きまぐれな日々

今日は63回目の「終戦記念日」。例年なら、新聞の一面に終戦記念日の関連記事が載るはずの日だ。

ところが、今年の朝日新聞(大阪本社発行統合版=14版▲)の一面は、五輪の記事で埋め尽くされていて、終戦記念日の記事は「天声人語」にあるだけだ。競泳の北島康介の二大会連続二冠は、もちろん一面トップで称えられるべき快挙だし、1984年の具志堅幸司以来、24年ぶりに体操個人のメダルを獲得した内村航平の記事を一面に載せることにも異議はないが、「星野J 台湾破り初勝利」などという見出しを載せるくらいなら、終戦記念日の記事にスペースを割くべきだろう。

朝日新聞は、三面には社説と村山元首相のインタビューで、まるまる終戦記念日の記事に充てているとはいえ、「きょう 63回目終戦記念日」という記事は、なんと社会面に三段で小さく出ているだけだ。もちろん、他の記事を戦争に関連づけるなど、それなりに終戦記念日を意識した紙面づくりはしているが、少なくとも昔の朝日新聞とはまるで違う。

コイズミは首相在任中最後の2006年の終戦記念日に靖国神社に参拝したが、今年もコイズミは参拝した。福田首相は以前からの言明通り、参拝していない。しかし、農水相の太田誠一が靖国に参拝したほか、法相・保岡興治と消費者行政推進担当相・野田聖子も参拝予定だそうだ。前首相・安倍晋三も予想通り参拝した。

今年は、李纓(リ・イン)監督が撮った映画『靖国 YASUKUNI』が、稲田朋美らの妨害工作はあったものの公開されたが、これを機に靖国に関心を持って、靖国神社の正体が、戦没者を悼む施設などではなく、「英霊」を「顕彰」する戦争推進の施設であることを知った人も多いだろう。しかし、右翼政治家による靖国参拝は相変わらず後を絶たない。唯一の救いは、北京五輪開催中の現在、右翼系のコイズミ?安倍から福田政権に代わったことだろう。しかし、閣僚の靖国参拝は安倍内閣時代の昨年が1人(高市早苗)だけだったのに、今年は3人と増えているありさまだ。これでは、不戦の誓いどころではあるまい。

テレビなどでも、右翼言論人の物言いはだんだん過激さを増してきている。先日来当ブログでは、櫻井よしこの「日本国憲法が秋葉原事件を起こした」という発言を批判するキャンペーンを張っているが、櫻井発言など右翼の跳ねっ返りの典型例だろう。櫻井は、『正論』9月号にも安倍晋三との対談で登場し、福田政権の拉致問題への対応を批判し、安倍をしきりに持ち上げている。

しかし、不思議でならないのは、いわゆる「リベラル・左派系」で櫻井や安倍晋三を批判する声が意外なほど小さいことだ。なぜか、「反貧困」のためには左右が手を組め、という声が主流で、「憲法9条派」と「憲法25条派」が連携すべきだという主張が聞かれる。当ブログは、憲法9条と憲法25条は、それぞれ独立にではなく、関連づけて論じるべきだと主張し、改憲に執念を燃やす右翼を批判しているのだが、それに対して、「右とか左とかうるさいことをギャーギャー言うな」と批判を受けることが多い。それも、当ブログが批判している対象である右翼からではなく、ネット上の左翼からその種の批判を受けるのだ。いったいどうなっているのか、頭が混乱してしまいそうだ。

一つだけ言えるのは、ブログを開設しているネット上の左派の人たちの多くは、自らの主張よりもブロガー同士の人間関係を優先して、その中で声の大きい(というか、アクセス数が多いというべきか?)「左右共闘」論者の言うことに従ってしまっているように見えることだ。

最近つくづく思うのだが、右翼、左翼を問わず、ネットの言論は極端に偏っていて、すぐに変な方向に集団で動いて行ってしまう。カルト的とさえいえるくらいだ。そして、ブログのコメント欄への書き込みを専門にしている、いわゆる「コメンター」は特に陰謀論や擬似科学を好む傾向が強く、ブロガーをそういう方向に誘導したがる。私はブログを始めるまで、きくちゆみの存在さえ知らなかったし、その存在を知ったあとも、彼女が「9・11陰謀論」の大家であることを知るまでには、かなりの時間を要した。リチャード・コシミズなる人物の名前を知ったのは、ほんの去年の秋だ。

しかし、今にして思い出すと、「AbEnd」キャンペーン(安倍を「the End!」させよう、を合言葉にした反安倍晋三のブログ運動)を始めて間もない頃、きくちゆみのブログにTBしてみろと私をけしかけたコメンターがいた。「水からの伝言」騒動にかかわってからは、コメンターの多くが陰謀論や擬似科学に汚染されていることを知った。その中の一人は、昨年末だったかにブログを開設して、「水からの伝言」の批判派に対して「解同」(部落解放同盟)というレッテルを張ったし、別のコメンターは同じ批判派を「ソーカルト」(創価学会とカルトを掛け合わせた造語らしい)呼ばわりした。そして、何も知らずに、素朴な気持ちから政権に批判的なブログを立ち上げた人の多くが、陰謀論者や擬似科学愛好者に騙され、引っかかっていく。あげくの果てには、安倍晋三とつるんでいる櫻井よしこがテレビで日本国憲法を全否定する暴言を吐いても、それを批判できなくなってしまう。というのは、「櫻井さんは、○○さんが入れ込んでいる△△一派の×××さんを応援している」からなのだ。櫻井は、かつてコイズミを厳しく批判していたことがあり、自民党政治を終わらせるためには手を組むべき相手だということなのだろう。噴飯ものである。

