昨日、「はてブニュース」で興味深いエントリを見つけた。それは、ブログ『かみぽこぽこ。』の、「民主党はどうなっているのか」と題された4回シリーズのエントリだ。外からはなかなかわかりにくい民主党内のグループについて、民主党の成り立ちについて、そして、民主党が少数野党である衆議院より多数を占める与党である参議院において生き生きと活動していることなどについて、鮮やかな分析がなされていて、実に興味深い。そんな民主党の姿を国民に知らしめるためにも、代表選で百家争鳴の論戦があってもよかったのではないかと思う。
上記『かみぽこぽこ』のエントリには多くの「はてなブックマーク」がついているが、その中のコメントにもあるように、参院民主党についての分析が特に秀逸だ(シリーズ第3回のエントリ=下記URL=を参照)。
http://plaza.rakuten.co.jp/kingofartscentre/diary/200808230002/
参院では前原誠司・仙石由人氏らのグループは10人ほどしかおらず、仮に彼らが与党側に転じても、参院における野党の過半数割れにはならないから、小沢代表にとってさしたる脅威にならないこと。さらに、参院の前原グループの中には、教育行政に一生懸命取り組む鈴木寛氏や、日銀総裁人事など金融問題に取り組む大塚耕平氏などがいて、彼らは政局に巻き込まれるより自らの政策の実現に熱心で、民主党を離れようとするとは思われないこと。そもそも、参院で第一党となった民主党の議員は、輿石東参院会長の下で国会運営をやりがいを持ってやっていること。さらに、マスコミではガソリン税問題に関する民主党の審議拒否ばかりが報じられたが、他の法案については、野党がガソリン税の審議に応じないことを理由に自民党が審議拒否していたこと。
これらがわかりやすく指摘されている。こういう記事を読むと、陳腐なマスコミ報道に代わり得るネットの言論に接することができた、と思える。もっともこれは稀有な例で、現実には著名人たちが書いているブログでも、陳腐な記事や、一部の読者たちを扇動するだけの記事しか読めないことが多い。中には、擬似科学や陰謀論を助長する記事を書く著名人さえ何人かおり、そういう人たちの記事を読んでいると、「日本人の知性の劣化」というフレーズが脳裏に浮かんで絶望的な気分になる。
しかし、『かみぽこぽこ。』のエントリを読んでいると、救われた気持ちになる。これを読んでいると、「自民党から偽装CHANGE勢力が決起し、それに民主党から前原誠司氏のグループが呼応する」などという俗説がナンセンスであることがよくわかる。凡百のブログは、前原誠司、仙石由人、野田佳彦、枝野幸男、岡田克也氏ら、小沢一郎氏と距離のある政治家たちを十把一絡げに、そう、まるで郵政解散・総選挙の頃にコイズミに反対する人たちを「抵抗勢力」と呼んだコイズミ信者と同じような扱いをするが、それがいかにバカバカしいことであるかを痛感する。「結束を乱す」とか「反乱分子」っていったい何のことだ。それって、ナチス・ドイツやスターリンのソ連、毛沢東の中国、そしてコイズミの自民党などとどこが違うのか。
呆れてものも言えないとはこのことで、しかも「反乱分子」を糾弾する人が、民主党にすり寄ってくる極右勢力(平沼赳夫一派)には極めて甘いのはいったいどういうことなのか。私はブログで何度も何度も疑問を投げかけているのだが、まともに答えてくれる人は誰もいない。それならはっきり書かせてもらうが、私は、「偽装CHANGE批判」をしている人たちの一部は、平沼一派と癒着しているのではないかと疑っている。これは、仮説であって陰謀論ではない。この仮説が誤りであることを明確に示していただけさえすれば、私はこの仮説を取り下げる。
民主党には、ポピュリズムに走りやすい欠点がある。また、従来からの反中・反韓に加えて、反米色を強めてきた平沼一派にも、強烈なポピュリズムがある。彼らが「国士」に見えるとすると、それは彼らのポピュリズムに幻惑されて、見る目を失っているのだ。そして、民主党と平沼一派のポピュリズムが結合した時、自公政権より日本を戦争に導くリスクがはるかに高い、危険な政権が生まれかねないと私は考えている。
外交及び安全保障問題に関しては、社民党が政権内から、共産党が政権外からそれぞれ民主党に歯止めをかける必要がある。平沼一派は、民主党に歯止めをかけるどころか、歯止めを外して戦争への道へと暴走させる勢力だ。今はまだ彼らのグループは大きくなく、新党さえ結成できていない状態だが、危険の芽は早めに摘み取っておきたいものだ。
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よくあるのが自民党の小泉一派と民主党の前原グループが決起するという議論ですね。こういう議論は、田原総一朗らネオリベ派が与野党共に大きな政府に傾斜することをに危機感を覚えてあらぬ期待をしているだけです。
平沼一派の議論は、ネット中心の議論で分けて考えるべきでは。単純なウヨサヨ論しか理解できず、経済の左右を理解できない頭の悪い人たちの議論ですから、私はあまり重視していません。
2008.08.26 09:23 URL | kechack #1/Y8RI0s [ 編集 ]
まだ、小沢さんの党首続行を批判しまくった自分の間違いを認められないでいるんですかw。かつて選挙を通じて政権交代を起こしたことのない国に訪れている機会を、これからも何度でも機会はあると思える呑気さというかきまぐれさに呆れるだけですね。百家争鳴したら何かこの国にとっていいことがあるんですか。
2008.08.27 03:33 URL | arataku00 #- [ 編集 ]
kechackさん、
> 、田原総一朗らネオリベ派が与野党共に大きな政府に傾斜することをに危機感を覚えてあらぬ期待をしているだけ
「国民の生活が第一」と言っておきながら、民主党がいまさら新自由主義の方向に舵を切れるはずがないのに、前原誠司氏らをけしかける田原総一朗を見ていると、「KY」という言葉しか思い浮かびませんね。
> 平沼一派の議論は、ネット中心の議論で分けて考えるべきでは。
そうかもしれません。周りを見回すと、あまりに「城内実氏を応援する」と公言するブログが多いので、つい気になってしまうのですが、実際には平沼赳夫氏や城内実氏の個人的人気があるだけで、政治勢力としては大した支持はないのかもしれません。ネットとリアルの温度差でしょうか。ネットにおいては、極端な傾向を持つ意見の声が大きいですからね。
ただ、極右と左派の連携は、ファシズムにつながりかねないと思うので、当ブログは今後も必要以上に極右批判をやってしまいそうではあります。
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