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きまぐれな日々

昨日から6月に入ったが、このところブログを週休三日にしているため、これが6月最初のエントリになる。

三度目か四度目かわからない再燃をした「遅れてきた水伝」騒動は、そもそもの最初から擬似科学批判が論点になってはいなかったのだが、最近の論戦では、誰もその証拠を示し得ていない「謝罪要求」をめぐる行き違いや、議論の仕方についての意見の相違、さらにはブログでの意見発信を「私闘」とした意見をめぐる論争など、メタな議論になってきた。

これは私がずっと昔に目にしたことのある論争(参加はしなかった)とよく似ていて、その時の経験からいうと、この段階にくると意見は出尽くしており、あとは最終的な合意に至らないまま、各グループがそれぞれの結論を得て、議論は下火になっていくはずだ。

徒労感が残るが、一度はこういう段階を経なければならなかったのだと思う。ひとことだけ最後っ屁をかますと、「共感」の強要はポピュリズムと強い親和性があり、それは最終的にはファシズムに向かう危険性を持っているという私の以前からの持論への確信は、ますます強まった。

そうこうしているうちに、このところ日曜日の政治番組では田原総一朗が自民党の「カイカク派」のプロパガンダに余念がない。「サンプロ」では先週は渡辺喜美、今週は中川秀直の宣伝をやっていた。

かねてからコイズミの応援団長を務めている田原は、「ポスト福田」にコイズミ?竹中のカイカク路線を持ってきたくて仕方がないようだ。自民党の与謝野・谷垣らの「増税派」と中川らの「上げ潮派」は、対立しているように見えるが、新自由主義陣営内の路線闘争に過ぎない。私はどちらにも反対だ。昨年11月25日のエントリに書いたように、現実の統計値が「上げ潮路線」の破綻を示している。それなのに、田原は中川秀直をテレビでしゃべらせ続け、田原がそれに相槌を打つことによって中川の宣伝をしている。

この「サンプロ」や同じテレビ朝日の「報道ステーション」によく登場するのが、朝日新聞編集委員の星浩なのだが、テレビで見る限り彼も「カイカク」に理解を示す人物に見える。そうでなくて社会保障を重視する言い方をすることもあって、主張の全貌がはっきりしないのだが、少なくともコイズミ以来の「カイカク」の流れを強く押しとどめようとする人物には見えない。

ところで、同じ昨日のテレビを見ていると、岸井成格が、公務員制度改革法案が衆院を通過したことによって、このところ支持率の低下が言われることの多い福田政権が危機を脱したという見方を示していた。どうせ永田町の政治力学によるものなのだろうが、正直言って当ブログは福田内閣に対するスタンスは、必ずしもアンチで固まっているわけではない。

支持か不支持かというと、もちろん強く不支持なのだが、前任者の安倍晋三だとか、「次」を狙っている麻生太郎なんかに比べたら、福田康夫ははるかにましだ。

たとえば、クラスター爆弾の禁止・全廃を目指しダブリンで開かれていた軍縮交渉「オスロ・プロセス」の会議で、即時全面禁止条約案が全会一致で採択されたが、これまで全面禁止に難色を示してきた日本は、福田首相の政治判断で条約案への同意を決めたと報じられている。

これが安倍晋三や麻生太郎だったらどうだったか。思い出されるのは、安倍が閣僚に勇ましいタカ派発言をさせるに任せていたことだ。現在の内閣支持率では、福田首相は解散総選挙などをすぐにするはずがないし、麻生が福田に代わって首相になったら、支持率は現内閣より確実に上がるだろう。そうなるのがわかっているから、福田内閣を倒せ、オー!などと雄叫びをあげる気にはあまりならない。

