読売新聞によると、「文藝春秋」に寄せた「手記」の中で、麻生は
とのことだ。「私は決断した。野党は政局優先の姿勢だ。国会の冒頭、堂々と私と自民党の政策を小沢代表にぶつけ、その賛否をただしたうえで国民に信を問おうと思う」と述べ、自らの手で衆院解散・総選挙に踏み切る考えを表明している。
上杉隆は、麻生の言葉を真に受けて、最初から解散なんてするつもりはなかったと、あちこちのメディアで書いているが、もともとは麻生は国会の冒頭解散をするつもりだったというマスコミ報道の方が正しかったようだ。予想外の支持率の低さに、冒頭解散をしても勝てないと踏んだ麻生が方向転換をしたという通説を裏づける麻生自身の「手記」である。
衆院選に関しては、宮崎1区の候補者をめぐって、引退表明をした中山成彬が東国原英夫擁立に固執していて、周囲からも「KY」呼ばわりされている。ちなみに、当ブログはおそらくもっとも早い段階から中山を「KY」呼ばわりしていた。
この件は、一般紙も取り上げているが、スポーツ紙が熱心に報じている。たとえば「スポーツニッポン」は、「東知事 “KY”中山前大臣から出馬要請」と、タイトルに「KY」を用いている。また、「スポーツ報知」は、「中山前国交相 東国原知事に直接出馬要請「出てもらわないと困る」」と題した記事中で、
と書いている。現在、東(国原)知事を悩ませる国政転身論は、もとを正せば中山氏の『失言辞任→出馬辞退』から浮上したもの。東知事は突然のKY要請に不快感をあらわにしていた。
「KY」という言葉こそ用いていないものの、もっとも辛辣なのが「日刊スポーツ」で、「中山前大臣「東国原出馬は私のシナリオ」」と題した記事で、下記のように書いている。
中山氏はたたみかけるように「知事には(衆院選に)出てもらって、全国の自民党の候補者を回ってもらいたい。全国的な知名度がありますからね」と自民党の顔としての全国行脚を一方的に提案した。しかも「そのために私はポンッ、と休んで横におる。だから、どうぞ行ってください」と自らが参謀として同行するプランまで持ち出した。
さらに余計な秘密も暴露。県庁には県民からの電子メールなどが届き、現在約95%が出馬反対。7日には高速道路建設を訴える女性グループが、東国原氏を訪ねて国政転出を訴えた。「あれね、私の差しがねなのよ」と得意顔で話した。これを聞いた県職員は「中山さんが仕組んだことはみんな知ってるよ。公式の場で暴露するなんて、頭がおかしい」とあきれていた。
東国原氏は中山氏の7分半のあいさつの間、顔を上げずに聞いていた。会終了後に報道陣に囲まれた中山氏は「知事はニコッ、と笑っていたよ。(出馬要請は)初めてだよ。あれだけの知名度は利用しない手はない」とまるで東国原氏を私物のように言い「私の魂の、心の底からの訴えを以心伝心で分かってもらえたんじゃないかなぁ…おっ、直接だからハート・ツー・ハートだ」とはしゃいだ。
(日刊スポーツ 2008年10月9日)
「やらせ」の国政転出陳情まで自らぺらぺらとしゃべる中山成彬には呆れたものだ。そんな中山を庇う政治家は後を絶たないのだから呆れてしまう。たとえば細田博之は、中山が大臣就任直後に暴言を連発した直後に、フジテレビの「報道2001」で、「中山さんの熱い思いがほとばしり出たものだ」と、長々とまくし立てていた。やはり町村派に所属するタカ派政治家は違うなあ、と呆れて見ていたのだが、これも東国原を立てれば、宮崎1区だけではなく総選挙全体でも自民党が勝てるという中山の強い信念に基づいていることだけは間違いあるまい(笑)。
自民党、特に町村派の政治家にとっては、3年前のコイズミによる「郵政総選挙」の成功体験が忘れられないのだ。話題を盛り上げておいて、不意打ちのような形で解散する。そして、話題性の高い候補者を連日テレビに露出させる。そうすれば、「B層」の有権者は自民党に投票してくれるはずだ。これが、中山成彬の「信念」なのである。事実、スポーツ紙やテレビのワイドショーはこぞって東国原の擁立騒ぎを連日取り上げる。思い出せば、あの「郵政解散・総選挙」の時もそうだったのである。中山成彬の露骨なポピュリズムであり、そんな中山の「熱き思い」が、東国原英夫というポピュリストを力ずくで利用しようとする臆面もない行為につながっている。とんだ「国士」もあったものである。
注目を集めておいて、人気のあるうちに国会の冒頭解散をもくろんでいた麻生太郎にしても、中山成彬ほど露骨ではないけれども同様の発想にもとづいている。そして、うまくいきそうにないと思うと、一転して権力にしがみつく。その低俗さ、低能ぶりにはあきれるばかりだ。これらの妄動をとってみても、自民党及び麻生太郎内閣に政権担当能力など全くないことは明らかだ。
