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きまぐれな日々

3日のエントリとも関連するが、今年のゴールデンウィークで目立ったのは「日本国憲法の復権」だった。

このところ、憲法記念日というと読売新聞が「新憲法試案」をぶち上げたりして、一昨年くらいまでは世論調査でも年々改憲を是とする意見が増えていたのだが、今年は三大紙を比較しても、朝日、毎日が社説を一本に絞って憲法を論じていたのに対し、読売は通常と同じ二本立てで、「憲法記念日 論議を休止してはならない」というタイトルの気の抜けたような社説を掲載した。そこには、例年のような憲法改定に向けたナベツネの執念が感じられず、拍子抜けした。

朝日は憲法9条改定反対が66%にのぼったという自社の世論調査を紹介し、毎日は名古屋高裁がイラク戦争での航空自衛隊の活動を違憲とした判決を強調した。その上で、両紙とも憲法第25条に規定された生存権の問題および憲法第21条に規定された表現の自由の問題を論じた。毎日新聞は、特別編集委員を務めている岸井成格が論説委員長在任時に、社論を「護憲」から「論憲」へと転換したそうだが、今年の社説は「論憲」というより「護憲」の印象が強い。これは、議論の分かれる9条よりも、議論の余地のほとんどない21条や25条に力点を置いた社説だからだろう。朝日も同じ論法を用いていて、
 むろん、政界再編などを通じて、9条改憲が再浮上する可能性は否定できない。ただ、今の世の中の流れをみる限りでは、一本調子の改憲論、とりわけ自衛隊を軍にすべきだといった主張が訴求力を失うのはあたり前なのかもしれない。
という表現で、9条改定反対論としては、どことなく歯切れが悪い。

とはいえ、朝日・毎日両紙の社説は基本的にはよく書けていて、日本国憲法の復権を印象づけるものだ。さらに特筆すべきは、映画 『靖国』 が憲法記念日の3日から一般に公開されたことで、稲田朋美や有村治子らによる「表現の自由」への容喙(ようかい)によって公開が遅れたものの、彼らの妄動がかえって映画を宣伝する効果を生み、映画館は連日満席が続いている。この映画には、他ならぬ稲田朋美の映像も出てくるそうだ。

4日から6日まで、幕張メッセで「9条世界会議」も開催された。こちらも盛況だったようだ。

だが、ちょっと気になることもあった。「9条世界会議」に「9・11陰謀論」で知られるきくちゆみ氏が映画の上映とトークをやったという情報だ。
http://d.hatena.ne.jp/good2nd/20080504/1209918455

さすがにこの「映画とトーク」では「9・11陰謀論」はやらなかったと思うが、「9・11陰謀論」を唱える人の困ったところは、その思い込みの強さだ。よく陰謀論を批判すると、「世間にはあまたの陰謀があるし、特に政治の世界に陰謀はつきものだ。陰謀論批判は、権力の陰謀を疑う態度に「陰謀論」というレッテルを貼ることによって思考を停止することだ」という反論を受ける。だが、「9・11陰謀論者」の言説は、権力(米政府)の陰謀を「疑う」という「科学的な」ものなどではなく、「9・11テロは米政府による自作自演である」と決めつけ、懐疑論者や反対論者に対して、「そんなに躍起になって陰謀説を否定するのは、明るみに出たら困ることがあるからではないか」などと言うことを特徴とする、独善的かつ被害妄想に満ちた頑ななものだ。「水からの伝言」騒動でも、陰謀論者たちは、「水伝」批判派は「9.11陰謀論」批判派と顔ぶれが重なる、と主張し、あげくの果てに「9.11の真相が明るみに出たら困ることがあるのではないか」という彼らの決まり文句が出てきたのには、心底うんざりさせられた。

上記リンク先のgood2ndさんの記事が指摘するように、護憲運動に「9.11陰謀論」が絡みついてくることは、護憲運動の普遍性を損ね、主張が幅広く受け入れられるのを阻むマイナスの効果しか持たないと私も思う。「9条ネット」の天木直人氏も昨年、「9.11陰謀論者」にして悪名高いレイシストであるリチャード・コシミズなる人物と講演会で親しく話したと知って、愕然としたものだ。

朝日新聞の世論調査で、「9条改定」に反対する意見が66%に達したことからもわかるように、憲法9条自体には十分すぎるほどの普遍性がある。しかし、それを世界に向けて発信しようとする催しに、普遍性をはなはだしく損ねるものが混入していては、せっかく盛り上がり始めた「日本国憲法の復権」に水を差さないか。それを懸念する。


