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きまぐれな日々

4月12日公開予定の映画「靖国 YASUKUNI」が、当日からの上映を予定していた5つの映画館すべてによって上映を中止されたニュースが報じられて以来、当ブログへのアクセス数が急増した。その多くが検索語「稲田朋美」による検索エンジン経由のアクセスである。

この映画に関しては、衆議院議員・稲田朋美および「伝統と創造の会」が、公開前に試写会の開催を文化庁に要求したことが報道され、このニュースがTBSテレビの「NEWS23」で報道されると同時に当ブログへのアクセスが殺到したことは3月14日付の記事に書いた。この稲田らの動きと、今回の映画館の上映自粛との因果関係は明らかだ。

トラックバックいただいた 「反戦塾」 の記事で知ったのだが、昨日(4月2日)の日経を除く全国紙4紙と東京新聞(中日新聞)のすべてが今回の上映中止の件を取り上げた。3月30日付エントリで書いたように、稲田が原告団弁護士を務めた「沖縄ノート」判決の時にもこの5紙が揃い踏みしたが、朝日・毎日・東京と読売・産経で主張が分かれた「沖縄ノート」判決の時と違って、今回は表向きは5紙ともに「表現の自由」を擁護する社説を掲載していた。

しかし、よくよく中身を見ると、読売は、
公的助成が妥当か否かの問題と、映画の上映とは、全く別問題である。

(中略)

稲田議員も、「私たちの行動が表現の自由に対する制限でないことを明らかにするためにも、上映を中止していただきたくない」としている。
などと書いて、妙に稲田をかばっているような表現になっている。

産経にいたっては、
「伝統と創造の会」が試写会を要求したのは、あくまで助成金の適否を検討するためで、税金の使い道を監視しなければならない国会議員として当然の行為である。

(中略)

 試写会に参加した議連関係者によると、この映画の最後の部分で“旧日本軍の蛮行”として中国側が反日宣伝に使っている信憑(しんぴょう)性に乏しい写真などが使われ、政治的中立性が疑われるという。

 不確かな写真を使った記録映画に、国民の税金が使われているとすれば問題である。文化庁には、助成金支出の適否について再検証を求めたい。
などと、「論議あるからこそ見たい」というタイトルからいつの間にかかけ離れた文章で結ばれている。衣の下から鎧が見える、ひどい社説である。

読売は、稲田をかばう一方で、
かつて、ジャーナリストの櫻井よしこさんの講演が、「慰安婦」についての発言を問題視する団体の要求で中止になった。

こうした言論や表現の自由への封殺を繰り返してはならない。
と書き、右翼言論に反対する側による言論封殺を槍玉に挙げている。売り言葉に買い言葉、という言葉を思い出させる。

たとえ右翼の言論だろうが、言論の自由は保障されるべきだ。それは当然のことだ。だが、読売が櫻井よしこの講演中止の件を持ち出す時、それは稲田らの行為と映画の上映中止の因果関係という、絶対に目をそらせてはならない論点をすり替えてしまう効果がある。これは、右派の言論だろうが左派の言論だろうが、決してやってはならない論法だ。こういう文章を書く態度を、「知的不誠実」という。

今回、問題にされなければならないことは2つあって、1つは今書いた稲田朋美および「伝統と創造の会」の試写会上映要求が右翼を焚き付けた因果関係で、もう1つは右翼を恐れて上映をやめてしまった映画館の姿勢である。後者は、20年前に昭和天皇の病状が悪化した時の「自粛」を思い出させるものだ。

当時のそんな雰囲気の中で、「天皇に戦争責任はあると思う」と発言した本島等元市長のことは、2006年11月25日のエントリで取り上げた。この記事は、当時反響が大きくて、数々のコメントをいただき、何度かコメント特集を組んだほどだ。その本島元市長は、2年後テロの凶弾に狙われて重傷を負った。そして、後任の伊藤一長前市長も昨年の市長選のさなか、射殺された。この銃撃は、私怨によるものなどとされているが、犯人が、稲田も所属している日本会議の関係者と親しかったことが指摘され、犯人が所属した暴力団とさる大物極右政治家の非公然後援会との関係も取り沙汰された。当ブログは、伊藤前市長の射殺事件もまた、言論の自由に対する許されざる挑戦であり、この時犯人の行為への強い憤りの声を発することのできなかった前首相・安倍晋三は、政治家失格であると考えている。