長く続いた権力が崩壊する直前というのはこんなものかと思わせる、目をそむけたくなるような末期症状を呈している。こんなものは、これ以上見たくない。
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醜態ですねえ。
麻生は、内閣成立時に冒頭解散をもくろんでいたにもかかわらず、しかし支持率の数字をみて躊躇して時期を逸した。
今では世界金融不安を大義名分に、権力の座にしがみつこうとしている。
彼は麻生セメントの社長時代、親から受け継いだ会社を、多角化に失敗して傾かせた実績?があったはず。
なかなか辞めない御曹司に、政界転出という形でやっと引導を渡せたとか。
そんな人物を総理に推した自民党も、総理の椅子にしがみつく本人も、醜態以外のなにものでもない。
このまま麻生が総理の座に固執すればするほど、日本はアメリカに食われるのだろうな。
ただでさえ大量の米国債を引き受けているのに、これ以上引き受けて、しかもドルが暴落したら目も当てられなくなる。
えらくとんでもない人物を総理にしたものだわ。
2008.10.10 15:11 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]
インチキ証券化商品を世界中にばら撒き、世界の国々の実体経済に爆弾を投げ込みぐちゃぐちゃにしている駄目梨加金融資本主義こそテロじゃ~!!
ことあるごとに「テロ撲滅」と叫んでいたブッシュや自民党よ、一刻も早くウォール街のテロリストを撲滅してくれ!!
2008.10.10 19:26 URL | ∝& #sSHoJftA [ 編集 ]
自公政権、崩壊すればいいのですが。
こんなになってもまだ自民党を支持する人が9月末で36%もあるんですよ。悪寒。どう思われます? 地獄が続いてしまったら・・・
イヤダアアアーーー !!!
以下引用はニュージーランドで起こったことですが、これも恐ろしい。
『そして前回の選挙の結果、選挙公約で民営化反対、外国投資反対を主張した政党が議席を増大させました。ところが、選挙が終わると彼らは前政権与党と連立を組み、一夜にして「民営化オーケー、外国投資オーケー」と変身してしまったのです。』
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/20030310MSDokUchihashiBassui.htm#_ftn1 から
上記サイトに1998年の岩波ブックレット458『規制緩和のもたらすもの』(内橋克人、他)の抜粋があります。10年前に内橋氏が警告した通りの社会になってしまった。
これ以上のことは、何としても阻止しなければなりません。
私たち国民は、たとえ選挙がどうなろうとも人間らしいまっとうな市民社会を作り出す勇気と覚悟を持つべきなのでしょう。
2008.10.10 20:28 URL | ホタル #OARS9n6I [ 編集 ]
中山成彬がデタラメな問題認識に基づいて馬鹿な妄言を吐き散らしているのは、確かですが。
「話題を盛り上げておいて、不意打ちのような形で解散する。そして、話題性の高い候補者を連日テレビに露出させる。そうすれば、「B層」の有権者は自民党に投票してくれるはずだ。」
この点に限っては、デタラメな問題認識ではなく、的確な問題認識です。そして中山に限らず、自民党も民主党も広く共有している的確な現状認識です。
「長く続いた権力が崩壊する直前というのはこんなものかと思わせる、目をそむけたくなるような末期症状を呈している。こんなものは、これ以上見たくない。」
自公政権が崩壊するとは限らないし、崩壊しても代わりが民主なら政治の中身は大して変わりません。民主が新自由主義や対米追従外交と決別することもあり得ない。
財界の代弁者である政治屋とマスメディアが演出した芝居に多くのB層が興じてくれる限り、国民はいつまでも騙され続けるのです。
2008.10.13 17:26 URL | Black Joker #RtNpiJ3M [ 編集 ]
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私が考える『日本共産党が伸びない』もう1つの原因…それは私たちが陥りやすい心理にもあると思います
「共産党は良い事言うのに力がない」と言われますし、「党名を変えた方が伸びるんじ
2008.10.11 00:41 | 嶋重ともうみ☆たしかな野党 支え続けて 上げ潮めざす!