それよりも、平沼赳夫あたりの動きが気になるのだ。リベラル・左派系とされるブログの中には、郵政民営化法案に反対して自民党を追われ、選挙にも落選した城内実を推すところが多いが、城内は平沼新党が結成されたら、いの一番に参加することは間違いない。果たして「民主・平沼連立政権」で良いのか。それは本当に国民生活を良くしてくれるのか。現自公政権の新自由主義施策の転換にはたいして手がつかず、平沼の主張が以前の小沢一郎が持っていたタカ派傾向を再び刺激して、外交・防衛政策で右寄りに舵を切るだけではないのか。この疑念はどうしても拭えない。

安倍政権のようにエキセントリックで突っ込みどころ満載の政権なら、それを攻撃するブログ記事も書きやすかった。だが、現在はそういう状況ではない。マスコミの誘導から距離を置いて考えた上で書いていく必要がある。だが、正直なところ「水伝」騒動にかまけていたこともあって、考察が十分できていない。だから、今月も先月に続いて休みをはさみながら試行錯誤しつつのブログ更新になっていくと思う。


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kojitaken様

>自民党の与謝野・谷垣らの「増税派」
>と中川らの「上げ潮派」は、対立して
>いるように見えるが、新自由主義陣営内
>の路線闘争に過ぎない。

行政機構の構造改革も十分に済んだからもうやらないで増税して財政再建しようという官僚の後押しを受けている政治家と、行政機構の改革は、道路特定財源の無駄遣いで分かるとおりまったく終わってないからそれをまずやってからだという路線であり、行政機構(官僚機構)という一つの巨大な権力を、国民に選ばれた立法府の1人としてどうするかという大きな問題で、鋭く対立していると私は思います。
ただ、自民党という組織を守りたいだけの人たちなので、同じ穴の狢として両者はトコトンまではやりあわないという意味では同感です。小泉時代のカイカク派と抵抗勢力の茶番劇で選挙民を惹きつけたいだけだと思います^^。

>昨年11月25日のエントリに書いた
>ように、現実の統計値が
>「上げ潮路線」の破綻を示している。

そもそも、なぜ「構造改革が必要」ということになったかといいますと、イギリスやアメリカが公的部門の非常に悪い生産性がある限り、国全体の生産性はあがらないということで、公的部門の不要な部分の廃止や民間への売却をおこないました。それによって、両国は現在、1人あたりGDPでそれぞれ7位と11位を保ち、92年以降18位まで急落していった中で豊かさを保っております。勿論、自由主義の弊害もありましたが、80年代はもはや没落するだろうという両国が、このような地位を保っているのは一定の成果だと認めざる得ないと思います(日本人としては、あまり面白いことではないですが)。

一方、日本の場合は、本来イギリスやアメリカがおこなった公的部門の構造改革(官僚機構の構造改革)をすべきところ、抵抗が激しいのでインチキ構造改革で、民間部門にだけ競争原理を導入し、かつ財務省の意向を受けて社会保障費を削るというおそろしいことを2001年以降やっております。ので、日本では本来の意味での新自由主義政策(公的部門の民営化と併せての市場原理の導入による国全体の生産性の向上)は行なわれておりません。小泉氏や竹中氏が族議員や官僚機構に妥協したことを誤魔化しているだけです^^。
ちなみに、生産性は「OECDによると日本は30カ国中19位となっている。常に上位を維持していたバブル以前とは隔世の感がある。日本の製造業生産性の順位が3位と依然として上位にあることが救いなのだが、このギャップは日本の生産性低下の原因が、日本の非製造業にあることを示している。非製造業もその裾野は広いが、日本の場合は公的部門に大きな原因がある。天下りによる官民癒着が官製談合を生み、政官の無駄は言うに及ばず、民間の生産性の足をも引っぱっているからである。」という銀行系シンクタンクの分析のとおりかと思います。
公的部門の生産性の向上というと難しく聞こえますが、防衛省や国交省で明らかなになったような、自分達の天下り先への「随意契約」をやめて、すべての企業が自由に参加できる「一般競争入札」にすれば良いだけです。
それには、しがらみがある自民党が長期一党支配の座からおり、野党が政権の座に付けば良いだけの話です。自民党は盛んに民主党がとっても、小沢などは旧経世会だから同じだと一生懸命プロパガンダを流しておりますが、そんな訳ありません。そんなことしたら、細川非自民政権でそうだったように、特別会計予算170兆円の詳細を把握している野党となった自民党が凄まじい攻撃をするでしょうから不可能です^^。野党に落ちた自民党が、自分達と同じことをしようとする連中を黙ってみている訳がありません。
政権交代とはこのように制度として政権と官僚の癒着を減らすことができるようになっている性悪説に基づいた政治制度なのです。長期一党支配しか経験したことがない日本人なので、なかなか最初は私も2大政党による政権交代の利点を理解できませんでした^^;。
Kojitakenさんのおっしゃるとおり、少数政党でも良いのですが、とにかくある程度の期間に一度政権交代がおこなわれることが、国民にとって一番有益だと思います。でないと、政治家は55年体制の自民党と社会党のように馴れ合いをし続けると思います。


