きまぐれな日々

岡田克也、前原誠司、野田佳彦、枝野幸男らが次々と民主党代表選レースから降り、小沢一郎代表の無投票での3選がほぼ決まり、と思われた時、波乱が起きた。

昨日(8月28日)昼に、民主党の渡辺秀央氏ら3人の民主党参院議員が民主党を離党し、無所属の荒井広幸、松下新平両氏とともに新党「改革クラブ」を結成すると発表した。

民主党を離党する3人は、渡辺氏のほか、大江康弘氏と姫井由美子氏である。このうち、昨年の参院選で自民党の大物議員・片山虎之助氏を破って、「姫の虎退治」として民主党躍進の象徴ともされた姫井由美子の離党には驚かされた。

「改革クラブ」に参加予定の5人のうち、姫井由美子を除く4人には、「右翼政治家」という共通点がある。

民主党の政治家は、大雑把に言って、(1)旧保守、(2)新自由主義者(ネオリベ)、(3)新保守主義者(ネオコン)、(4)社会民主主義者・修正資本主義者に分かれる。自民党の政治家には、(4)はほとんどおらず、大きく(1)から(3)に分けられる。つまり、自民党と民主党の議員は、その政治思想および経済政策のスタンスは、民主党にのみ存在する社民主義者を除いてオーバーラップしている。これらのうち、経済政策的には(1)の旧保守と(4)の社民主義(または修正資本主義)が比較的相性が良く、1994年からの自民・社会・さきがけの三党連立は、前年の93年に成立した、非自民・非共産の7党連合による細川護熙内閣の新自由主義に対抗して、修正資本主義・社会民主主義を打ち出した政権であったとの見方もできる(実際には、政権奪取のためには自民党が手段を選ばなかっただけという色合いが濃いけれども)。

一方、政治思想的には見かけ上(2)と(4)が近く、コイズミ政権が朝日新聞や毎日新聞などにも歓迎されたのは、「カイカク」というフレーズが「革新的」なイメージを振りまいたためだ。だが、新自由主義が馬脚を現した現在は、まず民主党、そして最近では自民党も「カイカク離れ」を、少なくとも表面上は見せるようになった。いわゆる「偽装CHANGE勢力」は(2)の新自由主義者であって、彼らが「反攻」を目指しているのは確かなのだろうが、90年代半ば頃から政府が進めてきた新自由主義政策によって格差の拡大や貧困に直面する人たちの増加によって、新自由主義自体が国民の支持を得られなくなっている。また、「旧保守」も、現状に不満を持つ国民にだいぶ前に愛想を尽かされており、だからこそ、新自由主義の正体が明らかになる前の今世紀初頭に「コイズミカイカク」がもてはやされたのである。

私は、これらの流れを受けて、(4)の社会民主主義・修正資本主義に政策を転換すべきだと考えているのだが、なかなかそうは問屋が卸さず、自民党は(2)の新自由主義者を冷遇し、旧保守が中心となって、ネオコンの取り込みによって政権を維持しようとしている。厄介なことに、民主党にもネオコンは結構いるから、彼らは、国民の支持を失いつつあると知りながら、自民党側からのアプローチについ傾くのである。さらに厄介なことに、(3)のネオコンは、実は「隠れネオリベ」的体質を持っている。ここでは便宜上ネオコンとネオリベを分けて考えているが、両者の間には強い相関があるのだ。

しばらく前に郵政造反組の平沼赳夫氏によって構想がぶち上げられた「平沼新党」は、(3)のネオコンの典型である。彼らは、市場原理主義への反対を声高に叫ぶことによって、本来(4)に流れるべき人たちを(3)に吸引することを狙っているが、イデオローグの櫻井よしこがかつて郵政造反議員を批判したり前原誠司を称揚していたことなどから明らかなように、彼らは多分にネオリベ的要素を有している。首領の平沼赳夫自身、サッチャーの教育カイカクを熱心に支持しており、本質的に新自由主義者だ。私には、彼らの方こそ「偽装CHANGE」の名に似つかわしいと思える。