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久々のコメントです。

米国やヨーロッパの政府が徹底的に腐敗していて、日本・中国・アフリカ諸国と同様に、民主主義が実は機能してないのでは?、という疑いが「陰謀論」ですね。

改憲も護憲も米国政府に操作されていたとしても不思議ではないのです。

改憲運動 → 日本を米国政府の傭兵とする。
護憲運動 → 日本を米国の属国のままとする。

どっちに転んでも米国政府の利益になるように両方に工作をかけている。

改憲だろうと護憲だろうと、米国政府の不正を強く疑う運動は米国政府にとって困るわけです。
少々の不正の疑いはともかく、「米国は民主主義が機能してない」という疑いは排除したがるでしょう。

2008.05.07 07:59 URL | ねこ #mQop/nM. [ 編集 ]

 よくわかりませんね。
 911陰謀論者が加わると、どうして護憲運動の普遍性が損なわれるのでしょうか?
米国はイラク戦争参戦だけでも、随分胡散臭い行動をし、公然と既成事実化してしまったではありませんか。
 他に、第一次大戦参戦、対日参戦、ベトナム参戦、はたまたケネディ暗殺でも、様々な陰謀論が語られています。全て正しいかどうか我々に断定する術はありませんが、利害関係の合理性からすれば、陰謀があっても決しておかしくはない。歴史教科書に定着された、「公式」の見解を疑うのも、民主主義の健全性だと思いますが。
 勿論、だれもが911の陰謀を信じろ、などとは申しませんが、そういった勢力も吸収して平和運動を高めるべきでは?
 反軍国主義、反既得権、反新自由主義という時、やはり様々な個性を集められる懐の大きさが必要です。田中真紀子とか、田中康夫とか、天木直人とか、様々なアクは強いが、個性と魅力のある人を結集させなければ、とても自民党に勝てないでしょう。その点、従来の社会党、共産党系勢力の不足しているところだと思います。

2008.05.07 10:58 URL | cube #- [ 編集 ]

kojitakenさん、トラックバックがうまくいかないみたいなので、URLをはりつけておきます。記事中に本エントリーへのリンクを貼らせていただきました。

「連休中にあった在日米軍に関する動き」(なごなぐ雑記0507)
http://miyagi.no-blog.jp/nago/2008/05/post_adf2.html

2008.05.07 17:19 URL | nagonagu #hiiZJbic [ 編集 ]

『読売』は3日の解説面もひどい。
改憲の邪魔だからと「参議院が強すぎる」とか、
その論拠を「憲法学者の間で指摘」と学者をダシにする姑息さ。
そういった「我田引水」のゴリ押しが改憲派減少の原因とは思っていないんでしょう。

2008.05.07 19:12 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

陰謀論の胡散臭さはたしかにあるだろう
しかし911に関しては、アメリカ政府の発表に疑問がある点について、確かな証拠を持って論証している。この点では聴く耳をもつべきだ

一方、ロスチャイルドやロックフェラーの陰謀に結びつけたり、ヒットラーやスターリンまで裏で影の権力と結びついていたとか「在日朝鮮半島人」が日本の政治を操っている等々、リチャードコシミズ氏の議論は確かに眉唾な面も混在する

しかし現実問題として、意外に同氏やベンジャミンフルフォード氏のファンは多くその影響力は無視できない
そのファン層は若い人が殆どだ。内部の議論を聞いていると知識・表現力とも稚拙だ
だけどこの人たちがいわゆるワーキングプアであり今まで政治に無関心だった連中だ。無党派層とは正にこの人たちだ

従来リベラル派や野党勢力はこの層を引き付けることが出来なかった
リチャードコシミズ氏は次期衆院選で公明党と清和会有力候補者を落選させる具体的運動をおこしている
陰謀論をからめたユニークな運動にいわゆるB層(無党派層)が群がる心理は分かるような気がする
同氏はこのことを計算ずくで過激な言動をしているのではないか?

2008.05.07 22:34 URL | 良太 #jqQVO4wI [ 編集 ]

リチャードコシミズ(輿水正)氏のファンであり、後援会・掲示板の常連でもある私には痛い話です。
在日朝鮮半島人が日本の政治を操っているという件ですが、統一教会・国際勝共連合が自民党のパトロンであることを考えると頷けます。
文鮮明、笹川良一、児玉誉士夫、岸信介の関係を考える必要があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%8B%9D%E5%85%B1%E9%80%A3%E5%90%88

2008.05.08 09:02 URL | ゴルゴ十三 #DTxGwd9Y [ 編集 ]

はじめまして。
森巣博さんの記事検索からこのホームページに辿り着きました。ここでの記事は殆どが私と考え方が同じで、いろいろその通りだなあと思って読んでましたが、陰謀論批判に至ってちょっと??と思ったので敢えてコメント致します。ここでは911陰謀論のみに絞ります。

