きまぐれな日々

注目の米大統領選候補者指名レースのヤマ場、「スーパーチューズデー」は、共和党が負け因子、もといマケイン氏が大きく前進する一方、民主党はヒラリー・クリントン氏が8州、バラク・オバマ氏が13州を制した。勝利を収めた州の数ではオバマ氏が勝るが、クリントン氏はニューヨークおよびカリフォルニアの大票田を制し、数の上ではなお優位に立っている。しかし両者の決着はつかず今後に持ち越しとなった。

これは、共和党にとってはいやな展開だろう。クリントン・オバマ両氏の争いが熾烈になればなるほど、共和党候補の存在感が薄れていくからだ。

当ブログはオバマ氏支持を表明しているが、今日はその立場を離れて、15年前の思い出話から始めたい。

15年前、私はアメリカ・カリフォルニア州に滞在していた。アメリカのTVニュースは、英語がよく聞きとれないので、半分も理解できなかったが、当時話題になっていたニュースを思い出してみた。

2000年の五輪開催が、北京とシドニーの熾烈な争いの末、シドニーに決定したこと。ロシアで保守派とエリツィンが衝突し、「ホワイトハウス」(ロシア語では「ベールイ・ドーム」)に立てこもった保守派を、エリツィンの指令を受けた政府軍が攻撃したこと。カリフォルニアで大規模な山火事があり、飛んできた灰が車に付着していたことなどを覚えている。当時のことを思い出そうと、「カリフォルニア 山火事 1993」という検索語でGoogle検索をかけたところ、なんと「カナダde日本語」 の下記記事が筆頭で引っかかった。
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-642.html

これは、昨年のカリフォルニアの山火事の記事だが、例年秋になるとカリフォルニアではよく山火事が起きるようだ。カナダで思い出したが、1993年のメジャーリーグベースボールのワールドシリーズで、トロント・ブルージェイズが2連覇を達成したのだった。この年、カリフォルニアではサンフランシスコ・ジャイアンツが頑張っていて、昨年薬物疑惑で悪名を轟かせてしまったバリー・ボンズが売り出し中だったが(私はこのアメリカ滞在時にボンズの名前を覚えた)、ジャイアンツは同じカリフォルニアのロサンジェルス・ドジャースにシーズン最終戦で敗れて、地区優勝をアトランタ・ブレーブス(東部のチームなのに、なぜか当時西地区に所属していた)に譲ったのだった。

それから、アメリカではおなじみの、銃の乱射事件などもニュースになっていた。しかし、私がアメリカ滞在中、もっともTVニュースに登場する頻度が高かったのが、ビル・クリントン大統領が初年度に掲げた「医療保険改革」だった。クリントンが「医療保険改革問題特別専門委員会」の委員長に任命したのが、妻のヒラリー・クリントンだった。アメリカの電波メディアは連日、このクリントン医療改革構想を大々的に報じていた。

しかし、Wikipediaの 「ヒラリー・クリントン」 の記述を借りると、「アメリカ医療保険制度の抜本的改革となりかねないこの計画は、保険会社や製薬会社、中小企業などによる大規模な反対活動にあい、民主党多数議会をもってしても支持を得ることができず、結局翌1994年に廃案となってしまった」。

Wikipediaには、上記の記述に続いて、「これに勢いを得た共和党は、クリントン政権の政策を「急進的なリベラル改革」と位置づけて攻撃、同年の中間選挙では大幅に議席を伸ばして両院で多数となり、行政府と立法府のねじれ現象が生じることになった」とある。当時は新自由主義が勢いを増していた時期だった。もともとリベラルだったビル・クリントンだが、保守化を強める世論に迎合して、徐々にリベラル色を薄めていくことになる。クリントン政権は、経済政策では新自由主義をとった。

今回の大統領選でも、ヒラリー・クリントンは保守層の票を獲得しようと、中道のスタンスをとろうとしたところ、バラク・オバマが「チェンジ(変革)」を合言葉に、よりリベラル色の強い主張を打ち出して国民の支持を獲得し始めた。ヒラリーも、負けじと「本当にチェンジが可能なのは私の方だ」と主張し、現在はオバマとクリントンが「変革」を競う形になっている。7年前の日本で、コイズミ自民党と鳩山民主党が「カイカク」を競う主張をしていたのを思い出すが、当時の日本の二大政党が新自由主義化を競っていたのに対し、今回の米大統領選の民主党有力候補2人は、社会保障を強化し、中産階級を再建する方向性で「変革」を競っている。ヒラリー・クリントンは昨年9月に「国民皆保険を目指す」とした医療制度改革案を発表している。
http://www.asahi.com/international/update/0918/TKY200709180187.html?ref=rss

