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きまぐれな日々

普段ならアクセス数の落ち込む土日に、平日を上回る多くのアクセスをいただいた。読者の皆さまにはお礼を申し上げるが、福田内閣の改造に、それなりの注目が集まったということだろう。

内閣改造のニュースは、当初、麻生太郎の幹事長就任が目を引いたが、町村官房長官の留任が発表されたこともあって、なんだ、何も変わらないじゃないかと軽く見られていた。しかし、中川秀直を領袖とし、バックに竹中平蔵が控える「構造カイカク派」外しが徐々に明らかになり、「郵政造反組」の野田聖子の入閣が報じられるに及んで、コイズミ信者は激怒し、盟友の麻生太郎を幹事長に取り込まれた安倍信者は当惑することになった。

コイズミや安倍の信者にとっては、「なんだ、この内閣改造は」とお怒りだろうが、こちらとしては実に楽しい見ものだった。コイズミ信者らネオリベ連中に、ざまあみろと言える上に、反新自由主義を口実にして民主党に接近しようとしてきたネオコン連中も、麻生や安倍一派の林芳正を取り込まれた上、内閣から構造カイカク派がほぼ一掃されたためにネオリベ批判もままならなくなって身動きが取りづらくなった。民主党の右傾化を懸念していた私のような者から見ると、痛快このうえない。今後は、一転して民主党がネオリベと接近するのを警戒しないといけなくなったのが頭痛の種だが(笑)。

ネオコンと結ぼうとしていた一部左派の人たちは、悔し紛れに(?)「偽装コイズミ外し」ではないかと言っている。新幹事長の麻生太郎は新自由主義者だから、福田改造内閣がネオリベを完全に一掃したとは言えないのは確かだが、右派の「三輪のレッドアラート!」は、「見事なくらいに「小泉信者」「安倍信者」が抜けている。自民党も腹を括ったのだろう。つまり、小泉や安倍は自民党の敗亡要因になると、そう判定されたのだろう」、「日本の国富を全て差し出してでもアメリカを救済しようと言う向きは居なくなった。例えば、小泉、安倍、竹中、マダム寿司などはそう言う方向性の手合いであるが、完全に排除された」、「いずれにせよ、時は過ぎて歯車は回った。また新しい動きが今後は見えて来る事だろう」などと指摘している。一方、右派民族主義で平沼一派の政治家を支援するブログの中には、「頑張れ麻生太郎」と書きながら、良識ある人が出て行った自民党に何ができるのか、などと麻生を応援しているのかけなしているのかわからないエントリを上げているところもあり、その困惑ぶりが伝わってくる(笑)。

当ブログは、一昨日のエントリでも書いたように、福田改造内閣は、「構造カイカク路線を転換し、極右を取り込んだ」性格を持つと考える。さらに書くと、「古い自民党への回帰」だ。自民党は、長く「保守本流」と呼ばれる経済政策優先の人たちが中心になり、それに岸信介?福田赳夫の従米右派と、中曽根康弘らの独立志向右派(但し中曽根は総理在任中は対米関係を重視した)が国家主義的主張をして、党を右に引っ張ろうとしてきた。いわば、そうした古い自民党政治に立ち返ろうとするものだ。

現在の福田首相が、従米右派だった父親とは違って保守本流に近い政策を指向し、保守本流の始祖・吉田茂の孫である麻生幹事長が、祖父とは全く異なるタカ派の政策を指向しているのは面白い。彼らにも、偉大な父や祖父に対して、多少の差別化を図りたいという意図でもあるのだろうか。

それはともかく、吉田茂の流れとも岸信介や中曽根康弘の流れとも異なる異端がコイズミであり、その後継者である安倍晋三だった。安倍は、政治家の体質からいうと、岸の流れをくむ極右なのだが、出世の過程でコイズミに引き立てられたので、「コイズミ・安倍」として一括りに論じられることになるし、実際コイズミの付録くらいの重みしか持たない政治家だ。彼らが行ってきた新自由主義政策は、日本を焦土と化しつつある。もはや、この路線ではやっていけないと自民党は判断したのだろうし、公明党からの強い突き上げもあった。だから、コイズミ・安倍の一派をパージする一方、元来の思想的位置が安倍に近い麻生太郎を取り込んだのだ。