読売・産経以外の3紙の主張は、どれも妥当な内容であるが、稲田朋美の固有名詞を挙げたのは朝日新聞だけだ。その朝日の社説は、
稲田氏は「私たちの行動が表現の自由に対する制限でないことを明らかにするためにも、上映を中止していただきたくない」との談話を出した。それが本気ならば、上映を広く呼びかけて支えるなど具体的な行動を起こしたらどうか。
と書いている。当然の主張だろう。

稲田らがこの映画の上映を働きかける行動を起こさない限り、実質的に稲田らが上映中止に追い込んだものだという非難から逃れることはできない。朝日新聞の社説も、私などから見るとまだまだ手ぬるいが、少なくともこの朝日の指摘に対し、稲田らは答える必要があると思う。このまま稲田らが動かなければ、稲田らによる「試写会要求」が映画上映中止を招いた、と言われても仕方がない。

また、稲田らとともに批判したいのは映画館側の対応であって、右翼の街宣車に恐れをなして上演を止めた映画館も情けないが、他の映画館が上映を取り止めたからといって「それならウチも」とばかり簡単に右にならえをした付和雷同の映画館関係者はもっと情けない。こういう「事なかれ主義」がファシズムを呼び込む。以前私も、安倍晋三を排斥する「AbEnd」キャンペーンをやっていた頃、キャンペーンにかかわっていた仲間のはずの人たちの間にまでこの「事なかれ主義」がはびこっていたのに愕然としたことがある。

平和と自由を愛する人間には、断固として声をあげなければならない時がある。今がその時だ。


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 こんにちは。
 日経は、今日の朝刊の「春秋」(朝日で言えば「天声人語」の欄)で、この問題を取り上げ、議員側に批判的立場で短く書いてましたね。
 まぁ、ゴミ売りと3K新聞の汚さは承知の上ですから、日経までもが政治家(稲田朋美)批判を書いたのは大きいです。
 かえって、「靖国」の宣伝をした結果になったようで、京都では8月に上映が行われるそうですし、一度は上映中止した大阪の映画館も上映に踏み切るという情報も入ってます。
 こうなると、警察も動かざるを得ず、右翼は墓穴を掘ったというべきでしょうか。
 私も見ていないから知らないけれど、内容もわからずに騒ぐだけ騒ぐとは日本の痴性を象徴する動きになりましたね。

2008.04.03 14:03 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

映画館にも上映しない自由はあります。

反日映画に公金だすのはやっぱり問題だ。納税者として絶対納得できない。

あと稲田議員は公金援助が妥当かどうか判断するのに試写会を要求したのであって、そのことをもって中止につながったことにコジツケるのは無理がある。

自国が「悪」のように描かれている映画等を規制の対象にするのもやむをえない。今までが野放しすぎた。だから卒業式に国歌斉唱に1人しか起立しなかったということも起きる。日本も「愛国法」を制定して非国民や反日映画にもっともっと厳罰を下す時期にきた。

2008.04.03 14:16 URL | エベレスト #- [ 編集 ]

「上映しろ」と迫られて「嫌です」と拒否する自由と、上映を決めていたのに「上映するな」と脅されて中止するのを区別できない人は、きっと強盗や総会屋に金を出す自由も尊重擁護するんでしょうね。
自国を悪のように描く映画は規制して厳罰にするのが当然? この映画がそんなことしているのかどうか、あんた観もしないで、台本とかまともな資料もなくよく言えますな。
仮に、本当に「自国が悪のように描かれている」としても、上映させないのが当然だなんて、中華人民共和国でさえ今時そこまで言わない(民族や職業への偏見を煽るおそれ、などが表向きの検閲理由)ことよく平気で公言できますな。いや中国でも、自国の問題点に光を当てる(例えば汚職や公害と戦う)行動は愛国者として讃えられるはず(だから、もし不当逮捕されても抵抗を続ける拠り所になる)だから、そんなこと公言するやつは中国共産党にも劣るってことになる。
日本国の愛国者なら、他所の国の悪い点見習っちゃいけません。

2008.04.03 15:09 URL | 脅迫に従うのは自由と言わない #mQop/nM. [ 編集 ]

>上映を決めていたのに「上映するな」と脅されて中止するのを区別できない人は

脅迫されていたのかなあ~?どうも日本のマスコミ報道はサヨク的体質が強いから信用できないけど。本当にそうなら警察に通報すればよいだけの話だ。興行的に合わないからという理由もあったのでは?