もちろん日本ではとっくの昔から国民皆保険で、アメリカなんかよりずっと先進的なのだが、コイズミらが進めてきた新自由主義カイカクによって、このすぐれた制度は危機に瀕している。アメリカは、金持ちでなければ十分な医療を受けることができず、関岡英之の言い回しを借りれば、病気にかかることは「人生の破局」を意味する。そんな新自由主義の国を変えようとしているのがバラク・オバマであり、クリントンもオバマと「変革」を競おうとしている。少し古いが、ネット検索で見つかった毎日新聞の1月15日付社説を紹介しておく。

"米大統領選 「チェンジ」の叫びが聞こえる" (毎日新聞 2008年1月15日付社説)
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/2008/01/20080115ddm005070030000c.html

よく、アメリカがくしゃみをすると日本が風邪を引く、などと言われるが、日本でも昨年7月の参院選の結果は、「生活重視」を掲げた民主党が支持され、改憲イデオロギーにばかり固執して経済政策ではコイズミの新自由主義を無批判に踏襲した安倍晋三率いる自民党が惨敗した。つまり、アメリカ人も日本人も「変革」を求めている。これに対し、似た言葉だが実は全く正反対の方向性を持つのが、コイズミや竹中平蔵らの「カイカク」である。「変革」は英語ではチェンジだが、「カイカク」はリフォームであり、両者は似て非なるものであることに注意しなければならない。しかし、日本での現状は、「変革」を求める民意に危機感を強める「カイカク」派がこのところ猛反撃しており、よみうりテレビ(大阪、「ウェーク・アップ!」や「たかじんのそこまで言って委員会」の制作局)やテレビ朝日などのテレビ局がこれを大々的に応援している。マスコミ、特に社員の給料が極端に高い東京や大阪の民放局がこういうスタンスをとるのは、彼らにとって新自由主義は都合が良いからだ。

当ブログは、こういう日本のマスコミの欺瞞を断固として批判し、アメリカ大統領選指名争いにおけるバラク・オバマとヒラリー・クリントン両氏が「変革」を競っている現状を歓迎するものである。
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 私も別の場所で、「カイカク」は、体制内のもので、「チェンジ」は、全体的な変革だと述べたことがあります。
 日米ともに、新自由主義による閉塞感が国民の多くに広まっているのでしょう。
 日本では「チェンジ」を言い出せないのか?野党に対する期待はそこにあります。

2008.02.07 07:49 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

「チェンジ」だろうと「リフォーム」だろうと、変化を求めているうちは、いつまでたっても政治のダッチロールは終わらないと思いますよ。変化を訴えるのは、政策ではなく扇動技術の争いになります。マスコミという扇動装置を持っている勢力が有利なだけです。

民主党は参院選で「生活が第一」というスローガンを使用しました。

アメリカの選挙についてですが、電子投票による不正選挙の疑いが晴れないうちは、「もりあがる選挙戦」も、茶番を疑う必要があるでしょう。

2008.02.07 08:15 URL | ねこ #mQop/nM. [ 編集 ]

>私も別の場所で、「カイカク」は、体制内のもので、「チェンジ」は、全体的な変革だと述べたことがあります。

「革新」にこだわっているうちは、扇動家に負けますよ。変革とか変化は、イメージ戦略であり、イメージ戦略の専門家に敗北します。

「革新」よりも「生活が第一」などの、地道な訴えをするのが効果的でしょう。

「私たちは新しいのだ。だから偉いのだ。」みたいな主張をしていたから、「私たちはもっとすさまじく新しい」のような主張に敗北したのです。

2008.02.07 08:19 URL | ねこ #mQop/nM. [ 編集 ]

具体的に何をどう変えその結果
どのような生活になるのかといった
議論と説明のない改革は疑うべきですね。
あいまいな言葉に踊ってしまうのは
避けたいですね。

2008.02.07 17:22 URL | JMaEND #RpRZ5X7E [ 編集 ]

地上アナログ放送終了が本当に実施された場合、
「B層」のかなりの人はワンセグ携帯電話以外ではテレビが視聴できなくなる可能性がありますね。そうなった時、テレビの影響力が今よりも弱まるのか、より個人的な形で影響力が維持されるのか、注目すべきでしょう。それにしても、30年以上たっても多くに国民に「団結」して闘うことをためらわせている「全共闘」の負の遺産は本当に大きい。

2008.02.08 11:34 URL | #mQop/nM. [ 編集 ]













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