しかし、ブロガー連中がこのていたらくでは、平和国家・日本の未来は暗澹たるものかというと、決してそうではない。憲法改定に賛成する意見は年々減っているし、一般庶民は、維新政党・新風も9条ネットも応援しないけれども、自民党の政治がダメだと思ったら昨年夏の参院選のように自民党を惨敗させ、共産党が反貧困に力を入れるようになったと思ったら、2ちゃんねらーでさえ「志位GJ」と共産党にエールを送る。右も左もひたすらカルトに走りたがるブログに比べて、ブログほどネットにかかわらない掲示板投稿者の方がまだしも健全だし、それよりももっと健全なのが、「マスゴミに騙されている」はずの一般庶民なのだ。「庶民的」を売り物にしながら、コメンター連中にいいように操られて、陰謀論と擬似科学の広告塔と化してしまったブログとは大違いである。

ま、裏を返せばブログの影響力なんてたかが知れているということで、ブログに騙されるほど国民はバカじゃないことを思い知ったのが、安倍政権が倒れて以来のこの1年で私がいちばん痛感したことだ。

ところで、これまでの自公政権は、政治思想的には右翼的な国家主義、経済政策的には新自由主義をとってきて、これは国民をとことん不幸にする政治路線だったため、ブログで記事を書いていても批判が容易だった。

しかし、今後は麻生太郎が公明党とタッグを組んで、少なくともコイズミ?安倍時代のような露骨な新自由主義はとらなくなるだろう。それによって、このままだと「昭和20年」ならぬ「平成20年」に自公政権がジ・エンドを迎える流れに何とか歯止めをかけようとするはずだ。しかし、彼らの真の狙いは政官業癒着構造の温存にほかならない。

これに対し、政権を批判する側が用心しなければならないことが2つあって、一つは新自由主義のポジションから政権側が距離を置いたとしても、「カイカクが後退した」などと新自由主義的な立場からの批判を行ってはならないということだ。あくまで国民生活を良くする福祉国家的な立場に立って物事を考えたい。

もう一つは、排外主義に走らないことだ。現在のように国が傾いている時には、ポピュリズムを得意とする右派民族主義勢力は、従来からの「反中」「反韓」「反北朝鮮」に「反米」を加えて、日本人の自尊心をくすぐってくる可能性がある。そして、このような時代においては、国民はそれに引っかかりやすい。櫻井よしこや、今後反米に転じる可能性の高い安倍晋三、それに彼らとの親和性の高い、いずれ結成されるであろう平沼新党は、そういう危険性を持った勢力だ。

彼らに騙されて変な方向に走り出すと、せっかくの終戦記念日の不戦への誓いもどっかに飛んでいってしまう。国力が傾いている時期にこそ、我慢強く、漸進的な方法論によって日本の社会を良い方向に変えていく努力が必要だと考える次第だ。


[後記]
1か月近く無休(毎日更新)で走り続けてきましたが、今後は休日はできるだけ休むようにするなど、ブログを公開しない日をはさみながら、じっくりとブログで意見の発信を続けたいと思います。とりあえず明日は公開をお休みします。


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私はブログを始める前までは、産経新聞が右翼の新聞であることすら知らなかった。笑

2008.08.15 13:06 URL | ケンシロウ #DL0dExLA [ 編集 ]

>今日は63回目の「終戦記念日」。例年なら、新聞の一面に終戦記念日の関連記事が載るはずの日だ。

そうだったんですか。しかし…
勉強になりました!!感謝!!
クリックしました。

2008.08.15 18:57 URL | 82 #- [ 編集 ]

>しかし、不思議でならないのは、いわゆる「リベラル・左派系」で櫻井や安倍晋三を批判する声が意外なほど小さいことだ。
そんな事もないと思いますが……。

2008.08.17 13:31 URL | nanami #3un.pJ2M [ 編集 ]

反自民ブロガーと一口に言いましても、共産党系から、kojitakenさまのような硬派なリベラル、政治の左右に関心を持たず(政治的にリベラルでも保守的でも果ては復古的でも構わない)単に反自由主義なだけの勢力(例えば喜八ログの喜八氏)、果ては経済左派だが政治的にはガチガチの右派(例えば復活!三輪のレッドアラート!の三輪耀山氏)まで幅広く含まれているわけですから、まとまらないのはしかたのないことでしょう。

前二者と後二者は反新自由主義という点では共闘できましたが、この動きが政権交代という形である程度現実味を帯びてきた段階で、次に政治的にも左を目指すか(社民党との連携重視)政治的には右を維持するか(平沼新党との連携重視)どっちでもいいとするか(「共闘」宣言)という対立が生じざるを得なかったのだと思います。

kojitakenさまにはぜひ硬派なリベラルとして今後とも自由と人権を重んじる立場からの問題提起をしてほしいと期待しています。

2008.08.22 17:13 URL | はるべると #iv6/MLlg [ 編集 ]













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63回目の終戦の日
トラバさせてもらいました。感謝! 失礼しました。

2008.08.15 18:59 | いろは.