>自国を悪のように描く映画は規制して厳罰にするのが当然?

なにしろ日本軍の残酷シーンのインチキ写真満載だからね。ましてシナ人が監督やってんだろ、反日に決まっているじゃないか。見る間でもないよ。

>中華人民共和国でさえ今時そこまで言わない

ずいぶん考えがお目出度いね。あの国に吐き気を催す愛国反日教育はどうなの?自国が侮辱されたと感じたシナ人が悪気もない西安の日本人留学生がつるし上げくらったの忘れた?

>自国の問題点に光を当てる(例えば汚職や公害と戦う)行動は愛国者として讃えられるはず

はずね~。妄想か。いいですか、あの国で問題点に光なんか当てられないの。強権独裁政治やってるから。どんなに不条理でも日本を攻撃、貶めることが愛国者として讃えられる。

>日本国の愛国者なら、他所の国の悪い点見習っちゃいけません

お前に説教される筋合いないよ。

2008.04.03 15:44 URL | エベレスト #- [ 編集 ]

 上映しない自由を認めると言いながら、天皇陛下が強制で無いのが良いといった、君が良日の丸への強制を是認するような馬鹿と口をきいたら頭が悪くなりますよ。
 内容も知らないで、実際には靖国神社の日常を映しただけの映画を、国を悪く言う映画と、知りもしないで決めつけているような脳味噌腐った馬鹿と口を利かない自由を留保します。

2008.04.03 15:51 URL | 馬鹿は相手にしない主義 #2eH89A.o [ 編集 ]

稲田を非難するのは、的違い。映画館がチキンなだけだ。これだけ話題になっているから、上映すれば客入るのにねえ。・・・・っていうか、多分、上映する流れになる感じがする。

2008.04.03 16:16 URL | うらら #3lnX33YA [ 編集 ]

>内容も知らないで、実際には靖国神社の日常を映しただけの映画を、国を悪く言う映画と、知りもしないで決めつけているような脳味噌腐った馬鹿

日常を映しただけ?じゃ、あんたは観たの?
映画の最後の方はデタラメ写真満載でひどかったらしいよ。

2008.04.03 16:24 URL | エベレスト #- [ 編集 ]

馬鹿は相手にしない主義殿

>天皇陛下が強制で無いのが良いといった

意味不明。

>君が良日の丸への強制を是認するような馬鹿

強制っていうか教育指導要綱に謳ってあるのだから教職員はそれに従うの当然でしょ。それもわれわれの税金で生活しているのだから。思想的にいやなら国公立やめればいいだけの話。サヨクのわがままは稚児よりタチが悪いね。

2008.04.03 16:29 URL | エベレスト #- [ 編集 ]

エベレストはチベットの最高峰だが、チベットの領有を主張する中国にとっては中国の最高峰。

だから、エベレスト(=中国サイコー)はアホウヨのふりしてチベット問題に厳しい日本のリベラルに嫌がらせする中国の工作員と認定しました。
シナシナうるさいですが、反間苦肉の謀略の一つや二つ使うくらい工作員にとってイロハのイです。むしろ、あれでウヨに化けおおせたと思われるなど、日本人もなめられた物です。

2008.04.03 19:42 URL | #- [ 編集 ]

どうやら、ブログ主さんの「放任主義」により、コメント欄が2チャンネルみたいな罵詈雑言状態になってますね。最低でも、~の工作員という言い方は止めましょう。

 ところで、大ざっぱに右翼と左翼と分けるとすると、現在、暴力に訴える頻度が多いのはどちらでしょうか?
 直接暴力を振るわないまでも、聞きたくもない旧軍歌と演説を拡声器で鳴らす、黒やカーキ色の装甲車の如き街宣車をどう思われますか?
 一枚の抗議声明などというものではなく、そういった傍若無人な右翼活動家のこれまでの振るまいによって、人々が怖がり、日教組が集会を開こうにも、ホテル側が拒否する、あるいは映画館が上映自粛する、こういったことは、エベレストさんが大嫌いな中国のような、自由のない、全体主義国家に近づきつつあると思いませんか?
 不法な集会なり、目に余る反国家的な映画なりなら、警察や裁判など、あくまで法に則った手段で中止に追い込むべきでしょう?
 自由が大切とおっしゃるなら、まず、銃殺、放火、自殺でのアピール、拡声器使用の抗議活動を批判してください。

