(11月11日)の2本の追悼記事を書いた。後者は、昨夜のTBSの追悼番組を見て書いたものだが、記事についた「はてなブックマーク」のコメントに、「主張の偏りはあるにせよ、最後までジャーナリストだった筑紫」とか「よくもわるくもジャーナリストなんだな」などと、筑紫哲也に批判的だったと思われる人たちからも筑紫に一定の評価を与えるコメントがついているのを見て、かけがえのない人を亡くしてしまったのだなあと、その存在の大きさに思いを馳せた。

追悼番組には、立花隆や鳥越俊太郎のほか、田原総一朗も出ていた。生放送だったようで、田原は参院外交防衛委員会で行われた前航空幕僚長・田母神俊雄の参考人招致における野党の追及が手ぬるい、筑紫さんが生きていたらどう言ったかと思うと言っていた。

普段コイズミや安倍晋三の提灯持ちをしている田原だが、時々思い出したように平和主義者に変身して驚かされる。特に印象に残っているのは、2002年8月に靖国問題をめぐって高市早苗の歴史認識を批判し、「下品で、無知で、憎たらしい顔をしている」と高市を罵倒して泣かせたことと、今年4月に映画「靖国 YASUKUNI」を「検閲」し、実質的に上映中止の圧力をかけた稲田朋美をこっぴどく批判した2件だ。後者については、当ブログ4月7日付エントリ「映画「靖国」と稲田朋美、日本会議、そしてネット右翼」で取り上げた。

たまに平和主義者の顔を見せても、翌週にはそんなことはコロッと忘れたかのように政府を応援する司会をする田原だから、決して信用してはならないのだが、昨夜の筑紫哲也追悼番組では、「アパの懸賞論文に自衛官94人が応募するなんて、これは一斉蜂起だ、クーデターだ。筑紫さんに対する挑戦だ。こんな時に筑紫さんが死んでしまっているなんて」と言い、筑紫哲也が(11歳の時に接した)日本国憲法にしびれたと言っていたと思い出を語り、一昨年に安倍晋三の改憲路線を批判して安倍晋三に「宣戦布告」した立花隆にも同意を求めた。あたかも田原自身も護憲論者であるかのような口ぶりだった。

にわか平和主義者の田原総一朗への嫌味はこれくらいにしておくが、田母神俊雄は国会で憲法改定を主張するなど言いたい放題だった。しかも、6千万の退職金の返上は拒否し、「生活が苦しいから使わせて欲しい」などと泣き言を言う「金の亡者」ぶりを見せつけた。およそ「国士」らしからぬ金銭への醜い執着ぶりに田母神の本性を見る思いだ。

ところで、昨日当ブログへのアクセス数が多かったのは、昨日のエントリと同じくらい、11月7日付エントリ「田母神俊雄、渡部昇一、元谷外志雄、佐藤優らに呆れる日々」へのアクセスが多かったためだ。検索語「元谷外志雄」によるブログ来訪者が多かったし、「佐藤優現象」に触れたことから、金光翔さんのブログ「私にも話させて」のエントリ「辺見庸の警告と<佐藤優現象>の2つの側面」に紹介されたりした。

田母神の妄言はもう広く知れ渡っているから、私としてはアパ会長の元谷外志雄や休職中の外交官・佐藤優についても、その正体を多くの人に知ってもらいたいと思う。2人とも極右政治家・安倍晋三とつながりのある人物で、佐藤は安倍の支持者だし、元谷は安倍の非公然後援会「安晋会」の副会長である。その元谷外志雄の著書を佐藤優が絶賛している。

田母神とアパとのすさまじい密着ぶりについては、時事通信も報じている。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111100886

アパとの密接ぶり、次々明らかに=公用車でパーティー、戦闘機搭乗許可?田母神氏

 政府見解と異なる意見を発表して更迭された田母神俊雄前航空幕僚長(60)=3日付で定年退職=と、懸賞論文を主催した「アパグループ」の密接ぶりが11日、次々と明らかになった。公用車でパーティー出席、戦闘機に体験搭乗。「資金提供などは一切受けたことがない」と言い切った田母神氏だが、論文は最優秀賞に選ばれ、300万円の賞金を手にする。
 田母神氏はこの日の参院外交防衛委員会で、月曜日だった6月2日に開かれたアパの元谷外志雄代表の出版パーティーに公用車で出掛けたことを認めたほか、同社主催の「日本を語るワインの会」に計3回出席、同代表が航空自衛隊の戦闘機F15に体験搭乗した際、空幕長として許可したことを明らかにした。

(時事通信 2008年11月12日 1時4分)


そして元谷は、昨年の安倍晋三退陣後、「(安倍は)ヒトラーのように民主主義下で独裁政権を生み出すことも可能だったのに」などと惜しんでみせた。
http://www.apa.co.jp/appletown/bigtalk/bt0711/bt0711.pdf
(2頁の末尾に元谷の問題発言が出ている)

田母神の後ろ盾といわれる森喜朗を含めて、田母神俊雄、元谷外志雄、佐藤優、それに安倍晋三といった極右たちの跳ね上がりぶりは目も当てられないほどひどい。今後、彼らを全力で叩き潰すくらいの気概をもって、と言ってももちろん暴力ではなく言論によってだが、彼らに対峙する必要があると思う今日この頃である。


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あまりにもお粗末な麻生政権と田母神問題に我慢がならず、何かを得るべく検索したところ、<きまぐれな日々>記事に導かれて初めて閲覧しました。
私にとって疎い政治問題を周辺から丁寧に詳しく解説したコメントは、その気持の良い物言いで溜飲が下がりました。感謝、感謝です。これからも応援していますv-22

