きまぐれな日々

19日未明に起きた、イージス艦と漁船の衝突事件は、いやな事件ばかりが続くこのところにあっても、特に気分を暗く沈ませるニュースだった。

私はこの事件に関するテレビ報道を全く見ておらず、新聞社のサイトを通じて事件の把握につとめたが、知れば知るほど、暗い気分をさらに暗くさせる情報ばかりだった。

見張りを怠っていたのか、イージス艦が漁船の存在になかなか気づかなかったこともさることながら、産経新聞が 「イージス艦側に回避義務か 右舷前方に傷確認」 と報じ、自衛艦の過失であったことを指摘した衝撃は大きかった。さすがの産経新聞も、この事件では「漁船の自己責任」などという無責任な報道はしない。

しかし、20日の朝日新聞社説は、奥歯にものが挟まったような書き方だ。
自衛艦は漁船の側面に直角に近い角度で衝突したようだ。衝突までの経緯によって、どちらにより大きな回避義務があったかが決まるが、自衛艦側に責任がなかったとは言えまい。
などと書いている。

朝日の「あらたにす」仲間である読売新聞の社説は、
「あたご」の艦首右側には、衝突によるものと見られる傷跡が確認されている。海上衝突予防法は、船がすれ違う場合、相手を右側方向に見る船が航路を変更するよう定めており、「あたご」側に回避義務があった可能性が高い。
と書いているし、日経新聞の社説は、
法的責任の所在は別にして、常識で考えれば、軍用艦の方が脆弱(ぜいじゃく)な民間の船に注意をはらって航行するのが当然ではないか。「なだしお」事故以来の再発防止策が、そうした常識的発想に基づいていなかったなら問題だ。
と書いている。産経、読売、日経の保守系3紙と比較しても、朝日の論調はもっとも腰が引けているのだ。

自衛艦に回避義務があった可能性が高いことを、もっともはっきり主張しているのが毎日新聞の社説である。
衝突当時の詳細な状況は判明していない。ただ、2隻の予定航路から推定すると、太平洋を北上して東京湾に入ろうとしていた「あたご」が、南西方向に進路を取っていた清徳丸の左舷にぶつかった可能性が高いようだ。
 この場合、「あたご」から見て清徳丸は、右舷方向から接近してきたことになる。海上衝突予防法は、2隻の船が交差する場合、相手の船を右舷側に確認した船に衝突回避の義務があると定めているため、衝突直前の位置関係が過失責任を認定するうえで重要なポイントになる。

このくらいはっきり主張してもらわなければ、新聞の存在価値はないだろう。ガリバー連合である「あらたにす」を向こうに回して頑張る毎日新聞を、つい判官びいきで応援してしまうブログ管理人のひいき目もあるのかもしれないが。

個人的な話で恐縮だが、私が小学生時代に、ジャーナリズムに関心を持ち始めたきっかけが、当時私の家で購読していた毎日新聞の西山太吉元記者が「沖縄密約」をスクープしたところから起きた「西山事件」(1972年)だった。

その西山元記者が、違法な起訴や密約を否定する政府高官の発言で名誉を傷付けられたとして、国に3300万円の賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が20日、東京高裁であったが、同高裁は、請求を棄却した一審・東京地裁判決を支持し、西山元記者の控訴を棄却した。
http://mainichi.jp/select/today/news/20080221k0000m040071000c.html

予想された判決ではあったが、日本では上級審でこの種の裁判の判決がひっくり返る可能性はほとんどない。月刊「現代」の3月号には、冤罪の可能性がきわめて高い、高知県で起きたスクールバスと白バイの衝突事故の裁判に関する亀井洋志氏の記事が掲載されているが、疑う余地のない誤審によって一審、二審で有罪判決を受けたスクールバスの運転手・片岡晴彦さんの冤罪が晴らされる可能性はほとんどないだろう。

暗く沈んだ私の気分が晴れることは、当分なさそうだ。


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朝日の社説は、本当に腰が引けていますね。
昨日もみのもんたのワイドショーである軍事評論家が、「みなさん全員が思っておられることでしょが」と言うので、その続きが、「イージス艦に責任がある」と言うのかと思ったら「双方の不注意が考えられます。(どちらにも責任がある)」と言ったので驚きました。ウソを重ねる海自。これから出す情報でもウソでないとはかぎりません。

沖縄の基地建設阻止の現場では 海保が中立で市民の安全を守る立場にいるのではなく、完全に防衛局の味方になっているようです。

その海保が、イージス艦を強制捜査しても、もしかしたら、海自の肩をもつようなことをしないとは100%言えないでしょう。

それと西山元毎日新聞の記者の判決には 納得できません。司法もだめですね。わたしも憂鬱です。

昨日は岐阜基地に 国内発の空中給油機が納入されました。着々と専守防衛を超えた軍備がなされています。国は国民をなめていますね。

毎日新聞に関しては、おおむねよい記事が他紙に比べて圧倒的に多いので、わたしも支持しています。中村哲さんの記事も多く、新テロ特措法のことに関して、中村さんのご意見を読むことが出来て、わたしも喜んでいました。

ただ、中村さんの意見をたびたび取上げながら、新テロ特措法が成立したときの毎日の社説はそれを国際貢献として支持するような書き方だったような気がします。どうして!?って感じです。社会部と政治部の意見の相違ですか。ちょっとがっかりしましたよ。こういうことは よくあることではありますが。

2008.02.21 08:56 URL | 非戦 #tRWV4pAU [ 編集 ]

大阪府知事に対しても毎日は骨のある記事を載せている。長年に亘る毎日の読者として鼻が高い。一紙くらい、「社会の木鐸」という自負ある新聞がなくてはいけません。負けるな毎日!

2008.02.21 20:06 URL | ちび #G0VbINhw [ 編集 ]

暗黒裁判がますます横行するようになってきましたか。裁判員制度の導入は「司法に対する国民の信頼の向上」のためだそうですが、暗黒化の防止が先でしょう。そうでないのは、むしろ暗黒化の促進のためと考えざるを得ませんね。

2008.02.21 22:25 URL | ヤマボウシ #OulKM.Ac [ 編集 ]

非戦さん、ちびさん、ヤマボウシさん

コメントありがとうございます。
私自身は、毎日新聞と朝日新聞で育った人間なので、両紙ともしっかりしてほしいと思っています。
毎日新聞は、社内言論が右から左まで幅が広く、時にとんでもない反動的な記事や新自由主義支持の社説が載ったりしますが、思い切った政府批判の載るし、何より記者の意気込みが感じられることが多いですね。朝日新聞の記事からは、最近記者の守りの姿勢を感じることが多いです。

それにしても、ヤマボウシさんも指摘される裁判の「暗黒化」は憂慮すべき事態です。ひとたび起訴されたら、たとえ冤罪でも無罪を勝ち取れる可能性はほとんどありませんからね。

2008.02.23 07:26 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]













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「遺憾です」、「綱紀粛正」・・・ で半世紀。 本当に問題は解決出来るのでしょうか。 米兵による犯罪。
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2008.02.22 19:20 | ブログ blog で 情報交換

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