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きまぐれな日々

2年前の今頃。新保守主義と新自由主義に対する国民の支持は、そのピークに達していた。

そのやくざ的なキャラクターで国民の人気を集めた小泉首相は、経済政策を竹中平蔵に丸投げし、その竹中は国民生活を痛めつける極端な新自由主義政策をとったが、コイズミが「カイカクなくして成長なし」と絶叫するや、国民の多くはその妄言を信じた。そして、コイズミは靖国神社への参拝の強行などで、国粋主義化した一部国民(ネット右翼を含む)から拍手喝采を得たのである。

小泉政権は新自由主義(ネオリベ)と新保守主義(ネオコン)の傾向を兼ね備えた性格を持っていたが、コイズミは実は「ノンポリ」といっても過言ではない空虚な人間だった。前述のように、経済政策は竹中平蔵に丸投げしており、「コイズミカイカク」とは実質的には「竹中カイカク」だったし、「皇室は最大の抵抗勢力」と言ったとされるコイズミは、本質的はネオコンからはほど遠い人間だった。単なる無責任男に過ぎない。

それに対して、コイズミの「反ネオコン」ともいえる体質に強烈に反発したのが、本物の「ネオコン」連中だった。そして、彼らの熱烈な支持を集めたのが安倍晋三だったのである。

小泉政権のあとを受けた安倍晋三政権とは、コイズミ(実は竹中平蔵)の新自由主義政策をそのまま引き継ぎつつ、政治思想面ではコイズミより大きく右に振れた極右的性格を打ち出した。それは、「経済極右兼思想極右」ともいうべき、およそ考えられる限りもっとも凶悪な政治権力だった。

だからこそ、当ブログは安倍政権成立前から安倍の体質に警鐘を鳴らし続け、安倍の首相就任を阻止すべく、「カナダde日本語」が提唱した「AbEnd(安倍を「the End」させよう!)キャンペーン」に、真っ先に参加した。

それからまる2年。安倍内閣の寿命はちょうど1年だったから、その倍の月日が流れた。安倍は一昨年9月に総理大臣になったが、その2か月前の06年7月にNHKテレビで放送された「ワーキングプア」などをきっかけにして、「コイズミカイカク」の負の側面が論じられるようになり、新自由主義に対する批判が急速に広まっていった。しかし、のちに「KY」と揶揄された安倍は、そんな空気を読むことができず、財界の言いなりで「ホワイトカラー・エグゼンプション」を、「少子化対策として必要」などと発言して、国民の失笑と怒りを買った。

安倍は経済政策には全くの不熱心で経団連のいいなりになる一方、イデオロギー政治には異様なまでに熱を入れ、改正教育基本法、国民投票法案、教育改革関連三法案など、憲法改定の布石となる諸法案を次々と強行採決で成立させた。

このように、安倍はコイズミのネオリベ政策をそのまま継承すると同時に、コイズミでさえやらなかった強烈なネオコン政策を推進した。この1年間の安倍政治の犯罪性は、どんなに強調しても強調しすぎることはない。

ネオリベとネオコン。一昨年から昨年前半にかけて、国民生活により大きな脅威だったのは前者だ。「ブログ論壇」といえるものが存在するかどうかはともかく、ブログの世界でも、反ネオリベで右派と左派の部分共闘もあって良いという主張があり、当ブログも当時それに賛成した。一方で、安易な「野党共闘」論への批判も当時からあり、それについて当ブログは、「右派とは是々非々で臨むべし」というスタンスをとった。

昨年7月の参院選で安倍率いる自民党が大敗し、「国民の生活が第一」というスローガンを掲げた民主党が圧勝した。民意は、新自由主義を否定したといえる。その2年前の総選挙で、「郵政民営化」というコイズミのまいたエサにつられて新自由主義を諸手を挙げて受け入れたばかりというのに劇的な様変わりだったが、自民党はコイズミが「抵抗勢力」を駆逐してすっかりネオリベ政党と化していたので、このままでは次の総選挙では自民党の敗北は必至という状態となって今に至っている。

