きまぐれな日々

最近よく考えるのは、過去の自分にその後の日本を教えてやったらどう思うだろうかということだ。

たとえば、ロッキード事件で田中角栄が逮捕された1976年、少年時代の私に、その15年後、1991年の日本を教えても、さほど驚かないと思う。湾岸戦争や、多国籍軍への日本の90億ドル負担、それに小沢一郎が大きく尽力したことなど、苦々しくは思っても、驚きはしないだろう。

しかし、1991年の私に、17年後の今の日本を教えたら、当時の私は腰を抜かすだろう。いや、小選挙区制のおかげで自民党が圧勝した2005年の郵政総選挙のことや、安倍晋太郎の息子にして極右政治家の安倍晋三が総理大臣になって教育基本法を改正した2006年のできごとを教えたら、気が狂うか、日本から逃げ出す計画を立て始めるかのどちらかだったに違いない。それらを知ったあとだったら、小沢一郎が自民党に対抗する民主党の代表に三選されたと教えられても、あきらめに似た感慨しか抱かないかもしれない。

昨日(21日)の民主党臨時党大会での小沢一郎3選は、朝日新聞(大阪本社発行統合版)の一面トップで報じられており、その下に「麻生新総裁 きょう選出」という見出しで、自民党総裁選の記事が出ている。自民党総裁選は、これまでの自民党の悪行が祟ったか、リーマン・ブラザーズ破綻や汚染米事件にかき消され、それに何よりも最初から麻生太郎の総裁選出が決まっているのに、くだらない演出で盛り上げただけだということが明らかになって、マスコミもそれを隠せなくなってきた。昨日のTBSテレビ「サンデーモーニング」では、ドイツ人女性記者が麻生太郎に「あなたがたは本気で総裁選を戦っているのか」と質問して、麻生が苦笑いしながら「Yes, we are」と答える場面を映したあと、金子勝が、「総裁選に立候補している5人は誰も、現在起きていること(アメリカ発の世界金融不安)の重大さがわかっていない」と批判していた。

その麻生太郎新総裁率いる自民党だが、最大の問題点は「コイズミカイカク」を総括できていないことだ。だから、いかに麻生が財政出動の政策を打ち出そうとも、行き先が大企業などになるので、全然効果が期待できないのだ。いくらハコモノや道路を作ったって、東京に本社のあるゼネコンにカネが流れるだけだ。地方はさして潤わない。それでも、財政再建論(=再分配を抑えることを明言)を唱える与謝野馨や、企業減税と社会保障削減を目玉とするコイズミカイカク路線の継承者たちよりはマシだろうと、地方票は圧倒的に麻生太郎に流れたし(昨日開票分では小池百合子は0票)、勝ち馬に乗りたい国会議員たちは、一昨年の安倍晋三、昨年の福田康夫に続いて、今回は麻生太郎支持へと雪崩を打つ。自民党の国会議員たちには政治的信念もへったくれもないことがよくわかるだろう。

で、小沢一郎の政策だが、実行手順を3段階で示すと言っている。(1)来年度予算で直ちに実施、(2)次期通常国会で関連法案を成立させ、2年以内に実行、(3)4年後までに段階的に実行、の3段階だ。

以前から福祉国家志向の政策として、左派からは評価の高い(自民党からは「バラマキ」と批判されている)農林漁業への所得保障制度は、やはりすぐには難しいようで、(3)の4年後までに実施のカテゴリに入る(1年後に実施を始め、4年後に制度を完成させるそうだ)。月2万6千円の子育て手当て支給や高速道路の無料化などは、初年度から実施の方針だ。

小沢一郎の演説で受けたのは、「自民党総裁は政権を投げ出すことができても、国民は生活を投げ出すことができない」というくだりだ。もっとも、ほかならぬ小沢一郎が参画していた細川護熙政権も、細川首相が政権を投げ出して、後継の羽田内閣はあっという間に潰れて、自社さ連立の村山内閣が発足するなど、混乱が生じたわけだから、二度と同じ失敗を繰り返さないでほしい。自民党は二度同じ失敗を繰り返したわけだからなおさらだ。2勝2敗の五分、などというわけのわからない事態になったら、国民は政治に絶望し、日本の社会は今以上に荒れ果てるだろう。

あと、小沢一郎は所信表明演説で、格差拡大を止めたいとして、囲碁用語を引きながら、「今の日本の状況は大場より急場、当面の急場を救うことを優先すべきだ」と言った。その主張は正しい。今の日本の政治が保守二大政党制であるにせよ、岸信介や福田赳夫の流れを汲む今の自民党よりは、田中角栄直系の小沢一郎が率いる民主党の方がマシには決まっている。ただ、かつての自民党では田中派のすぐ左に大平派があり、そのさらに左には、現在なら自民党に入れてもらえそうにもない三木派がいた。田中派は、かつての自民党では中道的な、つまりもっとも自民党的な派閥だった(福田赳夫や中曽根康弘は右翼とみなされていた)。

何が言いたいかというと、そんな小沢一郎に、法人税減税や所得税の累進性緩和を元に戻すことができるかどうかである。かつての姿に戻すだけだから、理屈の上ではできるはずなのだが、日本では経団連の政治への圧力が異様に強い。それに、保守政治家である小沢一郎がどこまで対抗できるかということだ。これらができない限り、財源はどうしても不足し、消費税率引き上げの議論が必ず浮上するのだ。

