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きまぐれな日々

朝日新聞(7月8日付)を開くと、「政治動かすネット言論」という記事が出ていたので、これを要約して紹介する。

今年3月のマレーシア総選挙で、与党連合「国民戦線」は何とか政権を維持したものの、勝敗ラインとしていた定数の3分の2を割り込む歴史的な敗北を喫した。これに関して、アブドラ首相は「われわれはインターネットでの戦いに敗北した」と述べたというのである。

マレーシアの主要紙とテレビは、一部の中国語紙を除いて与党所有か国営で、政府与党によりコントロールが可能とのことで、それに不満をもったジャーナリストが社を辞めてブログを立ち上げ、新聞で報道できなかった記事を次々と報じて注目を集めた。

インターネットを使いこなしたのが野党陣営だったという。野党・人民正義党のティアン・チュア議員は「我々にはカネもテレビも新聞もない。公約をホームページやメールで訴えるしかなかった。後は彼らがネットで広めてくれた」と語る。

総選挙では、ネットやブログを「落書き」などと馬鹿にする発言を繰り返したザイヌディン情報相が落選する一方、野党陣営では著名ブロガーの新人が当選したりした。選挙結果を受けて政府や既存メディアも姿勢を改め、新たに就任したアフマド情報相は「ブログなどのメディアは国づくりでも一定の役割を果たす」と述べ、ブロガーらとの対話の場を設ける考えを示した。

記事にはマハティール前首相へのインタビューも出ているが、首相退任後、現政府がマハティール氏の発言を報道しないよう支持したことに不満を抱いた同氏は、今年5月にブログ(http://test.chedet.com/che_det/)を立ち上げ、訪問客は300万人を超えたという。マハティール氏は、首相在任時に新聞やテレビの報道を厳しく統制したが、ネット上で検閲をしないと表明したとのことだ。つまり、既存メディアを厳しく規制する一方、ネットには縛りをかけず、それが現在の状況につながったのだろう。

ひるがえって日本はどうかというと、既存メディアは政府によって厳しく統制されているわけではないが、言論に自己規制がかかっていると思う。小泉内閣の高支持率を支えたのは、「コイズミカイカク」を基本的に支持するマスメディアだった。

それに対するカウンターとしてブログが立ち上がり、大きく盛り上がるかに見えたが、次第にタコツボ化していっているのが現状ではないかと思う。狭いコミュニティ内でしか通用しない言説がまかり通っていて、それが外部からの支持がなかなか得られない原因だろう。特にたちが悪いのが陰謀論と擬似科学であって、それさえ克服できないようでは「政治ブログ」に未来はないと思う今日この頃である。


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 kojitakenさんはどうも陰謀論を目の敵にされてますね。
 しかし、少なくとも911については、陰謀を前提に考えた方がアフガン・イラク侵略を進めたブッシュ&西側政治の利害・目的を考える時、すっきり合理的な説明ができます。
 確かに陰謀論者には金儲けすることだけが目的の詐欺師もいるかもしれません。しかし反証が出来なければ、目くじら立てて排除するまでもないでしょう。
 そんな陰謀論者より、今の日本では大手マスコミの体制擁護、「死に神」や山口母子殺害事件、小泉・橋本ブームに見られるような、大衆の安易な体制寄りの風潮の方がよっぽど危険を感じます。
 デモをしないかわりに無差別殺人、家庭内殺人をするような社会にはなってほしくないですね。

2008.07.08 10:58 URL | cube #- [ 編集 ]

 ネットが政治を動かす可能性についてですが、現状のブログ言論は、次の段階に進むべき時期かと思います。
 現在の、「ネットジャーナリスト」というのは、田中宇やベンジャミン・フルフォードのように、「現地取材をせずに、ネット上から都合のよい情報(真偽を確認せず)を採集して、妄言を吐き散らす」陰謀論者が多いのが問題です。
 今後のネット言論の方向は、この逆で、正しい情報やニュース。多様ではあっても、しっかりとした意見をネットで多くの人に発信する環境づくりです。
 日本では、人口に対するパソコンの普及率が4割とか6割とか言いますが、実際には会社のパソコン台数が多く、個人で使いこなしている人は、まだまだ全人口の1割程度。そのうちブログ言論などを見ている人はさらに少ないでしょう。
 しかし、今後もパソコンの普及が増えるのは確実。またパソコン世代が社会の中核を担うのももうすぐ。
 新聞やテレビニュースの代わりにパソコンで情報チェックという人も増えるでしょう。
 情報を発信する側も、それに対応した新たな手法、枠組みが必要かと。
 NPJやオーマイニュース、JANJANもその試みでしょうが、もう少し硬軟両面への広がりがほしいです。
 また、最近私のブログで目立つのが、携帯からのアクセスです。まだ数は少数ですが、確かに増えています。
 今後、「スマートフォン」(昔でいうパームトップパソコン)が増えるにつれ、一層この動きは加速するでしょう。
 だから、情報を発信する側も、ひとつのメディアとして、新たな試みを始めるべき時だと思います。いろいろ考えてますが。
 会社にするのもいいかもですが・・・。
 ネットを国家が乗っ取る前に、何か始め無いと。

2008.07.09 05:46 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

 田中宇は、昨年夏、サブプライムの第一次株暴落が起きる遥か前から、住宅バブル崩壊を予想していました。
http://tanakanews.com/g0125mortgage.htm
 彼の世界中の英文ネット記事を博覧する分析手法も、もちろん誤りもあるでしょうが、こんなに参考になる無料の情報サイトは他にありません。
「陰謀論者」とひとくくりして無視するのはあまりにもったいない。
 あるいは、電子投票についても、例えばブッシュ・ゴアのペテン選挙の二の舞になり、民主主義の危機になると繰り返し警告しています。
 こんな問題提起をして彼自身どんなメリットがあるでしょうか?「陰謀論者」とバカにするのではなく、疑心は持ちつつも傾聴すべきではないでしょうか?

2008.07.09 22:34 URL | cube #- [ 編集 ]













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2日連続で『反戦平和』『9条』などを訴えるデモ・パレードに参加しました(^.^)
 自分の勤務する会社(事業所)の名前にはあまり文句を言わないのに、なぜ「共産党」

2008.07.08 23:23 | 嶋ともうみ☆たしかな野党 支え続けて 上げ潮めざす!