安倍政権は参院選の敗北で「死に体」となり、2か月後に退陣に追い込まれたが、その後を受けた福田康夫内閣は、いわば最初から「死に体」の内閣だ。それでも成立後しばらくはそれなりの支持率を得ていたが、今では内閣支持率は20%前後に落ち込んでいる。

新自由主義が否定された民意を受けて、福田首相は「脱カイカク」を指向しようとしたが、党内はコイズミによってネオリベに固められていて思うに任せない状態だ。一方、参院選で勝利した民主党も、小沢一郎代表が「大連立」構想に走ろうとしたり、前原誠司が新自由主義者としての立場から民主党の政策を批判するなど、国民の期待に応える動きをしているとはいえない。民主党は、かつて「カイカク」の先鋭性をコイズミ自民党と競ったこともある政党だから、方向転換もなかなかスムーズにはいかないのだ。

先日、参議院で福田首相の問責決議案が可決されたが、福田首相はこれを無視した。さとうしゅういちさんは、「JanJanNews」で、

 福田さんは、
1、総理を辞任するか、
2、後期高齢者医療制度をはじめとする負担増を撤回するか、
3、解散総選挙をするか。
 その3つに1つしかないと、私は考えます。

と主張している。

スジ論としてはその通りだと私も思うが、福田首相が自分からそんなことをするとは考えられない以上、民主党など野党がその方向に追い込むべきだ。特に、国民生活にとっては、二番目の「負担増の撤回」が重要だ。だが、民主党は必ずしもそういう動きをしていない。

解散総選挙というが、解散権を持っているのは総理大臣であり、民主党は自民党を解散に追い込まなければならない。解散に追い込むためには、反自民勢力がいくら団結しても、衆議院で自公が3分の2以上の議席を持っている以上何の意味もない。自民党の団結を切り崩し、自民党から造反者を出させなければならないのである。

その意味からも、既に自民党を追い出された平沼赳夫一派からのラブコールに色よい反応を示す小沢一郎や鳩山由紀夫には強い疑問を感じる。むしろ彼らのやるべきことは、自民党内でコイズミ?安倍政権の延長線上にある路線を快く思わない人たちを引き抜くことなのではないか。

かつてそれを得意としたのは自民党で、1994年には加藤紘一、野中広務、亀井静香らが社会党の村山富市を口説いて、自社さ連立政権を発足させた。これには菅直人も噛んでいる。また、1996年の総選挙後には、加藤紘一と野中広務が新進党議員を「一本釣り」して寝返らせたこともあった。

一方、小沢一郎は、1993年に自民党、2000年に自由党をそれぞれ割って出たことに象徴されるように、「壊し屋」の行動パターンを持っている。

今、もし民主党の主導権を小沢一郎ではなく菅直人が握っていれば、自民党に手を突っ込んで分裂を誘発し、福田政権を早期の解散総選挙に追い込むことができたかもしれないと思う。しかし、大連立騒動の時に、菅直人は腰が引けてしまった。1998年の参院選において民主党が勝ったあともそうだったが、菅直人はいつも肝心なところで腰が引けるという悪癖を持っている。このままでは菅直人の総理大臣就任は無理かもしれないと私は思っている。自民党では加藤紘一に似たようなところがあり、2000年の「加藤の乱」の失敗が翌年のコイズミ政権成立を呼び、日本の焦土化を招いてしまったのは日本の政治史上の一大痛恨事だった。

「自社さ」から「加藤の乱」の頃まで緊密だったといわれる菅直人と加藤紘一の連携の目があれば、少しはましな政権ができるのではないかと今でも思うのだが、どうやらそんな方向には行きそうもない。安倍晋三ネオコン・ネオリベ内閣の悪政を総括するどころか、「真の保守」などと称する安倍に近い連中が集まったグループにまで色目を使う民主党執行部に対して、日に日に不信感が強まっていく。

