きまぐれな日々

陸上の高橋尚子選手が現役引退を表明した。10年前、1998年の名古屋国際マラソンで最初の優勝を飾り、同年のアジア大会(バンコク)で酷暑の中を日本新記録で優勝して注目された選手だ。その頃のことを思い出させるできごとが続く今日この頃だから、よけいに感慨深い。

99年の世界選手権前に発売された「別冊宝島」だったか他のムックだったかに高橋のことが書かれていた。いわく、世界最強の女子マラソン走者である高橋はレース後に涙を流さない。常に未来を見据えているからだ、と。この記事が印象に残ったので、世界選手権での高橋の走りを楽しみにしていたのだが、故障で出場できなかった。その後も回復が遅れ、シドニー五輪の予選も、三度ある選考会のうち最後の名古屋国際マラソンにやっと間に合った。そのレースでは、期待に違わぬどころか、見たこともないようなものすごいスパートに他の選手は全くついていけず、独走で優勝した。見ていた誰もが、これはとんでもない選手だと思ったことだろう。当然、シドニー五輪での金メダルが期待されたが、それに応えて五輪記録で優勝した。従来、金メダルを期待された日本選手は、重圧に押し潰されて敗退することが多かったので、重圧をものともしなかった高橋を見て、たいへんな選手だなあと感心したものだ。

だが、さっそく森喜朗首相(当時)が高橋の人気に目をつけて「国民栄誉賞」を高橋に授与したのは、全くいただけなかった。この賞は高橋に余計なプレッシャーを与えるだけだったと思う。もちろん賞が高橋にふさわしくないとは言わないが、授与するのであれば、現役引退を表明したこのタイミングが妥当だっただろう。やはり不人気に悩む麻生太郎首相は、8年前森が余計なことさえしなければオレが国民栄誉賞を高橋にやったのに、と思っているかもしれない。

国民的人気が出ると、マスコミにぐちゃぐちゃにされる。五輪の選考でも関係者が要らぬ動きをする。アテネ五輪の予選では、東京でのレースに敗れた高橋は、最後の名古屋のレースに勝てば五輪代表になる可能性があったが、名古屋に出なくても代表にすると陸上関係者が言ったとか言わないとかいう話があってむざむざ出場を見送ってしまい、その結果選に漏れたことがファンとしては残念だった。その後、2005年の東京国際女子マラソンで優勝して復活をアピールしたが、これが最後の優勝となった。昨日の引退会見で、高橋は「限界」を口にしたが、ニュースのコメンテーターが「高橋の口から『限界』という言葉を聞いたのは初めてだ」と言い、プロ野球の王貞治の現役引退(1980年)を思い出したと言っていた。常に未来を見据えてきた高橋が「完全燃焼した」と言った言葉に、嘘はないだろう。

現役に引退した今後は、政界からのお誘いが待っているかもしれない。特にスポーツ選手には自民党が目をつける傾向があるが、民主党もそれに対抗している。ちょっと前には民主党が、やはり女子マラソンで五輪で二大会連続のメダルを獲得した有森裕子を擁立するなどという噂があった。しかしやはり自民党入りする人が多く、女性では昨年の参院選に出馬せず引退した体操の小野清子とか、スケートの橋本聖子などの名前が思い浮かぶ。橋本など、政界で何をしたのか全く思い浮かばないのだが、調べてみると町村派所属の「保守派」議員らしくて「2007年12月7日に行われた保守派団体主催の『南京の真実を検証する国民の集い』にもメッセージを送った」そうだ(Wikipediaより)。おそらく、周りから勧められるままにそうしたのだろう。スケート選手時代には、その意志の強さに感心させられた人だが、政治家としては全く不要な人間である。

かつて森喜朗に国民栄誉賞を授与された高橋尚子も、間違いなく自民党町村派が目をつけるだろうが、絶対に政界入りなどしないで欲しい。政界入りしたが最後、当ブログでは高橋をバッシングせざるを得なくなり、かつてその走りに感嘆させられた私としては、そんなことはしたくないと思うからだ。

もちろん、民主党から政界入りした場合でも、当ブログは支持しない。スポーツ選手や芸能人の政界入りは、世襲議員の政界入りと何ら変わりない。日本の国益を損ねているのは、タレント議員と世襲議員である。せっかく民間が頑張っても、政治家たちの無能によって国富を外国にさらわれてしまう。それが国民から批判を受けるようになると、今度は排外主義に走ってやはり外国に力ずくでやられる。高橋尚子に限らず、スポーツ選手や芸能人が政界入りしたって、そんな馬鹿な人たちの片棒を担ぐ以上のことはできない。

高橋尚子には、余計な誘惑には乗らずに、後進の指導や陸上競技の普及などに専念してほしいと思う。最後に、お疲れさまでしたと言いたい。高橋尚子の走りを見るのは、実に楽しかった。


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