2003年、星野仙一率いる阪神を日本シリーズで下した福岡ダイエーホークス(当時)の王貞治監督は、阪神の監督が星野から岡田に代わったことについて、岡田が阪神二軍監督として実績を挙げていたことを指摘し、岡田には統率力がある、だから阪神はこれからますます手強くなると言った。しかし、王も岡田も短期決戦に弱く、2005年に阪神がリーグ優勝した時、ソフトバンクホークスはリーグ戦を1位で通過しながらプレーオフで千葉ロッテに敗れ、阪神は日本シリーズでそのロッテに4連敗した。その後は阪神もソフトバンクもリーグ優勝することができず、多くの人が期待していた王と岡田の対戦は、結局実現しなかった。
選手を気持ちよく働かせることには長けていたと思われる岡田だが、競り合いには弱く、一度負け始めたら歯止めがかからない面もあった。その点で巨人の原辰徳監督と弱点が共通しており、一昨年6月から7月にかけて、巨人は連敗がいつまでも止まらず、首位から最下位まで一気に転落したことがある(最終順位は4位)。
だから、野球の世界大会である「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)の監督に誰がふさわしいかとアンケートをとると、岡田も原も上位には顔を出さない。人気が高いのは、現役監督では野村克也や落合博満であり、OBでは長嶋茂雄や王貞治である。
ところが、そのWBCの監督に、今年の北京五輪で惨敗した星野仙一を据えようとする動きがある。 プロ野球コミッショナー特別顧問に就任した王は20日、15日に開かれた第2回WBCの体制検討会議で、日本代表監督に星野を推したと明言した。
http://www.asahi.com/sports/bb/SEB200810200011.html
多くの人が、このニュースに耳を疑ったと思う。五輪での「星野ジャパン」の惨敗は、それほどひどかった。単に試合に負けただけではなく、新井(阪神)、川崎(ソフトバンク)、川上(中日)らを故障させた。特に新井の故障は、その後のペナントレースに影響を与えたと思われるが、星野は阪神の「シニア・ディレクター」でもある。
この妄動には、ファンだけではなく、野球選手やOBたちも一斉に反発した。東北楽天ゴールデンイーグルスの野村克也監督は、前記体制検討会議で王が星野を監督に推薦したことを暴露し、「出来レースなんじゃないの」と言った。野村自身は、「王がやればいい。WBC監督の経験もあるし、連覇目指してな」と発言したという。
http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20081018-420221.html
検討会議では広島OBの野村謙二郎が発言の7割を占めたということで、恐らく、王貞治や野村謙二郎らは何者かに丸め込まれて、星野監督をプッシュする役回りを果たしていたのだろう。
19日のTBSテレビ「サンデーモーニング」では、やはり星野に批判的でWBC監督に王を推す張本勲が、「ワンちゃん(王)とこれから会って話をする」と色をなしていた。
しかし、なんといっても決定打となりそうなのが、シアトル・マリナーズのイチローの発言である。
イチローは18日(日本時間19日)、WBC監督問題について、「最強のチームをつくるという一方で、現役監督から選ぶというのは難しいでは、本気で最強チームをつくろうとしているとは思えない」と発言した。さらに、「大切なのは足並みをそろえること。(惨敗の)北京の流れから(WBCを)リベンジの場ととらえている空気があるとしたら、チームが足並みをそろえることなど不可能」と言い切ったが、誰がどう読んでも、これは星野仙一をWBC監督に担ごうとする妄動に対する強い批判だ。
http://number.goo.ne.jp/news/sports/article/kfuln20081020001001.html
先にリンクした朝日新聞の記事にもあるように、星野を推した王も、イチローの発言には一定の理解を示した。
星野仙一は、もともと権力志向がきわめて強い男である。1982年に現役引退したあと、すぐさまNHK野球解説者の職を得たが、さっそくやったのが当時の球界OBのドン・川上哲治への接近だった。83年に巨人の藤田元司監督が退任してNHK解説者になると、藤田氏にも接近した。
1987年に中日ドラゴンズの監督に就任すると、金に糸目をつけない補強を開始した。前年の86年まで、むしろBクラスが普通だった中日は、星野監督就任を境にAクラス常連になり、星野は監督2年目の88年に早くもリーグ優勝したが、長く監督を務めるにつれて人心を失っていくのも星野の特徴だった。第一期5年、第二期6年の中日監督時代、それぞれ一度ずつ優勝したが、それ以降は優勝を逃している。阪神で2年目にリーグ優勝を果たしてすぐ監督を退いたのは、星野には珍しく賢明な選択だった。
手始めに川上に接近した星野が、93年に巨人のオーナーになって以来、本当の「球界のドン」になったナベツネに接近したのは、自然の流れだった。かつて中日が金権球団になったのと同じように、2002年に星野が監督に就任した阪神タイガースも、巨人や中日ばりの補強に精を出すようになった。特に、広島から金本知憲を獲得したのが大きかった。星野監督時代の2003年と、岡田監督に交代後の2005年にリーグ優勝するなど、阪神もAクラス常連球団になった。
