きまぐれな日々

このところ、民主党に気の緩みが感じられる。憂慮すべきことである。

しばらく当ブログが脇道にそれていた間に、大阪府知事選の告示があって選挙戦に入っているが、マスコミの情勢調査によると、信じられないことに自民・公明が支持している橋下徹候補が、民主党・社民党・国民新党推薦の熊谷貞俊候補にかなりの差を開けてリードをしているようだ。

マスコミは、橋下が先行して熊谷候補が激しく追う、と書いているが、同じ表現が昨年4月の東京都知事選の情勢調査記事で用いられ、ふたを開けてみれば石原慎太郎の圧勝だった。現時点で、既に逆転は難しい差がついていると考えるべきだろう。

自民党本部からも公明党からも推薦が得られなかったにもかかわらず、橋下は両党支持者のそれぞれ7割を固めたのに対し、熊谷候補は民主党支持者でさえ6割しか固められず、社民党支持者にいたっては2割しか固められずにいる(毎日新聞調査より=下記URL)。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080121-00000005-mai-pol

民主党の小沢一郎代表は、新テロ特措法の採決まで欠席して、大阪府知事選の応援に駆けつけたのだが、その割に民主党の戦いぶりは、どこまで本気かと言いたくなるものだ。

たとえば、熊谷候補推薦に共闘してくれた社民党への扱いは、まことにぞんざいなものだそうだ。だから社民党の支持層を全然固められないのだろう。それに、マスコミへのアピールも全然しない。かつて、大阪府知事選というと、横山ノックが不祥事を起こして任期途中で退任する以前は統一地方選の時期に行われていたせいもあるが、東の東京都知事選と並んで注目を集め、各党が推薦する候補を熱心にPRしていたものだ。しかし、今回の民主党には全然熱意が感じられなくて、極右ポピュリストにして新自由主義者である橋下徹の当選に協力しているかのようにさえ見える。非常に腹立たしい。

ことは、地方選に関することだけではない。国政の場でも、新テロ特措法での腰砕けぶりや、防衛疑獄への追及の不熱心さも目にあまる。後者については、小沢一郎代表をはじめ、前原誠司ら民主党内にも疑惑をささやかれる議員が多いせいではないかと疑ってしまう。

それにもまして一番いけないのは、生活重視と言いながら具体策を打ち出す熱意に欠けているように見えることだ。「ガソリン値下げ隊」のようなパフォーマンスばかりが目立つが、本当に国民の側に立った政治を目指しているようにはとうてい見えない。福田首相が国民生活への配慮を言い出した時、民主党はクリンチ作戦だといってこれを批判したが、民主党が自民党との差異を鮮明にする社会保障政策を次々と打ち出していれば、福田首相のクリンチ作戦を許すことはなかったのではないか。

自民党と民主党の首脳は、いちおう「カイカク離れ」を目指しているように見えるが、経団連に代表される財界は、両党に新自由主義カイカク路線に戻れと圧力をかけ続けていることだろう。昨今の株安についても、マスコミは「福田内閣がカイカクに不熱心である」ことに原因があると批判し始めている。またかという感じだ。ITバブルで日経平均が2万円をつけた2000年の株価を、コイズミ・安倍の両内閣は一度も回復したことはないではないか。それどころか、コイズミが極端な新自由主義政策をとったことによって、2001年から2003年にかけて株価は大きく下げた。そして、企業の自助努力によって株価は回復したのである、そうも言いたくなる。コイズミは、株価下落局面では「株価に一喜一憂しない」と言い、上昇局面では「カイカクの成果だ」とほざいた。そして、現在の株安を報じるマスコミは、「コイズミ・安倍時代にはカイカクの成果で株価は上昇した」と称してグラフを見せるが、2000?2003年にかけての株価下落の部分を表示しなかったりする。今回の株価下落は、サブプライムローンの破綻をきっかけにしたアメリカの住宅バブル崩壊によるものであり、長年の対米隷従政策によって、経済の波がアメリカと連動するようになってしまった日本がとばっちりを食っているだけの話だ。日本政府が新自由主義を放棄しようとしているからなどでは断じてない。福田内閣がカイカクを後退させようとするからこんなことになったんだ、などとテレビなどのマスコミで騒ぐ輩は、悪質なデマゴーグである。

