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きまぐれな日々

福田首相が辞任を表明した。

思えば、イラク人質事件の1か月後の2004年5月7日、コイズミ内閣の福田康夫官房長官(当時)は突然辞意を表明し、あっさり辞めていったのだった。また、昨年8月下旬に内閣改造を断行した安倍晋三は、それから1か月も経たない9月12日、臨時国会で所信表明した翌日に辞意を表明したのだった。

昨今の福田首相を見ながら、この2つの辞任劇を思い出してはいたのだが、まさか本当に辞めるとは思わなかった。自民党は、汚れ役をすべて福田康夫に押し付け、総選挙に敗れていったん下野したのち、細川政権時の時のように裏工作を重ねて、政権に復帰するつもりなのだろうと想像していた。

しかし、そうはならなかった。党内や公明党から、「福田では勝てない、総理の首をすげ替えよ」という圧力が高まり、もともと総理大臣に就任して洞爺湖サミットでも議長になることによって人生の目的を達した福田にとっては、安倍晋三の任期はわずかに超えられなかったものの、ま、いいかといったところで、権力の座に強い執着もなく、あっさり辞任を決めてしまったものだろう。

今回の辞任表明で、誰しも安倍晋三を思い出すだろう。福田康夫は、安倍よりはましかもしれないが、五十歩百歩の無責任な「政権投げ出し」と評されても仕方ないと思う。

自民党は総裁選を行うことになり、麻生太郎が出馬表明をした。民主党が無投票で小沢一郎を三選するのに対し、自民党は大々的に総裁選を盛り上げるだろう。麻生太郎に対して誰が対抗馬として名乗りを上げるかはわからないが、誰が出てきても、総裁選で候補者同士が論戦を戦わせることが党の分裂につながるという説が、とんだ謬論であったことが証明されることになるだろう。すなわち、自民党が総裁選を行うことによって分裂することなどあり得ない。

それどころか、新しく発足する麻生新内閣は、高い支持率を得るだろう。それぞれ1年しか持たなかった安倍内閣と福田内閣の発足直後の支持率を思い出せばよい。安倍内閣は60%以上、福田内閣でさえ50%以上の支持率を獲得した。

もちろん、両内閣とも支持率はみるみる下がっていったわけで、麻生内閣も、そのままだと同じ運命をたどるわけだから、麻生太郎のとる行動は一つだけだ。

すなわち、早期の解散総選挙。今までいわれていた年末年始どころか、秋にも解散総選挙が行われる可能性が高まった。選挙で自公与党が過半数を確保すれば、新テロ特措法だって堂々と延長できる。消費税率だって堂々と引き上げられる。

安倍晋三に対しては、新自由主義を嫌う一部の右派からも批判的な言論があり、私は彼らとの共闘を是としていた。しかし、福田康夫に対して新保守主義の立場から批判する右派とは、断じて共闘すべきでないと主張した。

積極財政を主張する麻生太郎は、政治思想的には新保守主義であり、今まで安倍晋三や福田康夫を批判していた右翼たちも、麻生太郎支持に回るだろう。「HANAの会」仲間の麻生太郎が総理大臣になることによって、平沼赳夫も今回の政局における新党結成は見送り、もし自公与党が選挙で勝利すれば、選挙で間違いなく当選すると思われる平沼赳夫や城内実は、自民党に復党するだろう。

麻生太郎内閣のまま解散総選挙を先送りにする可能性は、限りなく低い。先送りにしたところで、来年9月までには衆院選を行わなければならないが、失言癖のある麻生は政権運営を続けていくうちに次々とボロを出す。安倍晋三や福田康夫と同じように、麻生太郎の支持率がみるみる下がっていくことは確実だ。だから、解散先送りが自民党にもたらすメリットは何もない。

そもそも、「解散カード」は、いつ切られるかわからないから強力なのである。過去、自民党が歴史的大勝を収めた選挙を思い出してみよう。大平内閣時の1980年の衆参同日選挙は、前年10月の総選挙で自民党が大敗してから、1年も経たずに行われた。中曽根内閣時の1986年衆参同日選挙(「死んだふり解散」)も、83年12月の総選挙で自民党が敗れてから2年半後だ。そして、3年前の郵政総選挙も、03年11月の総選挙で自民党が敗れてから2年を経過せず行われた。このように、早期の解散総選挙は、いずれも自民党に大勝をもたらした。一方、1976年の任期満了選挙では、自民党は敗れた。

