きまぐれな日々

週末。あまりに時の流れが速く、つい先日のことが大昔のことのように思える。たとえば、自民党総裁選に小池百合子が出馬していたことなど、時々忘れてしまいそうになるくらいだ(笑)。

その一方で、既視感のあるできごとも相次ぐ。いつもの政治・経済ではなく、サッカーの話を持ち出すと、ワールドカップアジア地区最終予選で、ホームのウズベキスタン戦に引き分けた日本代表の岡田武志監督に辞任話が出ているが、11年前、加茂監督がW杯予選のカザフスタン戦でロスタイムに追いつかれて引き分け、更迭されたあと、岡田監督が就任した最初の試合は、アウェーのウズベキスタン戦で、敗色濃厚だった試合を、終盤に呂比須のしょぼい同点ゴールでどうにか引き分けに持ち込んだのだった。

当時の日本代表は、続くホームのUAE戦でも引き分けに終わり、自力でのW杯出場が消えたのだが、今回のホームでのウズベキスタン戦引き分けは、実にその時以来、11年ぶりにW杯のアジア予選のホームで勝てなかった試合だそうだ。

さえない船出だった岡田ジャパンは、11月1日にアウェーの韓国戦に勝ち、ライバルUAEのもたつきもあってW杯出場を果たしたのだが、この頃、韓国の財政難が悪化し、一時デフォルト寸前に追い込まれた。そして現在再び、韓国のウォン安が深刻化している。

アジア通貨危機から11年、今度はアメリカ発金融危機が起き、日経以外の一般紙でも毎日のように経済ニュースが紙面の中心を占めている。アジア通貨危機の翌年、1998年にはロシア財政危機への対応を誤ったヘッジファンド・LTCMの破綻をきっかけに、「円キャリートレードの巻き戻し」が起きて急激な円高局面になり、マネー雑誌などにダマされて外貨預金に励んでいた人たちが大損を蒙ったが、今回も、やはりダマされてFXに手を出して、円高で大損をこいた人たちが大勢いることだろう。

先日、岩波新書から出ている本山美彦著『金融権力』(2008)を読んでいたら、

 円キャリー・トレードのことは、2007年前半に日本で大きな話題になったが、この取引自体は、日銀のゼロ金利政策採用後(ママ)からずっと存在していたものである。たとえば、1997年時点で、すでにIMFの報告書がそうしたトレードが行われている気配があると警告していた。

との記述があった(同書90頁)。

ここで、「ゼロ金利政策採用後」となっているのは、「採用前」の誤り(書き間違い)と思われる。ゼロ金利政策が実施されたのは1999年だからである。そして、私が90年代末に買った新書の類のうち何冊かにも、確かに「円キャリートレード」に関する記述があった。

つまり、現在の金融危機は、すでに10?11年前に起きたことが、規模と波及範囲が広がった形で再現されたものだと思われる。前回と今回の最大の違いは、金融資本主義の超大国・アメリカの経済が、今回は大きく傷ついたことだろう。

「金融工学」という言葉に私が初めて接したのも、90年代末だった。私は、吉本佳生著『金融工学の悪魔―騙されないためのデリバティブとポートフォリオの理論・入門』(日本評論社、1999年)と、野口悠紀雄著『金融工学、こんなに面白い』(文春新書、2000年)の2冊を読んで、金融工学によってリスクを低減することはできても、「大儲け」することなどできないことを了解した。「ブラック=ショールズの式」なる確率微分方程式から金儲けの魔術が導き出せるはずがないことなど、あまりにも自明である。

経済学者の野口悠紀雄は、極端なまでの市場原理主義者だが、工学部出身ということもあって、理論からトンデモな詐欺的言論を導くような真似はしない。その点で、竹中平蔵らとは大違いである。上記『金融工学、こんなに面白い』の冒頭には、こう書かれている。

 しかし、金融工学を学びたいと考える読者にあらかじめ注意したいのは、これを利用して金儲けをしようとは考えないほうがよいということだ。金融工学は、金持ちになる方法を与えていないのである。これは、重要なことである。

 巷にあふれる投資法の本は、「この方法で株式投資をすれば、一億円儲けられる」という類のご託宣が述べられている。しかし、株式投資で確実に儲ける方法は存在しないのである。金融工学の基本的な結論の一つは、「そうしたご託宣はすべてまやかしである」というものなのだ。この結論は、きわめて刺激的である。また、実務的な観点からも、重要な観点を持っている。

(野口悠紀雄著 『金融工学、こんなに面白い』 (文春新書、2000年) 12頁)