だが、反面、資金力の格差によって球団間の戦力差が開きすぎてしまい、プロ野球は魅力を失った。特に、パ・リーグは能力のある選手が多いのにメディアから注目されず、これを快く思わなかったオリックスの宮内義彦が、西武の堤義明や、それまで仲の悪かったナベツネと共謀してプロ野球再編を仕掛けた。2004年のことである。
彼らの狙った一リーグ化はならなかったが、オリックスと近鉄の合併、新球団・楽天の発足、両リーグの交流戦開始などの変化も起きた。しかし、セ・リーグは上位3球団と下位3球団のグループが固定されてしまうなど、問題は解決していない。特に、極端な金権補強をやった巨人は、ファンの支持を失い、地上波のゴールデンタイムの放送枠から、かなりの試合が弾き出された。
星野仙一が手本にした読売のやり方の結末が現状である。それなのに、星野は北京五輪日本代表のコーチを務めた田淵幸一や山本浩二と遊び歩いていたという。そして、好調の選手を選ばず、自分の好みで阪神や中日の選手や話題性のありそうな選手ばかり選び、不調の岩瀬を連投させては打たれて負け、新井の故障を悪化させてリーグ戦からの長期離脱を余儀なくさせるなどした。
五輪に惨敗した星野は、世間から厳しい批判を浴びたが、「日本はいじめ社会だ」などと泣き言を言い出すありさまだ。この上、あつかましくもWBC監督になりたいなどとは、呆れてものも言えない。間違いなく、バックにはナベツネがいる。
イチローの勇気ある発言をきっかけに、星野のWBC監督就任を、心ある球界人はなんとしてでも阻止してほしいものだ。
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アニメ好きで野球嫌いの私としては、星野氏がWBCの監督になって恥を晒そうが、日本球界が没落しようが知った事ではありません…。
すいません、嘘です、冗談です、だから皆さん物を投げないで下さい…(苦笑)。
でも、「あれだけ恥と無能をさらけ出してまだやる気なんか、あの御仁は…(本人のみならずシンパ御一同様も/呆)」としか言い様がないのが正直な感想ですよね。
星野氏には「もう良い、そこまでWBCの監督をやりたいなら何も言わん。行って徹底的に己の恥と無能をさらけ出して来い!」としか言い様がないですね。
(まぁ、日本球界全体の問題ゆえに、kojitakenさんとしてはそうも言ってられませんでしょうが)
2008.10.21 09:11 URL | てあとる☆北極の支配人 #DdiHOXp. [ 編集 ]
星野はだめですね。
彼は中日時代に、選手を金で釣るための資金源を大京のオーナーに求めた。
見返りに野球不毛の地であるオーストラリアの荒地同然のグランドで、大京の為としか考えられないキャンプを張り、けが人を続出させた。
あの時、確か星野に猛然と反旗を翻したのが、現中日監督の落合だったはず。
そして星野は北京でもその無能ぶりをさらけ出した。
好調でやる気まんまんだった岩熊をなぜかメンバーから外し、不調の選手を使い続けて故障に追い込んだ。
また素人以下の采配でチームを惨敗に導いた。
そのケジメも取らずに再びWBCでリベンジなど、ファンを馬鹿にするにも程がある。
しかも、その裏には、あのプロ野球をダメにした張本人のナベツネが暗躍しているというではないですか。
大方WBCで星野を何としても復活させ、ゆくゆくは人気今一の原の替わりに巨人の監督になどと妄想をふくらませているのだろう。
こんな腐った連中をみていると、政界と重なる部分大で、やはり日本はすべてを変革しないと駄目だなあとつくづく感じてしまいますね。
2008.10.21 10:16 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]
野村監督はメディアの前で会議の経過をよく話してくれました。もし星野が秘密の内に相変わらず監督に押されていると思うとぞ~とします。
日本には高校野球をはじめ プロ野球のファンが何千万人もおり 又その人達に支えられている事を忘れ 2,3人の愚かな支配者の
為に私物化することは絶対に許されない。
今回のメンバーや会議の方法を見るにつけ
出来レースは見え見えだ。国民は全員気ずき
怒っている。私は王さんの大ファンであり又
人間として大変尊敬しております。
どうか王さんも 大役を背負われて大変だ
と思いますが自分を殺さず、真正面からぶち当たって下さい.WBCの監督には国民は格別の思いで見つめています。
色々のメディアの情報では野球ファンの70~80%は星野を拒否しています。
イチロー選手のコメントを見ましたが、全く
その通りだと思いますし、他のメジャー選手
や国内のプロ選手も同じ考えだと思います
今回の監督の選定によってはファンは大きく
野球から身も心も遠く離れること間違いありません。
2008.10.21 13:54 URL | 大樹一成 #- [ 編集 ]
仙一のように国際スポーツの場で愛国心を振りかざすのはウザい。
スポーツは選手個々人が楽しみ満足なプレイができれば結果がでるもの。
2008.10.21 16:49 URL | 与志 #- [ 編集 ]
昔はよくプロ野球のラジオ実況中継を聴いていましたが、最近はあんまりです。しかし星野仙一ひ関しては、どういうわけだかあんまりいい印象がないのです。