2008.11.12 13:47 URL | arisuto-t #gDdwGtds [ 編集 ]

筑紫哲也氏の訃報をきいたときは私も自分でも意外なほどに淋しさを感じました。ここ5、6年ほとんど「ニュース23」を見てはいなかったのに。kojitakenさんもお書きになっていた往年の「こちらデスク」、テレビ朝日のこの番組にテレビ初登場したころの筑紫さんの嫌みのない爽やかな雰囲気やそれによく見合った良識的な発言内容(鋭さも十分に感じられました)などが強く印象にきざまれていたのだと思います。
ただここ十数年テレビ界で果たしてきた筑紫さんの役割には疑問を持っています。たとえば、2002年4月16日に有事法制3法案が閣議決定されましたが、この前日、筑紫さんは田原氏と一緒に早稲田大学に小泉首相を来賓として招いたイベントをひらいていたそうですね。折柄、差し迫ったやりとりが交わされたのかと思いきや、首相としての抱負だの自己採点だのを質問するだけで、この会はなんらの波乱も緊張もなく和気藹々のうちに終了したようです(『永遠の不服従のために』辺見庸)。また、安倍副官房長官が同じく早稲田で「戦術核を使うということは、違憲ではない」などと問題発言をなしたときも、これをスクープした「サンデー毎日」について筑紫さんは「授業内容をリークされるということは、なんというかルール違反ではあると思うんですね。」などとコメントしています(同上)。
筑紫さんの逝去に対して田原氏などが忸怩たるものの片鱗も漂わせることなく追悼できるというあたりにテレビにおける筑紫さんの問題性があったのかなという気がしないでもありません。
ちなみに、「ニュース23」で小泉氏について筑紫さんが「個人的には決して嫌いではない」と発言しているのをきいたことがあります(就任1、2年のころ)。思想信条は違っても両者性格の淡白なところには共通点があったのかもしれませんね。

2008.11.12 14:10 URL | junko #- [ 編集 ]

ありゃああきれましたねえ、丸投げ。
幾ら劣化していると言っても政権があんなことをするとは思いませんでした。
「もう責任問われるのヤだから、下々で勝手にやっちゃってくれよ、任すから。」どこのアホ坊ちゃまですか。
最近はどこの役所でも本当に責任逃れのやり口ばかり上達して困ったもんです。
結果責任をもつのが嫌なら、そりゃ責任ある立場に就かなければいいんですよ、責任政党とか自称もとんでもない。

でも最近は不祥事なぞ発生すると、いの一番で下っ端の現場が悪い!とか叫ばれるので油断なりませんが。
よりによって組織の責任者がそう叫びますから。

2008.11.12 23:00 URL | Gl17 #EBUSheBA [ 編集 ]

今年の流行語大賞は、「丸投げ」で決まりそうですね。

2008.11.12 23:07 URL | ξюζ #sSHoJftA [ 編集 ]

jyunkoさんへ

なかなか鋭いご指摘ですね。
あれだけテレビの世界で、
長生きできたということは、
(それも政治系で)
それだけしたたかさと打算もあったという
ことでしょう。
よく言えば、バランス感覚。
テレビの世界で、
本当に歯に衣着せず、
権力サイドを批判しちゃうと、
下手すると植草一秀さん
みたいになっちゃうということなの
かもしれません。

2008.11.13 02:43 URL | フリスキー #iMBi6aSc [ 編集 ]

筑紫氏のことを考えると、森田実氏についても考えます。小泉純一郎を批判したため、テレビから完全に干された森田氏。現在はインターネットがあるから、森田氏は自らの意見を人々に発信することができます。
 確かに筑紫氏は日和見といえば言えるでしょうし、私自身も彼の発言にもどかしさを感じましたが、今のマスコミの無反省さ、権力への従順さを見ると、彼が弱者を守ろうとした最後のテレビの砦であったような気もします。もし仮に筑紫氏が森田氏のようにテレビから追放されていたなら、TBSの追悼番組にあったさまざまな権力に対する発言を視聴することもできなかったでしょう。森田氏のように干されてしまえば、インターネットをやらない人は、森田氏のような存在を忘れてしまうでしょう。森田氏のような生き方がいいのか、筑紫氏のように強かにテレビで生きながら、少しでも自分の意見を主張していくの
がいいのか。むずかしいところです。

麻生氏のひどさはもはや呆れるばかりである。「頻繁」を「煩雑」と読み、「未曾有」を「みぞゆう」と読む。私は何も漢字を読めないことそれ自体を批難するつもりはないが、漢字を間違えてしまうまでの過程を推測すると、この人に総理大臣の資格が全くないと思わざるを得ない。
1. 彼は全く探究心がない。私のような人間でも漢字があれば、どう読めばいいか考える。
2. 羞恥心がない。漢字が読めないことを恥ずかしく思わない。
3. 反省という言葉が彼には存在しない。
4. 官僚の書いた原稿に目を通していない。自分で答弁用の原稿を書け、とは言わないが、せめて漫画を読む暇があったら、目ぐらい通せよ。
5. 裸の王様。誰も漢字の間違えについて助言しない。助言したら後が怖いのか 、呆れられて馬鹿にされているのか。
6. 想像力の欠如。「踏襲」を「ふしゅう」と読むのがおかしいと思わないおかしさ。普通、熟語を「訓読み」と「音読み」を交えて読むことはない。訓読みの「ふ」と音読みの「しゅう」と読むのはおかしいと感じないのだろうか。
 本来、総理大臣の資質として兼ね備えていなければならないものが、全くそなわっていないのが麻生という御仁である。たかが漢字、されど漢字である。

2008.11.13 08:09 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]













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