今回、4人の右翼政治家のメンバーと、平沼赳夫と同じ岡山県選出議員である姫井由美子という組み合わせを見て、私はすぐ、この造反劇は平沼赳夫の差し金ではないかと疑った。もちろんこれは仮説に過ぎず、その真偽はまだわからない。考えをめぐらせて見ると、もう一つ可能性があって、それはネオコンを取り込もうとする自民党の差し金ということで、この場合、平沼新党も自民党に取り込まれる対象となり、一度立ち上がって選挙で一定の議席数を得たのち、自民党に合流することになるだろう。最悪の場合は、平沼新党と国民新党をブリッジにして自民党と民主党をくっつけた「大連立」政権の樹立ということになる。この場合、結果的には「偽装CHANGE勢力の反攻」と同じ効果をもたらすわけで、単にプロセスが違うだけで、行き着く先は同じ民意無視の権力亡者と強欲な金持ちによる地獄の政治になる。悪政のもと、日本は焦土と化してしまう。

今回の渡辺新党が平沼赳夫の直接の差し金による場合、渡辺新党は今後立ち上げられる平沼新党の参院側の対応政党となり、いずれ両者は合同することになるだろう。自民党からの差し金である場合、渡辺新党と平沼新党は表向き別々に行動するが、この場合は両方ともいずれ自民党に吸収されることになるだろう。民主党の一部も、それに吸い込まれる。

最終的には、民主党から(4)の社会民主主義・修正資本主義の勢力は弾き出され、社民党や共産党を合わせたところで、勢力は議会の3分の1を占めることができず、新自由主義は復活し、日本国憲法は改定されてしまうのではないか。こんな暗い予感を抱かずにはいられない今回の3議員の造反劇だった。

それにしても、渡辺秀央や大江康弘は許せても、姫井由美子だけは許せない。前二者が極右議員であることは、最初から経歴などから明らかだったが、姫井由美子は実は姫の皮をかぶった狼だったからだ。「姫の虎退治」どころか、狼が赤頭巾ちゃんならぬ虎を騙し討ちにしたようなものだ。私でさえ無念でならないのだから、姫井に投票した岡山県の人たちの心中はいかばかりだろうか。姫井が実質的な与党議員となった今となっては、姫井が当選するくらいなら、NHKカイカクをめぐって竹中平蔵と厳しく対立した旧保守の政治家である片山虎之助が当選していた方がまだマシだったと思うのは、私だけだろうか。

民意を無視した裏切り行為を働いた姫井由美子には、議員辞職を求めたいが、厚顔無恥な姫井由美子が辞職するはずもなかろう。とてもいやな気分の週末を迎えてしまった。


[追記] (2008.8.29 19:00)
なんと姫井由美子が民主党離党を撤回し、渡辺秀央らの極右新党結成の構想は宙に浮いた。
http://www.47news.jp/CN/200808/CN2008082901000497.html

なんて人騒がせな議員だろう。「姫の皮をかぶった狼」というより、「姫の皮をかぶった鵺(ぬえ)」とでも呼ぶべきだろうか?

もっとも、当ブログは既に姫井由美子を見限っており、姫井を許したりなどはしないことを明言しておく。


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姫井さんにまったく同情しませんが、
姫井さんでは次期参院選は勝てない、だから倉敷市議会に藤原薫子さんという元女子アナを送り込んで、参院選は藤原さんを立てる、とうのが民主党の方針だろうと見ています。
津村啓介さんのHPのリンク欄に姫井さんのHPが無く、姫井さんの孤立した立場が伺えます。
だから姫井さんにしてみれば、一か八かで出て行ったのでしょう。自業自得と言えばそれまでですが。
ちなみに私は倉敷市民で、姫井さんに投票しましたので、残念です。