理論から言っても大儲けなどできないはずなのにハイリターンをあげているということは、ハイリスクを取っているかインチキをやっているかのいずれかということだ。私は、その両方だろうと考えている。実際、ヘッジファンドの破綻率は非常に高いし、村上ファンドはインサイダー取引の罪に問われたのである。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という諺があるが、90年代末から2000年頃まで、金融資本主義の暴力性が話題になり、経済問題を論じた新書が多数出版されたにもかかわらず、2001年に発足した小泉純一郎内閣を、国民は熱狂的に支持した。それは、コイズミカイカクの前に、90年代前半に日本を席巻して非自民連立政権まで生み出した「政治改革」の余熱があり、それと竹中平蔵らの「新自由主義カイカク」がごっちゃになってしまったせいかもしれない。現在の政局は、1993年の細川内閣成立前夜を思わせるものでもあるからだ。

あの時、実は「政治改革」はさほど支持されておらず、1993年の総選挙では自民党は議席を減らしておらず、負けなかったのである。このことは、当時朝日新聞編集委員だった石川真澄氏(故人)も指摘していたし、私自身、当時の政治改革を必ずしも支持していなかったので、連立政権に対しては不支持ではなかったが、醒めた目で見ていた。そして、翌1994年に成立した「自社さ」政権に対しては、7党連立政権より積極的に支持したほどである(但し、自民党と社会党がともに腐っていたので、「自社さ」政権は失敗に終わった)。

だが、今回は私も、「チェンジ」を起こさなければならないと思う。同じ金融資本の暴走による経済の混乱は、三たび起こさせてはならないと思うし、80年前の日本が犯したさらに大きな誤りである侵略戦争への道は、絶対に繰り返してはならない。


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まったく同感です。

経済のことはよく分かりませんが、以下のようなことが言えるのでしょうね。

もともと土地・家屋等の高額商品などを買いたい者にお金を貸して金利を稼ごうとしていた野郎どもではありますが、はじめのうちは貸した金が回収できる相手にだけしか融資していなかったのに、もっと多くの人にお金を貸せば儲かると欲張りだしたところからこの問題は発生してきたのでしょうね。

社会のことは全く考えずひたすら欲張ることばかり考えていた野郎どもは、貸した金が返ってくるあてが少ない人にも、葛藤はあるものの、金を貸して儲けを更に増やそうとたくらんだのでしょうね。

それで葛藤でもあるハイリスクの心配をどのように解消するか一生懸命考えたのでしょうね。

そして、自らがこのハイリスクを負う事は到底出来ないと思っている自己中野郎どもは、ついに悪知恵を働かせ、他人である第3者にこのハイリスクを押し付け、自分たちだけぼろもうけしてやろうと思いついたのでしょうね。

それで、どうやったらうまくごまかしてこのハイリスクの債権を多くの第3者に押し付けることが出来るかと云うことを一生懸命考たのでしょうね。

このままでは到底押し付けることが出来ない。ごまかす方法を一生懸命考えていくうちに、リスクのとても低い優良な債権を混ぜ込めばハイリスクを緩和することができ、ごまかしてハイリスクの債権を第3者に押し付け易くなると思ったのでしょうね。

またローリスク債権とハイリスク債権を混ぜ込むためには債権を債券化して証券のようにして(証券化商品)しまえば、やりやすいし騙しやすい・・・・、シメシメとおもったのでしょうね。

実態をうまく隠して、これでぼろもうけが出来る“武器”が出来たと欲張り野郎どもが次に考えたことは、このぼろもうけのための武器をどれだけたくさん売るかということだ。

たくさん売れば売るほどぼろもうけできる。なにがなにで売るために、実態を隠して抽象化された証券化商品にインチキな格付けをつけてもらう。更にはまだたくさん売るために証券化商品に保険(CDS)までついていますと買い手に安心感を持たせる手法で、世界中にばらまいたのでしょうね。

このように人を騙すようなことをして自分の利益ばかりを追求するやつらに実体経済をぐちゃぐちゃされているわけですから、これって“金融テロ”と呼びたくなりますね。アメリカの金融資本主義の本質って、“金融テロ”と呼びたくなりますよ。

“テロ撲滅”を標榜するのが大好きなブッシュが自国の“金融テロ”を容認してきたわけですから、どこまでこいつの言うことはインチキなのでしょう。本当に恐ろしいことです。

テロ退治の大好きなブッシュさん、ウォール街で大きな顔をしていたテロリスト達を、引退までに撲滅していただきたいものですよ。




2008.10.18 18:41 URL | ∝&‰ #sSHoJftA [ 編集 ]













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