911の陰謀論は、「陰謀」という言葉では表せないほど、政府に対する「状況証拠」が揃いすぎています。(だからといって「有罪」とは言えませんが。)

例えば、

・力学的にWTC1,2ビル崩壊が政府見解だと説明がつかないこと(たくさんの工学系大学教授が「ありえない」というコメントをしています。)

・火災の熱だけでの崩壊は説明に無理があること(崩壊直前まで何人もの人がビル内部より手を振って助けを求めている。火災による高温が崩壊の原因なら考えにくい)

・今まで火災により同じタイプのビルが崩壊した前例がないこと(構造的に火災を起こす温度には達しない。マドリードで2005年に起こった火災などが参考になる。)

・何人もの現場に入った消防士が「爆弾の爆発音」を報告していること

・911の前週に、説明のない抜き打ちのビルの「内部検査」が行われ、ビルから全員が外に出されたこと

・その調査はブッシュの兄弟が経営する(株主だったかも)会社によって行われたこと

・その後、なぜか「爆発物探知犬」がビルからいなくなっていること


・WTC7の崩壊が、実際に崩壊するより前にBBCでニュース報道されていること(後ろにWTC7が映っている画面でアナウンサーがビルが崩壊しました、と言っている)。

・何人かの政治家や「重要人物」が911前にニューヨークへの飛行をしないように警告されたと告白していること

・あのように確実にビルに飛行機をぶつけるには相当の飛行技術を必要とすること(少なくとも飛行機操縦学校でもロクに操縦できなかったとされる容疑者には無理であろうとされる。

・何人もの「テロリスト容疑者」とされている人物が世界各国で生きて見つかっていること。

・WTCにぶつかった飛行機の近距離撮影されたものが、実際にぶつかったとされる飛行機と形が違うと何人もの専門家が指摘している

・山中に墜落した飛行機の乗客との「携帯電話」での家族との通話が記録されているが、その当時は飛行機からの携帯電話での通話は事実上不可能だったこと(多くの実験が行われている。さらに、次の年だか、事件後しばらくして携帯電話が機内からでも通じるようにシステムが改善されている


・ブッシュ・ラムズフェルドなどのネオコングループが政権を取る数年前に作成した国際政治の現状分析報告書には「アメリカ国内を再びまとめるには第二のパールハーバーが必要」と実際に記載されていること

その他は

・旧ソビエトのアフガン周りの国々にはアメリカ国軍が911以前より、アフガン攻撃を前提とした準備を行っていたこと

・CIAとビンラディンの関連、ブッシュ家とラディン家のビジネスパートナーシップ

・アフガンの麻薬取引における重要性(CIAが麻薬をアメリカ国内で操作<捜査ではない>しているのは有名な話)

・フランスの新聞「フィガロ」によると、ビンラディンはサウジで911前に腎臓(だったと思う)の手術を受けています。クリントン時代からビンラディンがテロ容疑者として最高の逮捕優先度があったことを考えると、なぜサウジでの手術が可能なのか?



その他、ものすごくたくさんのアメリカ政府の関連を示す「状況証拠」があります。

ソースは今記事を見てコメント欄に書き込んでいるのですぐには用意できませんが、すべてソースがあります。英語がわかる方はGoogle Video などで911関連のビデオを見られるとよいでしょう。

これを簡単にロスチャイルド・ロックフェラーその他と単純に結びつけることはどうかとも思いますが、ネオコンと戦争関連事業、そこと財閥銀行との絡み、ブッシュ家(現ブッシュの祖父とナチスの関連)、アメリカの「秘密社会」の所属政治家などをじっくり調べられると、まったく突拍子のない話でもないことがわかると思います。









2008.07.10 22:47 URL | てる #- [ 編集 ]

第一に私たちの直感、そして第二に証拠、そして第三に政府の人々の対応が真実を隠そうとしている今の状況、第四に周辺的な知識(陰謀もふくめ)が指し示しているのは、嘘だということです。
私たちは真実が知りたい、陰謀であろうとなかろうと。
真実を多くの人が知るということだけが唯一平和を実現する現実の方法だと思います。理論ではなく真実が大事です。

2009.01.24 00:08 URL | たかきたか #fDznMB2w [ 編集 ]

このコメントは管理者の承認待ちです

2011.04.15 14:51  | # [ 編集 ]













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「陰謀論」と平和運動、レイシズム
2007.9.27.20:30ころ (2008.1.12.15:10ころ。『ボー

2008.05.14 13:06 | 多文化・多民族・多国籍社会で「人として」