なお、当ブログは平沼赳夫一派をしつこくしつこく批判し続けているが、現実問題としては、平沼新党の政権参加どころか、新党の結成さえおぼつかないと思う。平沼が新党を旗揚げしようとしても、ついていくのは郵政造反組以外には自民党・民主党の一部の極右政治家だけになると思われる。片山さつきは、あの人(平沼)は極右だから誰がついていくのだろうか、と言っているようだが、平沼一派は政界再編成の際に影響力を持つ勢力になど、間違ってもならないだろう。

ただ彼らは、コイズミ一派の従米を批判しつつ、加藤紘一らを「親中・親韓・親北朝鮮」だとして批判している。それでは、日本は国際的に孤立しろというのか。彼らの主張を推し進めると、日本は核武装を含めた軍事大国路線を目指さなければならないことになるはずだ。軍備増強には巨額の金がかかり、国民生活を圧迫する。それこそ、「国民の生活が第一」とは真っ向から対立するのだ。

当ブログは、「反ネオリベ」のためにリベラル・左派が極右と連携すべき局面はとっくに過ぎ去ったと考えている。より良い国民生活を目指すためには、反ネオリベ政権は極右勢力など取り込んではならない。


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「自民党内でコイズミ-安倍政権の延長線上にある路線を快く思わない人たち」
それは、外交・対中姿勢に関して小泉路線を快く思っていなかっただけです。その点小泉路線に比べれば、安倍路線は特に公明党あたりから好意的に評価されていましたし経済界も歓迎しました(安倍自身は不承不承でしたが)。さらに安倍路線に比べると、福田路線がベター、麻生はNG。
しかし国民生活・負担増の撤回に関して言うなら、小泉・安倍・福田と一貫してきた路線を快く思わない人たちは、自民党内にはいませんし、民主にもいません。
後期高齢者医療制度だって、民主は自分たちが出した廃止法案の審議をボイコットしてますし。昨年の定率減税廃止にしても、民主ははっきりと「復活させよ」とは言ってませんし。
「民意は、新自由主義を否定したといえる。」
民主党全体の基本政策も新自由主義です。民主は新自由主義を撤回していない。
だから、「民主の勝利」=「民意は新自由主義を否定した」、ではない。
「民主党は必ずしもそういう動きをしていない。」
そうです、撤回していないのですから。「国民生活・負担増の撤回という立場から、自民から民主に鞍替えする造反者が出てくる、上手くやれば」という期待は、非現実的な幻想です。
「自社さ連立政権」「一本釣り」
そうやって「釣る」には「餌」が必要ですが、「国民生活・負担増の撤回」というのは餌になりえない、民主がそんな餌を垂らすことも自民の一部がそんな餌に食いつくこともありえない。
http://www.dpj.or.jp/governance/gov/next_cabinet.html
「当選できるように協力するから」とか「閣僚ポスト分けるから」とかなら餌になりますが。
「軍備増強には巨額の金がかかり、国民生活を圧迫する。」
先月成立した宇宙基本法は、「我が国の安全保障に資する」と称して軍事目的の宇宙開発に道を開き軍需産業から歓迎されたものですが、民主も賛成しました。
まあそもそも民主は「軍事費増やすな」とか「軍事費削れ」とかは全然言ってもいませんが。

2008.06.19 18:24 URL | Black Joker #- [ 編集 ]

その意見には反対はしません。
しかしネオリベと極右が同床異夢の蜜月関係を築いた中曽根政権~小泉政権の悪夢を再現させてはいけません。
 リベラル派はもっと強かになって、ネオリベと極右を分断する工作を怠ってはなりません。分断工作として友達のフリをする作成はありだと思いますけどね。

2008.06.25 02:00 URL | kechack #1/Y8RI0s [ 編集 ]













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