私自身は、最終的には高負担高福祉社会を目指すべきだと考えているから、たとえば2020年などの段階で消費税率を引き上げる(但し生活必需品については税率を据え置く)などの必要が生じると思うが、そのためには前段階として格差や貧困の問題を解決しなければならない。現在が「急場」であるという小沢一郎の認識は正しく、現時点あるいは2,3年後に消費税率を引き上げたりしたら、国民生活、ひいては日本経済は壊滅的な打撃を受け、日本は後進国に逆戻りしてしまう。小沢一郎の言を借りれば、日本は既に主要国で下から4番目の「格差大国」なのだ。この問題を解決するためには、民主党は勇気を奮って財界と対峙しなければならないのである。


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 明日、御手洗経団連会長批判をブログに書きます。乞うご期待。

2008.09.22 08:18 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

こんにちは。日本国を実効支配しているのは、米国であり財界でしょう。現下の新自由主義・改憲路線も彼らの要望に依るもの。ならば、米国にも財界にも怖めず臆せずNO!と言える共産党を躍進させることが、反新自由主義・護憲に立つ者の最善にして最強の一手。これで、政権交代も実現するし、二大政党制も阻止できる。さらに、民主党のスタンスを反新自由主義・護憲の側に寄せることもできる。これほどの鬼手はない。断然「比例区は共産党」でしょう。


2008.09.22 15:55 URL | BLOG BLUES #- [ 編集 ]

はじめまして。

たまにこちらのブログは覘かせていただいており、そのつど勉強させていただいています。

個人的に疑問なことがあるのですが、
小沢民主党をどうしてそこまで信用することができるのかが自分には理解できません。

小沢民主党の何が信用できないかというと、

・「日本」国民のために行動するかどうか
・財源も示さず都合のいい政策ばかり示す
・議員が有名人多数で醜聞記事がよく出る

政策を競わない・議員候補は有名人ばかり・加えて外国籍の参政権を推進しようとするなど、、
「日本」国民を全く無視している事は明らかだと思うのですが。

共産党に関しては、中国共産党を批判できないのはどういうことか釈明すべきです。



2008.09.22 20:55 URL | 山梨次郎 #- [ 編集 ]

米国がどう出るかですよね。
民主党政権になって、隷属が公約通り見直されたら、どう報復してくるか?
超円高、超円安、株暴落か…
あるいは金融以外の手段でか…
しかし、米国が自滅、多極化推進のような動きをしていることも確かなので、意外にすんなりいくかも知れないし。
私の福祉社会への理想もブログ主さんとほぼ同じですが、
急激な動きはさすがに無理だと思います。
日本の売りはもはや、世界に通用する先端企業のみです。だから何としても彼らを守って育てていかなければなりません。
しかし、あくまで国民あっての国家と企業なので、近視眼的なエゴも抑えなければなりません。
とにかく一度民主党に政権をとらせ、米国や財界にどの程度正論を言えるか、どの程度妥協するか、観察し監督していきましょう。

2008.09.22 22:14 URL | cube #- [ 編集 ]

私は民主党に頑張っていただきたいです。世界との競争力という名目の元、自分達の利益しか考えない(言い過ぎなのはわかっています。ただ働く人が二の次という考えが許せない。)財界や官僚と懇意で国民のことを考えていただけない今の政権に比べたら期待感を持ちます。麻生さんに比べたら小沢さんのほうがよっぽど国民目線だと思います。
よく財源の話になりますが、現在のまま無駄な予算を使われて財政赤字を主張されのはたまりません。国民の為になる改革、政策をしていただいて予算が足りないなら足りないと言って欲しいです。大体、自民党がずっと政権を担ってやってきた挙げ句の果てが現在の日本の状況なのです。
あと外国人の参政権の話はなぜ反対なのでしょうか。日本で生活しているのだから、考えを政治に反映していただいて何がいけないのでしょう。イデオロギーの違いがあり嫌悪感を抱くのはわかりますが、一定条件を満たせば希望される方々に参政権を与えることは当然にさえ思います。太古の昔は大陸と陸続きだったんですよ。その昔大陸から渡って日本に来た方々もいらっしゃいます。日本人だって遺伝子学的に考えれば大陸の方々と同じ血だということもあり得るのです。人種や国籍で差別するなんて意味のないことだと思います。

企業は利益追求をしなければならないことは理解しています。でも同時に国民に対して社会的な責任もあると思います。難しい社会情勢ですが、企業のトップの方々には知恵を絞っていただいてどちらも頑張っていただきたいです。

2008.09.22 23:56 URL | りぼんの棋士 #ptVVeh2s [ 編集 ]

kojitakenさんの主張に概ね賛同です。
それと、財源の話なのですが、その前に霞が関が大事な情報を隠している現状では、その事で野党に突っ込みを入れる姿勢そのものが無意味か意図的なものと理解せざるを得ないですね。
昨今の一連の表面化した事例だけを見ても、霞が関がいかにウソつきでいい加減かわかるはずですよ。
彼らは自公両党を隠れ蓑にして、自分らの欺瞞に頬かむりをし続けていますよ。
財源論議は、民主党などが政権を取って、霞が関にすべての情報を出させてからでないと、正確なものは出すことは不可能です。
予算が自分らの売り上げのように考える彼らですからね。
売上を上げていくためには無駄な出費も平気でするでしょう。
そういうのをすべてカットして、国民にとっては無駄な意味のない予算を無くせば、信じられない額の予算が浮いてくるはずです。
でも、何よりもその為には政権交代です。
日本国民を見下している霞が関と、たかることしか考えない財界。
いいですか、日本の富を作りだしているのは名も無き国民達なのですよ。
自民党も財界も官界も、そんな一般国民を、大相撲の親方風に言えば米櫃くらいにしか見ていないでしょう。
そんな連中に期待して、野党を育てようともしない連中は、はっきりいって馬鹿野郎です。

2008.09.23 04:21 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]













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