それにしても、ここにきての新自由主義勢力の巻き返しはすさまじい。北川正恭、東国原英夫らが発起人となって発足した「せんたく」(「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」)もその一環だと私は見ている。北川自身、90年代前半の「政治改革」の局面における新自由主義のプレーヤーだったし、徴兵制などの極右的発言を繰り返している東国原や、東京都知事選で石原慎太郎と相互応援した神奈川県知事の松沢成文が加わっていることから、この連合は新自由主義と新保守主義、それに東国原に象徴されるポピュリズムが合体した性格を持つと私は考えている。これは、地域・生活者起点どころか国民生活の破壊につながるものだ。こんな勢力の台頭を許してはならない。

昨年の参院選での自民党大敗や、このところのマスコミの論調の変化で、新自由主義勢力はもう力を失ったなどとなめてかかると、手痛いしっぺ返しを食うのではないか、そう当ブログは危惧している。


#この記事は、「トラックバックピープル・自民党」 および 「トラックバックピープル・安倍晋三」 にトラックバックしています。ここにTBされている他の自民党および安倍晋三関係の記事も、どうかご覧下さい。

↓ランキング参戦中です。クリックお願いします。
FC2ブログランキング

関連記事
スポンサーサイト

今「改革」という言葉に心ときめく人がいるでしょうか?
エセ改革者によるエセ改革が続き、「改革」という言葉自体が腐ってしまいました。今でもエコノミストが「改革が足りない」と叫びますが、国民の目は急速に冷ややかになっています。
 ただ今やるべきことは改革の反動運動ではありません。国民所得を向上させ、強い内需を作り経済を再建することです。エコノミストの多くも、今の日本売りは外需に依存し、国民所得が低下して内需が弱いことが原因と分析しています。
少し前まで新自由主義を賛美していた人でも、かなりの人が認識を改めています。国際競争力に目を奪われ、労働分配率を下げて輸出競争力を向上を優先させた失敗や、運輸業や流通業の規制緩和で低賃金労働の雇用ばかり増えて、付加価値の高い産業の育成を怠っていた失敗。地方が疲弊し、一部の地域だけの好況感に依存してる失敗も。
 「かつて新自由主義を信奉していた」というだけでレッテル貼りをして、魔女狩りのような批判合戦をするのはナンセンスです。ちなみに私も元新自由主義者ですが。

2008.01.22 10:01 URL | Kechack #1/Y8RI0s [ 編集 ]

>今「改革」という言葉に心ときめく人がいるでしょうか?

これはさすがに激減してると思う。最近もニュースで株価が下がってエコノミストが出てきて「改革が進んでないから」なんてテレビのニュースで言うと、「まだあんなこといってるの」くらいのつっこみは特に政治に強い関心を持ってるわけでもないオバサンからも入ったりする光景があたりまえに見られるから。

「せんたく」というのがやっかいそうなのは、いわゆる「改革」なんていうことばを前面に出してないところかな。先の参議院選での民主大勝を踏まえて、「生活重視」とか「消費者の視点で」とか唱えてる。だから一般人からしてみれば反対しづらい。

「せんたく」の根っこには「つくる会」あたりと親和性がある「保守」的感性があると私は思っているんだけど、どうなんでしょうね。いよいよナチ的なものがせり出してくるようになったようなこわさを感じました。

2008.01.22 12:39 URL | nessko #aIcUnOeo [ 編集 ]

こんにちは。

以前、どこの民放番組だったかは忘れましたが、
橋下、熊谷、梅田 三候補そろって出演させて、
各々に司会者からの質問に解答する形で政策について語らせている
ものを見たのですが、
これを見たときに、私としては、これはちょっとやばいなという
印象を持ちました。
といいますのは、やはりテレビ慣れした橋下氏の弁舌の一際声高な
押しの強い語りに対して、両候補は、地味で、ややかすんで見え、
大人しすぎるような印象を持ちました。

もちろん、有権者は候補者の政策の内容を吟味すべきなのは当然なのですが、
やはりテレビ政治の時代にあって、タレント弁護士としてはダントツ知名度NO1の
橋下氏の対立候補としての熊谷氏はちょっと役者不足なような気がします。
もうちょいテレビ画面において、存在感を押し出せる候補にすべきだったのでは
ないかと。
不景気な時ほど、先行き不安が強ければ強いほど、
えてして大衆ポピュリズムに長けたナショナリストは支持を受けやすいと
思いますので、
その辺をよく勘案しての戦略、戦術のもとにおいて、
候補者選びをすべきではなかったのかと思うのですが。
ただ、そこまでのやる気は無いのかもしれません。

2008.01.22 16:27 URL | フリスキー #iMBi6aSc [ 編集 ]