今朝の「四国新聞」には、共同通信配信と思われる「内閣改造の舞台裏」なる記事が出ている。それによると、自民党選対は、福田のまま次期衆院選に突入した場合、自民党の議席は160議席前後にとどまるという調査結果を得て愕然とし、公明党からは「福田政権を降ろせ」との突き上げを受けた。さらに、来年夏の都議選を重視する公明党(当ブログ7月28日付エントリ参照)は、解散総選挙の前倒しを主張するとともに、「このままだったら自民党との連立を解消して民主党と連立を組むぞ」と自民党を脅した。公明党には、雑誌「文藝春秋」に掲載された矢野絢也・元公明党委員長が書いた、創価学会及び公明党による矢野氏の言論活動妨害の件(当ブログ7月17日付エントリ参照)などが国会で民主党など野党に追及されるのを嫌っているという事情もある。早い話が、組織票の堅い公明党にとってはいつ解散総選挙をやろうが自党の獲得議席数はそんなに変わらないから、早いとこ選挙をやって勝ち馬に乗ってしまおうと考えているのだ。

「四国新聞」の記事は、麻生幹事長起用は公明党の要請によるものだと書いている。新自由主義からの脱却を目指す公明党が、なぜ新自由主義者で極右の麻生に期待するのかは、思想的に考えればわかりづらいが、早い話が公明党は麻生太郎の人気が欲しいだけなのだ。公明党もまた、政策ではなく権力欲で動く政党である。

記事は、福田首相が「上げ潮派」を閣内に取り込まず、当四役に保利耕輔、閣内に野田聖子の「郵政造反復党組」を起用したことで、「福田が意図したかどうかは不明だが、経済財政路線、政治路線ともに「小泉改革の否定」と映る」などと奥歯にものの挟まったような書き方をしているが、これが福田康夫の意図であることはあまりにも明らかだ。

記事は、「コイズミチルドレン」の衆議院議員・山内康一が2日付のブログで「がっかりした」「小さな政府へという流れが止まりそう」「脱・構造改革内閣と言えるかも」と反発したと伝えている。当該ブログのURLを下記に示す。
http://yamauchi-koichi.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_2633.html

この山内は、1日付のエントリでは、「民主党の良識派にエール」などと書いて、民主党の新自由主義勢力にすり寄っているが、民主党は断じてこんな甘言に乗ってはならない。山内のごとき、次の総選挙で落選確実のコイズミチルドレンの議員は立ち枯れさせておけば良いのである。

当ブログの8月2日付エントリで書いたように、民主党は社会民主主義(修正資本主義)の路線を選択すればよいのだ。これこそ「旧保守」とも「新自由主義カイカク勢力」とも違う行き方で、かつ国民の多くが強く求めているものだ。

旧保守は、高度成長政策によって、地方にも道路を整備するなどして結果的に再分配を行ない、大企業の終身雇用がセーフティーネットの役割を果たすなどしてきたわけだが、自民党政府として福祉国家を目指しはしなかった。正確には、70年代初めには福祉国家を目指そうとし始めたことがあるが、ちょうどその頃勃興し始めた新自由主義の波に飲み込まれてしまい、福祉国家の段階を経ないでいきなり新自由主義の政策を実行してしまったのだ。これは、資本主義が発達していない段階で共産主義を導入してしまったソ連の裏返しのケースといえるかもしれない。

だから、日本が福祉国家であったことは過去一度もない。一方、北欧諸国など、社会民主主義政策の成功例とされている国家はいくつもある。それなのに、それに対応する政治勢力は、日本ではほんの少数だ。ならば、民主党がそこに接近すれば、党勢拡大は間違いないと考える。実際、昨年の参院選で民主党が掲げた「国民の生活が第一」というのは、そのような方向性を持つスローガンだ。つまり、民主党の公約とも合致する。新自由主義勢力の呼びかけに応じることは、公約違反にあたるのである。

民主党はこのあたりをよく考え、選択を誤らないようにしてほしい。


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アクセス数が上がったのは株式日記と経済展望に引用されたからでしょう。

それにしても今の自民党は空前の灯火です。

その後の世界はダイナミズムに溢れていますが、安心できる世の中になるには時間がかかりそうです。

2008.08.04 07:43 URL | ジョリー #- [ 編集 ]

小渕首相は郵政族議員であった。同じく郵政族議員で無能な野田聖子を郵政大臣にした同族内閣を作った。
野田聖子の無能さは証明された。しかし、福田首相が無能な野田聖子を入閣させた意図は何なのか。

2008.08.06 19:14 URL | 塩見 #mQop/nM. [ 編集 ]













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