2008.04.03 20:11 URL | cube #- [ 編集 ]

見たいとは思っていませんでしたが、これだけ騒がれると見たくなってきます。早くあちこちで上映してほしいものです。国会議員だけが見られるなんて優越主義はおかしい。
稲田議員も、上映を中止してほしくない、と本当に思うのならば、上映を支援する行動をするべきでしょうね。期待していませんが、一応書いてみました。

2008.04.03 21:24 URL | クエンサン #- [ 編集 ]

予定通り、大阪の映画館は上映するようですね。
機会があったら、見に行くか借りようと思います。
どうかこの映画館が嫌がらせや圧力に負けないで頑張ってほしいです。
テレビでこの映画の内容のことを知り、監督さんのコメントを目にし感じたことを書きます。
彼が目指したものは、中国、日本という双方の利益や好悪などの感情などに左右されず、本質は、国を超えたところにあるのではないでしょうか。
客観的に静かに、淡々と時間をかけ監督さんが撮り続けた映画であることから、ある意味オブラートに包まれた口に出せない問題を観客は、率直に突きつけられることになります。
監督さんは、答えを出しませんが、答えを観客に委ねるという手法をとっています。
観客に委ねるという手法は、よく見られるやり方らしいのですが、見る人ひとりひとり答えがあるということは素晴らしいことではないでしょうか。
否定的な人もいれば肯定的な人もいる、疑問をもち調べようとする人も出てくるでしょうし、答えを持ち寄って互いに議論したり、考えたりする機会になるのではないでしょうか。
この機会を奪う権利は、権力で支配する政治家にも暴力や嫌がらせで脅す人たちにもないと思うのです。

2008.04.04 02:17 URL | アビ #lJgeV6aY [ 編集 ]

支那人が作った映画にどうして国費を投入するのか。訳が解からん。何故か知らんが、日本映画監督協会?と称する団体の会長及び会員の何割かが在日朝鮮人らしいではないか。どうして能天気なお人好しが多いのか。稲田議員は国費投入を問題にしているのであって、自費で勝手に作る分には反対ではないらしいが・・

2008.04.04 02:56 URL | さんきち #- [ 編集 ]

毒にも薬にもならないヌルい映画で儲けているシネコンならまだしも、
小さな小屋が上映中止というのは衝撃が大きい。
もっとも上映するところが少しずつ出てきたのは救いですが。

2008.04.04 20:02 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

ヨーロッパの映画評を読む限りでは、この映画、右翼が喜ぶことはあっても排除したくなる内容ではないらしいんですが、騒いでいる人たちは何が気に入らないのかなぁ?

監督の中国人も日本の右翼思想や運動に共感してるみたいですよ。
見ていないはずなのに、いったいぜんたい何が気に入らないんだろう?

不思議だ・・・。

いつも思っていることだけど、日本には右翼なんて存在していない、自分で右翼だと思って騒ぐだけの迷惑な人たちがいる・・・そんなとこなんだろうか?

・・・と、書いた直後に一水会が映画「靖国」を愛日的だと絶賛していることを知った。

いったいぜんたいどうなってるんだ?

2008.04.04 22:30 URL | sonic #GCA3nAmE [ 編集 ]

稲田朋美は、右翼だから、偏った思想をもっている。
だから、そういう偏った人が政治家になるべきではない。
言論、表現の自由があるんdから、あとは受け止める人の考え方に委ねるべきだ。
大事なのは、国民の自立した考え方を育てるべきで、思想を偏って伝えることではない。
日本は偏見が強い国である。その根本は、無知であること。
まずはそういった文化をかえていかないと、北朝鮮、中国みたいな文化途上国となんらかわりないと思います。

2008.04.06 13:05 URL | dai #- [ 編集 ]













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