2008.08.29 09:02 URL | cube #- [ 編集 ]

まぁ、姫井議員は次は落選ですから。
不倫告白本の出版記念なんてする人に投票するような物好きは少ないでしょうし。
これで、姫井議員も、一時的にはテレビとかで話題になるかもですが、あくまでも一瞬のこと。マスコミも政界も、おそらく眼中にはなくなるでしょう。

2008.08.29 12:55 URL | わくわく44 #- [ 編集 ]

 kojitakenさんの推測は、たぶん最悪のシナリオです。そうなる可能性もありますが、私はならないと思っています。
 その根拠は、kojitakenさん自身が先日紹介された、民主党内の派閥、衆参の力学に関する記事です。
 あの記事でも、参院で与野党がひっくりかえるような大きな離脱の動きがない限り、民主党からの離脱は意味をなさないと言ってますが、実際、次期衆院選で自公が三分の二を取る可能性は0に近い。今回の離脱でも社共の発言力が増しますが(私は良いことだと思ってます)、野党で過半数は維持です。
 逆に、単なる反小沢での今回の離党劇は、前原らが離党しにくくなったと私は思います。やるなら一緒にやったでしょう。
 どう考えても、今回の脱党者は、単に解散の無い参議院の任期を務めるだけが限界でしょう。渡辺は年齢的にも。他のメンバーは次回は確実に落選です。
 よほど大規模な民主党からの離脱がない限り、最悪のシナリオにはならないと思います。
 まぁ、私は与野党含めて、護憲派がどちらかの院で三分の一をとれていれば、まずは重畳と考える、「ひかえめ」な考えですが。

2008.08.29 17:46 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

結局「池から飛び跳ねて帰れなかったらスルメになってしまうぞ(田中角栄)」
では。
それにしても荒井広幸は『第二の山口敏夫』と言うほかなし。

2008.08.29 19:41 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

いつものラジオ屋です。連投してもうしわけありません。
姫井議員が出戻ったようです。いやぁ痛快事とは正にこの事。不満分子を炙り出して、政党助成金のはしごをはずす。これほどこの議員がお役に立った事があったでしょうか? いい歳こいたオッサン議員は党籍はないわ、資金はないわ。「何とかとハサミは使いよう」とはよく言ったもんですな。北朝鮮のスパイだってこうはうまくやれません。 極右もたまにはホームラン?。反知性派もここに極まれりですな。

2008.08.29 20:01 URL | 秀太郎 #- [ 編集 ]

「なんて人騒がせな議員だろう」って、騒ぎすぎなのはあなた自身でしょ。小沢さんの時もそうだけど、即時対応し過ぎ。昔から早飲み込みっていわれてるんじゃない。

2008.08.30 05:52 URL | arataku00 #- [ 編集 ]

>arataku00氏

いや、ああ言う「超展開」はそうそうあるモンじゃありません。

昨年の某前首相の辞任くらいしかないはずですよ。

とにかく、イチャモンを付けたいなら余所でやって下さいね。

2008.08.30 18:05 URL | てあとる☆北極の支配人 #DdiHOXp. [ 編集 ]

今回の離党劇は何なんでしょうね…
僕からすると『自分達に政治力があると思い込んでいる輩の愚挙』もしくは『昔いた自民党が助けてくれると判断した愚挙』にしか思えませんね…

今の自民党には復党させて当選させる力はないでしょう。小泉チルドレンですら全員を助けることは無理な状況です。

選挙区で有権者の支持を得られない(しかも全く影響力を持てない)無所属議員など不要です。

ミニ新党の末路などは国民新党や新党日本を見ればわかるものですが…

公職選挙法を改正して全ての議員の所属政党を離党した場合には、自動失職にした方が我々の税金の無駄な少なくなるでしょう。

離党が許されるかは、議員本人ではなく有権者が決めるべき事柄です。

2008.08.30 20:53 URL | 葉隠 #CRmGiUQU [ 編集 ]













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