きまぐれな日々

昨日(8月31日)、高松市民文化センターで行われた「反?貧困全国2008キャラバン」(生活保護問題対策全国会議主催)の「高松集会」に出かけてきた。事前の申し込みも何もせず、当日にいきなり会場を訪れて講演会とシンポジウムを聴講しただけの、一般聴衆としての参加である。

8月23日付エントリで書いたように、高松での集会は、前半(第1部)が湯浅誠さんの基調講演『反貧困 ?これは「彼ら」の問題ではない?』、後半(第2部)が生活保護・ワーキングプアに関するシンポジウムだったが、湯浅さんの講演に先立って、主宰者や来賓の挨拶があった。来賓として壇上に立ったのは、民主党、社民党および共産党の政治家だったが(民主党は国会議員、社民党は県会議員、共産党は昨夏の参院選候補者)、自民党からは香川県選出の国会議員3人から祝電が来ただけだった。こういうのを見ていると、自民党というのはやはり貧困対策には不熱心な政党だと思えてしまうのだが、いかがだろうか。

湯浅誠さんの講演は、著書『反貧困―「すべり台社会」からの脱出』と同様のトーンで、約1時間、過激にアジることなど一切なく、クールに、しかし的確に貧困問題を語っていた。

貧困問題は、中間層が非常に厚くて上流層と下流層の人が少ない「提灯型」といわれた日本社会が、富裕層と貧困層に二極化する社会構造の変化によって生じており、これがさらに進むと、中間層がやせ細った「砂時計型」の社会になってしまう。そして、今の日本の政治は、そのように社会の構造を変えなければ日本はやっていけないと考えている人たちがイニシアチブを握っている。しかし、それはおかしいと思う、そう湯浅さんは言う。

たとえばフランスでは大がかりなストライキやデモが行われて、反貧困運動が盛り上がったが、それはフランスが曲がりなりにも福祉国家であって、労働市場から疎外されても最低限の生活を営むことができるからだ。しかし、社会保障給付費の対国民所得費比率が、欧州と比較して際立って低く、しかもその大半が医療と年金につぎ込まれて福祉が薄くなっている日本の社会では、我慢できない仕事でも大部分の人はそれを受け入れざるを得ない(韓国も日本と似たような状況になっている)。ひところ蔓延した「自己責任論」も、この傾向に拍車をかけている。このような社会の構造を変えていかなければならないと湯浅さんは言う。「新自由主義」などの用語を湯浅さんは用いず、自公政権反対とも言わないが、その方向性はおのずと自公政権、特にコイズミや安倍晋三の頃の政策の方向性とは真逆にあたることはいうまでもない。今の福田政権とも、真逆、つまり180度違うとはいわないまでも、鈍角(90度より大きく180度より小さい角度)をなすくらいの方向性の違いがあるだろう。

貧困問題を解決するためには、社会の底上げが必要だ。それには、我慢できない時には「NO」という必要がある。それが市民の責任だ。緊張感を社会に走らせなければならない。そう湯浅さんは訴えた。

『反貧困』を読まれた方なら、湯浅さんが "溜め" という用語で、目に見えない生活困窮者の境遇や条件を語っているのをご存知だと思う。生活相談・支援やトラブル対応、生活保護申請付添などの社会資源を充実させ、利用しやすくするとともに、当事者のエンパワーメントが求められると湯浅さんは言う。居場所を確保して自信を持ち、いやなときには「もうガマンできない」とはっきり言い、広くつながる。そうやって "溜め" を拡大していく。それが貧困問題の解決につながっていく。

集会ではこのあと、この4月まで4年間四国でホームレスをやっていた九州出身の山口洋さんの体験談が語られた。以下、9月1日付朝日新聞香川版から引用する。

山口さんは、農家などで季節労働者をし、お堂で寝泊まりしたことがあり、高松市役所で生活保護制度のことを知り、民間団体に助けてもらったという。山口さんは、「貧困から脱出のチャンスを」と訴えた。

(2008年9月1日付朝日新聞香川版記事より)


集会は、さらに生活保護行政及びワーキングプアの現状について、各専門家、実務家によるシンポジウムが行われたが、紙幅の関係、もとい書く時間がなくなったので、記事はこれまでとする。

「反?貧困全国2008キャラバン」は、このあと今日(9月1日)と明日(2日)に香川県の自治体キャラバンが行われたあと、9月4日からは岡山、8日からは広島へと進んでいく。


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高松での湯浅さんの講演の様子を教えてくださってありがとうございます。来賓に政治家が来たのですか。自民党や公明党の議員が来なかったのは 納得!(笑)

湯浅さんの本もわかりやすいですが 講演も実例やエピソードが豊富ですから とてもよ
くおっしゃりたいことが伝わってきます。

格差社会というより貧困社会になった日本は○から提灯型になって さらには砂時計型になるんですね。図も書いてくださった資料も配布されて 目からも理解しやすくよかったです。
お人がらでしょうか とても暖かい講演だと思いました。

溜めがなくなって ついには自分自身まで排除する貧困者。でも条件が変わる(生活保護を受けるとか)状況が変わると考えが変わるので そういう支援を湯浅さんはされているのですね。

ということで 湯浅さんの全国講演は10月19日の明治公園でのゴール集会まで続きます。まだ話を聴いておられない方 本を読んでおられない方に 講演を聴いてもらいたいです。

2008.09.16 19:59 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]













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