>それなのに、田原は中川秀直をテレビでしゃべらせ続け、
>田原がそれに相槌を打つことによって中川の宣伝をしている。

先月は、与謝野氏を多用していたので、それとのバランスだと思います。ただ、政権与党の政治家のみに、単独で主張する時間を与えている点は、政治的に中立とは言えないですね。まあ、現在のテレビ朝日の広瀬社長は、元清和会付きの番記者出身なのでしょうがないといえばしょうがないですね^^;。

>朝日新聞編集委員の星浩なのだが、テレビで見る限り彼も「カイカク」
>に理解を示す人物に見える。
>そうでなくて社会保障を重視する言い方をすることもあって、
>主張の全貌がはっきりしないのだが、少なくともコイズミ以来の「カイカク」
>の流れを強く押しとどめようとする人物には見えない。

小泉氏が進めていたインチクカイカク(財務省主導の超緊縮財政によって財政再建することのみを目的とする政策、公共事業の一律削除、社会保障の国庫負担の一律削除をおこなう一方で、本来の意味での官僚機構の構造改革には手を付けず、あまり本筋ではない規制緩和や官僚機構の民営化をおこなうナンチャッテカイカク^^)ではなく、国民の安心のために必要な社会保障は維持して、きちんと本来国民が望んでいる官僚機構の構造改革(本丸である官僚のサイフと化し、族議員の利権と化している特別会計予算170兆円の改革)をやってくれというスタンスだと思います。

2008.06.02 16:25 URL | しっくい #TY.N/4k. [ 編集 ]

>支持か不支持かというと、もちろん強く不支持なのだが、前任者の安倍晋三だとか、「次」を狙っている麻生太郎なんかに比べたら、福田康夫ははるかにましだ。

 わたしもそう思います。それに衆参のねじれ、年金問題、暫定税率等の問題は小泉、安倍両総理が国民を無視してネオコンにおもねる政治をしてきたためここまでこじれたのは無視できません。第一福田内閣自体参院選で国民から見限られ、居直ったと思いきや政権を投げ出した安倍前総理やその共犯、麻生太郎の不始末による混乱を収めるための存在です。よって福田内閣を罵倒しつつ安倍麻生を支持する右派は物事の道理を全く理解していないといえるでしょう。

2008.06.02 23:14 URL | 邪神の使者 #LlwsPlqM [ 編集 ]

まだ小泉、竹中が「改革」をしたという幻想をマスコミは振りまいているようだ。実際はデフレ下で必要も無い不良債権処理を強行したことにより、自分で不良債権を増やして、それをせっせと処理していた。その結果、企業をつぶしすぎたので税収が激減し、その穴埋めのための増税という話になっている。

2008.07.13 11:59 URL | #- [ 編集 ]













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全仏予想と石田衣良
優勝者を予想してみる。 男子はまずナダルだろうなあ。負ける感じがしない。 2番手

2008.06.02 23:38 | くろつやむしの休日