まぁ、熊谷さんは戦略ミスですよね。目立たない。あと、ネガティブキャンペーンを展開していることも、不人気の要因でしょうね。人柄が悪く見えてしまいます。

2008.01.22 17:21 URL | ディヴィッド #tvs0Bgds [ 編集 ]

21世紀臨調の代表を務めたり、「せんたく」の発起人有志に名を連ねたり、佐々木毅って、いったい何者なのでしょうね。
かつて(今も?)新自由主義的「改革」の影の仕掛人のような役割を果たしていた田中直樹のような位置にいるのでしょうか。
最近、ちょっと気になる(警戒すべきという意味で)人物です。

2008.01.22 23:33 URL | ぴぐう #- [ 編集 ]

 佐々木毅は別に新自由主義者ではありません。適当に新自由主義者のレッテルを貼って適当に非難するのはナンセンスです。
 極端に酷い人間を見極めて、ターゲットを絞って批判すべきだと思います。
 健全な改革論者とはむしろ共闘を考えりべきだと思います。

2008.01.23 02:12 URL | kechack #- [ 編集 ]

kechackさん、

魔女狩り的批判はナンセンスとのご批判は理解できなくもありません。
「せんたく」に関しては、具体的な方向性が新聞記事だけでははっきりしませんし、むしろ国民の負担増を求める自民・民主両党を批判するような文言があったりしますが、その割に極右ポピュリストの東国原英夫やネオコンの松沢成文が名を連ねていたり、北川正恭も、数ヶ月前に見たテレビ番組のコメントなどから今なお新自由主義的傾向を持っていると私は判断したため、「せんたく」の批判に踏み切りました。自分の勘を信じて、警告を出しておかないといけないかな、と思った次第です。
この記事を公開したあと、田中宏和氏の有名な「世に倦む日日」が、「せんたく」批判の記事を公開して、新自由主義者として北川氏のほか佐々木毅氏の名前を挙げていましたが、最近の佐々木氏については、「論座」への寄稿くらいしか私は読んでおらず、その記事は氏が新自由主義者かどうか判断できるものではありませんでした。

2008.01.23 06:49 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

先のコメントの補足です。

国民は明らかに「カイカク」離れを起こしていますし、自民・民主両党の主流派は「脱カイカク」を競おうとしていますが、経済界はそれでは彼らの利益にならないので、両党に新自由主義路線への回帰を求める圧力を強くかけていると思います。そして、テレビ局も視聴率を失わないためには反新自由主義の論調を取り入れざるを得ないものの、勝ち組の彼らにとっては新自由主義のほうが都合がよいことは間違いありません。

ですから、現状は「カイカク離れ」と「カイカク回帰」の両勢力が綱引きをしている状況にあるというのが、私の認識です。

2008.01.23 06:53 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

私も余り「改革」という言葉を使いたくないのですが、俗に言う改革がすべて新自由主義的な改革を意味している訳ではありません。ですから「改革」と名をつくというだけで批判するのはいかがなものでしょうか?
 また少し新自由主義的要素があるとしても、即批判の対象にするのは、少しでも社会主義の要素があれば即対称の対称にする原理主義的資本主義者と同罪で潔癖が過ぎるのではないでしょうか?
 学者にしても政治家にしても、もう少し大義にどのような理想の持ち主か判断した方がいいと思います。

2008.01.23 08:58 URL | Kechack #1/Y8RI0s [ 編集 ]

NHK職員によるインサイダー取引疑惑を見ると、全国紙や民放も含めて大手マスコミの人々は、一般国民が到底知り得ないような情報をいち早く察知して株取引などに利用し、不当な利益を上げている疑いが持たれますね。

かつて「六本木族」はインサイダー情報を融通しあって株価をつり上げたり売り抜けたりしていたようですが、マスコミ関係者がインサイダーに関わっていたとなると、悪質性は比較にならないほど高いと思います。
そんなマスコミ関係者は、当然、現在の新自由主義的経済が存続することを望むでしょうから、NHKにも、朝日から読売・フジサンケイまでの民間報道機関にも、大多数の国民の立場に立った報道を期待することは無理でしょうね。頼れるのはネットだけです。

2008.01.23 09:54 URL | #mQop/nM. [ 編集 ]

そもそも新自由主義はなぜネオコンと結ぶついたのでしょうか。ミルトン・フリードマンは選択の自由を強調していたはず。戦争は強制的なものだから、自由を強調するフリードマンの立場からすれば忌み嫌うべきものではないですか。

2008.06.23 00:53 URL | 雄太 #NkOZRVVI [ 編集 ]













管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://caprice.blog63.fc2.com/tb.php/556-a6d66f2e