幸い、今回は前回の総選挙から既に3年になるから、既に「解散カード」の威力はかなり落ちている。しかし、自民党側から見ると、このままズルズルと政権運営を続けても、麻生太郎内閣発足直後に盛り上がるであろうピークを超えることはできず、任期満了に近い選挙になってしまっては、結局元の木阿弥だ。来年夏の都議選と重なる日程をなんとしても避けたい公明党としても、これは好ましくない選択肢である。

だから、結論は一つしかない。麻生太郎が国民の歓呼に迎えられて新政権を発足させてから間を置かず、国民の信を問うと称して解散総選挙を行うのだ。

風雲急を告げる展開になった。


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福田会見で「新たな布陣で・・・」と言ったので、一瞬「新たな夫人」と聞き違い、
「再婚でもするんですか?」と思ってしまいました。
それはさておき、これから二週間くらい『目くらまし(by伊吹文明)』のオンパレードが続きますが、
徹底して「与党は何をしてきたのか」という視点で見ていくしかないですね。

2008.09.02 20:04 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

けんさん
今や有権者は、そんな党首選挙の喧騒にはだまされないくらい学習を積んでいるのです。
こんなにも踏みつけられた有権者、ここでめくらまし(伊吹氏が使用していた言葉?)は通用しません。
かりに、民主が党首選で注目を浴びて政権交代におおいに役立ったとしても
その手法は小泉といっしょじゃあないですか。
そして、昨日福田総理辞任表明直後に、自民は「総裁選ははでに!」とニュースで堂々と流す。全く有権者の気持ちを逆撫でしていることに気づかない大自民党の狂態。

民主党首選は断固反対!
敵は自民!

2008.09.02 22:53 URL | きまぐれ #- [ 編集 ]

自民党は総裁選を行うことになり、麻生太郎が出馬表明をした。民主党が無投票で小沢一郎を三選するのに対し、自民党は大々的に総裁選を盛り上げるだろう。麻生太郎に対して誰が対抗馬として名乗りを上げるかはわからないが、誰が出てきても、総裁選で候補者同士が論戦を戦わせることが党の分裂につながるという説が、とんだ謬論であったことが証明されることになるだろう。すなわち、自民党が総裁選を行うことによって分裂することなどあり得ない。

これはちょっと違うと思います。まず、自民党と民主党には与党と野党という差があります。与党の党首は自動的に一国の総理大臣となるわけで、野党の党首とは重さが違います。それを与党と野党の党首選を同等に扱うのはいかがなものでしょうか。

自民党が税金を使って総裁選を派手にすればするほど、国民にはますます不満が鬱積するでしょう。すでに麻生が勝利するのが決まった総裁選を偽装候補者を使って派手にアピールするだけ無駄だということくらいは、国民は知っていますよ。そんな幼稚な手法に騙されるのはB層でさえいないでしょう。

2008.09.03 01:33 URL | 美爾依 #HfMzn2gY [ 編集 ]

福田氏が辞任したことは、民主党に有利なのかは、麻生政権の出方によるでしょう。

基本的には『構造改革路線を修正する政権』への攻撃はしにくいと思われます。
麻生政権が誕生直後に解散を打つ可能性が高い中で必要なのは、『民主党政権政策の明確化』だと考えます。

個人的には『赤字国債を使わない恒久減税』と『ガソリン税暫定税率廃止』は盛り込んで欲しいと思います。

小泉待望論が根強くあるのは、彼がやった政策が滅茶苦茶ではあるが、分かりやすいイメージで国民に広がっているからなのでしょうか…

『構造改革には本当に痛みを伴わないとできないのか?』もう一度考える必要があるのではないでしょうか。

2008.09.03 02:23 URL | 葉隠 #CRmGiUQU [ 編集 ]













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