一つには、現役時代の派手なマウンド上のパフォーマンスのせいでしょう。「燃える男」と言えば聞こえはいいですが、私には二流どころのピッチャーのスタンドプレイとした見えませんでした。実際、ピッチャーとしての実績は、同時代のタイガースの江夏、ジャイアンツの堀内、ホエールズの平松らの方が格上です。
そんな彼が、現役引退後、年月とともに球界の大物扱いされるようになり、オリンピック代表チームの監督にまでなるとは…
だけどオリンピックでの采配をみる限り、彼は短期決戦は苦手のようです。ペナントレースとはまた異なったゲーム運びが必要でしょう。WBCの監督には不向きです。
余談ですが、私は南海ホークス時代からの、野村克也のファンです。彼は長嶋茂雄とよく比較されますが、長嶋が不幸にして病に倒れた時、野村は「最後の勝負は俺の勝ちだったな、長嶋よ。」と密かに思ったのではないでしょうか。
2008.10.21 20:27 URL | ポンポ・ナイナイ #- [ 編集 ]
星野の現役時代には、V9巨人に立ちはだかる投手たちが大勢いましたよね。
特に岡山県に名投手が多く、岡山東商の平松政次のほか、ヤクルトの松岡弘が星野と同じ倉敷商でした。平松は200勝してますし、松岡も選手生活の晩年の監督が武上四郎でさえなければ、200勝していたと思います。しかし、松岡の1学年上の先輩にあたる星野だけは、150勝もしていません。
現役時代の印象度からいうと、私が生まれて初めてノーヒット・ノーランの試合をテレビで見せてくれた広島の外木場義郎の方が星野より上で(通算勝ち数は星野より少ないけど、所属が弱小時代の広島でしたからね)、もちろん阪神の江夏や村山とは比較になりません。
たしかに、星野は各球団のエースの中では、投球内容の比較ではもっとも劣る投手だったという印象があります。
2008.10.21 20:45 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]
ご指摘の通り、なぜか1945年直後の生まれの岡山県出身の名選手が目立ちますね。
平松、松岡、「黒い霧」事件でも姿を消した森安、そして星野、打者でも両リーグで活躍した、長距離打者の大杉勝男がいますね。でも大杉は確か1945年の1月か2月の生まれだったと記憶しています。「勝男」という名が、戦争中の生まれであることを示していますね。
また、田淵幸一の父親も岡山県出身だと聞いたことがあります。
2008.10.21 21:26 URL | ポンポ・ナイナイ #- [ 編集 ]
それにしても星野氏は高田繁さんと同じ明大の島岡監督のもとで育ったのになぜああも違うのかと嘆かわしく思います。
ちなみに私個人は元ヤクルト監督の若松勉さんがもっともWBCの監督にふさわしいと思います。
あと星野氏と同時代に活躍した200勝投手としては村田兆治さんも有名ですね。村田さんも悪くないかなと思います。
2008.10.22 08:57 URL | トミケンマイルズ #gKumvUXs [ 編集 ]
“たかが”オリンピックでメダルを取れなかっただけで、皆でよってたかって星野氏を袋叩きにして、本当におかしいんじゃない?メディアがそういう雰囲気を故意に作っているのがあきらかだが、ここにコメントしている大多数の人間のように、自分で考えもせず、ただその風潮にのって悪口を書いているようで、本当に気分が悪い。 星野氏の何が悪いというのか?勝負事には勝つときもあれば負けるときもある。 あなた方は真剣にスポーツをやったことをないのだろう。どれだけ勝つことが難しいかも理解していないのだろう。 本当に許せないのは、星野氏は金を取るためにできる限りのことをして、考え抜いて、おそらく眠れない日々も過ごして、すべてをかけて勝つためにできることをやったと思う。それを、自分では何も本気で取り組んだこともなく、他人に勝手に夢を託して自分にはまるで夢などない人間達が偉そうにバッシングしていることである。 まず人を責める前に、己の人生を振り返ってみよ、と声を大にして言いたい。 あまりの未熟で低脳な人の多さにあきれるとともに、この国の行く末を危惧する。
2008.10.23 00:10 URL | #- [ 編集 ]
1988年、ドラゴンズが地元ナゴヤ球場でリーグ優勝した際、星野は胴上げを拒否した。
「球場のファンがフェンスを破ってグラウンドになだれ込んだため、危険だと判断して選手を引き揚げさせた」とは星野のコメント。
しかし、グラウンドのファンはすぐさまスタンドに戻り、すべてのファンが星野コールで胴上げを要求していたのだ。
その晩、通常ならビール掛けが行われる祝賀会場で星野は選手に
「こういうとき(天皇陛下がご病気)なのだから、ビール掛けは無しだ」と挨拶。
星野の野心が何に向っているのかを見た気がした。
だが何故、球場で胴上げを拒否したときにファンのせいにしたのか?
シーズン終盤、胴上げが見たくて毎晩、入場料を払って球場に通ったファンを馬鹿にしている。
それに、先に胴上げしていた西武の立場は?
2008.10.23 21:49 URL | はあち #q7sLfv3I [ 編集 ]
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